13 Oracleスタンバイ・データベースのプロビジョニング
この章の構成は、次のとおりです。
スタンバイ・データベースの作成の概要
スタンバイ・データベースを作成することは、データベースを管理してモニターする前に実行する必要がある最初の作業です。Enterprise Manager Cloud Controlには、1つのプライマリ・データベースと1つ以上のスタンバイ・データベースを含むBroker構成を作成するためのスタンバイ・データベースの追加ウィザードが用意されています。
フィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースを作成できます。フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースと物理的に同じものであり、リカバリ・モード時にマウントまたは読取り専用でオープンされ、すべてのデータ型とDDLをサポートしています。ロジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースとは物理的に異なり、リカバリ・モード時に読取り/書込みのみでオープンされます。また、データ保護およびレポート作成に使用でき、一部のデータベースとDDLのみをサポートしています。
スタンバイ・データベースの作成プロセスでは、次のステップが実行されます。
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プライマリ・データベースの制御ファイル、データファイルおよびアーカイブREDOログ・ファイルのオンライン・バックアップ(または、必要に応じて既存のバックアップを使用)を実行します
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プライマリ・ホストからスタンバイ・ホストにバックアップ・データを転送します
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必要なその他のファイル(初期化、パスワードなど)をスタンバイ・ホスト上に作成します
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制御ファイル、データファイルおよびアーカイブREDOログ・ファイルを、スタンバイ・ホスト上の指定した場所にリストアします
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オンラインREDOログ・ファイルとその他のファイルを、必要に応じてスタンバイ・データベースに追加します
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リカバリしたデータベースを、フィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースとして構成します
新規のフィジカル・スタンバイ・データベースの作成(単一インスタンスのみ)
新規のフィジカル・スタンバイ・データベースを作成するには(単一インスタンスのみ)、次のステップを実行します。
注意:
新規のフィジカル・データベースが単一インスタンス・データベースとして作成されます。Enterprise Managerのクラスタ・データベースへの変換機能を使用して、スタンバイ・データベースを作成後、そのスタンバイ・データベースをクラスタ・データベースに変換できます。
ステップ1: バックアップ・タイプの決定
Enterprise Managerは、Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、プライマリ・データベースの新規バックアップまたは既存のバックアップから単一インスタンスのスタンバイ・データベースを作成します。スタンバイ・データベースの作成で使用する2つのバックアップ操作のいずれかを選択できます。
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プライマリ・データベース稼働中にバックアップを実行し、RMANを使用してデータベース・ファイルをコピーするか、またはステージング領域を介してデータベース・ファイルをコピーします。
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以前のスタンバイ・データベース作成時の既存のRMANバックアップまたは既存のバックアップを使用します。
「次」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ2: バックアップ・オプションの設定
RMANを使用したオンライン・バックアップの場合は、「並列度」を入力します(RMANがデータベース・ファイルをコピーするのに使用するパラレル・チャネルの数)。デフォルトの桁数は2です。
ステージング領域を介したデータベース・ファイルのコピーによるオンライン・バックアップの場合は、ステージング領域の場所を指定します。スタンバイ・データベースの作成後に、ディレクトリを保持または削除するよう選択することもできます。
RMANを使用したオンライン・バックアップの場合は、RMANバックアップの場所とステージング領域の場所を指定します。
プライマリ・ホストの資格証明を入力します。既存の資格証明を使用するか、または新しい資格証明を作成できます。新しい資格証明を作成した場合は、その資格証明を保存して、後で別のスタンバイ・データベースを作成する際に使用できます。これを実行するには、「優先資格証明として設定」ボックスをチェックします。
「次」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ3: スタンバイ・データベースを作成するOracleホームの選択
スタンバイ・データベースは、Oracle Enterprise Managerで検出された任意のOracleホームで作成できます。プライマリ・ホストのオペレーティング・システムに一致する、ホスト上のOracleホームのみが表示されます。検出されたOracleホームを選択し、スタンバイ・データベースに対して一意のインスタンス名を指定する必要があります。続行するには、スタンバイ・ホストの資格証明が必要です。
ステップ4: スタンバイ・データベース・ファイルの場所の設定
プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースは同じホスト上に存在するため、スタンバイ・データベース・ファイルは、Oracle Optimal Flexible Architecture (OFA)ディレクトリ構造に置かれます。「カスタマイズ」をクリックして、個々のファイル名を変更します。
「リスナー構成」セクションで、スタンバイ・データベースで使用するリスナーの名前とポートを指定します。既存のリスナーが使用していない新しい名前とポートを指定すると、指定したポートを使用する新しいリスナーが作成されます。
「次」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ5: スタンバイ・データベースの構成パラメータの指定
スタンバイ・データベースの構成パラメータを設定する必要があります。これらのパラメータには、データベース名、データベースの一意の名前、ターゲット名およびスタンバイ・アーカイブの場所などが含まれます。スタンバイ・アーカイブの場所は、通常のディレクトリまたはフラッシュのリカバリ領域に設定できます。デフォルト値は、対応するプライマリ・データベースの設定に基づいています。
パラメータが正しいことを確認したら、「次」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ6: 情報を確認してから「終了」をクリック
スタンバイ・データベースの追加ウィザードでは、構成およびスタンバイ・データベースに対して最後に入力したデータを確認できます。情報がすべて正しいことを確認したら、「終了」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
「スタンバイ・データベース記憶域」をクリックすると、スタンバイ・データベース・ファイルのすべての場所に関する詳細な情報を表示できます。
「終了」をクリックすると、スタンバイ・データベースの作成プロセスがOracle Enterprise Managerのジョブとして実行されます。ジョブを発行する前であればいつでもスタンバイの作成を取り消すことができます。
ジョブが発行されると、「Data Guardの概要」ページが表示されます。「スタンバイ・データベース」表の「ステータス」列に、「作成の進行中」が一覧表示されます。そのリンクをクリックすると、スタンバイ・データベース作成の進行状況をモニターできます。
注意:
最初に構成を作成した後にスタンバイ・データベースを追加するには、「スタンバイ・データベースの追加」をクリックして、再度スタンバイ・データベースの追加ウィザードを実行します。
新規のロジカル・スタンバイ・データベースの作成(単一インスタンスのみ)
新規のフィジカル・スタンバイ・データベースを作成するには(単一インスタンスのみ)、次のステップを実行します。
注意:
新規のロジカル・スタンバイ・データベースが単一インスタンス・データベースとして作成されます。Enterprise Managerのクラスタ・データベースへの変換機能を使用して、スタンバイ・データベースを作成後、そのスタンバイ・データベースをクラスタ・データベースに変換できます。
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「ターゲット」メニューから「データベース」.を選択します
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「データベース」ページで、データベースのリストを確認します。新規フィジカル・スタンバイ・データベースを作成する対象のプライマリ・データベースを選択します。
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「プライマリ・データベース」ホームページで、「可用性」をクリックしてから、「スタンバイ・データベースの追加」を選択します。
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「データベース・ログイン」ページで、資格証明を入力します。「ログイン」をクリックします。
注意:
プライマリ・データベースにまだ接続していない場合は、SYSDBA資格証明を使用して接続する必要があります。
SYSDBA権限を持つユーザーとしてログインした場合は、すべてのモニタリングおよび管理機能など、Data Guardのすべての機能を使用できます。SYSDBA権限を持たないユーザーとしてログインした場合は、モニタリング機能のみを使用できます。スタンバイ・データベースの作成、スイッチオーバーおよびフェイルオーバーなどの機能は使用できません。
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「スタンバイ・データベースの追加」ページで、「新規のフィジカル・スタンバイ・データベースの作成」を選択します。「続行」をクリックします。
注意:
新規のフィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースを作成する場合、Data Guardでは、「続行」をクリックすると、次の項目がチェックされます。
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サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE) -- Data Guardでは、構成内のすべてのデータベースがサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用する必要があります。SPFILEを使用していないプライマリ・データベースが見つかると、ウィザードは停止し、SPFILEの作成を要求するメッセージを戻します。デフォルト以外の名前で作成できます。Data Guardで必要になるのは、プライマリ・データベースがSPFILEを使用することのみです。
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NOARCHIVELOGモード -- いずれの方法でスタンバイ・データベースを追加する場合も、プライマリ・データベースをARCHIVELOGモードに設定する必要があります。プライマリ・データベースがNOARCHIVELOGモードの場合は、ウィザードを終了して、プライマリ・データベースをARCHIVELOGモードに変更するように要求されます。
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「データベース」ページの「スタンバイ・データベース」セクションで、「スタンバイ・データベースの追加」をクリックします。
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次のステップでは、1つのプライマリ・データベースと1つのフィジカル・スタンバイ・データベースを含むBroker構成がすでに存在していると仮定して、新規のロジカル・スタンバイ・データベースを作成します。次に、ウィザードにおいて、データベース用のOracleホームを選択して、データファイルをスタンバイ・データベースにコピーする詳細なステップを示します。
スタンバイ・データベースの追加ウィザードでは、次のステップを実行します。
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バックアップ・タイプの決定。
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バックアップ・オプションの設定。
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スタンバイ・データベースを作成するOracleホームの選択。
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スタンバイ・データベース・ファイルの場所の設定。
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スタンバイ・データベースの構成パラメータの指定。
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情報を確認してから「終了」をクリック。
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ステップ1: バックアップ・タイプの決定
Enterprise Managerは、Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、プライマリ・データベースの新規バックアップまたは既存のバックアップから単一インスタンスのスタンバイ・データベースを作成します。スタンバイ・データベースの作成で使用する2つのバックアップ操作のいずれかを選択できます。
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プライマリ・データベース稼働中にバックアップを実行します。
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プライマリ・データベースの既存のバックアップを使用します。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ2: バックアップ・オプションの設定
プライマリ・データベースのバックアップ・ファイルを格納するための作業ディレクトリが必要です。将来の使用に備え、必要に応じて、追加のスタンバイ・データベースを作成するために保持して使用できます。作業ディレクトリを作成する、プライマリ・ホスト上の場所を指定します。
このステップでは、プライマリ・ホストの資格証明が必要になります。プライマリ・データベースのOracleサーバー・インストールの所有者の資格証明を入力します。この資格証明を保存するには、「優先資格証明として保存」ボックスをチェックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ3: スタンバイ・データベースを作成するOracleホームの選択
スタンバイ・データベースは、Oracle Enterprise Managerで検出された任意のOracleホームで作成できます。プライマリ・ホストのオペレーティング・システムに一致する、ホスト上のOracleホームのみが表示されます。検出されたOracleホームを選択し、スタンバイ・データベースに対して一意のインスタンス名を指定する必要があります。続行するには、スタンバイ・ホストの資格証明が必要です。
ステップ4: スタンバイ・データベース・ファイルの場所の設定
Broker構成の作成プロセスの一部として、プライマリ・データベースのデータファイルをスタンバイ・ホストが使用できるようにする操作があります。スタンバイ・データベース・ファイルの場所をカスタマイズするオプションもあります。続行するには、スタンバイ・ホストの資格証明が必要です。次のリストで、オプションについて説明します。
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バックアップ・ファイルへのアクセス・メソッドの指定
スタンバイ・ホストがプライマリ・データベースのバックアップ・ファイルにアクセスするためのメソッドを選択します。次の2つのオプションがあります。
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プライマリ・ホストの作業ディレクトリからスタンバイ・ホストの作業ディレクトリへのファイルの転送
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ネットワーク・パス名を使用した、スタンバイ・ホストからプライマリ・ホストの作業ディレクトリの場所への直接アクセス
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スタンバイ・データベース・ファイルの場所の指定
スタンバイ・データベース・ファイルの場所を選択します。次の2つのオプションがあります。
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Oracle OFA (Optimal Flexible Architecture)への変換
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プライマリ・データベースと同じファイル名と場所を保持
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ネットワーク構成ファイルの場所の指定
Data Guardでは、スタンバイ・データベースの構成情報が、スタンバイ・ホスト上で指定したディレクトリ内のネットワーク構成ファイル(listener.oraファイルとtnsnames.oraファイル)に追加されます。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ5: スタンバイ・データベースの構成パラメータの指定
スタンバイ・データベースの構成パラメータを設定する必要があります。これらのパラメータには、データベース名、データベースの一意の名前、ターゲット名およびスタンバイ・アーカイブの場所などが含まれます。スタンバイ・アーカイブの場所は、通常のディレクトリまたはフラッシュのリカバリ領域に設定できます。デフォルト値は、対応するプライマリ・データベースの設定に基づいています。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
ステップ6: 情報を確認してから「終了」をクリック
スタンバイ・データベースの追加ウィザードでは、構成およびスタンバイ・データベースに対して最後に入力したデータを確認できます。情報がすべて正しいことを確認したら、「終了」をクリックします。
「取消」をクリックして現在のプロセスを終了し、スタンバイ・データベースの追加ウィザードの最初のページから再度開始できます。
「スタンバイ・データベース記憶域」をクリックすると、スタンバイ・データベース・ファイルのすべての場所に関する詳細な情報を表示できます。
「終了」をクリックすると、スタンバイ・データベースの作成プロセスがOracle Enterprise Managerのジョブとして実行されます。ジョブを発行する前であればいつでもスタンバイの作成を取り消すことができます。
ジョブが発行されると、「Data Guardの概要」ページが表示されます。「スタンバイ・データベース」表の「ステータス」列に、「作成の進行中」が一覧表示されます。そのリンクをクリックすると、スタンバイ・データベース作成の進行状況をモニターできます。
注意:
最初に構成を作成した後にスタンバイ・データベースを追加するには、「スタンバイ・データベースの追加」をクリックして、再度スタンバイ・データベースの追加ウィザードを実行します。
プライマリ・データベースのバックアップのみを作成
追加オプションでは、スタンバイ・データベースを作成せずにプライマリ・データベースのバックアップのみを作成します。このバックアップは、将来スタンバイ・データベースを作成する場合(スタンバイ・データベースの追加ウィザードを再度実行して、既存のバックアップからスタンバイ・データベースを作成)に使用できます。既存のバックアップは、プライマリ・ホストまたはスタンバイ・ホストから使用できます。Enterprise Managerが提供するプライマリ・ホストからスタンバイ・ホストへのバックアップ・ファイル転送用のファイル転送メカニズムを使用できず、かわりに独自のメカニズムを使用してスタンバイ・ホストにバックアップ・ファイルを転送およびステージングする場合に、このオプションを検討してください。
プライマリ・データベースのバックアップのみを作成するには、次のステップを実行します。