1. Oracle Enterprise Schedulerアプリケーションの開発
  2. 事前デプロイ済のネイティブ・ホスティング・アプリケーションの使用

4 事前デプロイ済のネイティブ・ホスティング・アプリケーションの使用

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションは、Oracle Enterprise Schedulerの一部として含まれます。独自のカスタム・ホスティング・アプリケーションを作成する必要がないため、Oracle Enterprise Schedulerの起動および実行のプロセスが大幅に簡略化されます。

Oracle Enterprise Schedulerは柔軟であり、実装およびデプロイメント・オプションが用意されています。「ジョブ開発の計画」は、ジョブ開発およびデプロイメント・プロセスの計画方法の概要を説明しています

この章の内容は次のとおりです。

4.1 概要

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションは、独自のカスタム・ホスティング・アプリケーションの開発に代わる便利な手段で、Javaベースのジョブ以外のすべてのジョブを実行するのに使用できます。

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションは、Oracle Enterprise Schedulerサーバー上のOracle Enterprise Schedulerコアとともに配置されます。事前デプロイ済ネイティブ・アプリケーションは、ドメイン内の1つのクラスタにのみデプロイできます。Enterprise Scheduler Basicテンプレートでは、事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションが、スケジューラ・サーバー・コンポーネントとともにデプロイされるため、ドメイン内の1つのクラスタにのみターゲット設定できます。

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションでは、次のJNDI名にマップされているOracle Enterprise Scheduler Beanのリモート・インタフェースを公開しています。

  • ランタイム・サービスBean: java:comp/env/essnative/runtimeservice

  • メタデータ・サービスBean: java:comp/env/essnative/metadataservice

  • 非同期リクエストBean: java:comp/env/essnative/asyncrequest

ユーザーが他のホスティング・アプリケーションを使用している場合、weblogicのejb-jar.xmlで宣言することによりBeanは前述の方法で公開されます。

4.2 プロパティ

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのプロパティには、プロパティおよびそのデフォルト設定が示されます。

表4-1 事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのプロパティ

プロパティ名 値

PolicyStripe

EssNativeHostingApp

LogicalAppName

EssNativeHostingApp

J2ee App Name

EssNativeHostingApp

RuntimeService EJB JNDI name

essnative/runtimeservice

MetadataService EJB JNDI name

essnative/metadataservice

AsyncRequestBean JNDI name

essnative/asyncrequest

MDS Partition

essUserMetadata

MDS namespace

/oracle/apps/ess

4.3 メタデータ

通常、ホスティング・アプリケーションには、MDSにロードされるMARメタデータが含まれますが、MARアーカイブを事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションに直接追加できません。

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションにデプロイするMARアーカイブがある場合、クライアント・アプリケーションを介するかメタデータAPIを使用してデプロイする必要があります(「メタデータ・サービスの使用」を参照)。

Oracle Enterprise Schedulerでは、ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのストライプをOPSSに登録することにより、これをプロモートします。次に、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlおよびその他のMBeanから表示可能な状態でストライプが公開されます。アプリケーション・ロールおよびポリシーは、ネイティブ・ホスティング・アプリケーション内のメタデータに対して実行時に構成できます。

4.4 セキュリティ権限

権限を、事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションによって実行されるすべてのジョブに対して付与する必要があります。

デフォルトで、EssNativeHostingAppは、SOAおよびService Busで定義されている権限のサポートを拡張します。これは、値EssNativeHostingApp、soa-infra、Service_Bus_Consoleで指定されたプロパティHostingAppPolicyStripeを使用してess-config.xml内で構成されます。

別の製品(SOAまたはService Bus以外)でOracle Enterprise Schedulerをインストールした場合、Oracle Enterprise SchedulerまたはWLSTスクリプトを使用して、ストライプのこのプロパティ・リストを拡張する必要があります。

4.4.1 ポリシー・ストライプの構成

EssNativeHostingAppセキュリティ・ポリシー・ストライプは、ess-config.xmlファイルをカスタマイズして構成します。Oracle Enterprise Schedulerプロパティ名は、HostingAppPolicyStripeです。次の例は、WLSTコマンドを使用して、ポリシー・ストライプ値を確認し変更する方法を示しています。

現在のポリシー・ストライプの値を確認します。

oracle_common/bin/essManageRuntimeConfig.sh \
   -u weblogic -p welcome1 -P 7001 -H localhost -s ess_server1 \
   -A EssNativeHostingApp -n HostingAppPolicyStripe -t ESS

ポリシー・ストライプの値を変更します。

 oracle_common/bin/essManageRuntimeConfig.sh \
   -u weblogic -p welcome1 -P 7001 -H localhost -s ess_server1 \
   -m -A EssNativeHostingApp -n HostingAppPolicyStripe -t ESS 
   -v MyPolicyStripe

WLSTコマンドの詳細は、Oracle Fusion Middleware SOA Suite WLSTコマンド・リファレンスを参照してください。

4.4.2 複数のアプリケーション・ストライプのサポート

事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションは、複数のストライプをサポートしています。事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのポリシー・ストライプは、SOAおよびService Busアプリケーション用に事前構成されています。

<EssProperty key="HostingAppPolicyStripe"
   value="EssNativeHostingApp,soa-infra,Services_Bus_Console"/>

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlまたはWLSTを使用して、ポリシー・ストライプをHostingAppPolicyStripeプロパティの値に付加し、このストライプ・リストを拡張できます。また、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの「アプリケーション・プロパティ」ページを使用して、事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのHostingAppPolicyStripeプロパティを変更することもできます。

このプロパティは、事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションの構成ファイルにのみ適用できます。事前デプロイ済ネイティブ・ホスティング・アプリケーションのejb-jar.xmlファイル内にはポリシー・ストライプの静的定義がないため、HostingAppPolicyStripeプロパティで指定されている既存のポリシー・ストライプを保持する必要があることに注意してください。