4 組織のモデリング
組織をBPMプロジェクトに追加し、BPMNプロセスのロールを定義し、Oracle BPMを使用してビジネス組織をモデル化します。
4.1 組織の概要
Oracle BPMを使用すると、人やロール、およびその他の実世界の組織の局面を表すモデルを作成できます。プロジェクトのデプロイメント時に、モデリングした組織のコンポーネントが実際の組織にマッピングされます。
Oracle BPMの組織には次の要素が含まれます。
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ロール
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組織図
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ビジネス・パラメータ
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休日
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カレンダ
組織はプロジェクト・レベルで定義されます。組織情報は、他のプロジェクト内で使用するためにエクスポートできます。
ノート:
Business Process Composerを使用して組織図、カレンダまたは休日を作成することはできません。ロールを定義して、スイムレーンに割り当てることができます。
4.1.1 組織エディタの概要
組織内のコンポーネントを作成および編集するには、組織エディタを使用します。組織エディタには、これらの各コンポーネントのタブ付きペインが含まれます。図4-1は、「ロール」タブが選択された組織エディタの例を示しています。
4.2 ロールの概要
ロールは、プロセス内のアクティビティおよびタスクの実行担当者を定義します。ロールにメンバーを追加することにより、アクティビティおよびタスクを担当する実際の組織のメンバーを指定します。プロセスベースのアプリケーションでユーザーとの相互作用が必要となる場合、プロジェクト内に少なくとも1つのロールを定義する必要があります。
ロールは抽象的であり、企業内の個人の職責を定義および模倣するのに役立ちます。ロールは参加者にマッピングする必要があります。
受注デモ・サンプル・プロセスでは、承認者や営業担当者を含む複数のロールが定義されます。これらのロールは、組織内の特定の人物ではなく、プロセス内の作業の実行者のタイプを表しています。ロールは垂直のスイムレーンに割り当てられます。これは、プロセス内のアクティビティおよびタスクを完了する責任のあるロールをグラフィカルに表したものです。またロールには、実際のプロセスベース・ビジネス・アプリケーションを使用するエンド・ユーザーに対応するメンバーも含まれています。
4.2.1 新規のロールを作成する方法
ユーザー・タスクでは、ロールをプロセス・モデルに追加するには、まずロールを定義する必要があります。
新しいロールを作成するには:
- プロジェクト・ナビゲータで、新規のロールを作成するプロジェクトを展開します。
- 「組織」を右クリックして、「開く」を選択します。
- 組織エディタ・ウィンドウで、「ロール」タブを選択します。
- 「追加」アイコンをクリックし、ロールの名前を入力します。
- 「OK」をクリックします。
4.2.2 メンバーをロールに追加する方法
このタスクを実行する前に、アプリケーション・サーバーへの接続が構成されていることを確認する必要があります。
ノート:
このタスクを実行する前に、アイデンティティ・サービス接続が作成されていることを確認する必要があります。
ロールにメンバーを追加するには:
- プロジェクト・ナビゲータで、新規のロールを作成するプロジェクトを展開します。
- 「組織」を右クリックして、「開く」を選択します。
- 組織エディタ・ウィンドウで、「ロール」タブを選択します。
- 「ロールの追加」アイコンをクリックします。
- アプリケーション・サーバーおよびレルムのタイプを選択します。
- 検索パターンを入力し、「検索」アイコンをクリックします。
- 検索結果から適切なユーザーを選択し、「選択」をクリックします。
- 「OK」をクリックします。
4.4 組織単位の概要
組織単位は、組織の構造を定義したものです。組織図には1つの最上位レベルがあり、さらにネストされた複数レベルの組織単位が含まれることもあります。図4-2は、組織単位を使用した組織の構成例を示しています。
この例では、MyCompanyが最上位レベルの組織単位です。MyCompanyの下に、ネストされた各レベルの組織単位があります。
各組織単位に対して、組織内の人物を表すメンバーを割り当てることができます。メンバーはOracle WebLogic Serverで定義し、Oracle Identity Serviceを使用して割り当てます。
次のメンバーを定義できます。
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ユーザー: 個々の参加者またはユーザー
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グループ: 参加者のグループ。これらは定義されます
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アプリケーション・ロール
4.5 カレンダの概要
カレンダは、組織内のリソースの稼働日や休日などを指定します。カレンダには次の要素が含まれます。
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週の営業日。
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毎日の始業時刻と終業時刻。
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タイムゾーン。
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オプションの休日ルール
組織単位ごとにカレンダ・ルールを指定できます。このため、異なるタイムゾーンおよび地域にわたる組織の構造をモデリングできます。
4.5.1 カレンダを作成する方法
組織単位に割り当てることができるカレンダを作成できます。
カレンダを作成するには:
- プロジェクト・ナビゲータで、新規のロールを作成するプロジェクトを展開します。
- 「組織」を右クリックして、「開く」を選択します。
- 組織エディタ・ウィンドウで、「カレンダ」タブを選択し、「追加」アイコンをクリックします。
- 名前を入力し、「OK」をクリックします。
- リストからカレンダ・ルールを選択します。
- 含める各曜日の横にあるチェック・ボックスを選択します。
- 毎日の始業時刻と終業時刻を指定します。
- オプションの休日ルールを含める場合は、ドロップダウン・リストから適切な休日ルールを選択します。
- 完了したら、「ファイル」メニューから「保存」を選択して、組織図を保存します。
4.6 休日の概要
休日は、カレンダ・ルールの非営業日を指定します。組織内のカレンダ・ルールごとに、オプションの休日ルールを定義できます。これらは、カレンダ・ルールで定義した通常の営業日の例外とみなすことができます。
次の2つのタイプの休日を定義できます。
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固定: 毎年同じ日付になる休日。
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共通: 毎年同じ日付にはならない休日。
4.7 ビジネス・パラメータの概要
ビジネス・パラメータは、情報を指定するグローバル変数です。BPMプロジェクト内のプロセスはすべてグローバル変数を使用できます。
たとえば、週の勤務時間が40時間を超える従業員に対して承認を必要とするビジネス・プロセスが会社にあるとします。ビジネス・パラメータMAX_WORKED_HOURSが定義され、40に設定されています。このビジネス・パラメータが、プロセス・フローの駆動に使用されます。たとえば、1か月間の会社の作業量が大量に増加したとします。このため、すべての従業員が承認なしで週に45時間勤務できるようにします。プロセスを監視しているプロセス所有者が、MAX_WORKED_HOURSの値を45に変更して、変更を有効にします。プロセスの再デプロイも変更も必要ありません。
プロセスがデプロイされて実行されている間に、プロセスの設計を変更することなく、ビジネス・パラメータを変更できます。ビジネス・パラメータの値を変更すると、プロセス定義の変更やプロセスの再デプロイを行わなくても、プロセスの動作に影響を与えることができます。
4.7.2 ビジネス・パラメータに値を割り当てる方法
次の方法で、ビジネス・パラメータに値を割り当てることができます。
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データ・アソシエーションの使用
ビジネス・パラメータは、データ・アソシエーションの入力および出力引数セクションに表示されます。ビジネス・パラメータを表示するには、「ビジネス・パラメータ」表を開きます。データ・アソシエーションの使用方法の詳細は、「データ・アソシエーションの概要」を参照してください。
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BPMスクリプトの使用
BPMスクリプトを使用して、ビジネス・パラメータに値を割り当てることができます。詳細は、「ビジネス・パラメータの使用方法」を参照してください。