1 要件について

Oracle GoldenGateをサポートするシステムおよびデータベース・リソースの要件について説明します。

トピック:

1.1 動作保証要件とシステム要件の確認

サポートされているハードウェアまたはソフトウェア構成で製品をインストールしていることを確認します。詳細は、「Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations」ページのリリースの動作保証に関するドキュメントを参照してください。

Oracleでは、動作保証済のすべてのシステムおよび環境で製品のパフォーマンスをテストおよび検証しており、新しい動作保証情報が発表された場合は、適切な動作保証ドキュメントにすぐに追加されます。新しい動作保証情報は随時更新されるため、動作保証ドキュメントはドキュメント・ライブラリ外部のOracle Technology Networkに保持されています。

1.2 オペレーティング・システムの要件

この項では、Oracle GoldenGateのサポートに必要なオペレーティング・システム・リソースについて説明します。

1.2.1 メモリーの要件

すべてのプラットフォーム

Oracle GoldenGateに必要なメモリーの量は、処理されるデータの量、実行されるOracle GoldenGateプロセスの数、Oracle GoldenGateで使用可能なRAMの量、およびオペレーティング・システムでRAMを開放する必要がある場合(通常はロー・ウォーターマークに達した場合)にRAMのページを一時的に格納するためにOracle GoldenGateで使用可能なディスク領域の量に応じて異なります。このRAMからディスクへの一時的な格納は、一般にスワッピングまたはページングと呼ばれます(以後スワッピングと呼びます)。プラットフォームによっては、スワップ領域という用語は、スワップ・パーティション、スワップ・ファイル、ページ・ファイル(Windows)または共有メモリー・セグメント(IBM for i)と呼ばれます。

最近のサーバーには、Oracle GoldenGateを実行するために十分なRAMとスワップ領域、メモリー管理システムが備わっています。ただし、Oracle GoldenGateで使用できるRAMの量を増やすと、Oracle GoldenGateのパフォーマンスおよびシステム全般のパフォーマンスが大幅に向上する場合があります。

通常のOracle GoldenGateインストールでは、RAMページからディスクへのスワッピングが過度に発生しないよう数GBのRAMが指定されます。RAMの競合が多いほど、多くのスワップ領域が使用されます。

ディスクへのスワッピングが過度に発生する場合、コミット・レコードを受信するまで各オープン・トランザクションのデータを格納する必要があるため、特にExtractプロセスにパフォーマンスの問題が生じます。Oracle GoldenGateがデータベースと同じシステムで稼働する場合、使用可能なRAMの量は、両方のパフォーマンスにとって非常に重要になります。

RAMとスワップの使用量は、Oracle GoldenGateプロセスではなく、オペレーティング・システムによって制御されます。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャは、オペレーティング・システムのメモリー管理機能を利用して、Oracle GoldenGateプロセスを持続的かつ効率的に機能させます。ほとんどの場合、ユーザーは、デフォルトのOracle GoldenGateメモリー管理構成を変更する必要はありません。

Oracle GoldenGateのメモリー要件の評価の詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』CACHEMGRパラメータに関する項を参照してください。また、Oracle GoldenGateの管理Oracle GoldenGateのパフォーマンスのチューニングに関する項も参照してください。

Windowsプラットフォーム

Windows Server環境では、実行可能なプロセス・グループの数は、非対話型Windowsデスクトップ・ヒープ・メモリーの設定と密接に関係しています。Windowsデスクトップ・ヒープのデフォルト設定では、非常に限られた数のプロセス・グループのみが実行可能です。プロセス・グループが大量であり60を超えるような場合には、次の2つの選択肢があります。

  • Microsoft社の情報(Windowsデスクトップ・ヒープ・メモリー)に基づいて、レジストリの「SharedSection」フィールドの非対話型の値を調整します。

  • Oracle GoldenGateホームの数を増やし、これらのホーム間で必要なプロセス・グループの合計数を分散させます。

Windowsデスクトップ・ヒープ・メモリーの変更の詳細は、Oracle Knowledge Baseドキュメント(Doc ID 2056225.1)を確認してください。

1.2.2 ディスクの要件

ディスク領域の要件は、インストールされるプラットフォーム、データベース、およびOracle GoldenGateアーキテクチャに応じて異なります。

1.2.2.1 Oracle GoldenGateのインストール・ファイルのディスク要件

Oracle GoldenGateをインストールするためのディスク領域の要件は、使用しているオペレーティング・システムおよびデータベースによって異なります。ダウンロード・ファイル、拡張ファイル、およびインストール・ファイル用に十分なディスク容量があることを確認する必要があります。これは最大2GBになる可能性があります。

1.2.2.2 一時ディスクの要件

デフォルトでは、Oracle GoldenGate Classic Architectureによってディスクに書き込まれるデータは、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリのdirtmpサブディレクトリに保持されます。キャッシュ済トランザクション・データの合計がCACHEMGRパラメータのCACHESIZE設定を超えると、Extractはキャッシュ・データの一時ファイルへの書込みを開始します。キャッシュ・マネージャは、ファイル・システムのすべての空き容量を使用可能とみなします。このディレクトリは、トランザクションのサイズの増加に伴ってトランザクションの量が増加すると、すぐに一杯になります。I/O競合とディスク関連のExtractの失敗を防ぐには、ディスクをこのディレクトリ専用にします。CACHEMGRパラメータのCACHEDIRECTORYオプションを使用して、このディレクトリに名前を割り当てます。

通常はオペレーティング・システムによるディスクへのスワップの方が、Extractによる一時ファイルの書込みよりも効率的です。デフォルトのCACHESIZE設定はこれを前提としています。したがって、これに対応する十分なディスク領域が存在する必要があります。CACHESIZEの値が超過した場合のみ、Extractがトランザクション・キャッシュ済データをファイル・システムのネームスペース内の一時ファイルに書き込むためです。システムで複数のExtractプロセスを実行する場合、ディスク要件が増大する場合があります。Oracle GoldenGateは、オープン・トランザクションを格納する十分なメモリーがないときにはディスクに書き込みます。トランザクションがコミットされるかロールバックされると、コミットされたデータは証跡ファイルに書き込まれ、データはメモリーから解放されて、Oracle GoldenGateはそのトランザクションを追跡しなくなります。1つ1つの操作後に毎回トランザクションがコミットされるときは、これらのトランザクションがディスクに書き込まれることがないため、ディスクの最小要件はありません。

重要:

環境によってはパフォーマンスが低下する可能性があるため、OracleではCACHESIZEを変更しないことをお薦めします。

1.2.2.3 ディスク領域のその他の考慮事項

Oracle GoldenGateによってインストールされるファイルおよびバイナリに必要なディスク領域に加えて、Oracle GoldenGate証跡をホストするシステムに追加で1GBのディスク領域を確保します。証跡とは、停止および処理中の作業データを格納する自己エージング・ファイルのセットです。証跡によって消費される領域は処理されるデータ量に応じて異なるため、これとは多少異なる容量が必要となる場合があります。『Oracle GoldenGateの管理』で証跡のサイズ設定のガイドラインを参照してください。

ディスク領域はOracle GoldenGate Bounded Recovery機能にも必要です。Bounded Recoveryは一般的なExtractチェックポイント機能のコンポーネントです。この機能は長時間実行中のオープン・トランザクションを特定の間隔でディスクにキャッシュして、Extractの再起動における高速リカバリを有効にします。個々のBounded Recovery間隔(BRパラメータのBRINTERVALオプションで制御されます)で必要となるディスクは次のとおりです。キャッシュ済データを備えるトランザクションごとに必要とされるディスク領域は通常、64KBプラス、64KBに丸められたキャッシュ済データのサイズです。長時間実行中のトランザクションがすべてディスクに保管されるわけではありません。Bounded Recoveryの詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』BRパラメータに関する項を参照してください。

1.2.3 ネットワーク

Oracle GoldenGateをサポートするには、次のネットワーク・リソースが使用可能である必要があります。

  • 最適なパフォーマンスと信頼性を実現、特にターゲットでの低レイテンシを維持するには、最速のネットワークを使用して、すべての障害点で冗長性を導入する必要があります。

  • DNSを含むTCP/IPおよびUDPサービスの両方を使用するようにシステムを構成します。Oracle GoldenGateはIPv4とIPv6をサポートし、これらのプロトコルのいずれか、または両方ともがサポートされるシステムで稼働します。

  • Oracle GoldenGateのプロセスをホストし、Oracle GoldenGateの接続先となるすべてのシステムのホスト名またはIPアドレスを使用してネットワークを構成します。ホスト名の方が便利です。

  • Oracle GoldenGateでは、予約されていない制限なしのTCP/IPポートが必要とされます。必要な数は、構成内のプロセスの数とタイプによって異なります。必要なポートに対応するManagerプロセスの構成方法の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

  • Oracle GoldenGateのプロセスに割り当てたポートを記録しておきます。Microservices ArchitectureとManagerのデプロイメントおよびClassic Architectureでポンプを構成するとき、これらをパラメータで指定します。

  • Oracle GoldenGateポートを介した接続を受け入れるようにファイアウォールを構成します。

1.2.4 オペレーティング・システムの権限

Oracle GoldenGateをインストールしてプロセスを実行するために必要なオペレーティング・システムの権限は次のとおりです。

  • Oracle GoldenGateをインストールするユーザーには、Oracle GoldenGateソフトウェアのホーム・ディレクトリに対する読取りおよび書込み権限が付与されている必要があります。

  • Windowsにインストールする場合、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーは管理者としてログインする必要があります。

  • Oracle GoldenGateのExtractプロセスとReplicatプロセス、およびoggca.shスクリプトを使用したデプロイメントの構成は、Oracle GoldenGateディレクトリのファイルとサブディレクトリに対して読取り権限、書込み権限および削除権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーとして操作する必要があります。また、oggca.shプロセスには他のOracle GoldenGateプロセスを制御するための権限が必要です。

  • クラシック・キャプチャ・モードでは、ExtractプロセスでREDOログを直接読み取り、オンラインとアーカイブの両方のログ・ファイルの読取りアクセス権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーとして操作する必要があります。UNIXシステムの場合、ユーザーはOracleインスタンスを所有するグループのメンバーであることが必要です。

  • ExtractおよびReplicatオペレーティング・システム・ユーザーは、Oracle GoldenGate専用にすることをお薦めします。Oracle GoldenGateのプロセスを実行するユーザーは、データベース認証の構成方法に応じて機密情報を入手できる場合があります。

1.2.5 他のオペレーティング・システム要件

Oracle GoldenGateをサポートするには、次のオペレーティング・システムの追加機能が使用可能である必要があります。

  • Oracle GoldenGateユーザー・イグジットを使用するには、C/C++コンパイラをインストールします。これによって、必要な共有オブジェクトまたはDLLにプログラムが作成されます。

  • Oracle GoldenGateインストール・ファイルを解凍するGzip。これがない場合は、Windowsベースの製品を使用してPCにインストールを解凍し、AIX、DB2 for iまたはDB2 z/OSプラットフォームにFTP送信する必要があります。

  • DB2プラットフォームで最適な結果を得るには、高影響(HIPER)メンテナンスを定期的に適用し、現在のメンテナンス・リリースの存続期間が1年以内になるようにします。HIPERプロセスは、データの可用性や整合性に影響を及ぼす可能性のある不具合を識別します。DB2 for iおよびDB2 z/OSに見つかった不具合を修正するProgram Temporary Fixes (PTF)がIBM社から提供されます。

  • Oracle GoldenGateをWindowsシステムにインストールする前に、Microsoft Visual C++ 2010 SP1再頒布可能パッケージおよびMicrosoft Visual C++ 2013再頒布可能パッケージ(vcredist_x64.exe)をインストールします。これらのパッケージにより、Oracle GoldenGateのプロセスに必要なVisual C++ライブラリのランタイム・コンポーネントがインストールされます。Visual C++ 2010 SP1パッケージをダウンロードするには、https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=13523に移動します。Visual C++ 2013パッケージをダウンロードするには、https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40784に移動します。

1.2.6 その他の考慮事項

Oracle GoldenGateは、特に断りのないかぎりすべてのプラットフォームの仮想化ソフトウェアで作成された仮想マシン環境を完全サポートします。仮想マシン環境にOracle GoldenGateをインストールする場合、ホスト・システムではなく仮想マシンのデータベースおよびオペレーティング・システムに適合するビルドを選択します。

注意:

Oracleでは、VMware仮想化環境でその製品のいずれも動作保証していません。Oracle Supportでは、お客様がVMware上でOracle製品を実行している場合、ネイティブOSで発生する既知の問題、またはVMware上で実行した結果ではないことが実証できる問題をサポートします。

1.2.7 Windowsコンソールのキャラクタ・セット

オペレーティング・システムとコマンド・コンソールのキャラクタ・セットが同じである必要があります。オペレーティング・システムではあるキャラクタ・セットが設定され、DOSコマンド・プロンプトでは別の古いDOSキャラクタ・セットを使用するMicrosoft Windowsシステムでは不一致が起こります。Oracle GoldenGateでは、オペレーティング・システムのキャラクタ・セットを使用してGGSCIコマンド出力に情報を送信するため、コンソールのキャラクタ・セットの不一致が原因で文字が正しく表示されません。次のDOSコマンドを使用して、GGSCIセッションを開く前にコンソールのキャラクタ・セットを設定できます。

chcp codepagenumber

たとえば、chcp 437などです。

コード・ページの概要は、https://msdn.microsoft.com/en-us/library/windows/desktop/dd317752(v=vs.85).aspxおよびコード・ページ識別子のリストhttps://msdn.microsoft.com/en-us/library/windows/desktop/dd317756(v=vs.85).aspxを参照してください。

1.3 Oracle GoldenGateディストリビューションの理解と入手

Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの入手方法の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』製品ディストリビューションの入手に関する項を参照してください。

Oracle GoldenGateを入手するには、次のステップに従います。

  1. Oracle Technology NetworkのOracle GoldenGateのダウンロード・ページに移動します。http://www.oracle.com/technetwork/middleware/goldengate/downloads/index.html
  2. 必要なOracle GoldenGateリリースを探して、使用中のシステムにZIPファイルをダウンロードします。