15 Oracle Integrated Lights Out Managerの使用方法

Oracle Integrated Lights Out Manager (Oracle ILOM)は、サーバーとスイッチを監視するために使用できるOracle Big Data Applianceのインストール済コンポーネントです。Oracle ILOMは、「Oracle Big Data Applianceのフル・ラックまたはスタータ・ラックの構成」で使用します。

この章の内容は次のとおりです。

関連項目:

15.1 Oracle ILOMの概要

Oracle Integrated Lights Out Manager (Oracle ILOM)によって、Oracle Big Data Applianceラックのサーバーとスイッチを管理および監視するために使用できる拡張サービス・プロセッサ(SP)のハードウェアおよびソフトウェアが提供されます。Oracle ILOM専用のハードウェアおよびソフトウェアは、各コンポーネントに事前インストールされています。これは、電源が適用されると同時に自動的に初期化されます。

Oracle ILOMでは、オペレーティング・システムの状態にかかわらずOracle Big Data Applianceのサーバーをアクティブに管理および監視できるため、信頼性の高いLights-Out Management (LOM)システムが実現します。

Oracle ILOMによって、次のことをプロアクティブに実行できます。

  • ハードウェアのエラーおよび障害を発生時に認識できます。

  • サーバーの電源状態をリモートから制御できます。

  • グラフィカル・コンソールと非グラフィカル・コンソールを表示できます。

  • システムのセンサーとインジケータの現在のステータスを表示できます。

  • システムのハードウェア構成を確認できます。

  • システム・イベントに関して事前に生成されるアラートを受信できます。

Oracle ILOMサービス・プロセッサは、独自の組込みオペレーティング・システムを実行し、連携してアウトオブバンド管理機能を提供する専用のイーサネット・ポートを持ちます。また、Oracle ILOMには、サーバー・オペレーティング・システム(Oracle Linux)からアクセスできます。Oracle ILOMを使用すると、ローカルKVMを使用する場合と同じように、Oracle Big Data Applianceをリモートから管理できます。

15.1.1 Oracle ILOMのインタフェース

Oracle ILOMでは、その機能および動作にアクセスするための2つのインタフェースがサポートされます。ブラウザ・ベースのWebインタフェースまたはコマンドライン・インタフェースを使用できます。

Webインタフェース

Webインタフェースでは、ブラウザを使用してSPにログインし、システム管理および監視を実行できます。

コマンドライン・インタフェース

コマンドライン・インタフェース(CLI)では、キーボード・コマンドを使用してOracle ILOMを操作できます。これは、業界標準のDMTFスタイルのCLIおよびスクリプト・プロトコルに準拠します。Oracle ILOMでは、CLIに対するセキュアなアクセスのためにSSH v2.0およびv3.0がサポートされます。CLIでは、既存のスクリプトを再利用することや、わかりやすいインタフェースを使用してタスクを自動化できます。

15.1.2 Oracle ILOMのユーザー

Oracle Big Data Applianceサーバーは、初期設定ではrootユーザーについてのみ構成されます。

インフィニバンド・スイッチは、次の追加ユーザーを使用して構成されます。

  • ilom-admin: rootの完全な権限を使用することなく、システム構成を変更するために必要な書込み権限を提供します。

  • ilom-operator: システムを監視するための読取り専用権限を提供します。

必要に応じてrootとして追加ILOMユーザーを作成できます。

15.2 管理ネットワーク図

図15-1に、管理Oracle ILOMネットワークを示します。この図は、2組の18のサーバーと2つのSun Network QDR Infiniband Gateway Switchを示しています。Ciscoイーサネット管理スイッチがサーバーとインフィニバンド・スイッチに接続されています。

図15-1 Oracle Big Data Applianceの管理ネットワーク

図15-1の説明が続きます
「図15-1 Oracle Big Data Applianceの管理ネットワーク」の説明

15.3 Oracle Big Data ApplianceコンポーネントのOracle ILOM IPアドレス

サービス・プロセッサ(Oracle ILOM)・アクセス用に少なくとも1つの静的IPアドレスが必要です。製造時にOracle Big Data Applianceコンポーネントに割り当てられるデフォルトのOracle ILOM IPアドレスのリストは、「工場出荷時のネットワーク設定」を参照してください。

Oracle Big Data Appliance構成生成ユーティリティを使用してこれらのIPアドレスを再構成した後、再構成したIPアドレスを使用してOracle ILOMにアクセスする必要があります。

15.4 ネットワークを使用したOracle ILOMへの接続

通常、イーサネット接続を介したネットワークを使用してOracle ILOMにアクセスできます。Oracle ILOMのイーサネット・アドレスを把握しておく必要があります。システム構成の前は、アドレスは工場出荷時のIPアドレス設定になっています。システム構成の後は、インストール・テンプレートにリストされているコンポーネント名またはIPアドレスを使用できます。CLIまたはブラウザ・インタフェースを使用してOracle ILOMにアクセスできます。または、リモートKVMセッションを起動できます(Sun Fire X4270 M2ベースのラックのみ)。

注意:

ネットワークを通じてOracle ILOMのIPアドレスにアクセスできる場合、この接続方法を使用できます。この接続方法を使用することをお薦めします。「Oracle Big Data Applianceのフル・ラックまたはスタータ・ラックの構成」を参照してください

この項で説明する項目は、次のとおりです。

15.4.1 コマンドライン・インタフェースへの接続

Oracle ILOMコマンドライン・インタフェースに接続するには、次のステップを実行します。

  1. PuTTYなどのセキュア・シェル(SSH)・クライアントを開きます。
  2. 「Host Name (or IP address)」フィールドに、接続するコンポーネントのOracle ILOM名またはIPアドレスを入力します。たとえば、構成の前にSun Network QDR Infiniband Gateway Switchの工場出荷時のデフォルトIPアドレスである192.168.1.203を入力します。構成の後に、新しいIPアドレスまたはbda1sw-ib2などの名前を入力します。
  3. 「Connection Type」として「SSH」が選択されていることを確認します。
  4. プロンプトが表示されたら、ユーザー名とパスワードを入力します。デフォルトのユーザー名はrootで、デフォルトのパスワードは、Oracle Install Coordinatorによって提供されます。

    CLIのコマンド・プロンプト(#)が表示されます。

  5. コマンドのリストを表示するには、helpと入力します。

関連項目:

Oracle ILOM日常管理 -- CLI手順ガイド

http://docs.oracle.com/cd/E19860-01/

15.4.2 Web GUIへの接続

Oracle ILOM Webインタフェースに接続するには、次の手順を実行します。

  1. Webブラウザを開き、Oracle ILOM名か、Oracle Big Data ApplianceサーバーまたはスイッチのIPアドレスに移動します。

    ログイン画面が表示されます。

  2. ユーザー名とパスワードを入力します。初期パスワードは、Oracle Install Coordinatorによって提供されます。

    注意: パスワードを変更するには、passwdコマンドを使用します。

    関連項目:

  3. 「Log In」をクリックします。

    図15-2に示すとおり、Web GUIが表示されます。

    図15-2 Oracle ILOM 3.1 Webインタフェース

    図15-2の説明が続きます
    「図15-2 Oracle ILOM 3.1 Webインタフェース」の説明

関連項目:

15.5 シリアル接続を使用したOracle ILOMへの接続

サーバーでOracle ILOMにアクセスする際に、次のいずれかの問題が原因でネットワークを使用してOracle ILOMにアクセスできない場合、シリアル接続を使用してOracle ILOMに接続できます。

  • ネットワークの不適切な構成

  • Oracle ILOM IPアドレスの不適切な構成

  • Ciscoイーサネット・スイッチ・ポートの不適切な構成

  • サイドバンドの構成問題

15.5.1 サーバーのOracle ILOMへの接続

シリアル接続を使用してサーバーのOracle ILOMに接続するには、次の手順を実行します。

  1. ターミナルまたはPCで実行中のターミナル・エミュレーション・ソフトウェアからOracle Big Data ApplianceサーバーのSER MGTポートにシリアル・ケーブルを接続します。ケーブルは、15フィート以下にする必要があります。
  2. ターミナルまたはラップトップが動作していることを確認します。
  3. 次の設定を使用するようにターミナル・デバイスまたはターミナル・エミュレーション・ソフトウェアを構成します。
    • 8N1: 8データ・ビット、パリティなし、1ストップ・ビット

    • 9600ボー(デフォルト、ただし最大115200の任意の標準レートに設定可能)

    • ソフトウェア・フロー制御(XON/XOFF)無効

    • ハードウェア制御無効

  4. 電源がいずれかのPSUに供給されていることを確認します。

    電源がいずれかのPSUに供給されていれば、サーバーの電源状態にかかわらずOracle ILOMは動作します。

  5. ターミナル・デバイスで[Enter]を押します。ターミナル・デバイスとOracle ILOM間の接続が確立されます。

    Oracle ILOMのログイン・プロンプトが表示されます。

  6. Oracle Install Coordinatorによって提供されたデフォルト・パスワードを使用して、rootとしてCLIにログインします。

    Oracle ILOMのデフォルト・コマンド・プロンプトが表示されます。

15.5.2 インフィニバンド・スイッチのOracle ILOMへの接続

シリアル接続を使用してインフィニバンド・スイッチのOracle ILOMに接続するには、次の手順を実行します。

  1. USBとシリアルをつなぐコネクタをスイッチのUSBポートに接続します。
  2. ターミナルまたはラップトップが動作していることを確認します。
  3. 次の設定を使用するようにターミナル・デバイスまたはターミナル・エミュレーション・ソフトウェアを構成します。
    • 8N1: 8データ・ビット、パリティなし、1ストップ・ビット

    • 115200ボー

    • ソフトウェア・フロー制御(XON/XOFF)無効

    • ハードウェア制御無効

  4. シリアル・デバイスの[Return]または[Enter]キーを数回押して、接続を同期します。

    次のようなテキストが表示される場合があります。

    where nm2name is the host name of the management controller.The name might be the word hostname.

    テキストが表示されない場合でも、ステップ5に進んでください。

  5. 管理ユーザー名(ilom-admin)と、Oracle Install Coordinatorよって提供されたパスワードを使用してログインします。#プロンプトが表示されます。

    注意:

    この出力またはプロンプトが表示されない場合、シリアル構成、USBとシリアルをつなぐコネクタ、またはCLIに問題があります。

15.6 Oracle ILOM設定のバックアップおよびリストア

Oracle ILOMでは、Oracle Big Data Applianceサーバーのリモート管理がサポートされます。この項では、Mammothユーティリティによって設定されるOracle ILOM構成設定をバックアップおよびリストアする方法について説明します。

関連項目:

15.6.1 Oracle ILOM構成設定のバックアップ

Sun Server X4-2LまたはX3-2Lサーバー上のOracle ILOM構成設定をバックアップするには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Big Data Applianceと同じネットワーク上にある任意のシステムでブラウザを開き、Oracle ILOMサービス・プロセッサに移動します。この例では、node08という名前のサーバーのOracle ILOMアドレスを使用します。

    http://bda1node08-ilom.example.com

    インフィニバンド・スイッチのOracle ILOMをバックアップするには、スイッチ・アドレス(bda1sw-ib1など)を入力します。

  2. rootユーザーとしてログインします。Oracle Install Coordinatorによって提供されたパスワードを入力します。
  3. 「Backup/Restore」ページに移動します。
    • Oracle ILOM 3.1の場合は、「Maintenance」タブを選択した後、「Backup/Restore」サブタブを選択します。

    • Oracle ILOM 3.0の場合は、ナビゲーション・ツリーで「ILOM Administration」フォルダを展開し、「Configuration Management」を選択します。

  4. 図15-3に示すとおり、バックアップ操作とブラウザ転送方式を選択します。
  5. パスフレーズを入力します。このフレーズを使用して、バックアップ・ファイルのパスワードなどの機密情報を暗号化します。
  6. 「Run」をクリックしてバックアップ操作を開始します。結果は、ローカル・システムにダウンロードされ、config_backup.xmlというXMLファイルに格納されます。
  7. セキュアな場所にファイルを保存します。
  8. 「Log Out」ボタンをクリックします。

図15-3 Oracle ILOM 3.1構成のバックアップ

図15-3の説明が続きます
「図15-3 Oracle ILOM 3.1構成のバックアップ」の説明

15.6.2 Oracle ILOM構成設定のリストア

Oracle ILOM構成設定をリストアするには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Big Data Applianceと同じネットワーク上にある任意のシステムでブラウザを開き、Oracle ILOMサービス・プロセッサに移動します。次の例では、node08のOracle ILOMを使用します。

    http://bda1node08-ilom.us.example.com

  2. ilom_adminユーザーとしてログインします。Oracle Install Coordinatorによって提供されたデフォルト・パスワードを入力します。
  3. 「Maintenance」タブを選択した後、「Backup/Restore」サブタブを選択します。
  4. リストア操作とブラウザ転送方式を選択します。
  5. 「Choose File」をクリックし、バックアップ操作で前に保存したconfig_backup.xmlファイルを選択します。
  6. バックアップ操作中に設定したパスフレーズを入力します。
  7. 「Run」をクリックして構成をリストアします。