1 Oracle Enterprise Schedulerの概要
Oracle Enterprise Schedulerでは、ジョブ(アプリケーションにかわって実行する作業単位)を定義、スケジュールおよび実行できます。
Oracle Enterprise Schedulerを組み込むことでスケジューリング・サービスを提供する製品の場合、その製品とともにOracle Enterprise Schedulerがインストールされます。通常、Oracle Enterprise Schedulerを自身でインストールする必要はありません。
この章の内容は次のとおりです。
1.1 Oracle Enterprise Schedulerの管理の概要
Oracle Enterprise Schedulerでは、ジョブを定義、スケジュールおよび実行できます。ジョブとは、アプリケーションのかわりに実行する作業の単位のことです。
たとえば、特定のPL/SQLファンクションやコマンド行プロセスを実行するジョブを定義できます。Javaコードを実行するジョブを定義できます。Oracle Enterprise Schedulerには次のジョブ・タイプが含まれています。
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Javaコードを実行するためのJavaジョブ・タイプ
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Webサービス・ジョブ・タイプ
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EJBジョブ・タイプ。
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コマンドライン・コマンドを実行するためのプロセス・ジョブ・タイプ
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オラクル社のSQL拡張言語のファンクションを実行するためのPL/SQLジョブ・タイプ
これらのタイプからジョブを作成するときに、ジョブ定義としてメタデータを関連付けます。このコンテキスト固有メタデータをとおして、ジョブがアプリケーションにかわって有意義な作業を実行します。このメタデータには、ユーザーが指定するパラメータ値と、Oracle Enterprise Schedulerで定義されるプロパティの値を含めることができます。スケジュールを定義することによって、ジョブを希望の日時(オフピーク時など)に実行できます。制約を指定すると、ジョブの実行を希望しない日時にジョブが実行されるのを回避することもできます。ジョブ・セットを作成すると、複数のジョブをバッチにまとめ、それらのジョブを同時にまたは順次的に実行できます。
Oracle Enterprise Schedulerには、システムを監視するためのツールが付属しています。たとえば、現在および保留中のジョブ・リクエストのスナップショットを取得したり、負荷に対するシステムの対応状況を確認したりできます。ログおよびサービス・コンポーネントのステータスも取得できます。
ジョブの送信からシステムの監視まで、これらのタスクはすべてOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールのスケジューリング・サービスのページで実行できます。タスクの詳細は、「Oracle Enterprise Schedulerの構成および管理の基本的なタスク」を参照してください。
1.2 Oracle Enterprise Schedulerの構成および管理の基本的なタスク
Oracle Enterprise SchedulerはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソール(Fusion Middleware Control)で管理します。
スケジューリング・サービスのホームページでは、スケジューラ・コンポーネントのステータスの概要、上位実行中および完了済のスケジュール済ジョブ・リクエスト、およびスケジュール済ジョブ・リクエストのパフォーマンス・サマリーが表示されます。その他のスケジューリング・サービスのページには、この項で説明するタスクを含め、多数のタスクを実行できるユーザー・インタフェースが用意されています。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールによって、Oracle Enterprise Schedulerのアプリケーションを監視および管理するページにアクセシビリティ・オプションが提供されます。Fusion Middleware Controlは、スクリーン・リーダーをサポートしており、キーボード・ナビゲーションをサポートするための標準のショートカット・キーを提供しています。読みやすくするために、コンソール・ページを高コントラストで表示したり、大きなフォントで表示したりすることもできます。Fusion Middleware Controlにおけるアクセシビリティの構成の詳細と手順は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middlewareのアクセシビリティ・オプションの使用に関する項を参照してください。
次の項では、Oracle Enterprise Schedulerを設定するために行う手順の概要を説明します。
1.2.1 設定と構成
- ドメインを作成し、クラスタを構成します。スケジュール管理サービスとしてOracle Enterprise Schedulerを組み込む製品の場合、その製品によってOracle Enterprise Schedulerがインストールされます。ただし、組み込む製品によってはOracle Enterprise Schedulerのデプロイをサポートするドメインが構成されないことがあります。「Oracle Enterprise Schedulerのインストール」を参照してください。
- リクエスト・プロセッサとリクエスト・ディスパッチャを構成します。ジョブ・リクエスト・プロセッサは特定のOracle Enterprise Schedulerサーバーにバインドされ、ジョブ・リクエストへのスレッド割当てを担当します。ジョブ・リクエスト・ディスパッチャはジョブ・リクエストのポーリングを行います。「Oracle Enterprise Schedulerの構成」を参照してください。
- インスタンスを起動します。「Oracle Enterprise Schedulerコンポーネントの起動と停止」を参照してください。
1.2.2 実行するジョブの作成
- ジョブ定義を作成します。直近のリクエストに特有な値を指定するジョブ定義を定義し、管理できます。「ジョブ定義の管理」を参照してください。
- スケジュールを作成します。ジョブ・リクエストの実行、作業割当て、稼働シフトおよびパージ・ポリシーを管理するためのスケジュールを定義できます。リクエストの作成時にその場でスケジュールを作成することもできます。「ジョブ・リクエストのスケジュールの指定」、「事前定義済ジョブ・スケジュールの作成または編集」および「スケジュールの管理」を参照してください。
- ジョブ・リクエストを作成して送信します。ジョブ・リクエストによって、ジョブ定義とジョブを実行するスケジュールがまとめられます。「Oracle Enterprise Schedulerジョブ・リクエストの送信」を参照してください。
- パージ・ポリシーを作成します。パージ・ポリシーでは、リクエスト・プロセッサに関連付けられているジョブ・リクエストを保存する条件とパージする条件を定義できます。「パージ・ポリシーの管理」を参照してください。
1.2.3 ジョブのバンドリングおよび作業の調整
- ジョブ・セットを作成します。ジョブ・セットを使用すると、複数のジョブをグループにバンドリングし、それらのジョブを同時にまたは順次的に実行できます。「ジョブ・セットの管理」を参照してください。
- 非互換性を使用して制約を定義します。非互換性では、同時に実行できないジョブと、ジョブを非互換とする条件を指定します。「非互換性の管理」を参照してください。
- 作業割当てを使用して制約を定義します。作業割当てでは、ジョブの実行を決定するルールと、ジョブを実行できる時間枠を定義します。「作業割当ての管理」を参照してください。
1.2.4 システムの監視
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システムを監視します。ジョブ・リクエスト、システム・パフォーマンスおよびシステム・ステータスを監視できます。ジョブ・リクエストおよびシステムのログも取得できます。「Oracle Enterprise Schedulerの監視」を参照してください。