1 相互運用性および互換性の理解
この章の内容は次のとおりです。
- 互換性の概要
このガイドでは、互換性とは、バージョン(またはリリース)が異なる2つのOracle Fusion Middlewareコンポーネントの連携(相互運用性)として定義されています。 - 互換性の概要
このガイドでは、相互運用性とは、サポートされるOracle Fusion Middleware構成で、同一バージョンまたはリリースの2つのOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントが連携できる(相互運用できる)能力です。 - サポートされるデータベースとの相互運用性および互換性について
アップグレードを計画する前に前提条件および制限を理解しておくことが重要です。 - 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
互換性と相互運用性に関する一般的な問題を理解しておくことが重要です。
互換性の概要
このガイドでは、互換性とは、バージョン(またはリリース)が異なる2つのOracle Fusion Middlewareコンポーネントの連携(相互運用性)として定義されています。
Oracle Fusion Middlewareのアップグレード時またはOracle Fusion Middlewareパッチの適用時に互換性を考慮する必要があります。
たとえば、アップグレード時には、更新が必要となるコンポーネントを把握し、既存の統合ポイントが引き続き機能するようにする必要があります。パッチを適用するには、新しい製品が同一リリースの他の製品と機能するかどうか、あるいは以前のバージョンで引き続き機能するかどうかを把握する必要があります。
互換性には次の事項も含まれます。
親トピック: 相互運用性および互換性の理解
Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート間の互換性
Oracle Fusion Middleware 11g環境をOracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする場合には、環境内の領域を一度に1つずつ更新する可能性が高いと考えられます。
たとえば、新機能をサポートするために、1つの部門の中間層をOracle Fusion Middleware 12cにアップグレードすることがあります。同時に、会社全体のOracle Identity Managementコンポーネントについては、Oracle Fusion Middleware 11gのままにしておく場合もあります。
親トピック: 互換性の概要
Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート内の互換性
Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする場合には、特定のソフトウェア・スイート内で発生する可能性のある互換性の問題について検討します。
通常、これらの問題は一時的なものであり、アップグレード・プロセス中にのみ発生します。通常は、ソフトウェア・スイートのアップグレードを完了すると、問題は解決されます。ただし、アップグレード計画に影響する可能性があるため、これらの問題には注意してください。
親トピック: 互換性の概要
相互運用性の概要
このガイドでは、相互運用性とは、サポートされるOracle Fusion Middleware構成で、同一バージョンまたはリリースの2つのOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントが連携できる(相互運用できる)能力です。
相互運用性は、リリース番号またはバージョン番号の最初の4桁が同じ場合に該当します。たとえば、Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.3.0)コンポーネントは、他の12c (12.2.1.3.0)コンポーネントと相互運用性があります。
場合によっては、Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート間で相互運用性の問題が生じることがあります。たとえば、Oracle Fusion Middleware 11g製品間(SOAとWebCenterなど)でドメインが共存する場合に問題が生じます。
親トピック: 相互運用性および互換性の理解
サポートされるデータベースとの相互運用性および互換性について
アップグレードを計画する前に、前提条件と制限事項を理解しておくことが重要です。
Oracle Fusion Middlewareの各リリースは、特定のデータベース・バージョンに対して動作が保証されています。Oracle Fusion Middlewareコンポーネント・スキーマをホストする際に、これらの動作が保証されているデータベースを使用できます。
特定のリリースのOracle Fusion Middlewareにアップグレードする前にデータベースをサポートされるバージョンにアップグレードするには、Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニングを参照してください。
Oracle Fusion Middlewareの各リリースでサポートされるデータベースの最新情報は、Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成を参照してください。
サポートされる構成のページで、ご使用のOracle Fusion Middlewareのリリース、およびアップグレード対象のOracle Fusion Middlewareのリリースを確認できます。Oracle Fusion Middlewareの各リリースには、対応するスプレッドシートに、動作が保証されている構成(サポートされているデータベースなど)がリストされています。
親トピック: 相互運用性および互換性の理解
互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
互換性と相互運用性に関する一般的な問題を理解しておくことが重要です。
次の項では、このガイド、Oracle Technology Network (OTN)およびその他のOracleドキュメントに記載されている情報を使用して、互換性および相互運用性に関する一般的な問題を特定し、解決する方法を説明します。
- 開始する前に
- Oracle動作保証マトリックスの使用方法
- このガイドの互換性マトリックスの理解
- コンポーネントおよびインフラストラクチャに関する情報の収集
- リリース・ノートの使用方法
- Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリの使用方法
親トピック: 相互運用性および互換性の理解
開始する前に
新しい製品をインストールする、または既存製品を(新しいメジャー・バージョンまたはパッチ・セットへのいずれかに)アップグレードする際に、相互運用性および互換性に関する問題が生じる場合があります。
新しい製品コンポーネントをインストールする場合、新しい製品は、同じリリースの他のOracle Fusion Middlewareコンポーネントに統合されます。
新しい製品をすでにインストールされているOracle Fusion Middleware製品の旧バージョンと統合する方法を検討してください。製品を更新する場合、既存の統合ポイントが引き続き機能するように、更新する必要がある他のコンポーネントを考慮します。
表1-1に、Oracle Fusion Middlewareのアップグレードおよびインストール戦略の計画に必要な情報を収集する際に役立つタスクを示します。
表1-1 相互運用性に関する考慮事項を特定および解決できるようにするためのタスク
タスク | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
タスク1 - インストール済コンポーネントおよびサポート・インフラストラクチャに関するリリース情報とバージョン情報を収集します。 |
インストールが完了しているか、インストールまたはアップグレードする予定の各コンポーネントまたはコンポーネント・スイートのリリースおよびバージョン情報を収集します。 また、オペレーティング・システム、データベース、JDK、およびサード・パーティ製品のバージョン情報とリリース情報も収集します。 |
|
タスク2 - アップグレードを計画する際には、アップグレード戦略を作成して、Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレード時にサポートされる開始点を理解します。 |
アップグレード開始点とは、アップグレードするために実行している必要があるOracle Fusion Middlewareのバージョンです。現在のバージョンがサポートされるアップグレード開始点でない場合は、以前のリリースのドキュメントを使用して、まずサポートされる開始点にアップグレードする必要があります。 |
『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』には、Oracle Fusion Middlewareアップグレード計画の作成方法と実装方法の詳細情報が記載されています。 また、各Oracle Fusion Middleware製品には、詳細なアップグレード・プロセスが記述されたアップグレード・ガイドが用意されており、アップグレード後に完了する必要のある構成タスクが明確にされています。 アップグレードに適切なドキュメントを確認する場合の詳細は、Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリの使用方法を参照してください。 |
タスク3 - パッチを適用する際には、使用しているコンポーネントおよびサポート・インフラストラクチャのパッチ要件を理解します。 |
パッチの適用では、小さなファイルの集まりを既存のシステムにコピーする処理を行います。通常、パッチはOracle製品の特定のバージョンに関連付けられており、製品の1つのマイナー・バージョンから同じ製品のより新しいバージョンへの(たとえば、12c (12.1.2)から12c (12.1.3)などへの)更新が実行されます。 |
『Opatchによるパッチ適用』では、既存のOracle Fusion Middleware環境にパッチを適用する場合に使用可能なツールについて説明しています。 最新のパッチおよびパッチ・セットについては、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメントに記載されています。 |
タスク4 - Oracle Fusion Middlewareの新規コンポーネントをインストールする際には、インストール要件およびサポートされる開始点について理解します。 |
各Fusion Middleware製品には、前提条件、サポートされる開始点、およびインストール後の構成手順が記述されたインストレーション・ガイドが用意されています。相互運用性および互換性に関する問題を回避するには、インストール手順に目を通して、それに従います。 |
インストール・ガイド、リリース・ノート、ホワイト・ペーパーおよびその他のドキュメントを閲覧およびダウンロードするには、次のURLにアクセスしてください。 http://docs.oracle.com/ |
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
Oracle動作保証マトリックスの使用方法
Oracle Fusion Middleware動作保証マトリックスには、サポートされるシステム構成、データベース・バージョン、およびサード・パーティ製品など、互換性および相互運用性に関する重要な情報が記述されています。マトリクスを参照して、現在の環境がアップグレードまたはパッチ・セットをサポートしているかどうかを確認してください。
ノート:
このガイドの情報は、Oracle Fusion Middleware動作保証マトリクスに記述されている情報を補完するためのものです。このガイドの情報と動作保証マトリクスの情報に相違がある場合は、動作保証マトリクスの情報を適切なバージョンとしてください。動作保証マトリクスのほうが頻繁に更新されています。
表1-2 Oracle Fusion Middleware動作保証マトリクス
ドキュメント名 | 説明 |
---|---|
Oracle Fusion Middlewareの各製品領域は、サポートされるインストール・タイプ、プラットフォーム、オペレーティング・システム、データベース、JDKおよびサード・パーティ製品について記載された動作保証のドキュメントをメンテナンスしています。 「Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成」ページで、確認する製品領域を見つけて、適切な動作保証ドキュメントを選択および確認してください。 |
|
Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメントには、ハードウェアとソフトウェアの要件、ディスク領域とメモリーの最小要件、必要なシステム・ライブラリ、パッケージまたはパッチなどの情報が記載されています。 |
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Oracle JDeveloperおよびOracle Application Development Frameworkの動作保証 |
Oracle JDeveloperおよびOracle Application Development Framework (Oracle ADF)の動作保証を検索して、Oracle JDeveloperおよびOracle ADFで動作するようにサポートされている様々なサード・パーティ製品およびOracle製品を理解します。 Oracle ADFは、その時点のOracle Fusion Middlewareに必要な上位の製品でサポートまたは動作保証される場合があります。このドキュメントは、そのような場合の参照先として役立ちます。 |
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
このガイドの互換性マトリックスの理解
相互運用性マトリクスおよび互換性マトリクスは、潜在的な問題を特定して追加情報に関連付けるために、このガイド全体を通じて使用します。このガイドの相互運用性マトリクスおよび互換性マトリクスを使用する場合、次のいずれかの方法でサポート・レベルを定義できます。
表1-3 このガイドのマトリックスの使用方法
ステータス | 説明 | |
---|---|---|
互換性または相互運用性がある |
関連するコンポーネント間の統合が、適切な構成で機能することが期待できます。ただし、互換性は動作を保証するものではありません。動作保証については、表1-2に記載されている動作保証マトリックスで確認できます。 |
|
互換性または相互運用性がない |
関連するコンポーネント間の統合が機能することは期待できません。 |
|
特定のガイドまたは項への参照 |
Oracle Fusion Middleware 12cのアップグレード時、パッチ適用時またはインストール時に確認する必要のある互換性要件や考慮事項について、個々のガイドが詳細情報を提供する場合に提供されます。 |
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N/A |
適用なし。 |
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
コンポーネントおよびインフラストラクチャに関する情報の収集
Oracle Fusion Middlewareのリリース情報とバージョン情報は、システムの各コンポーネントで使用できます。この情報は、相互運用性および互換性に関する問題を効率的に特定し、解決するために必要となります。Oracle動作保証マトリックスの使用方法に記載されている動作保証マトリックスには、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの動作保証要件およびシステム要件に関する情報が記述されています。
この項では、次の情報について説明します。
- Oracle Fusion Middlewareの製品リリース情報の確認
- Oracle Databaseのリリース情報の確認
- Microsoft SQL Serverのバージョン情報の確認
- DB2のバージョン情報の確認
- JDKのバージョン情報の確認
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
Oracle Fusion Middlewareの製品リリース情報の確認
Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのリリース情報やバージョン情報を確認するには、Oracle Universal Installer (OUI)を使用して、インストールされている製品の情報を表示します。Oracle Fusion Middlewareの管理のリリース番号の表示を参照してください。
ノート:
バージョン情報およびリリース情報は、OracleホームのoraInventory/logs
ディレクトリにある、インストール・ログ・ファイルで確認することもできます。
Oracle Databaseのリリース情報の確認
Oracle Databaseのリリース情報を確認するには:
Oracleホーム・ディレクトリから、次のようにSQL*Plusを起動します。
sqlplus /nolog SQL> CONNECT / AS SYSDBA SQL> select * from v$version;
このコマンドにより、リリース情報が次のように表示されます。
Oracle Database 11g Enterprise Edition Release 11.2.0.4.0 - 64bit Production PL/SQL Release 11.2.0.4.0 - Production CORE 11.2.0.4.0 Production TNS for Linux: Version 11.2.0.4.0 - Production NLSRTL Version 11.2.0.4.0 - Production
Microsoft SQL Serverのバージョン情報の確認
Microsoft SQLデータベースのリリース情報を確認するには:
コマンド行から、次のように入力します。
exec xp_msver ProductVersion
このコマンドにより、製品バージョン情報が次のように表示されます。
ProductVersion 589824 9.00.1399.06
DB2のバージョン情報の確認
DB2のリリース情報を確認するには、次のいずれかの手順を実行します。
-
Windowsオペレーティング・システムのコマンドラインで、次の場所に移動します。
\Program Files\IBM\SQLLIB\BIN>db2level
このコマンドにより、データベース・バージョンおよび適用可能な修正パック情報が次のように表示されます。
DB21085I Instance "DB2? uses "32? bits and DB2 code release "SQL09011? with level identifier "01020107?. Informational tokens are "DB2 v9.1.100.129?, "s061104?, "WR21374?, and Fix Pack "1?. Product is installed at "D:\PROGRA~1\IBM\SQLLIB" with DB2 Copy Name "DB2COPY1?.
-
UNIXオペレーティング・システムのコマンド行で、次のように入力します。
db2ls
このコマンドにより、インストールされているDB2製品のインストール・パス、バージョン・レベル、修正パック情報およびインストール日付が返されます。このコマンドの出力は、デフォルトでコンソールに出力されます。
Install Path Level Fix Pack Install Number Install Date -------------------------------------------------------------------------- /opt/ibm/db2/V9.1 9.1.0.0 0 1 Fri Sep 3 10:26:33 2010 EDT
JDKのバージョン情報の確認
多くのFusion Middlewareコンポーネントでは、サポートされるJDKがインストールされ、構成されている必要があります。現在サポートされているJDKのバージョン情報は、Oracle動作保証マトリックスの使用方法で説明されているように、Oracle Fusion Middlewareでサポートされる構成のマトリックスに記載されています。
現在のJDKバージョンを確認するには、java -version
コマンドを実行して現在使用しているJavaのバージョンを表示します。たとえば:
> java -version java version "1.8.0_91" Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.8.0_91-b14) Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 25.91-b14, mixed mode)
ノート:
複数のJavaがシステムにインストールされている場合、このJava
コマンドは、JAVA_HOMEシステム変数に指定されたインストールを使用します。
UNIXシステムでは、多くの場合はwhich
コマンドを使用してJavaソフトウェアのデフォルトの場所を確認できます。たとえば:
> which java /usr/bin/java
リリース・ノートの使用方法
相互運用性および互換性に関する問題を解決する際に必要なパッチ・セットの情報については、Oracle Fusion Middlewareのリリース・ノートを参照してください。これらの問題は、アップグレード・プロセスまたはパッチ適用プロセス中に生じる可能性があります。各リリースのリリース・ノートは、Oracle Technology Network (OTN)で入手できます。特定のリリースのリリースノートについては、Oracle Fusion Middlewareのドキュメント・ページを参照し、該当するドキュメント・ライブラリを選択してください。
http://www.oracle.com/technetwork/middleware/fusion-middleware/documentation/index.htm
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定
Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリの使用方法
Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリを使用すると、Oracle環境のアップグレードやパッチ適用に役立つ可能性がある情報にアクセスできます。Oracle Fusion Middleware 12cドキュメントのコンポーネント固有の管理、インストレーションおよびアップグレードの各ガイドは、次の場所で参照できます。
http://www.oracle.com/technetwork/middleware/fusion-middleware/documentation/index.htm
次の各ガイドには、Oracle Fusion Middleware環境でのインストール、パッチの適用およびアップグレードに関する情報が記載されています。
親トピック: 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定