5 自動サービス・リクエストの設定

この章では、Oracle Big Data Applianceの自動サービス・リクエストをインストールおよび構成する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。

5.1 自動サービス・リクエストの理解

自動サービス・リクエスト(ASR)は、特定のOracle Big Data Applianceハードウェア障害が発生したときに自動的にサービス・リクエストをオープンするように設計されています。ASRは、ディスク、ファン、電源などの最も一般的なサーバー・コンポーネントで障害を検出し、障害の発生時に自動的にサービス・リクエストをオープンします。ASRは、サーバー・コンポーネントのみを監視するため、発生する可能性のあるすべての障害を検出するわけではありません。

ASRは、カスタマ・データ・センター内のSMTPやSNMPアラートなどの他の監視メカニズムを代替する機能ではありません。これは、交換ハードウェアの配送を迅速かつ簡単に行うための補完メカニズムです。ASRは、優先度の高いシステムの停止イベントに対しては使用しないでください。優先度の高いイベントについては、Oracleサポート・サービスに直接連絡してください。

ASRがハードウェア問題を検出すると、ASRマネージャは、Oracleサポート・サービスにサービス・リクエストを送信します。多くの場合、Oracleサポート・サービスは、管理者が問題の存在に気付く前に、問題の解決作業を開始できます。

My Oracle Supportの電子メール・アカウントとOracle Big Data Applianceの技術サポートの両方に電子メール・メッセージが送信され、サービス・リクエストの作成が通知されます。

サービス・リクエストは、一部の状況では自動的に送信されないことがあります。これは、SNMPプロトコルの信頼性が低かったり、ASRマネージャとの接続が失われるために発生します。ユーザーは、システム障害を継続的に監視し、サービス・リクエストが自動的に送信されたという通知を受信できない場合は、Oracleサポート・サービスに連絡することをお薦めします。

関連項目:

5.2 ASRのインストールの準備

ASRをインストールする前に、次の前提条件を満たすようにします。

  1. http://support.oracle.comMy Oracle Supportアカウントを作成します。
  2. 次の項目が正しく設定されていることを確認します。
    • Oracle Premier Support for Systems、Oracle Premier Support for Operating SystemsまたはOracle Limited Warranty

    • Oracle Big Data Applianceを担当するカスタマ・サイトの技術サポート担当者

    • Oracle Big Data Applianceの部品を配送するカスタマ・サイトの有効な出荷先住所

  3. ASRマネージャをホストするシステムを識別して指定します。

    ASRマネージャは、HTTPSまたはHTTPSプロキシを使用してOracle Big Data Applianceおよびアウトバウンド・インターネットに接続するサーバーにインストールする必要があります。サービス・リクエスト(SR)を送信するには、サーバーでインターネットにアクセスできる必要があります。

  4. ASRマネージャは、通常の操作では次のポートを使用します。Oracle Big Data ApplianceとASRマネージャのサーバー・ポートが開いていることを確認します。
    • Oracle Big Data Applianceのすべてのサーバーは、HTTPベース・アセットのアクティブ化リクエストをASRマネージャから受信するために、ポート6481が開かれている必要があります。

    • ASRマネージャを実行しているサーバーは、Oracle Big Data Applianceのサーバーが送信するSNMPベースのテレメトリ・メッセージを受信するために、ポート162が開かれている必要があります。

    • Oracleのtransport.oracle.com Webサーバーは、ASRマネージャが送信するHTTPSベースのテレメトリ・メッセージを受信するために、ポート443が開かれています。

    ポートの位置については、図5-1を参照してください。

  5. 指定したシステムは、「Hardware and Network Configuration Recommendations for ASR」に準拠している必要があります。次のOracle ASRのWebサイトを参照してください。
  6. Java Development Kit 6 (JDK 1.6.0_04以上)が、指定したASRマネージャ・システムで実行されていることを確認します。
    java -version
    

    必要に応じて、最新バージョンのJDKをJava SEのダウンロードWebサイトからダウンロードしてインストールします。

    http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads/index.html

  7. 指定したASRマネージャ・ホストに対するrootアクセスを取得します。
  8. Oracle Big Data Applianceに対する接続を識別して確認します。
  9. HTTPSを使用したインターネットに対する接続を確認します。

図5-1に、ASRとOracle Big Data Applianceとの間のネットワーク接続を示します。

図5-1 自動サービス・リクエスト・ネットワーク接続

図5-1の説明が続きます
「図5-1 自動サービス・リクエスト・ネットワーク接続」の説明

5.3 ASRマネージャのインストール

ASRマネージャをインストールするには、My Oracle Support ID 1185493.1から現行バージョンをダウンロードします。次の場所にあるOracle Auto Service Requestクイック・インストレーション・ガイドの手順に従います

http://docs.oracle.com/cd/E37710_01/index.htm

アセットを設定しないでください。

5.4 ASRマネージャ・インストールの確認

rootとしてASRマネージャに次のチェックを実行して、適切にインストールされていることを確認します。

  • ASRマネージャ3.5以上が実行されていることを確認します。

    asr show_rules_version
    
  • 登録ステータスを確認します。

    asr show_reg_status
    
  • トランスポート・サーバーにテスト・メッセージを送信して接続をテストします。

    asr test_connection

5.5 Oracle Big Data Applianceでのトラップ宛先の構成

ASRは、Oracle Big Data Applianceのオプションのソフトウェア・コンポーネントです。Oracle Big Data Appliance構成生成ユーティリティでソフトウェアを構成する際には、ASRに関するセクションを完了する必要があります。ソフトウェアのインストール時、Mammothユーティリティによって、コンポーネントのフォルト・インジケータをトラップするようにサーバーが構成されます。

ASRに対するサポートを追加または削除するために、いつでもbdacliを使用できます。ASRを再構成する場合、bdacli enableを使用して構成変更をアクティブ化します。
# bdacli enable asr
ASRを有効化しようとしたときにエラーが発生しないかぎり、ASRを無効化してから有効化する必要はありません。その場合、最初にbdacli disable asrを実行してからbdacli enable asrを実行します。

5.6 ASRアセットの確認

ASRアセットを確認するには、次の手順を実行します。

  1. ASRマネージャで、ASRがアクティブ化されていることを確認します。
    asr list_asset -i asset_ip
    

    前のコマンドで、asset_ipはサーバーまたはOracle ILOMのIPアドレスです。すべてのアセットをリストするには、次のコマンドを入力します。

    asr list_asset
    

    次に、出力の例を示します。各サーバーにホスト名とOracle ILOM名が表示されます。アクティブ化の合計数は12、24または36です。表示されている数がそれよりも少ない場合は、抜けている部分を特定してアクティブ化します。サーバー名がbda1node15で、Oracle ILOM名がbda1node15-cの場合の例を示します。

    ADDRESS       HOST_NAME      SERIAL_NUMBER  ASR      PRODUCT_NAME
    ------------- -------------- -----------    -------- --------------------------
    203.0.114.44  bda1node15    1143FMM023     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    203.0.115.139 bda1node15-c  1143FMM023     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    203.0.114.45  bda1node16    1143FMM021     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    203.0.115.140 bda1node16-c  1143FMM021     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    203.0.114.46  bda1node17    1143FMM022     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    203.0.115.141 bda1node17-c  1143FMM022     Enabled  SUN FIRE X4270 M2 SERVER
    
  2. アセットがリストされない場合、Oracle Big Data ApplianceでASRが構成されていることを確認します。第1サーバーにログインし、次のコマンドを入力します。
    # cat /opt/oracle/BDAMammoth/cluster_name-config.json  | grep ASR
    

    次の出力は、ASRが構成されていないことを示しています。

    ASR_ENABLED=false
    SETUP_ASR_SERVER=false
    ASR_HOST=
    ASR_PORT=162
    ASR_SERVER_PWD=
    

    ASRを構成するには、このリリースに付属のオプション・ソフトウェアの有効化を参照してください。

5.7 Oracle Big Data Applianceでの自動サービス・リクエストの検証

ASRインストールを検証するには、テスト・イベントを生成します。

Oracle ILOMでテスト・イベントを設定するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Big Data Applianceの任意のサーバーのOracle ILOMにログインします。

  2. 次のディレクトリに移動します。

    -> cd /SP/alertmgmt/rules/3
    
  3. 次のコマンドを入力します。

    -> show
    

    次の情報が表示されます。

     /SP/alertmgmt/rules/3
        Targets:
     
        Properties:
            type = snmptrap
            level = disable
            destination = 0.0.0.0
            destination_port = 0
            community_or_username = public
            snmp_version = 1
            testrule = (Cannot show property)
     
        Commands:
            cd
            set
            show
    
  4. プロパティに有効な値が存在し、ステップ3で示されたような空白や0(ゼロ)に設定されていないことを確認します。サイトにとって適切なIPアドレスおよびポートを使用してください。

  5. テスト・トラップを設定します。

    -> set testrule=true
    
  6. イベントに関する電子メールを受信します。Oracle Big Data Applianceのカスタマ・サポートID (CSI)にリストされているアドレスに電子メールが送信されたことも確認します。

オペレーティング・システム環境でテストを設定するには、次の手順を実行します。 

  1. Oracle Big Data Applianceの任意のサーバーにログインします。

  2. 次のコマンドを入力してオペレーティング・システムを検証します。

    # ./opt/oracle/bda/compmon/bda_mon_hw_asr.pl -validate_snmp_subscriber -type asr
    

    サンプル出力は、ASRマネージャのアドレスとして10.10.10.123:162を示しています。

    Sending test trap to destination - 10.10.10.123:162 
    
  3. イベントに関する電子メールが、自分宛に送信されたことと、Oracle Big Data Applianceのカスタマ・サポートID (CSI)にリストされているアドレスに送信されたことを確認します。

    このテスト・イベントでは、ケースはオープンされませんが、ASRバックエンドで検証可能なエントリが作成されます。

前のテストの両方(Oracle ILOMとオペレーティング・システム環境)で電子メールを受信したら、検証は完了です。そうでない場合、「ASRのトラブルシューティング」に進みます。

電子メールに契約上の問題が存在すると記載されている場合、インストール・コーディネータに連絡して指示を受けてください。

5.8 ASRのトラブルシューティング

ASRソフトウェアのトラブルシューティング手順は、次の場所にあるOracle ASRインストレーションおよびオペレーション・ガイドの第5章を参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/systems/asr/documentation/index.html

問題が継続する場合、ASRサポートに連絡してください。My Oracle Supportノート1352349.1を参照してください。