25 Imaging 11gの移行
この章では、Oracle WebCenter Imaging 11gシステムの12cへのアップグレードについてのガイダンスを提供します。
この章のトピックは、次のとおりです:
25.1 Imaging 11gの移行の理解
この章では、Imaging 11gを12cに完全に移行するために必要な移行プロセスについて説明します。この移行が完了すると、Imaging 11gに戻ることはできません。
注釈ファイル形式を標準化するため、11gから12cにアップグレードした後に移行することが重要です。具体的には、Imaging 11gドキュメントの注釈およびサポート・コンテンツは、ドキュメントの添付として12cに移行されます。また、12c UIは、注釈機能を含むWebベースのビュー・エクスペリエンスを提供します。Imaging 11gの基本および拡張ビューア以外に、ユーザーはWebCenter Content ADF UIビューアも使用できます。 移行プロセスは、イメージングの注釈構造をIPMビューアおよびWebCenter Content UIビューアの両方で認識される12c Web UIビューア注釈構造に変換します。
ノート:
Imaging 11gのシステムをImaging 12cにアップグレードする方法の詳細は、『Oracle WebCenterのアップグレード』のOracle WebCenter Content Imagingのアップグレードの実行に関する項を参照してください。
ノート:
サポート・コンテンツは、イメージングにおいてWebCenter Contentの添付に相当する機能です。追加のメタデータを抽出するためにOracle Forms Recognitionツールを使用している買掛金ソリューションなど、様々なイメージング・ソリューションを実装するためにアプリケーション拡張フレームワーク(AXF)を使用している場合、イメージングのサポート・コンテンツ機能を利用して、その抽出されたメタデータをXML形式で格納することができます。
11gおよび12cの両方の環境で、WebCenter Contentに存在する特定のイメージング・コンポーネントがイメージング機能を提供しています。これらは、WebCenter Content管理ユーザー・インタフェースから有効または無効にすることができる標準WebCenter Content拡張コンポーネントです。コンテンツ・サーバーのイメージング機能は、IpmRepositoryおよびImagingコンポーネントによって提供されています。 12c環境に移行するときに、IpmRepositoryコンポーネントを有効にする必要があります。イメージング・コンポーネントは、新しいWebCenter Content 12cのインストール(またはアップグレード)でデフォルトで有効になっています。
11gでは、イメージングおよびコンテンツ・サーバー・ユーザー・インタフェースの両方のユーザーがイメージング・ドキュメントを検索および表示できました。IpmRepositoryコンポーネントによって、ユーザー・インタフェースにドキュメント・リダクション・セキュリティが実施されていました。IpmRepositoryコンポーネントを無効化しないことをお薦めします。移行が完了した後、新しいイメージング・コンポーネントが同じレベルのリダクション・セキュリティを提供します。12cでは、Imagingコンポーネントはデフォルトで有効です。移行中は、イメージング・コンポーネントとIpmRepositoryコンポーネントの両方が有効である必要があります。
ノート:
12cでは、IpmRepositoryコンポーネントの新バージョンが12c WebCenter Contentのインストールとともに提供されます。これは概念的には同じコンポーネントですが、この新バージョンはContent Server 12cで実行するように構成されています。 IpmRepositoryコンポーネントのこの2つのバージョンには、互換性がありません。
この項には次のトピックが含まれます:
25.1.1 イメージング移行ツールについて
イメージング・コンポーネントによって提供されるイメージング移行ツールは、イメージング・ドキュメントを最新の12cバージョンに移行するために使用され、インストールされてデフォルトで有効になっています。
概要
イメージング移行ツールを使用して、移行が進行している間の任意の時点で、移行を保留中のドキュメント数を表示でき、移行の成功と失敗についての情報も表示できます。移行が進行している間、移行プロセス・タブに、移行された注釈とサポート・コンテンツ・ドキュメントの合計数とともに、システムに存在する注釈とサポート・コンテンツ・ドキュメントの総数が表示されます。
単一のドキュメントでイメージング移行ツールを実行して、移行の構成をテストできます。 これはイメージング移行ツールが期待どおりに動作しているかどうかを確認します。1つのドキュメントを移行した後、WebCenter Content Web UIを使用してドキュメントを表示し、対応する注釈を参照します。同様に、Web UIのドキュメント・プロパティ・ページで、サポート・コンテンツがドキュメントの添付として表示されていることを確認します。 このツールは、必要のない作業を繰り返すことなく、いつでも一時停止および再開できるような方法で進捗状況を追跡します。したがって、パフォーマンス・メトリックを収集するために、多数のドキュメントを処理する移行を開始できます。 これらのメトリックは、各環境に固有のものであり、移行の全継続時間を推定するのに役立ちます。
イメージング移行ツールは、アクティブなImaging 11gシステムと並行して動作するように設計されていますが、1つの注意点があります。 このパラレル移行モードは、イメージング操作の継続中に発生する必要のある長時間実行の移行を促進します。 イメージング移行ツールは、11gのイメージングによって12cのコンテンツ・サーバーに作成される新しい注釈やサポート・コンテンツ・ドキュメントを自動的に検出し、それらを新しい12cの形式に移行します。ただし、Imaging 11gからの、既存の注釈ドキュメントへの更新(たとえば、新しい注釈の追加)は、そのドキュメントがすでに一度移行されている場合、12cの形式に移行されません。
ノート:
イメージングを含むWebCenter Content 11gデプロイメントは、11g環境のイメージング・コンポーネントを削除せずに、12cにアップグレードできます。Imaging 11gの移行を開始する前に、コンテンツ・サーバーが完全に機能していること、および検索、チェックイン、添付の追加の機能が12cで動作していることを確認してください。移行を実行するには、イメージング・コンポーネントが有効である必要があります。
移行中に問題が発生した場合は、移行プロセス・タブの「中止」ボタンを使用してプロセスを中止し、問題を修正し、再度移行を開始きできます。移行プロセスの一部として作成されたデータは削除できず、再度イメージング移行ツールを実行することによってのみ上書きできます。このツールは移行中にデータを削除しないので、ツールを実行する前にImaging 11gのデータをバックアップする必要はありません。一定のドキュメント数でツールを実行した後、総ドキュメント数の移行にかかる時間を推定することをお薦めします。
このツールを同じドキュメント・セットに複数回実行できます。イメージング移行ツールを開始した後、n個のドキュメントが移行された後に移行を一時停止し、その後移行プロセスを再開した場合、移行ユーティリティは同じn個のドキュメントを処理するのではなく、残りのドキュメントを処理します。ただし、n個のドキュメントが処理された後に移行を中止し、再度移行を開始した場合、ツールは前に移行されたドキュメントを再び移行します。移行が完了したら、Imaging 11gのデータをパージするオプションを使用できます。詳細は、「Imaging 11gのデータの削除」を参照してください。
機能
イメージング移行ツールでは、次のことができます。
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Imaging 12cの最新バージョンへのImaging 11gコンテンツの移行
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完全な移行を行う前に、単一ドキュメントで移行をテストする
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成功および失敗などの移行ステータスの表示
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失敗したImaging 11gドキュメント一覧の表示、およびドキュメントID、エラー・メッセージ、注釈またはサポート・ドキュメントIDによる結果のフィルタ
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失敗したドキュメントの移行の再試行
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最新バージョンへの移行後のImaging 11gデータの削除
25.1.2 Imaging 11gの移行プロセスの概要
イメージング移行ツールは、Imaging 11gの移行を管理するためのオプションを提供します。
次のステップは、イメージング移行ツールを使用したImaging 11gデータの移行方法を要約して示しています。
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最初に、移行管理コントロールにアクセスします。「イメージング移行ツールへのアクセス」を参照してください。
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移行のプレビュー・タブで、ドキュメントIDを入力し、コンテンツの移行をクリックして特定のImaging 11gドキュメントを移行します。これは完全な移行を実行する前に、移行の構成をテストするために有用です。「移行構成のテスト」を参照してください。
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移行の概要タブで、Imaging 11gドキュメントを参照し、移行を開始します。「Imaging 11gデータの移行」を参照してください。
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移行が進行したら、移行プロセス・タブで、成功、失敗および保留中のドキュメント数を含む、移行のステータスを表示します。このページは、最新の移行ステータスが表示されるように自動的にリフレッシュされます。「移行の進捗状況の表示」を参照してください。
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移行の失敗タブで、移行プロセスが失敗したドキュメントの一覧を表示します。また、IPMドキュメントID、注釈またはサポート・コンテンツID、エラー・メッセージに基づいて結果をフィルタします。「移行の失敗の表示」を参照してください。
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移行が完了したら、11g IPMデータの削除タブのパージをクリックしてImaging 11gのデータを削除します。注釈、サポート・コンテンツ・ファイルおよび注釈固有のセキュリティ・グループを含む、イメージングの全データが削除されます。「Imaging 11gデータの削除」を参照してください。
ノート:
Imaging 11gドキュメントの注釈は、Imaging 12cの最新バージョンに移行されてannotationRendition添付として保存され、サポート・コンテンツの添付は、そのままの状態で移行されます。
25.2 Imaging 11gの移行の管理
Imaging 11gの移行ツールは、Imaging 11gデータの移行、移行の進行状況の表示、移行構成のテスト、移行エラーの表示および再試行のためのオプションを提供します。
この項では、次の項目について説明します。
25.2.1 イメージング移行ツールへのアクセス
イメージング移行ツールは、コンテンツ・サーバー・ユーザー・インタフェースの「管理」メニューからアクセスできます。
25.2.2 Imaging 11gデータの移行
移行管理コントロール内の移行の概要タブは、Imaging 11gのデータを最新バージョンに移行するためのオプションを提供します。
25.2.3 移行構成のテスト
完全な移行を実行する前に、単一のImaging 11gドキュメントでイメージング移行ツールを実行することにより、移行の構成をテストできます。これにより、移行時に注釈およびリダクションが正しく移行されたかどうかを確認できます。
25.3 移行ログ
移行トレース・ログを調べることで、移行イベント中のアクティビティを追跡できます。移行データは、imagingmigrationトレース・セクション下のコンテンツ・サーバー・トレース・ファイルにログされます。
完全な移行ログをキャプチャするには、必要に応じて、コンテンツ・サーバー・トレース・ファイルのサイズ制限およびファイル・ローリングを設定できます。
Imaging 11g移行ログの表示
ログにアクセスするには、ページの「アクション」メニューから「サーバー出力の表示」をクリックします。イメージング移行ツールのログ情報は、生成された他のトレース・ログとともに記録されています。