25 Oracle Internet Directoryのモニタリング
oiddiag
ツールを使用して統計を表示する方法について説明します。他のOracle Fusion Middlewareコンポーネントのモニタリングの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Fusion Middlewareのモニタリングに関する項を参照してください。
25.1 Oracle Internet Directoryサーバーの監視の概要
この項では、Oracle Internet Directoryサーバーの監視方法について説明します。
Oracle Internet Directoryサーバーをモニターする方法の詳細は、次の項を参照してください。
25.1.1 Oracle Internet Directoryサーバー管理機能
Oracle Internet Directoryサーバー管理機能フレームワークにより、ディレクトリ・サーバー統計を監視できます。
-
LDAPリクエスト・キュー、CPU使用率、メモリー、LDAPセッションおよびデータベース・セッションに関するサーバー状況統計。たとえば、ある期間のアクティブなデータベース・セッションの数を表示できます。ある期間にOracle Internet Directoryサーバー・インスタンスに対してオープンされた接続の合計数も表示できます。
-
パフォーマンス統計。ある期間にわたり、バインド、比較、メッセージング検索およびすべての検索の操作に平均待機時間(ミリ秒)が指定されます。
-
特定のサーバー操作(追加、変更、削除などの操作)に関する一般統計。たとえば、ある期間のディレクトリ・サーバー操作の数を表示できます。失敗したバインド操作件数も表示できます。
-
ディレクトリおよび各操作を実行するユーザーに対する、成功および失敗した操作を含むユーザー統計。すべてのLDAP操作は、構成されたユーザーについて追跡されます。また、統計収集期間の最後の時点でユーザーが保持している接続が追跡されます。
-
システム・リソースとセキュリティに関するクリティカル・イベント(ユーザーがパスワードを間違えた場合や、操作の実行に十分なアクセス権限を持っていない場合など)。その他のクリティカル・イベントには、予想されるエラー(1、100または1403など)以外のORAエラーとLDAPサーバーの異常終了が含まれます。
-
ユーザーの成功および失敗したバインド操作およびユーザーパスワード比較操作を追跡するセキュリティ・イベント。
バインドおよびユーザーのパスワード比較は、最もセキュリティを意識する必要がある操作であるため、これら2つの操作の追跡には排他的カテゴリ・セキュリティ・イベントが使用されます。このイベントは、LDAPユーザーおよびアプリケーションが実行したこれらの操作の数を追跡します。記録される基本情報は、ユーザーの識別名とソースのIPアドレスです。失敗したパスワードの比較の場合、追加の情報、特に所定のIPアドレスでの特定のユーザーと別のユーザーを比較したパスワード失敗数が追跡されます。
-
ディレクトリ・サーバーとディレクトリ・レプリケーション・サーバーのステータス情報(ディレクトリ・レプリケーション・サーバーが呼び出された日時など)
25.1.2 Oracle Internet Directoryサーバー管理機能のアーキテクチャとコンポーネント
ディレクトリ・サーバー管理機能の各種コンポーネントの間には、様々な関係があります。
ディレクトリ・サーバー管理機能の各種コンポーネント間の関係については、図25-1とその後の表25-1で説明します。
図25-1 Oracle Internet Directoryサーバー管理機能のアーキテクチャ
表25-1 Oracle Internet Directoryサーバー管理機能のコンポーネント
コンポーネント | 説明 |
---|---|
Oracle Internet Directory |
クライアントからのディレクトリ・リクエストに応答します。これには、コントローラ、ワーカー、ディスパッチャおよびリスナーの4種類の機能スレッドがあります。クライアントからのLDAPリクエストを受信して処理し、クライアントにLDAPレスポンスを返信します。 Oracle Internet Directoryサーバー管理機能フレームワークを使用して実行時モニタリング機能を設定すると、サーバーの4種類の機能スレッドが、指定された情報を記録し、それをローカル・メモリーに格納します。 関連項目: ディレクトリ・サーバーの詳細は、「Oracleディレクトリ・サーバー・インスタンス」を参照してください |
メモリーの常駐記憶域 |
これは、ローカル・プロセス・メモリーです。Oracle Internet Directory サーバー管理機能フレームワークは、統計、トレースおよびセキュリティ・イベントにそれぞれ1つを割り当てます。それぞれのストレージは、ローカル・メモリー・ストレージで管理される独自のデータ構造を持ちます。 |
優先度の低い書込みスレッド |
これらの書込み専用スレッドは、サーバー統計、セキュリティ・イベント・ロギングおよびトレース情報をリポジトリに書き込むサーバー機能スレッドとは異なります。システム・オーバーヘッドを少なくするため、その優先度は低く保たれます。 |
外部モニタリング・アプリケーション |
このモジュールは独自のもので、サーバー管理機能フレームワークの外部にあります。これは、集められた統計をディレクトリ・サーバーの標準LDAPインタフェースを通じて収集し、それを専用のリポジトリに格納します。 |
サーバー管理情報のための外部リポジトリ |
これは、収集されたディレクトリ・サーバー統計を格納するためにモニタリング・エージェントが使用するリポジトリです。モニタリング・エージェントがこのリポジトリの実装方法を決定します。 |
Fusion Middleware Control |
統計とイベントのリポジトリから、モニターされたデータを抽出し、それをWebベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースで表示します。ユーザーは通常のブラウザでデータを表示できます。リポジトリは、収集されたデータを一般問合せとカスタム問合せのために格納できます。 |
ロギング・リポジトリ(ファイル・システム) |
このリポジトリは、ファイル・システムを使用して、ディレクトリ・サーバーの各種モジュールでトレースされた情報を格納します。この目的のためにファイル・システムを使用することにより、Oracle Internet Directoryサーバー管理機能フレームワークはオペレーティング・システムの機能とセキュリティを使用できます。 |
ディレクトリ・データ・リポジトリ |
このリポジトリには、ユーザーが入力したすべてのデータ(ユーザー・エントリやグループ・エントリなど)が格納されます。 |
統計とイベントのリポジトリ |
このリポジトリは、ファイル・システムにではなく、ディレクトリ・データ・リポジトリと同じデータベースに情報を格納する点を除き、トレース・リポジトリと同じです。この方法で、Oracle Internet Directoryサーバー管理機能フレームワークは次の機能を使用できます。
ディレクトリ管理機能フレームワークは、この2つを別々に格納することにより、収集された情報をディレクトリ・データから分離します。 |
Oracle Internet DirectoryメトリックREST API | 統計とイベントのリポジトリからモニター対象データをフェッチします。管理者は、REST APIを使用してこのデータを問い合せ、データを使用して目的のダッシュボードに表示して、Oracle Internet Directoryをモニターできます。 |
25.1.3 セキュリティ・イベントおよび統計エントリのパージ
古い統計エントリは、Oracle Internet Directoryパージ・ツールによってOracle Internet Directoryから削除されます。
不要な統計エントリは、「ガベージ・コレクションの管理」で説明されているOracle Internet Directoryパージ・ツールによりOracle Internet Directoryから削除されます。
25.1.4 サーバー管理機能情報にアクセスするために使用されるアカウント
Oracle Internet Directoryデータベース・アカウントODSSM
が、データベースからサーバー管理機能情報にアクセスするために使用されます。
インストール時、このアカウントのパスワードはユーザーがプロンプトで指定した値に設定されます。このアカウントのパスワードなどの資格証明は、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlファイルtargets.xml
のOracle Internet Directoryスニペットに格納されます。
このアカウントのパスワードは、「ODSSM管理者アカウントのパスワードの変更」で説明されている手順を使用しなければ変更できません。oidpasswd
ツールでは、このパスワードの変更はサポートされていません。
25.2 Fusion Middleware Controlを使用した統計収集の概要
Fusion Middleware Controlを使用して統計を表示できます。
この項では、次の項目について説明します。
25.2.1 Fusion Middleware Controlを使用したディレクトリ・サーバー統計収集の構成
Fusion Middleware Controlを使用してディレクトリ・サーバー統計収集を構成できます。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して統計収集を構成するステップは、次のとおりです。
- 「Oracle Internet Directory」メニューから、「管理」→「サーバー・プロパティ」→「統計」を選択します。
- 統計収集を有効にするには、そのページの「一般」セクションで「統計フラグ」を選択します。
- 「統計頻度」フィールドに分単位の時間を入力して、統計収集の頻度を指定します。
- 「セキュリティ・イベント追跡のバインド」リストと「セキュリティ・イベント追跡の比較」リストから値を選択します。
- ユーザーに関する統計を収集するには、そのページの「ユーザー統計」セクションで「ユーザー統計収集」を選択します。
- そのページの「イベント・レベル」セクションで、追跡するイベントを選択します。
表25-2 「サーバー・プロパティ」ページ、「統計」タブの構成属性
フィールドまたはヘッダー | 構成属性 |
---|---|
統計フラグ |
|
統計頻度(分) |
|
セキュリティ・イベント追跡のバインドおよびセキュリティ・イベント追跡の比較 |
|
ユーザー統計 |
|
イベント・レベル |
|
ノート:
-
「ユーザー統計収集」を有効にした場合、統計収集のための個人ユーザーも指定する必要があります。「Fusion Middleware Controlを使用した統計収集のためのユーザーの構成」を参照してください。
-
イベント・レベルとして「スーパー・ユーザー・ログイン」を選択しない場合、Oracle Internet Directoryホームページでの対応するセキュリティ値は常に0です。
-
11gリリース1 (11.1.1.0.0)以降では、
orcldebugflag
とorcloptracklevel
の連続設定は加算方式です。
25.2.2 Fusion Middleware Controlを使用した統計収集のためのユーザーの構成
Fusion Middleware Controlを使用して統計収集のためのユーザーを構成できます。
ノート:
『パフォーマンスのチューニング』のLDAPサーバー属性に関する項に記載されているように、一定期間の経過後アイドルLDAP接続を閉じるようorclldapconntimeout
を構成した場合、統計収集用に構成されているユーザーに対する接続は、この設定どおりにタイムアウトしないことに注意してください。
サーバー管理機能で特定のユーザーの統計を収集するためにユーザーを構成するには:
25.3 Fusion Middleware Controlから表示可能な統計情報の概要
この項で説明するように、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、多数のOracle Internet Directoryサーバー管理機能を表示できます。
詳細は、次の項を参照してください。
25.3.1 Oracle Internet Directoryホームページから表示可能な統計情報
Oracle Internet Directoryホーム・ページには、パフォーマンス、負荷、セキュリティ、リソース使用率、平均レスポンスおよび負荷に関連する統計情報が表示されます。
Oracle Internet Directoryホームページには、次の情報が表示されます。
-
パフォーマンス
-
平均操作レスポンス時間(ミリ秒)
-
メッセージング検索レスポンス時間(ミリ秒)
-
バインド・レスポンス時間(ミリ秒)
-
-
負荷
-
LDAP接続の合計
-
操作完了
-
操作進行中
-
-
セキュリティ
-
失敗したバインド操作
-
スーパー・ユーザーの失敗したログイン数
-
スーパー・ユーザーの正常なログイン
-
-
リソース使用率
-
CPU使用率%
-
メモリー使用率%
-
-
平均レスポンスおよび負荷
-
LDAPserverResponse
-
numCompletedOps
-
表形式で値を表示する場合は、「表ビュー」をクリックします。
ページの「セキュリティ」セクションにある「失敗したバインド操作」、「スーパー・ユーザーの失敗したログイン数」および「スーパー・ユーザーの正常なログイン」の値は、これらのメトリックの収集を有効にしていない場合は0です。詳細は、「Fusion Middleware Controlを使用した統計収集の概要」を参照してください。
25.3.2 Oracle Internet Directory「パフォーマンス」ページでの情報の表示
Oracle Internet Directory「パフォーマンス」ページには、パフォーマンス・サマリー情報が表示されます。
「Oracle Internet Directory」メニューから、「モニタリング」を選択し、「パフォーマンス・サマリー」を選択します。デフォルトでは、次のメトリックが表示されます。
-
サーバー・レスポンス
-
合計操作数
-
メッセージング検索操作レスポンス時間
-
バインド操作レスポンス時間
-
比較操作レスポンス時間
-
パージ・キュー内のセキュリティ・イベント・オブジェクトの総数
-
パージ・キュー内のセキュリティ・リフレッシュ・イベント・オブジェクトの総数
-
パージ・キュー内のシステム・リソース・イベント・オブジェクトの総数
他のメトリックを表示するには、ウィンドウの右隅にある矢印をクリックして、メトリック・パレットを展開します。メトリック・パレットを閉じるには、ウィンドウの左隅にある矢印をクリックします。
デフォルトの時間間隔は15分です。時間間隔を変更するには、「スライダ」をクリックし、そのスライダを使用して時間間隔を設定します。または、「日付と時間」アイコンをクリックし、「日付と時間を入力」ダイアログで開始日時と終了日時を入力して、「OK」をクリックします。
ページをリフレッシュするには、「リフレッシュ」アイコンをクリックします。
「表示」リストを使用すると、チャートを表示したり、保存できます。
「オーバーレイ」リストを使用すると、異なるOracle Internet Directoryターゲットのメトリックをオーバーレイできます。
ノート:
-
クリティカルでないイベントの場合、対応するメトリックが更新されるまで数分から
orclstatsperiodicity
までのタイム・ラグがあります。 -
更新されたメトリックを表示するには、「リフレッシュ」アイコンをクリックする必要があります。
25.4 メトリックREST APIを使用した統計収集の概要
Oracle Internet DirectoryメトリックREST APIを使用して、OIDランタイム統計情報を問い合せることができます。
詳細は、次の項を参照してください:
25.4.1 Oracle Internet DirectoryメトリックREST APIの有効化
OIDがインストールされている既存のWeblogicドメインを拡張して、Weblogic ServerにメトリックREST APIをデプロイする必要があります。既存のWeblogicドメインを拡張するには、Oracle Internet Directoryメトリック(コロケート) Weblogicテンプレートを使用する必要があります。これにより、OIDメトリックREST APIがWeblogic JDBCデータ・ソースとともにインストールされます。
25.4.2 Oracle Internet DirectoryメトリックREST APIの保護
REST APIは、Weblogicの基本認証メカニズムによって保護されます。"Administrators"または"OIDAdministrators"グループ・メンバーシップを持つユーザーは、メトリック・データにアクセスできます。
25.4.3 メトリックREST APIからアクセス可能な統計情報
Oracle Internet DirectoryメトリックREST APIを使用して、OIDランタイム統計情報を問い合せることができます。さらに、OIDランタイム統計情報を目的のダッシュボード・アプリケーションに表示して、Oracle Internet Directoryをモニターできます。
次のメトリック情報は、REST APIから様々な操作に使用できます:
-
パフォーマンス
- 平均操作レスポンス時間(マイクロ秒)
- メッセージ検索レスポンス時間(マイクロ秒)
- バインド・レスポンス時間(マイクロ秒)
- 比較レスポンス時間(マイクロ秒)
-
負荷
- LDAP接続の合計
- 操作完了
- 進行中の操作
-
セキュリティ
- 失敗したバインド操作
25.5 Oracle Directory Services Managerホームページからアクセス可能な統計情報
Oracle Directory Services Managerから様々な統計情報にアクセスできます。
Oracle Internet DirectoryのOracle Directory Services Managerホームページには、次の情報が表示されます。
-
稼働時間
-
LDAP接続
-
OIDプロセス
-
エントリ数
-
LDAP変更ログ・エントリ
-
レプリケーション承諾
-
デバッグ有効
-
操作レイテンシ
25.6 コマンド行を使用した統計収集の理解
コマンドライン・ユーティリティを使用して、この項で説明する様々な統計情報を収集できます。
この項では、次の項目について説明します。
25.6.1 健全性統計、一般統計およびパフォーマンス統計の属性の構成
ldapmodify
およびldapsearch
を使用して、統計収集関連の構成属性を設定および表示できます。
「システム構成属性の管理」で説明されているように、この属性はインスタンス固有の構成エントリにあります。
健全性統計、一般統計およびパフォーマンス統計の収集を有効にするには、orclStatsFlag
属性とorclStatsPeriodicity
属性を設定します。
たとえば、コンポーネントoid1
に対してOracle Internet Directoryサーバー管理機能フレームワークを使用可能にするには、次のようなLDIFファイルを作成します。
dn:cn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry changetype: modify replace: orclstatsflag orclstatsflag:1
このファイルをアップロードするには、次のコマンドを入力します。
ldapmodify -h host -p port_number -D bind_DN -q -f file_name
ここで、サーバー管理機能構成を実行する権限を持つバインド識別名は、cn=emd admin,cn=oracle internet directory
です。
25.6.2 セキュリティ・イベント追跡の構成
セキュリティ・イベント追跡を構成するには、属性orcloptracklevel
を設定します。
「システム構成属性の管理」で説明されているように、属性orcloptracklevel
はインスタンス固有の構成エントリにあります。表25-3は、様々なレベルのバインドおよび比較情報収集を構成するorcloptracklevel
の値を示しています。
表25-3 orcloptracklevelの値
orcloptracklevelの値 | 構成 |
---|---|
|
バインド識別名のみ |
|
バインド識別名とIPアドレス |
|
比較識別名のみ |
|
比較識別名とIPアドレス |
|
比較識別名、IPアドレスおよび失敗の詳細 |
各orcloptracklevel
値により記録されるメトリックは、次の表に示すとおりです。
表25-4 各orcloptracklevel値により記録されるメトリック
構成 | 記録されるメトリック |
---|---|
識別名のみ |
日時スタンプ 操作を実行する識別名のEID 成功回数 失敗回数 |
識別名とIPアドレス |
識別名の下にのみ示されたすべてのメトリック ソースIPアドレス |
識別名、IPアドレスおよび失敗の詳細 |
識別名とIPアドレスの下に示されたすべてのメトリック 個別の成功回数 個別の失敗回数 IPアドレスからパスワードの比較を実行する各識別名の失敗の詳細
|
属性orcloptrackmaxtotalsize
およびorcloptracknumelemcontainers
により、統計とイベントの追跡に使用されるメモリーをチューニングできます。
『パフォーマンスのチューニング』のセキュリティ・イベント・トラッキングのチューニングに関する項を参照してください。
25.6.3 コマンド行からのユーザー統計収集の構成
ユーザー統計を有効にするには、orclstatslevel
属性を1に設定します。ユーザー統計収集を開始するには、orclStatsPeriodicity
属性も設定する必要があります。
ノート:
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの統計を収集している場合は、orclStatsPeriodicity
をEnterprise Managerエージェントの収集周期と同じ値(デフォルトでは10分)に設定します。
統計収集のためのユーザーを構成する方法は、「コマンド行を使用した統計収集のためのユーザーの構成」を参照してください。
25.6.4 コマンド行からのイベント・レベルの構成
イベント・レベルの追跡を実行するには、orclstatsflag
属性を1
に設定する必要があります。
イベント・レベルを構成するには、ldapmodifyを使用して、orcleventlevel
属性を表25-5に示すイベント・レベルのいずれか1つ以上に設定します。「システム構成属性の管理」で説明されているように、属性orcleventlevel
はインスタンス固有の構成エントリにあります。
表25-5 イベント・レベル
レベル値 | クリティカル・イベント | 提供される情報 |
---|---|---|
|
スーパーユーザー・ログイン |
スーパーユーザーのバインド(成功または失敗) |
|
プロキシ・ユーザー・ログイン |
プロキシ・ユーザーのバインド(失敗) |
|
レプリケーション・ログイン |
レプリケーションのバインド(失敗) |
8 |
追加アクセス権 |
追加アクセス違反 |
|
削除アクセス権 |
削除アクセス違反 |
|
書込みアクセス権 |
書込みアクセス違反 |
|
ORA 3113エラー |
データベースからの切断 |
|
ORA 3114エラー |
データベースからの切断 |
|
ORA 28エラー |
ORA-28エラー |
|
ORAエラー |
予想される1、100または1403以外のORAエラー |
|
Oracle Internet Directoryサーバーの終了回数 |
|
|
すべてのクリティカル・イベント |
25.6.5 コマンド行を使用した統計収集のためのユーザーの構成
コマンドライン・ユーティリティを使用して、サーバーから統計を収集するユーザーを構成できます。
ノート:
『パフォーマンスのチューニング』のLDAPサーバー属性に関する項に記載されているように、一定期間の経過後アイドルLDAP接続を閉じるようorclldapconntimeout
を構成した場合、統計収集用に構成されているユーザーに対する接続は、この設定どおりにタイムアウトしないことに注意してください。
コマンド行を使用してユーザーを構成するには、ldapmodify
コマンド行ツールを使用して、ユーザーの識別名をDSA構成セット・エントリの複数値属性orclstatsdn
(DN: cn=dsaconfig,cn=configsets,cn=oracle internet directory)に追加します。たとえば、このLDIFファイルではMary Leeがorclstatsdn
に追加されます。
dn: cn=dsaconfig,cn=configsets,cn=oracle internet directory
changetype:modify
add: orclstatsdn
orclstatsdn: cn=Mary Lee, ou=Product Testing, c=us
次の形式のコマンド行を使用します。
ldapmodify -h host -p port -f ldifFile -D cn=orcladmin -q
25.7 OIDDIAGツールによる情報の表示
OIDDIAGツールを使用して、様々な統計のレポートを表示できます。
すべての統計のレポートは、oiddiag
ツールを次のように使用すれば表示できます。
セキュリティ・イベント
oiddiag audit_report=true [outfile=file_name]
すべての統計およびイベント
oiddiag collect_all=true [outfile=file_name]
統計およびイベントのサブセット
oiddiag collect_sub=true [infile=input_file_name outfile=file_name ]
input_file_name
は、次の出力を取得して作成します
oiddiag listdiags=true
次に、不要な統計クラスを削除します。
HTML形式での統計
oiddiag collect_stats=true [outfile=file_name]
ノート:
Windowsでは、oiddiag
コマンドのファイル名はoiddiag.bat.
です。
ノート:
このリリースから、collect_stats=true
引数を指定することで、次を含むHTMLレポートを生成できます。
-
インスタンス統計
-
操作統計
-
メモリー/CPU使用率統計
-
ネットワーク送信/受信バイト数
-
クライアント接続/操作統計
-
DB接続統計
-
LDAP接続統計
-
レプリケーション操作統計
-
レプリケーション・キュー統計(すべてのレプリケーション承諾用)
関連項目:
-
oiddiag
コマンド・ツールの詳細は、『Oracle Identity Managementリファレンス』のOracle Internet Directoryサーバー診断コマンドライン・ツールに関する項を参照してください -
『Oracle Fusion Middlewareの管理』の「Oracle Fusion Middlewareの管理ツールの概要」
25.8 LDAPを使用したOracle Internet Directoryサーバーのモニタリング
Oracle Internet Directoryには、デバッグまたはトラブルシューティングの目的でサーバーの現在の状態をモニターする様々な方法があります。
次の方法でLDAPを介してサーバーをモニターできます。
25.8.1 cn=monitorエントリを使用した監視情報の表示に関する項
Oracle Internet Directoryは、ベースDN cn=monitor
を使用したエントリとしてシステム、パフォーマンスおよびバージョンの情報を記録します。このエントリは、便利なパフォーマンス・メトリックおよびサーバーの状態の情報を提供し、これを使用してディレクトリ・サーバー・インスタンスを管理およびデバッグできます。
cn=monitor
下の最初のレベルのエントリは、使用可能なモニタリング情報のカテゴリです。各カテゴリには、orclmetricsummary
という名前の1つの属性のみがあり、そのカテゴリのすべてのモニタリング情報がレポート形式で含まれます。orclmetricsummary
のサブタイプに、モニタリング情報の詳細が含まれます。
ノート:
cn=monitor
エントリを使用したモニタリング情報は、デフォルトで有効です。ただし、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があるため、この機能を過度に使用しないよう注意する必要があります。
25.8.2 使用可能なモニタリング情報の表示
ldapsearch
コマンドでベースDN "cn=monitor"
を指定し、サポートされているカテゴリのモニタリング情報を出力します。
$ ldapsearch -h localhost -p 3060 -D cn=orcladmin –w password –b "cn=monitor" "objectclass=*" -s base
出力は、次のようなものです:
cn=monitor
orclmetricsummary;categories=cn=system information,cn=monitor
cn=work queue,cn=monitor
cn=client connections,cn=monitor
cn=version,cn=monitor
25.8.3 システム情報のモニタリング
ldapsearch
コマンドでベースDN "cn=System Information,cn=monitor"
を指定し、OSのバージョンなどの一般的なシステム情報を表示します。
$ ldapsearch -h localhost -p 3060 -D cn=orcladmin –w password –b "cn=system information,cn=monitor" "objectclass=*" -s base
出力は、次のようなものです:
cn=system information,cn=monitor
orclmetricsummary;os_version=Linux 2.6.39-400.298.2.el5uek x86_64
25.8.4 ワーク・キューのモニタリング
ldapsearch
コマンドでベースDN "cn=work queue,cn=monitor"
を指定し、未処理のクライアント・リクエストを追跡してそれらが確実に処理されるようにします。ワーク・キューのサイズとレイテンシ情報が表示されます。
$ ldapsearch -h localhost -p 3070 -D cn=orcladmin –w password –b "cn=work queue,cn=monitor" "objectclass=*" -s base
出力は、次のようなものです:
cn=work queue,cn=monitor
orclmetricsummary;overall_stats=total_queue_size:0, avg_queue_latency:3258.000000 micro sec
orclmetricsummary;/inst1/oid1/1=total_queue_size:0, avg_queue_latency:3042 micro sec
orclmetricsummary;/inst1/oid2/1=total_queue_size:0, avg_queue_latency:3474 micro sec
25.8.5 クライアント接続のモニタリング
ldapsearch
コマンドでベースDN "cn=client connections,cn=monitor"
を指定し、インスタンスごとの接続スループット情報および上位パフォーマンスの接続の詳細を表示します。
$ ldapsearch -h localhost -p 3060 -D cn=orcladmin –w password –b "cn=client connections, cn=monitor" "objectclass=*" -s base
出力は、次のようなものです:
cn=client connections,cn=monitor
orclmetricsummary;/inst1/oid1/1=open_connections:0, new_connections:21, closed_connections:21
orclmetricsummary;/inst1/oid2/1=open_connections:0, new_connections:20, closed_connections:20
orclmetricsummary;top_connections=user_dn:cn=orcladmin, user_ip:::ffff:10.196.16.156, open_connections:0, total_ops:43, bind_ops:21, proxy_bind_ops:0, unbind_ops:21, compare_ops:0, search_base_ops:1, search_one_ops:0, search_sub_ops:0, add_ops:0, delete_ops:0, modify_ops:0, modrdn_ops:0, abandon_ops:0
user_dn:cn=emd admin,cn=oracle internet directory, user_ip:::ffff:10.196.16.156, open_connections:0, total_ops:40, bind_ops:20, proxy_bind_ops:0, unbind_ops:20, compare_ops:0, search_base_ops:0, search_one_ops:0, search_sub_ops:0, add_ops:0, delete_ops:0, modify_ops:0, modrdn_ops:0, abandon_ops:0
ノート:
OIDでは、末端で受信したIPアドレスのみ識別できます。ロード・バランサを使用している場合、OIDではクライアントの実際のIPアドレスを識別できません。25.8.6 バージョン情報のモニタリング
ldapsearch
コマンドでベースDN "cn=version,cn=monitor"
を指定し、Oracle Internet Directoryおよびデータベースのバージョンを表示します。
$ ldapsearch -h localhost -p 3070 -D cn=orcladmin –w password –b "cn=version, cn=monitor" "objectclass=*" -s base
出力は、次のようなものです:
cn=version,cn=monitor
orclmetricsummary;oid_version=12.2.1.4.0
orclmetricsummary;db_version=12.1.0.2.0