3 異種データベースのためのOracle GoldenGateのアップグレード

次の手順はOracle GoldenGate Classic Architectureを次の異種データベース環境でアップグレードするためのものです。
  • DB2 for i

  • DB2 LUW

  • DB2 z/OS

  • MySQL

  • Teradata

注意:

Oracle GoldenGate 18c (18.1.0)は、SQL ServerおよびDB2 for i用にはリリースされていません。ただし、このドキュメントには、これらのデータベースに関連する情報が記載されていることがあります。

内容は次のとおりです。

異種データベースにおけるアップグレード手順の概要

アップグレードでは最小限の機能アップグレードが実行され、主要な新機能を実装しないOracle GoldenGateのコア機能のみがデプロイされます。これにより、アップグレード後に発生する可能性のあるアップグレード関連の問題を簡単にトラブルシューティングできるようになります。

Oracle GoldenGate環境のアップグレードが成功したら、新機能を実装できます。

統合構成(1つのターゲットに対して多数のソースがある構成)で動作するExtractプロセスをアップグレードする場合は、Extractを1つずつアップグレードする必要があります。Replicatのインストールは、すべて同時にアップグレードする必要があります。すべてのターゲット・システムのすべてのReplicatグループにつながる証跡が、すべて空になるまで処理することが重要です。「異種データベースのアップグレードの実行」を参照してください。

注意:

Replicatプロセス間でデータをパーティション化するための@RANGE関数で使用されるハッシュ計算が変更されました。この変更は透過的であり、パラメータ・ファイルの行の再パーティション化は不要です。データの継続性を保証するには、Replicatプロセスを停止する前に、すべてのシステムのすべてのReplicatプロセスが証跡の全データの処理を完了できるようにします。すべてのReplicatプロセスが同時にアップグレードされない場合や、アップグレード前に証跡が空になっていない場合は、新しいハッシュ・メソッドの結果として行のパーティションが移動し、コリジョン・エラーが発生する可能性があります。

異種データベースのためのOracle GoldenGateディストリビューションの入手の詳細は、「Oracle GoldenGateディストリビューションの理解と入手」を参照してください。

異種データベースのためのOracle GoldenGateのアップグレード

ExtractとReplicatの両方ではなく、どちらか1つのみをアップグレードする場合でも、アップグレードにはすべてのプロセスが関係します。どのコンポーネントをアップグレードするかに関係なく、すべてのプロセスをアップグレードの適切な順序で停止し、空になるまで証跡を処理する必要があります。

  1. (ソースおよびターゲット・システム)ソース・システムとターゲット・システムの現在のOracle GoldenGateインストール・ディレクトリと、クラスタ内の共有ドライブにインストールしたすべての作業ディレクトリ(該当する場合)をバックアップします。

  2. (必要に応じて、ソースおよびターゲット・システム)それぞれのシステムの新しいディレクトリ(現行のOracle GoldenGateディレクトリではありません)に、Oracle GoldenGateのアップグレード・ビルドを展開します。サブディレクトリは作成しないでください。インストール・ファイルが展開されるまでの手順を完了します。

  3. (ソース・システム) Oracle GoldenGate構成のオブジェクトに対するユーザー・アクティビティを停止します。

  4. (ソース・システム)ソース・システムのGGSCIで、トランザクション・ログ内に処理するデータが残っていないことが示されるまで、LOGENDオプションを指定したSEND EXTRACTコマンドを発行します。

    GGSCI> SEND EXTRACT group LOGEND

  5. (ソース・システム) GGSCIで、Extractとデータ・ポンプを停止します。

    GGSCI> STOP EXTRACT group

  6. (ターゲット・システム)各ターゲット・システムのGGSCIで、証跡のすべてのデータの処理が完了したことを示す"At EOF"ステータスが表示されるまで、STATUSオプションを指定したSEND REPLICATコマンドを発行します。すべてのReplicatプロセスが"At EOF"を戻すまで、すべてのターゲット・システムでこれを行う必要があります。

    GGSCI> SEND REPLICAT group STATUS

  7. (ターゲット・システム) GGSCIで、すべてのReplicatプロセスを停止します。

    GGSCI> STOP REPLICAT group

  8. (ソースおよびターゲット・システム) GGSCIで、ソース・システムとターゲット・システムのManagerを停止します。

    GGSCI> STOP MANAGER

  9. ソースまたはターゲット、あるいは両方のデータベースをアップグレードする場合は、データベース・ベンダーから提示されたアップグレード手順に従って、この時点で実行します。アップグレード後にデータベースを起動しますが、Oracle GoldenGate構成のオブジェクトに対するトランザクションは許可しないでください。

  10. (ソースおよびターゲット・システム)展開したOracle GoldenGateファイルを新規ディレクトリから、ソース・システムとターゲット・システム上の既存のOracle GoldenGateディレクトリに移動します。

  11. (DB2 for i)引数なしでggos400installを実行します。アップグレードには引数なしが必須です。ただし、ライブラリを変更した場合は、削除するまで古いライブラリがシステムに残ります。ggos400installの詳細は、「」を参照してください。

  12. (ターゲット・システム。バージョン11.2.1.0.0以前からReplicatをアップグレードする場合のみ)各ターゲット・システムにおいてGGSCIで次のコマンドを発行し、そのシステムのReplicatチェックポイント表をアップグレードします。この手順では、表定義を更新します。

    GGSCI> DBLOGIN {[SOURCEDB data_source] |[, database@host:port] |USERID {/ | userid}[, PASSWORD password]   [algorithm ENCRYPTKEY {keyname | DEFAULT}] |USERIDALIAS alias [DOMAIN domain] |[SYSDBA | SQLID sqlid][SESSIONCHARSET character_set]}
    

    GGSCI> UPGRADE CHECKPOINTTABLE [owner.table]

    注意:

    チェックポイント表がGLOBALSファイルのCHECKPOINTTABLEにリストされている名前で作成された場合は、owner.tableを省略できます。

  13. (ソースおよびターゲット・システム)証跡バージョン、チェックポイント・ストレージ形式、および統合キャプチャの更新では、次の手順を実行する必要があります。

    1. GGSCIで、プライマリExtractプロセスと関連データ・ポンプExtractプロセスを新しい証跡シーケンス番号に変更します。コマンドは"Rollover performed"を返す必要があります。

      GGSCI> ALTER EXTRACT group ETROLLOVER

    2. GGSCIで、プライマリExtractおよびデータ・ポンプに対してDETAILを指定したINFO EXTRACTコマンドを発行して、証跡シーケンス番号を確認します。

      GGSCI> INFO EXTRACT group, DETAIL

    3. GGSCIで、開始するデータ・ポンプとReplicatプロセスを新しい証跡シーケンス番号に再配置します。

      GGSCI> ALTER EXTRACT pump, EXTSEQNO seqno, EXTRBA RBA

      GGSCI> ALTER REPLICAT group, EXTSEQNO seqno, EXTRBA RBA

  14. (ソース・システム。Extractをアップグレードしない場合)SOURCECHARSETパラメータをReplicatパラメータ・ファイルに追加します。このパラメータでソース・データベースのキャラクタ・セットを指定します。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

  15. (ソース・システム。Replicatをアップグレードしない場合)現時点ではターゲット・システムのReplicatをアップグレードしない場合、Extractパラメータ・ファイルに次のパラメータを追加して、ターゲットで実行されるOracle GoldenGateのバージョンを指定します。このパラメータを指定すると、Extractによって、古いバージョンのReplicatと互換性のある証跡のバージョンが書き込まれます。

    {EXTTRAIL | RMTTRAIL} file_name FORMAT RELEASE major.minor
    

    versionは、Oracle GoldenGateリリース・バージョンを指定します。majorはメジャー・バージョン番号で、minorは、11.2などのマイナー・バージョン番号です。必ずドットを含めてください。

  16. (DB2 z/OSでのOracle GoldenGateのアップグレード) APFで特権APIの使用が認可されるよう、ExtractプロセスとそのDLLの"a"属性の再設定が必要になる場合があります。詳細は、『異種データベースのためのOracle GoldenGateの使用』のインストール手順に関する項を参照してください。

  17. パラメータ・ファイルのコピーを作成してパラメータを変更する場合は、古いパラメータ・ファイルが格納されていたOracle GoldenGateディレクトリに新しいパラメータ・ファイルを移動し、古いパラメータ・ファイルと同じ名前を付けます。大文字と小文字を区別する場合は、パラメータ・ファイルにNOUSEANSISQLQUOTESを追加するか、convprmユーティリティを実行し、必要に応じて引用符を変換してください。詳細は、「キャラクタ・セット変換を使用している場合のアップグレードの考慮事項」を参照してください。

  18. GGSCIで、次の順序に従って、ソース・システムとターゲット・システムのOracle GoldenGateプロセスを開始します。

    GGSCI> START MANAGER
    GGSCI> START EXTRACT group
    GGSCI> START EXTRACT pump
    GGSCI> START REPLICAT group
    
  19. ログ・ファイルをリストアする必要がある場合、Extractはリストアが必要なログを示すエラーで異常終了します。ログをそのログまでリストアし、Extractを再起動します。