46 JVM Diagnostics as a Serviceの設定

この章では、JVM Diagnostics as a Serviceを設定して有効化する手順について説明します。内容は次のとおりです。

JVM Diagnostics as a Serviceについて

JVM Diagnostics as a Service (JVMDaaS)によって、IT組織では、セルフ・サービスの方法でJVM診断機能を提供し、Webベースのポータル内でJVMをモニターできます。モニターするJVMとして、Enterprise Managerのモニター対象ターゲットまたはリモート・ターゲットを指定できます。

たとえば、開発組織では、開発者やQA担当者にJVM診断機能を提供できます。システム管理者は、JVMDaaSを通じてこのサービスを提供できます。これによって、開発者とQA担当者は、作業中のインスタンスで簡単にJVM診断にアクセスできるため、開発タスクが迅速に完了し、組織のコストを低下できます。セルフ・サービス・アプローチを使用しているため、システム管理者の作業負荷が増加することはありません。

ユーザーおよびロール

Oracle Enterprise Managerでは、管理している環境や、Oracle Enterprise Managerを使用しているコンテキストに応じて、Oracleユーザーの様々なクラスをサポートしています。ユーザー権限は、Enterprise Managerの基本レベルのセキュリティを提供します。ユーザー権限はデータへのユーザーのアクセスの制御およびユーザーが拡張できるSQL文の種類の制限をするように設計されています。ユーザーを作成するときは、ユーザーに権限を付与し、Enterprise Managerへのログイン、ターゲットの表示およびモニター、様々なレポートの表示、JVMのモニターなどができるようにします。

ロールとは、管理者または他のユーザーに付与できる、Enterprise Managerリソースまたはターゲット(あるいは、その両方)の権限の集合です。ユーザーまたは管理者へのロールに基づいて、Enterprise Manager環境の適切な権限がユーザーに付与されます。これらのロールは、地理的位置(カナダのシステムを管理するためのカナダの管理者用ロールなど)、業務系列(人事管理システムや販売システムの管理者用ロールなど)または他のモデルに基づいて作成できます。ロールの作成により、多数の権限を個別に付与するのではなく、チーム・メンバーに適切な権限をすべて含むロールを割り当てます。

JVMDaaSを使用する前に、スーパー管理者は、次のロール用のユーザーを作成する必要があります。

  • EM_SSA_ADMINISTRATOR

    このロールを持つユーザーは、セルフ・サービス・ユーザーの割当て制限と制約を定義し、アクセス権限を付与できます。このロールを持つユーザーはまた、プロビジョニングおよびパッチ・デザイナの権限を持ち、デプロイメント・プロシージャの作成および保存を行い、パッチ計画を作成および表示し、管理エージェント上のプラグインのライフサイクルをサポートします。これらの権限は、インフラストラクチャの初期設定および進行中のメンテナンスに必要です。

  • EM_SSA_ADMINISTRATOR_BASE

    このロールを持つユーザーは、セルフ・サービス・ポータルを設定できます。このロールを持つユーザーは、セルフ・サービス・ユーザーの割当て制限と制約を定義し、アクセス権限を付与できます。

  • EM_SSA_USER

    このロールを持つユーザーは、クラウドJVM診断サービスおよび利用可能なすべてのサービス・ファミリおよびタイプにアクセスできます。

  • EM_SSA_USER_BASE

    このロールを持つユーザーは、利用可能なサービス・ファミリおよびタイプへのアクセス権限なしに、セルフ・サービス・ポータルにアクセスできます。これには、サービス・ファミリとタイプの明示的な許可が必要です。このロールは、本番環境で頻繁に使用されます。

JVMDaaSの設定

この項では、JVM Diagnostics as a Serviceの設定方法について説明します。ただし、設定タスクを実行する前に、必要な前提条件が満たされていることを確認する必要があります。EM_SSA_ADMINISTRATORおよびJVMDAASロールを持つユーザーが作成されている必要があります。

JVMDaaSを設定するには、次のステップに従います。

  1. EM_SSA_ADMINISTRATORロールを持つユーザーとして、Enterprise Managerにログインします。
  2. 「エンタープライズ」メニューから「クラウド」を選択し、「JVM診断ホーム」を選択します。
  3. 「割当て制限」タブをクリックし、JDAASロールを持つ1人以上のユーザーに割当て制限を割り当てます。「割当て制限の定義および割当て」を参照してください。
  4. 「ホーム」タブをクリックし、JVM診断エージェントを管理およびモニターします。

割当て制限の定義および割当て

JVMDaaSでは、割当て制限は、JVMDaaSを使用してモニターできる最大JVM数を表します。EM_SSA_ADMINISTRATORロールを持つユーザーはセルフ・サービス・ユーザーの割当て制限を定義できます。

次の前提条件が必要です。

  • EM_SSA_ADMINISTRATORロールを持つユーザーが作成されている必要があります。このユーザーは、EM_SSA_ADMINおよびJVM診断管理者権限を持っている必要があります。

  • JVMDAASロールを持つ1人以上のユーザーが作成されている必要があります。

割当て制限を設定するには、次のステップに従います。

  1. 「割当て制限」タブをクリックします。このページには、ロールおよび各ロールに割り当てられたJVMの最大数のリストが表示されます。
  2. 「作成」をクリックします。表示された割当て制限の作成ウィンドウで、次の指定をします。
    • ロール名: 割当て制限が割り当てられるEM_SSA_USERロールを指定します。

    • JVM: 選択したロールに使用可能なJVMの最大数または割当て制限を指定します。

    • JVMDエンジン: JVMDエージェントの接続先エンジンのURLを指定します。

  3. 「OK」をクリックして割当て制限を作成し、JVM診断クラウド・セルフ・サービス・ポータル設定ページに戻ります。指定されたJVMの数の割当て制限(JVMプール)が割当て制限ページにリストされます。

割当て制限が割り当てられているロールの名前を選択し、必要に応じて、 「編集」または「削除」オプションをクリックして、割当て制限を編集または削除できます。

注意:

アクティブなJVMを含む割当て制限を変更すると、新しい割当て制限は、新しいJVM接続にのみ適用されます。既存のJVMは、古い割当て制限を引き続き使用します。

JVMDaaS環境のモニタリング

JVMDaaS管理者は、JVM診断ページを使用して、JVMDaaS環境全体の状態を確認します。このページは、割当て制限の追加、編集および削除などの管理操作を実行するために使用することもできます。

「ホーム」タブをクリックし、JVM診断ホームページを表示します。次のリージョンが含まれます。

  • 概要: このリージョンには、割当て制限が割り当てられているJVMプールおよびJVMの合計数が表示されます。ここには、アクティブなJVMおよび非アクティブ化されたJVMの数が表示されます。

  • JVMの状態: このリージョンには、JVMの様々な状態を示すグラフが表示されます。

  • アクティブなJVM: 現在アクティブなJVMの数が表示されます。

  • ユーザー別JVM: JVMがその所有者に基づいてグループ化されているツリー・ベース構造です。このセクションには、メンバーのステータスの概要(稼働中、停止、不明)、JVM、JVMがアクティブ化されたかどうか、JVMの所有者、JVMの作成日などのJVMユーザー統計が表示されます。

  • JVMDエンジン: JVMDエンジンのリストが表示されます。データには、エンジンが存在するホスト、ポート、SSLポート、ステータス、JVM数、エンジンのバージョンが含まれます。

割当て制限

割当て制限は、(指定されたロールを持つ)ユーザーがJVMDaaSを通じてモニターできる最大JVM数を意味します。ユーザーに複数のロールが割り当てられている場合、そのユーザーの割当て制限は、割り当てられているロールでの最大の割当て制限です。

このタブで、JVM数とJVMDエンジンを指定して割当て制限を作成できます。ロールの割当て制限を、編集および削除することもできます。

エンジンの使用状況

このタブには、次が表示されます。

  • エンジン使用状況グラフ: デプロイされた様々なJVMDエンジンと割当て制限によりエンジンに割り当てられたJVMの数。

  • JVMDエンジンの使用状況: 各JVMDエンジンおよびロールに対する割当て制限、ユーザー数およびエンジンに割り当てられたJVMをリストします。