11.12.2 iOSでのOracle Mobile Authenticatorのプッシュ通知の構成

OAAでは、iOSでOMAアプリケーションのプッシュ通知を構成できるようになりました。

OMAのプッシュ通知を使用した認証を求められると、iOSデバイスにプッシュ通知が配信され、ユーザーはログインの試行を許可または拒否する必要があります。プッシュ通知はOMAアプリケーションに配信され、その後OAAサーバーと通信して、保護されたリソースへのアクセス権が付与または拒否されます。

プッシュ通知は、Appleのプッシュ通知サービス(APNS)を介してiOSデバイスに送信されます。これには、Appleプッシュ通知証明書が必要で、生成はApple Developerのコンソールからのみ行えます。

Apple社のApp Storeから直接インストールされた標準OMAアプリケーションでは、OAAログイン試行のプッシュ通知がサポートされていません。Apple Developerコンソールで生成されたプッシュ通知証明書は、OMAアプリケーションに直接関連付けられます。そのため、プッシュ通知を受信するには、カスタムOMAアプリケーションを同一の証明書で作成して署名する必要があります。

iOSデバイスをOAAに登録すると、ユーザーのデバイスIDが格納され(セルフサービス・ポータルで確認可能)、目的の受信者の識別に使用されます。

Appleプッシュ通知証明書は、特に本番サーバーまたは開発サーバー用にApple社によって作成/署名されます。本番APNSサーバーとのプッシュ通知の送受信に、開発証明書を使用することはできません。APNS本番証明書を使用している場合は、Apple社にこれを要求し、APNSCertificate.jksに使用する必要があります。この証明書は、カスタマイズして作成されたOMAアプリケーションへの署名に使用されます。同様に、APNS開発証明書を使用している場合は、Apple社にこれを要求し、APNsCertificate.jksに使用する必要があります(この証明書は、カスタマイズして作成されたOMAアプリケーションへの署名に使用されます)。

11.12.2.1 Apple iOS証明書、アプリケーションID、バンドル識別子およびキーストアの作成

Apple iOS証明書、アプリケーションID、バンドル識別子およびキーストアの作成について説明します。

Apple iOS証明書、アプリケーションID、バンドル識別子およびキーストアを作成する手順については、My Oracle SupportのドキュメントID 2319759.1を参照してください。

ドキュメントID 2319759.1に記載されているステップを完了したら、このドキュメントに戻って、それ以降の手順を確認してください。

11.12.2.2 OAAへのAPNS Javaキー・ストアのコピー

APNSCertificate.jksファイルを作成した後、このファイルを<NFS_VAULT_PATH>にコピーする必要があります。これは/u01/oracle/service/store/oaaにマップされます。

ファイルをファイル・ベースのボールトにコピーするには、次のステップを実行します:
  1. NFSボリューム<NFS_VAULT_PATH>にディレクトリを作成します:
    $ cd <NFS_VAULT_PATH>
    $ mkdir -p ChallengeOMAPUSH/apns
    $ cp APNSCertificate.jks <NFS_PATH>/ChallengeOMAPUSH/apns
    $ sudo chmod 444 <NFS_VAULT_PATH>/ChallengeOMAPUSH/apns/APNSCertificate.jks

ノート:

  • APNSCertificate.jks<NFS_VAULT_PATH>内の任意の場所にコピーできますが、ファイルのコピー先ディレクトリを指すようにプロパティbharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.keystorePathを変更する必要があります。「iOSプッシュ通知のOAAプロパティの構成」を参照してください。

11.12.2.3 iOSプッシュ通知のOAAプロパティの構成

iOSデバイスのプッシュ通知の構成に必要なOAAプロパティをいくつか設定する必要があります。

次の表に、iOSのプッシュ通知に構成できるOAAプロパティを示します。

表11-7 OAAプロパティ

プロパティ名 説明 サンプルの値
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyProtocol プロキシ・サーバーのプロトコル。 httpまたはhttps
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyHost プロキシ・サーバーのホスト名またはIPアドレス。 proxy.example.com
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyPort プロキシ・サーバーのポート。 80
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.pushPreferencesEndpoint プッシュ・ファクタ登録に使用されるホストおよびポート。このホストとポートは、デバイスからアクセス可能である必要があります。これは、「デプロイメント詳細の出力」のSpuiUrl (SpuiUrl=https://<host:port>/oaa/rui)で参照されるホストおよびポートに対応します。 https://oaainstall
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.challengeAnswerEndpoint プッシュ・ファクタ・ランタイムに使用されるホストおよびポート。このホストとポートは、デバイスからアクセス可能である必要があります。これは、「デプロイメント詳細の出力」のプッシュURL (Push=https://<host:port>/oaa-push-factor)で参照されるホストおよびポートに対応します。 https://oaainstall
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.retrycount チャレンジの最大失敗再試行回数。この数を超えると、チャレンジはロックされます。デフォルト値は10です。Oracle Universal Authenticatorでプッシュ通知を使用する場合は、この値を50に設定する必要があります。 50
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.keystorePath APNSCertificate.jksキーストアの場所。 /u01/oracle/service/store/oaa/ChallengeOMAPUSH/apns/APNSCertificate.jks
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.keystorePass キーストア・パスワード。 <password>
bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.h2Topic Apple Developerコンソールで作成されたAPNSアプリケーションID。 com.example.MyApp

ノート:

proxyProtocolproxyHostおよびproxyPortプロパティは、プロキシ・サーバーを介してインターネットにアクセスできる場合にのみ必要です。OAAがインターネットに直接アクセスできる場合、これらのプロパティを設定する必要はありません

OAAプロパティは、次のREST APIを使用して構成できます:

PUT  <PolicyUrl>/policy/config/property/v1

ノート:

この場合は、<PolicyUrl>から/oaa-policyを削除します。たとえば、https://<host>:<port>/oaa-policy/policy/config/property/v1ではなくhttps://<host>:<port>/policy/config/property/v1を使用します。

CURLコマンドを使用してOAAプロパティを構成する次の例を考えてみます次の例では、OAAがプロキシ・サーバーを介してインターネットにアクセスすることを想定しています:

curl --location -g --request PUT 'https://<PolicyUrl>/policy/config/property/v1' \
--header 'Content-Type: application/json' \
--header 'Authorization: Basic <Base64Encoded(<username>:<password>)>' \
--data '[
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyProtocol",
"value": "https"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyHost",
"value": "proxy.example.com"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.proxyPort",
"value": "80"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.pushPreferencesEndpoint",
"value": "https://oaainstall"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.challengeAnswerEndpoint",
"value": "https://oaainstall"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.retrycount",
"value": "50"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.keystorePath",
"value": "/u01/oracle/service/store/oaa/ChallengeOMAPUSH/apns/APNsCertificate.jks"
},
{
"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.keystorePass",
"value": "<password>"
},
{"name": "bharosa.uio.default.challenge.type.enum.ChallengeOMAPUSH.apns.h2Topic",
"value": "com.example.MyApp"}
]'

REST APIの詳細は、構成プロパティRESTエンドポイントに関する項を参照してください

11.12.2.4 iOSでのOracle Mobile Authenticatorへのユーザー・アカウントの登録

この項では、OMAアプリケーションでユーザー・アカウントを登録する方法について説明します。

次のステップを実行します。
  1. セルフサービス・ポータル(https://<SpuiUrl>)にログインします。
  2. 「認証ファクタ」で、「認証ファクタの追加」「OMAプッシュ通知チャレンジ」の順に選択します。
    「モバイル・デバイスの追加」画面が表示されます。
  3. iOSデバイスで署名付きOMAアプリを開きます。
  4. 「アカウントの追加+」をクリックします。
    これにより、iOSデバイスのカメラが起動します。
  5. カメラを使用して、画面上のQRコードをスキャンします。
    「ログインが必要です」画面が表示されます。
  6. 次のことを行います:
    1. ユーザー名で大/小文字が区別されているとおりに、「ユーザー名」フィールドに、「セルフサービス・ポータル」画面に表示されるユーザー名を入力します。
    2. 「PINコード」フィールドに、「セルフサービス・ポータル」画面に表示されるPINコードを入力します。
  7. 「サインイン」をクリックし、求められた場合は、証明書を受け入れます。
    OMAにアカウントが正常に追加されます。
  8. 「セルフサービス・ポータル」画面で、「完了」をクリックします。
登録済デバイスのOMAプッシュ通知チャレンジがセルフサービス・ポータルに表示されます。

11.12.2.5 Oracle Mobile Authenticatorのインストール

Apple社のApp Storeから直接インストールされた標準OMAアプリケーションでは、OAAログイン試行のプッシュ通知がサポートされていません。

Apple Developerコンソールで生成されたプッシュ通知証明書は、OMAアプリケーションに直接関連付けられます。そのため、プッシュ通知を受信するには、カスタムOMAアプリケーションを同一の証明書で作成して署名する必要があります。

このカスタムOMAアプリケーションの作成方法については、My Oracle SupportのドキュメントID 2319759.1を参照してください。

11.12.2.6 iOSプッシュ通知を使用した保護されたアプリケーションへのアクセス

プッシュ通知をテストするには、保護されたアプリケーションにアクセスする必要があります。

保護されたアプリケーションにアクセスするには、次のステップを実行します:
  1. 保護されたアプリケーションにアクセスします。たとえば、https://www.example.com/applicationです。
    OAAチャレンジ選択画面が表示されます。
  2. 「OMAプッシュ通知チャレンジ」で、「デバイス<DeviceID>でのログインを承認します」を選択します。
    iOSデバイスに通知が表示されるプッシュ画面にリダイレクトされます。
  3. デバイスで「許可」を選択してログインします。
認証が成功すると、保護されたページにリダイレクトされます。