10 高度なアップグレード・オプション

Oracle Data Integratorをアップグレードするための、追加のオプションを設定できます。

これらの追加のオプションは12c (12.1.3)アップグレード・アシスタントでは表示されていましたが、12c (12.2.1.3.0)アップグレード・アシスタントでは非表示になっています。これらのオプションが必要な場合は、サイレント・モードでアップグレードを実行する際にレスポンス・ファイルで設定する必要があります。

表10-1 高度なアップグレード・オプション

12c (12.1.3)でのオプション名 12c (12.2.1.3.0)レスポンス・ファイルのオプション名 想定される値(デフォルト=yes) 説明

GUIDを使用するようにリポジトリをアップグレード

ODI_GUID.option

yesまたはno

これを選択すると、リポジトリが12c完全モードに設定されます。すべてのオブジェクトが、内部IDではなく、12c GUIDを使用して参照されます。

Oracle Data Integrator 12c全体で真に一意の識別スキームを利用するには、このオプションを選択しておく必要があります。

注意: このオプションは、11gリポジトリからアップグレードする場合にのみ適用されます。12cリポジトリの場合、このオプションは無視され、リポジトリは同じモードのままになります

odiRef代替APIを使用するカスタム・ナレッジ・モジュールおよびプロシージャがある場合、これらは内部識別子をパラメータとみなすため(getFlexFieldValue()など)、このオプションを選択せずに、リポジトリを11g互換性モードにしておくことができます。こうしたナレッジ・モジュールおよびプロシージャを使用してオブジェクトから生成されたシナリオは、引き続き11g互換性モードで動作しますが、12c完全モードでは動作しません。11g互換性モードを使用することで、新しいodiRef代替API (GUIDをパラメータとみなすAPI)を使用するようカスタム・ナレッジ・モジュールおよびプロシージャをスムーズに遷移できます。すべてのカスタム・ナレッジ・モジュールおよびプロシージャが新しいodiRef代替APIを使用するよう変更された後で、リポジトリを12c完全モードに切り替えることができます。

アップグレード後にリポジトリを完全GUIDモードに変更するには(アップグレード中にアップグレード・アシスタントでオプションを選択していない場合)、Studioに移動し、ODIドロップダウン・メニューでオプション「リポジトリ互換性モードの切替え」を選択します。これで、フルGUIDモードに切り替えるオプションが使用可能になります。リポジトリがすでに完全GUIDモードだった場合、このオプションは無効です。

GUID変更の影響を受ける代替メッセージすべてのリストは、付録A-1を参照してください。

12cマッピングを使用するようにインタフェースをアップグレードします - 11g SDKの互換性が失われます

ODI_SDK.option

yesまたはno

この選択により、すべての11gインタフェースが12cマッピングに変換されます。12cマッピングに変換されたら、使用前に既存のすべてのシナリオを再生成する必要があります。既存の11g SDKアプリケーションは使用できないため、12c SDKを使用するように、それらをアップグレードする必要があります。

変換が実行されても、結果のマッピングが11g互換性モードになる場合、11g Java SDKを使用してマッピングを変更できます。ただし、11g SDKを使用した場合のみ変更できます。Studio UIでは読取り専用です。

このオプションを選択しない場合、12cマッピングへの変換が実行されますが、結果のマッピングは11g互換性モードのままになります。11g SDKを使用してこれらのインタフェースを変更した後、ODI Studioグラフィカル・インタフェースまたは12c SDKを使用して12cマッピングに変換できます。

既存のインタフェースの読取りまたは更新のために11g SDKを使用するJavaコードが大量にある場合を除いて、このオプションは選択しておくことをお薦めします。このオプションは、11gリポジトリからアップグレードする場合にのみ適用されます。12cリポジトリの場合、このオプションは無視され、リポジトリはアップグレード前と同じモードのままになります。

注意: この移行が正しく機能するためには、11gリポジトリのすべてのインタフェースが有効である必要があります(11g Studioからの検証時にエラーを返さないなど)。11gインタフェースが無効である場合、アップグレード・アシスタントは12cマッピングへの移行を試行しますが、結果は保証されません。インタフェースの移行が失敗したり、例外がログ・ファイルに出力される場合があります。いずれの場合も、結果のマッピングが無効になります。スムーズにアップグレードする最良の方法は、最初に11gリポジトリのすべてのインタフェースが有効であることを確認することです。

移行中に一部の11gインタフェースで失敗があっても、アップグレード・プロセスは停止しません。すべてのインタフェースが処理されるまでアップグレードは続行されます。

AES-128暗号化アルゴリズムの使用

ODI_AES.option

yesまたはno

128ビットのキーを持つAESは機密情報に対し十分な保護を提供します。より重要度の高い機密情報を保護するには256ビットのキーを持つAESが必要です。このオプションが選択されていない場合は、AES-256暗号化が使用されます。

表10-2で、「ODIオプション」画面で選択できるオプションと選択できないオプションの組合せについて説明します。

表10-2 「ODIオプション」画面で選択できる組合せ

ナレッジ・モジュールを必須更新で置換 GUIDを使用するようにリポジトリをアップグレード 12cマッピングを使用するようにインタフェースをアップグレード 説明

はい

はい

はい

これが最もよく使用される組合せで、新しい12cリポジトリの作成時に使用する構成です。この組合せでは、すべてのオブジェクトで新しいGUID識別が使用され、すべてのインタフェースが完全な12cマッピングに変換されます(ODI Studioエディタで変更可能)。

はい

いいえ

はい

この組合せでは、リポジトリはID互換性モードのままとなり、従来の数字の識別子を使用するodiRef APIが引き続き機能します。数字のIDを引数とするodiRef APIを使用するカスタム・ナレッジ・モジュールまたはプロシージャが多数ある場合は、この組合せを使用してください。

いいえ

いいえ

はい

この選択では、リポジトリに存在するナレッジ・モジュールは保持され、新しい12cの更新で上書きされません。また、リポジトリはID互換性モードのままとなります。デフォルトのナレッジ・モジュールを変更したが、完全12cマッピングを使用する場合は、この組合せを使用してください。

はい

はい

いいえ

この組合せでは、11gインタフェースが11g互換性マッピングに変換されます(11gインタフェースSDKを介してアクセスおよび変更可能)。これらのマッピングは、ODI Studioエディタでは読取り専用です。11gインタフェースSDKを使用するプログラムまたはスクリプトへの投資が大きい場合は、この組合せを使用してください。

はい

いいえ

いいえ

この選択では、リポジトリはID互換性モードのままとなり、従来の数字の識別子を使用するodiRef APIが引き続き機能します。また、11gインタフェースが11g互換性マッピングに変換されます(11g SDKを介してアクセスおよび変更可能)。ただし、これらはODI Studioエディタでは読取り専用です。数字のIDを引数とするodiRef APIを使用するカスタム・ナレッジ・モジュールまたはプロシージャが多数あり、11gインタフェースSDKを使用するプログラムまたはスクリプトへの投資が大きい場合は、この組合せを使用してください。

いいえ

いいえ

いいえ

いずれのオプションも選択しない場合、リポジトリに存在するナレッジ・モジュールは保持され、新しい12cの更新で上書きされません。これらのマッピングの読取りまたは変更を行うODI 11g SDKを使用するアプリケーションが存在するが、自身の目的でOracle提供のナレッジ・モジュールを変更していない場合は、この組合せを使用してください。

表10-3で、「ODIオプション」画面の無効な組合せについて説明します。

表10-3 「ODIオプション」画面の無効な組合せ

ナレッジ・モジュールを必須更新で置換 GUIDを使用するようにリポジトリをアップグレード 12cマッピングを使用するようにインタフェースをアップグレード 説明

いいえ

はい

いいえ

この選択では、従来の数字のIDを使用する非推奨のodiRef APIが使用されるため、ほとんどのナレッジ・モジュールは正しく機能しません。

いいえ

はい

はい

この組合せでは、従来の数字のIDを使用する非推奨のodiRef APIが使用されるため、ほとんどのナレッジ・モジュールは正しく機能しません。

注意:

「トポロジおよびセキュリティ・メタデータのアップグレード」オプションは、他のすべてのオプションとは関係なく選択または非選択にすることができ、他のオプションには影響しません。

また、「AES-128暗号化アルゴリズムの使用」オプションは、他のすべてのオプションとは関係なく選択または非選択にすることができ、他のオプションには影響しません。