3 BPM移行ユーティリティを使用したプロジェクトの移行
この章の内容は次のとおりです。
3.1 BPMプロジェクトの移行の概要
BPM移行ユーティリティを使用すると、Oracle BPM 10gR3プロジェクトをOracle BPM 12cプロジェクトに移行できます。
BPM移行ユーティリティによって、エクスポートされたBPMプロジェクト・ファイルと移行レポート、およびマッパーやプロジェクト統計の.csv
ファイルが作成されます。移行レポートには、BPMプロジェクトの各要素の移行の詳細が含まれます。移行中に問題が発生した場合、BPM移行ユーティリティは、問題の詳細ログを移行レポートに記録します。
移行の大部分は自動的に行われますが、一部のプロジェクト要素では、移行を完了するために、BPM移行ユーティリティを使用して作成されたBPM 12cプロジェクトで変更を加える必要があります。このガイドでは、どのプロジェクト要素に対して手動の移行作業が必要かを説明する詳細情報を記載します。
3.2 移行ユーティリティの実行
BPM 12cには、BPM移行ユーティリティ(プロジェクトの移行)とOU移行スクリプト(組織単位情報の移行)の2つのコマンド行ユーティリティがあります。
ノート:
プロジェクトを移行すると、既存のすべての11gプロジェクトがBPM移行ユーティリティのコマンド行で定義するターゲットの場所に配置されます。既存の11gプロジェクトには、新しい権限BPMPAMDEFAULTGROUP/None
が付与されます。権限がNone
であるため、プロジェクトは引き続きプライベートになります。
ただし、ターゲットの場所に新しいプロジェクトを作成すると、そのプロジェクトはEditor
権限を持つ移行グループBPMPAMDEFAULTGROUP
で共有されます。ターゲットの場所で新しいプロジェクトをプライベートにするには、プロジェクト権限をBPMPAMDEFAULTGROUP/Editor
からBPMPAMDEFAULTGROUP/None
に変更します。
OU移行スクリプトは、組織単位、カレンダ・ルールと休日ルール、ロールおよびビジネス・パラメータを移行します。
これらのユーティリティでは、移行できなかった要素と失敗の理由を示すレポートも作成されます。ターゲット・システムで問題の修正や要素の手動による再作成を行うには、手動の操作が必要になります。
ユーティリティにより実行される処理、ユーティリティの前提条件、およびその実行方法の詳細は、「BPM移行ユーティリティについて」を参照してください。
3.3 BPM移行ユーティリティの移行レポートの理解
BPM移行ユーティリティでは、ターゲット・ディレクトリに移行レポートが作成されます。
移行レポートの名前は、移行したプロジェクトの名前に.exp
拡張子が付加されたものです。次の情報が含まれます。
-
日付
最初の行には、BPM移行ユーティリティが実行された日付を示すタイムスタンプが含まれています。
-
ビジネス・カタログ移行メッセージ
最初のメッセージは、ビジネス・カタログ内の各アーティファクトの移行を説明しています。
-
プロセス設計移行メッセージ
プロセス設計移行メッセージは、ソースBPM 10gR3プロジェクトに含まれているプロセス設計の各アーティファクトの移行を説明しています。
メッセージは次のカテゴリでタグ付けされています。
-
INFO
アーティファクトの移行が成功したことを示します。
-
WARNING
アーティファクトを移行の際に制限が検出されたことを示します。
-
SEVERE
アーティファクトの特定の機能が移行されなかったことを示します。
-
FATAL
アーティファクトの移行を妨げた問題を説明しています。また、移行プロセスが完了しなかったことを表しています。
詳細は、「BPM移行ユーティリティのオプション」を参照してください。
3.4 移行統計の理解
BPM移行ユーティリティでは、デフォルトでレポートが生成されます。コマンド行のスイッチやパラメータは必要ありません。
BPM移行ユーティリティにより、BPMアーティファクトの移行ステータスに関する情報を含むレポートが生成されます。このレポートでは、元の10gR3ビジネス・カタログに含まれているすべてのタイプに関する情報を提供しているため、より多くの用途のタイプがわかります。この情報を使用して、BPM移行ユーティリティの制限を考慮に入れながら移行の計画を立てます。
レポートには、BPMプロセスおよびビジネス・カタログについて、次の情報が含まれます。
-
アーティファクト・タイプ
-
アーティファクト・タイプの名前
-
10gr3プロジェクトにおける出現数
移行ユーティリティにより、この情報が.csv
ファイルに保存されます。ファイル名はプロジェクト名に接尾辞_projectStats
を付加して構成され、.csv
拡張子を持ちます。
このレポートには次の列が含まれます。
-
グループ
コンポーネントのグループを示します。たとえば: CATALOG
-
要素:
グループ内の特定のコンポーネントを示します。たとえば: SQL (CATALOGグループの一部)
-
数量
プロジェクト内での使用状況を示します。
レポートを表示する際、次の点を考慮に入れてください。
-
Webサービスの使用状況はポート・タイプではなくWSDLによって数えられます
-
列挙はXMLとNO-XMLに分けられています。
XML: XMLスキーマからインポート
NO-XML: 手動で作成
-
プレゼンテーションが個々に数えられます
-
XMLタイプが個々に数えられます。
次の例では、不明な数のスキーマによって合計4タイプが定義されています。
レポートの例
グループ | 要素 | 数量 |
---|---|---|
カタログ・コンポーネント |
ビジネス・オブジェクト例外 |
1 |
カタログ・コンポーネント |
Webサービス |
1 |
カタログ・コンポーネント |
XML列挙 |
1 |
カタログ・コンポーネント |
CUnitスイート |
1 |
カタログ・コンポーネント |
ビジネス・オブジェクト・プレゼンテーション |
3 |
カタログ・コンポーネント |
BPMオブジェクト |
3 |
カタログ・コンポーネント |
PUnitスイート |
1 |
カタログ・コンポーネント |
列挙 |
1 |
カタログ・コンポーネント |
XMLタイプ |
4 |
カタログ・コンポーネント |
モジュール |
2 |
プロセス・モデリング
プロセス・モデリング・グループには次の要素が含まれます。
-
すべてのタイプのプロセス
含まれるもの: スクリーンフロー、プロセス、プロシージャ、レイン
-
アクティビティ
含まれるもの: メソッド、コンポーネントおよびプロシージャで実装された対話型アクティビティと自動アクティビティの両方
-
遷移
含まれるもの: 無条件、期限、期限スケジュール、補正型、メッセージ・ベース、依存、すべて、ビジネス・ルール、例外および条件付き推移
-
その他
Webリソース、ビュー、カスタムJSPおよびプレゼンテーションが含まれます。