14 ターゲット・システムからの接続開始の使用
ソース・システムとターゲット・システム間のパッシブおよび別名接続を開始する方法を学習します。
信頼できるイントラネット・ゾーン内にターゲット・システムが存在し、信頼度がより低いゾーンにソース・システムが存在する場合、ソース・システムから接続を開始すると(Oracle GoldenGateの標準的な方法)、セキュリティ・ポリシーに違反する可能性があります。また、信頼度が低いゾーンに存在するシステムに、信頼できるゾーンのシステムのポートまたはIPアドレスに関する情報(Oracle GoldenGateのExtractパラメータ・ファイルに通常含まれている情報など)が含まれる場合も、セキュリティ・ポリシーに違反する可能性があります。
この種のイントラネット構成では、パッシブ/エイリアスExtract構成を使用できます。接続は、エイリアスExtractグループによって、信頼できるゾーン内部のターゲット・システムから開始されます。このグループは、ソース・システムの標準Extractグループに対するエイリアスとして機能し、この場合はパッシブExtractと呼ばれます。2つのシステム間で接続が確立されると、データはパッシブExtractグループによって通常どおり処理され、ネットワークを通じて転送されます。
- Oracle GoldenGateユーザーが信頼できるシステムで別名Extractを起動するか、
AUTOSTART
またはAUTORESTART
パラメータによって別名Extractが自動的に起動されます。 - 信頼できるシステムのGGSCIは、信頼度の低いシステムのManagerにメッセージを送信して、関連付けられたパッシブExtractを起動します。信頼できるシステムのManagerのホスト名(またはIPアドレス)とポート番号が、信頼度の低いシステムに送信されます。
- 信頼度の低いシステムで、ManagerがパッシブExtractを起動すると、パッシブExtractは開いているポート(Managerの
DYNAMICPORTLIST
パラメータのルールに準拠)を検出し、そのポートでリスニングを行います。 - 信頼度の低いシステムのManagerは、そのポートを信頼できるシステムのGGSCIに戻します。
- 信頼できるシステムのGGSCIは、同じシステムのManagerにリクエストを送信し、同じシステムのCollectorプロセスを起動します。
- ターゲットのManagerは、Collectorプロセスを起動して、そのプロセスに信頼度の低いシステムでExtractがリスニングしているポート番号を渡します。
- 信頼できるシステムのCollectorは、信頼度の低いシステムのパッシブExtractに対する接続をオープンします。
- データは、ネットワークを通じてパッシブExtractからターゲットのCollectorに送信され、Replicatで処理するために通常どおり証跡に書き込まれます。
トピック:
- パッシブExtractグループの構成
- 別名Extractグループの構成
- パッシブ・プロセスと別名プロセスの起動および停止
- 抽出アクティビティの管理
- パッシブ/別名Extract使用時のその他の考慮事項
親トピック: Oracle GoldenGateの保護
パッシブExtractグループの構成
信頼度の低いソース・システムのパッシブExtractグループは、ネットワークを通じたデータの送信を担当するExtractグループの種類に応じて、次のいずれかになります。
-
トランザクション・ログを読み取ってそのデータをターゲットに送信する単独Extractグループ。
-
プライマリExtractから提供されるローカル証跡を読み取ってそのデータをターゲットに送信するデータ・ポンプExtractグループ。この場合、プライマリExtract(単なるデータ・ポンプ)に対する特別な構成要件はありません。
注意:
パッシブExtractグループは、Oracle GoldenGate CAでのみ使用できます。
Extractグループをパッシブ・モードで作成するには、標準のADD EXTRACT
コマンドおよびオプションを使用しますが、他のコマンド・オプションに対して任意の位置にPASSIVE
キーワードを追加します。例:
ADD EXTRACT fin, TRANLOG, BEGIN NOW, PASSIVE, DESC 'passive Extract' ADD EXTRACT fin, PASSIVE, TRANLOG, BEGIN NOW, DESC 'passive Extract'
パッシブExtractグループのパラメータを構成するには、通常の方法でパラメータ・ファイルを作成します。ただし、次の点が異なります。
-
RMTHOST
パラメータは除外します(通常は、このパラメータでターゲットのManagerのホストおよびポート情報を指定します)。 -
オプションの
RMTHOSTOPTIONS
パラメータを使用して、圧縮および暗号化のルールを指定します。RMTHOSTOPTIONS
オプションの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
抽出グループの構成方法の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIX』を参照してください。
親トピック: ターゲット・システムからの接続開始の使用
別名Extractグループの構成
信頼できるターゲットの別名Extractグループは、データ処理アクティビティを実行しません。その唯一の目的は、信頼度の低いソースに対する接続の開始および終了です。この役割において、別名Extractグループは、パラメータ・ファイルを使用せず、処理チェックポイントも書き込みません。チェックポイント・ファイルの用途は、パッシブExtractグループが実行されているかどうかを判別することと、リモート接続に必要な情報を記録することに限定されます。
注意:
別名Extractグループは、Oracle GoldenGate CAでのみ使用できます。
別名モードでExtractグループを作成するには、次のオプションのみを指定してADD EXTRACT
コマンドを使用します。
ADD EXTRACTgroup
, RMTHOST {host_name
|IP_address
} , MGRPORTport
[, RMTNAMEname
] [, DESC 'description
']
RMTHOST
の指定によって、このグループが別名Extractとして識別され、情報がチェックポイント・ファイルに書き込まれます。host_name
とIP_address
オプションでは、ソース・システムの名前またはIPアドレスを指定します。MGRPORT
では、Managerが稼働しているソース・システムのポートを指定します。
別名Extractの名前は、パッシブExtractと同じ名前にすることも、異なる名前にすることもできます。名前が異なる場合、オプションのRMTNAME
を使用して、パッシブExtractの名前を指定します。RMTNAME
が使用されない場合、Oracle GoldenGateでは、名前が同一であると仮定され、接続の確立時に使用される別名Extractのチェックポイント・ファイルにその名前が書き込まれます。
TCP/IP接続のエラー処理は、ターゲット・システムのTCPERRS
ファイルによって指示されます。このファイルのエラーに対するレスポンス値は、RETRY
に設定することをお薦めします。デフォルトはABEND
です。このファイルには、再試行の回数および各試行間の遅延を設定するオプションも含まれます。TCP/IPとTCPERRS
ファイルのエラー処理の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIX』を参照してください。
親トピック: ターゲット・システムからの接続開始の使用
パッシブ・プロセスと別名プロセスの起動および停止
パッシブ/別名Extract構成でOracle GoldenGateの抽出を開始または停止するには、ターゲットのGGSCIで別名Extractグループを起動または停止する必要があります。
START EXTRACT alias_group_name
または
STOP EXTRACT alias_group_name
コマンドは、ソース・システムに送信され、パッシブExtractグループが起動または停止します。これらのコマンドをパッシブExtractグループに対して直接発行しないでください。KILL EXTRACT
コマンドは、パッシブExtractグループに対して直接発行できます。
ManagerパラメータのAUTOSTART
およびAUTORESTART
を使用して自動的にプロセスを起動または再起動する場合、ソース・システムではなくターゲット・システムで使用してください。最初に別名Extractが起動され、次にパッシブExtractに起動コマンドが送信されます。
親トピック: ターゲット・システムからの接続開始の使用
抽出アクティビティの管理
抽出処理が開始されたら、ソース・システムでGGSCIからパッシブExtractグループに対してコマンドを発行することで、通常どおりその処理を管理および監視できます。INFO
やVIEW REPORT
などのGGSCIの標準監視コマンドを、ソース・システムまたはターゲット・システムから発行できます。別名Extractグループに対して発行された監視コマンドは、パッシブExtractグループに転送されます。コマンドでは、別名Extractグループの名前がパッシブExtractグループの名前で置き換えられます。たとえば、INFO EXTRACT
alias
は、INFO EXTRACT
passive
になります。コマンドの結果は、コマンドが発行されたシステムに表示されます。
親トピック: ターゲット・システムからの接続開始の使用
パッシブ/別名Extract使用時のその他の考慮事項
パッシブ/別名Extract構成を使用する場合、次のルールが適用されます。
-
この構成では、Extractは1つのターゲット・システムにのみ書込みを行うことができます。
-
この構成は、通常の方法で(
THREADS
オプションを使用してREDOスレッドの数を指定して)Extractグループを作成することで、Oracle RACインストール環境で使用できます。 -
ALTER EXTRACT
コマンドは、別名Extractに対して使用できません(このグループはデータ処理を実行しないため)。 -
パッシブまたは別名Extractグループに対して
DELETE EXTRACT
コマンドを使用するには、ローカルGGSCIからコマンドを発行します。 -
Extractのパラメータ・ファイルの
RMTTASK
で指定され、一部の初期ロード方式で使用されるリモート・タスクは、この構成ではサポートされません。リモート・タスクでは、ソース・システムから接続を開始する必要があり、ExtractとReplicat間の直接接続が使用されます。
親トピック: ターゲット・システムからの接続開始の使用