2 リポジトリ作成ユーティリティの入手および実行

ここに示す手順は、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を入手および実行してスキーマを作成および削除する際に使用してください。

RCUの入手

12cの場合、RCUはOracle Fusion Middleware Infrastructureディストリビューションで入手できます。

RCUのインストールおよび入手方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』Infrastructureソフトウェアに関する項を参照してください。

RCUの起動

Oracle Fusion Middleware InfrastructureをインストールしてOracleホームを作成した後、ORACLE_HOME/oracle_common/binディレクトリからRCUを起動できます。

ノート:

  • 英語以外のデータベースを使用してRCUを実行している場合は、LANG、LC_ALLおよびNLS_LANGの言語環境変数を設定する必要があります。ご使用の環境に適した環境コマンドを使用します。

    たとえば、cshを実行しているUNIXオペレーティング・システムの場合は、次のように入力します。

    setenv LANG en_US.UTF8
    setenv LC_ALL $LANG
    setenv NLS_LANG american_america
  • RCUを起動するために、JAVA_HOME環境変数を設定する必要はありません。ただし、特定のJDKを使用する必要がある場合は、JAVA_HOME環境変数が目的のシステム上の動作保証されたJDKの場所に設定されていることを確認してください。

    たとえば、UNIXオペレーティング・システムで、JDKが/home/Oracle/Java/にある場合は、次のようにします。
    setenv JAVA_HOME /home/Oracle/Java/jdk1.8.0_131

    この例に示したJDKの場所は、目的のシステム上の実際のJDKの場所に置き換えてください。

Linuxオペレーティング・システムの場合:

cd ORACLE_HOME/oracle_common/bin
./rcu

Windowsオペレーティング・システムの場合:

cd ORACLE_HOME\oracle_common\bin
rcu.bat

Xサーバーを利用できない場合や、表示機能を持たないtelnet端末を使用している場合は、RCUのコマンド行インタフェースを使用できます。このコマンド行インタフェースを使用すると、コマンド行スクリプトや一部のOracle Fusion Middlewareコンポーネント(Enterprise Managerなど)を使用して、RCUを埋め込むこともできます。

コマンド行インタフェース(CLI)の使用方法の詳細は、「コマンド行からのリポジトリ作成ユーティリティの実行」を参照してください。

スキーマの作成

ここに示す手順を実行して、データベースにスキーマを作成し、そのスキーマが適切にインストールされたことを確認します。

完全なSYSまたはSYSDBA権限を持つユーザーとしてのスキーマの作成

完全なSYSまたはSYSDBA権限を持つユーザーであり、データベース・アクセスの有効な認証資格証明を提示できる場合は、ここに示す手順を実行してスキーマを作成します。

画面の名前をクリックすると、その画面の詳細情報が表示されます。特に指定がなければ、「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

表2-1 完全な権限を持つユーザー向けのスキーマ作成ステップ

画面 説明

ようこそ

この画面では、RCUが紹介されます。

リポジトリの作成

「リポジトリの作成」を選択し、「システム・ロードおよび製品ロード」を選択します。

そのデータベースでの完全なSYSまたはSYSDBA権限を持たない場合は、「システム・ロードに対するスクリプトの準備」を選択し、「制限されたデータベース権限を持つユーザーとしてのスキーマの作成」のスキーマ作成手順に従います。

データベース接続の詳細

データベース接続の資格証明を指定します。

IBM DB2データベースにスキーマを作成する場合は、作成するスキーマごとにオペレーティング・システム・ユーザーを1つ作成しておく必要があることを忘れないでください。詳細は、「IBM DB2データベースに関する追加要件」を参照してください。

資格証明を指定したら、「次へ」をクリックします。別のダイアログ・ウィンドウが開き、接続、およびデータベースの前提条件がチェックされます。エラーなしでデータベースのチェックをパスしたら、「OK」をクリックしてこのダイアログ・ウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

コンポーネントの選択(作成操作用)

スキーマを作成する対象のコンポーネントを選択し、グループ化のための接頭辞を指定します。

インストールするコンポーネントの接頭辞とスキーマ名は忘れないでください。製品インストールの構成フェーズで必要になります。これらの値はメモしておくことをお薦めします。

スキーマ・パスワード

スキーマ所有者のパスワードを指定します。

この画面で入力したパスワードは忘れないでください。製品インストールの構成フェーズで必要となります。これらの値はメモしておくことをお薦めします。

カスタム変数

「カスタム変数」画面を使用して、追加の構成情報を指定します。

「カスタム変数」画面は、「コンポーネントの選択」画面で次に示すコンポーネントを1つ以上選択した場合にのみ表示されます。「コンポーネントの選択」画面では、コンポーネントを選択できます。ただし、そのコンポーネントはRCUを起動したOracleホームに含まれている必要があります。

表領域のマップ

この画面を使用して、作成するスキーマの目的の表領域マッピングを構成します。

「次へ」をクリックすると、別のダイアログ・ウィンドウが開き、これらの表領域の作成を確認するように求められます。「OK」をクリックして先に進み、このダイアログ・ウィンドウを閉じます。

表領域作成の進行状況を示す2番目のダイアログ・ウィンドウが表示されます。表領域の作成後、「OK」をクリックしてこのウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、「作成」をクリックしてスキーマの作成を開始します。

完了サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、操作が正常に完了したことを確かめます。「閉じる」をクリックして、スキーマの作成を完了し、RCUを終了します。

制限されたデータベース権限を持つユーザーとしてのスキーマの作成

SYSまたはSYSDBA権限を持たないユーザーの場合は、ここに示す手順を実行してスキーマを作成します。

ノート:

SYSDBA以外のユーザーを使用してPDBにスキーマを作成するには、RCUユーザーはRCUを実行する前に、共通ユーザーを作成してその共通ユーザーにDBAを付与する必要があります。DBA権限を持つローカル・ユーザーは正しく動作しません。

表2-2 制限された権限を持つユーザー向けのスキーマ作成ステップ

画面 説明

ようこそ

この画面では、RCUが紹介されます。

リポジトリの作成

「リポジトリの作成」を選択し、「システム・ロードに対するスクリプトの準備」を選択します。

これらの操作の詳細は、「システム・ロードおよび製品ロードについて」を参照してください。

データベース接続の詳細

データベース接続の資格証明を指定します。

資格証明を指定したら、「次へ」をクリックします。別のダイアログ・ウィンドウが開き、接続、およびデータベースの前提条件がチェックされます。エラーなしでデータベースのチェックをパスしたら、「OK」をクリックしてこのダイアログ・ウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

ノート:

システム・ロードと製品ロードを別々に実行する方法は、OracleおよびOracle EBRデータベースでのみサポートされています。

コンポーネントの選択(作成操作用)

スキーマを作成する対象のコンポーネントを選択し、グループ化のための接頭辞を指定します。

インストールするコンポーネントの接頭辞とスキーマ名は忘れないでください。製品インストールの構成フェーズで必要になります。これらの値はメモしておくことをお薦めします。

カスタム変数

「カスタム変数」画面を使用して、追加の構成情報を指定します。

「カスタム変数」画面は、「コンポーネントの選択」画面で次に示すコンポーネントを1つ以上選択した場合にのみ表示されます。「コンポーネントの選択」画面では、コンポーネントを選択できます。ただし、そのコンポーネントはRCUを起動したOracleホームに含まれている必要があります。

表領域のマップ

この画面を使用して、作成するスキーマの目的の表領域マッピングを構成します。

サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、「生成」をクリックしてスクリプトの生成を開始します。

デフォルトで、スクリプトはシステムの一時ディレクトリ内のRCUdate_timestamp_random_number/logsディレクトリに生成されます。たとえば、UNIXオペレーティング・システムでは、スクリプトは、デフォルトで/tmp/RCUdate_timestamp_random_number/logsディレクトリに生成されます。別の場所を指定する場合は、「参照」をクリックしてシステム上の場所を選択します。

生成されるスクリプトの名前は、script_systemLoad.sqlおよびscript_postDataLoad.sqlです。

完了サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、操作が正常に完了したことを確かめます。「閉じる」をクリックして、スクリプトの生成を完了し、RCUを終了します。

N/A

スクリプトが作成されたら、SYSまたはSYSDBA権限を持つユーザーがscript_systemLoad.sqlスクリプトを実行する必要があります。

  1. SQL*Plusにサインインします。

  2. 次のコマンドを入力して、script_systemLoad.sqlスクリプトを実行します(そのスクリプトをユーザー指定の場所に保存した場合は、そのパスに置き換えます)。

    @/tmp/RCUdate_timestamp_random_number/logs/script_systemLoad.sql
    
  3. スクリプトの実行中、ユーザーは作成される各スキーマのスキーマ・パスワードを設定するように求められます。求められたらパスワードを指定します。

    スクリプトの実行が完了すると、システム・プロンプトに戻ります。

N/A

スクリプトの実行後は、RCUを再度実行し、製品ロード・フェーズを実行してスキーマ作成を完了します。

ようこそ

この画面では、RCUが紹介されます。

リポジトリの作成

「リポジトリの作成」を選択し、「製品ロードの実行」を選択します。

これらの操作の詳細は、「システム・ロードおよび製品ロードについて」を参照してください。

データベース接続の詳細

データベース接続の資格証明を指定します。

資格証明を指定したら、「次へ」をクリックします。別のダイアログ・ウィンドウが開き、接続、およびデータベースの前提条件がチェックされます。エラーなしでデータベースのチェックをパスしたら、「OK」をクリックしてこのダイアログ・ウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

コンポーネントの選択(作成操作用)

ドロップダウン・リストから、この手順の前の方で指定した接頭辞を選択します。

その後、製品ロードの実行対象のコンポーネントを選択します。

スキーマ・パスワード

スキーマ所有者のパスワードを指定します。

SQL*Plusでscript_systemLoad.sqlスクリプトを実行したときに入力したパスワードを指定してください。

この画面で入力したパスワードは忘れないでください。製品インストールの構成フェーズで必要となります。これらの値はメモしておくことをお薦めします。

カスタム変数

「カスタム変数」画面を使用して、追加の構成情報を指定します。

「カスタム変数」画面は、「コンポーネントの選択」画面で次に示すコンポーネントを1つ以上選択した場合にのみ表示されます。「コンポーネントの選択」画面では、コンポーネントを選択できます。ただし、そのコンポーネントはRCUを起動したOracleホームに含まれている必要があります。

サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、「データ・ロード」をクリックしてスキーマの作成を開始します。

完了サマリー(作成操作用)

この画面の情報を確認し、操作が正常に完了したことを確かめます。「閉じる」をクリックして、スキーマの作成を完了し、RCUを終了します。

N/A

このオプションのステップは、DBA権限が必要な製品ロード・スクリプトを生成および実行する必要があるコンポーネントに対して必要です。製品ロード・フェーズの完了後、SYSまたはSYSDBA権限を持つユーザーがscript_postDataLoad.sqlスクリプトを実行する必要があります。

次のステップは、Audit Services (IAU)およびOracle Enterprise Scheduler (ESS)コンポーネントで必要です。

  1. SQL*Plusにサインインします。

  2. 次のコマンドを入力して、script_postDataLoad.sqlスクリプトを実行します(そのスクリプトをユーザー指定の場所に保存した場合は、そのパスに置き換えます)。

    @/tmp/RCUdate_timestamp_random_number/logs/script_postDataLoad.sql
    

    スクリプトの実行が完了すると、システム・プロンプトに戻ります。

スキーマ・バージョン番号の確認

データベースにスキーマが作成されると、RCUは、schema_version_registryという表を作成して維持します。この表には、バージョン番号、コンポーネント名とID、作成日と変更日およびカスタム接頭辞などのスキーマ情報が含まれています。

スキーマが適切にインストールされたかどうかを確認するには、SQL*Plusにサインインした後に次の問合せを実行します。

select comp_name, version from schema_version_registry;

comp_name引数はコンポーネント名を取得し、 versionはバージョン番号を取得します。たとえば:

SQL> select comp_name, version from schema_version_registry;

COMP_NAME
--------------------------------------------------------------------------------
VERSION
------------------------------
Audit Service
12.2.1.2.0
 
Audit Service Append
12.2.1.2.0
 
Audit Service Viewer
12.2.1.2.0
 
 
COMP_NAME
--------------------------------------------------------------------------------
VERSION
------------------------------
Metadata Services
12.2.1.3.0
 
Oracle Platform Security Services
12.2.1.0.0
 
Service Table
12.2.1.3.0
 
 
COMP_NAME
--------------------------------------------------------------------------------
VERSION
------------------------------
User Messaging Service
12.2.1.0.0
 
WebLogic Services
12.2.1.0.0
 
 
8 rows selected.

スキーマの削除

ここに示す手順を実行して、データベースからスキーマを削除します。

特定の画面の詳細情報を確認するには、その画面の名前をクリックします。特に指定がなければ、「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

表2-3 スキーマの削除に関するRCU画面および説明

画面 手順および必要な操作

ようこそ

この画面では、RCUが紹介されます。

リポジトリの作成

「リポジトリの削除」を選択します。

データベース接続の詳細

データベース接続の資格証明を指定します。

資格証明を指定したら、「次へ」をクリックします。別のダイアログ・ウィンドウが開き、接続、およびデータベースの前提条件がチェックされます。エラーなしでデータベースのチェックをパスしたら、「OK」をクリックしてこのダイアログ・ウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

コンポーネントの選択(削除操作用)

削除する接頭辞とスキーマを選択し、「次」をクリックします。

別のダイアログ・ウィンドウが開き、選択したスキーマの削除を確認するように求められます。「OK」をクリックしてこのウィンドウを閉じます。

2番目のダイアログ・ウィンドウが表示され、削除するスキーマの前提条件がチェックされます。前提条件のチェックが完了したら、「OK」をクリックしてこのウィンドウを閉じ、次の画面に進みます。

カスタム変数

「カスタム変数」画面は、「コンポーネントの選択」画面で次に示すコンポーネントを1つ以上選択した場合にのみ表示されます。「コンポーネントの選択」画面では、コンポーネントを選択できます。ただし、そのコンポーネントはRCUを起動したOracleホームに含まれている必要があります。

サマリー(削除操作用)

画面上の情報を確認し、「削除」をクリックしてスキーマを削除します。

完了サマリー(削除操作用)

ログ・ファイルの場所を確認し、「閉じる」をクリックして画面を閉じます。

共有表領域の削除について

複数のスキーマで共有されている表領域は削除されません。

たとえば、Audit Servicesスキーマ(DEV_IAUなど)とMetadata Servicesスキーマ(DEV_MDSなど)を作成した場合は、両方のスキーマで一時表領域DEV_IAS_TEMPが使用されます(「デフォルトの表領域マッピング」を参照)。

その後、DEV_IAUスキーマを削除しても、DEV_IAS_TEMP表領域はDEV_MDSスキーマでも使用されているため、削除されません。

スキーマおよびデータファイルの削除(Windowsのみ)

RCUを使用してWindowsベースのデータベースからスキーマを削除し、削除したスキーマを再作成する場合は、スキーマの削除時に自動的に削除されなかったデータファイルを手動で削除する必要があります。

スキーマを再作成する前に、DB_HOME\oradataディレクトリに移動し、残っているデータファイルを手動で削除します。

削除されたスキーマの再作成を試行する前に、このディレクトリに残っているデータファイルがないか確認することをお薦めします。