8 SolarisでのSNA通信パッケージの構成
Oracle Database Gateway for APPCはSNA Advanced Program to Program Communication(APPC/LU6.2)プロトコルを使用してOLTPと通信します。 Solarisオペレーティング・システム(SPARC 64ビット)でのAPPCサポートは、SNAP-IX製品により提供されます。
次のトピックでは、SolarisシステムでSNAP-IXを構成してOracle Database Gateway for APPCを実行する方法について説明します。
注意:
この章の手順に従ったら、「Oracle Networkの構成」を参照してネットワーク構成を続行してください。
SNAP-IXバージョン6の構成
次のトピックでは、SNAP-IXバージョン6の構成方法について説明します。
SNAP-IX構成ツール
すべてのSNAP-IX製品構成は、xsnaadmin
プログラムを使用して実行されます。 このツールはグラフィカル・インタフェースを提供するX-Windowsアプリケーションで、現在のSNAP-IX構成およびローカルSNAノードの現在の実行状態の表示と変更が可能です。
ゲートウェイ用のSNAP-IXプロファイルの作成
Oracle Database Gateway for APPCには、ゲートウェイとゲートウェイ・サーバー間の接続をサポートするために、サイド情報プロファイルと呼ばれる定義のストアド・セットが必要です。 各プロファイルは、プロファイル名と、プロファイルを記述するフィールドのセットであるプロファイル・タイプで構成されます。 指定されたプロファイル・タイプのフィールドは、一般に、操作パラメータ値と、プロファイルに関連する他のSNAプロファイルの名前の組み合わせです。 モード、リモート・トランザクション・プログラム名、論理装置(LU)など、APPCの各機能部分は、個別のプロファイル・タイプで記述されています。
独立LUと従属LU
ゲートウェイ構成は、独立または従属LUsのいずれかに対応できます。 従属LUを使用することを選択した場合、または従属LUの使用を制限する場合、ゲートウェイは正常に機能します。 従属LUが正しく定義されている場合は、ゲートウェイの構成を変更する必要はなく、ゲートウェイ・サーバーに変更を加える必要もありません。 ただし、複数のパラレル・セッションまたは会話をサポートしているため、ゲートウェイ用に独立したLUを使用することをお薦めします。 つまり、複数のOracleクライアント・アプリケーションを、独立したLUを介して同じゲートウェイ・サーバーと同時にアクティブにすることができます。
従属LUでは、独立LUと異なり、アクティブなセッションは1つのみサポートされます。 CP(ノードの制御ポイント)は、すでにアクティブな対話の背後で、ゲートウェイ・サーバーからの追加の対話リクエストをキューに入れます。 つまり、従属LUの場合、対話はシングル・スレッド対応です。
従属LUが運用に与える影響は、最初のクライアント・アプリケーションが、ゲートウェイを介してゲートウェイ・サーバーとの対話を開始できることです。ただしそのセッションがアクティブである間(クライアント・アプリケーションとトランザクションの設計によって数秒、数分、数時間のいずれになるかわかりません)、同一のゲートウェイ・サーバーとセッションを始めようとしている他のすべてのクライアント・アプリケーションは、前のセッションの終了を待機するため、動作が停止したように見えます。
本番用アプリケーションが実際に一度に1つの対話のみを使用する場合は問題ありません。 ただし、ある時点で、テストまたは他のアプリケーションの開発のために追加同時対話が必要になる可能性があります。 複数の対話には、追加の従属LUがリモート・ホスト上で定義される必要があります。 SNAP-IXには追加の構成エントリを追加する必要があります。 新しい従属LUを使用するには、追加のサイド情報プロファイルが必要です。 ゲートウェイ・インスタンスが作成され、新しいサイド情報プロファイルを使用するように設定されます。
サンプルのSNAP-IX定義
$ORACLE_HOME/dg4appc/sna
サブディレクトリには、xsnaadmin
で作成された、ゲートウェイ用のサンプルSNAP-IX定義ファイルが一式含まれています。 サンプル・ファイルは、sna_domn.cfg
とsna_node.cfg
です。 SNA定義はホストとSNAネットワークに固有です。 このため、サンプル定義は、ローカル・ホストとSNAネットワークに合せて変更しないと機能しません。
SNAP-IXの構成
この項では、xsnaadmin
を使用してSNAP-IX用のSNA定義を作成するプロセスを説明します。 構成はすべて、xsnaadmin
の各種のドロップダウン・メニューとパネルを使用して行われます。 次の構成手順の説明は、提供されているサンプルに従っています。 使用するローカル・ホストとSNAネットワークに合せて各種のSNA値を変更してください。
xsnaadminの起動
xsnaadmin
を呼び出すには次のコマンドを使用します。 DISPLAY
環境変数を正しく設定する必要があります。 ローカル・コンソールからxsnaadmin
を実行する場合、DISPLAY
はすでに設定されているはずです。 リモートのXからxsnaadmin
を実行する場合、DISPLAY
をディスプレイのホスト名またはIPアドレスに設定します。
$ DISPLAY=<your_display>:0
$ export DISPLAY
$ xsnaadmin &
xsnaadmin
を起動するとメイン画面が開き、ローカルSNAノードの現在の構成が表示されます。
SNAノードの構成
SNAノードを構成するには、次の操作を行います。
- Servicesメニューから、Configure Node Parametersを選択します。
- Node Parametersダイアログ・ボックスで、APPNサポート・タイプ、制御ポイント名、制御ポイントの別名およびノードIDを必要に応じて入力します。 制御ポイント名は、SNAネットワーク名とローカル・ホストのCP名で構成されています。
- OKをクリックします。
ポートの追加
新しいポートを追加するには、ServicesメニューからConnectivity and New Portを選択します。
- Add to Nodenameダイアログ・ボックスで、使用するポートとタイプを選択し、OKをクリックします。
- SAPダイアログ・ボックスで、ポート名とネットワーク・カード番号を入力します。 ポート名は、使用する物理ネットワーク・カードに論理名を付けるため、およびSNAプロトコル用のサービス・アクセス・ポートをカードにバインドするために使用されます。 通常、ダイアログ・ボックスに入力されている値をそのまま使用できます。 ただし異なるネットワークカードが必要な場合は、
dmesg
コマンドでレポートされるカード番号を入力します。 - OKをクリックします。
リンク・ステーションの作成
ポートを定義したら、リンク・ステーションを作成する必要があります。 リンク・ステーションはゲートウェイ・サーバーのリモート・ホストのSNAノードを表します。 ただし、次の手順に従ってリモート・ノード定義を作成してからでないとリンク・ステーションを作成できません。
-
Servicesメニューから、APPC and Add Remote Nodeを選択します。
-
ダイアログ・ボックスで、リモート・ノードのSNA CPNAMEを入力し、OKをクリックします。
これで、リンク・ステーションを次のように作成できます。
- Servicesメニューから、Connectivity and New Link Stationを選択します。 ダイアログ・ボックスで、前に定義されたポートを選択してOKをクリックします。
- Link Stationダイアログ・ボックスで、リンク・ステーション名を入力し、SNAポート名、リンクのアクティブ化タイプおよびLUトラフィック・タイプを選択します。 柔軟性を最大にするには、Anyオプションを選択します。
- Independent LU trafficには、リモート・ノード名を指定します。 「リモート・ノード」をクリックし、以前に作成したノードを選択し、OKをクリックします。 リモート・ノード(通常はネットワーク・ノード)のタイプを選択します。
- 従属LUトラフィックでは、リモート・ノードのロール(通常はhost)、ローカル・ノードID、およびオプションでリモート・ノードIDを選択します。
- 連絡先情報を指定します。 連絡先情報には、リモート・ホストのMACアドレスとSAP番号が含まれます。
- リンク・ステーションのその他のパラメータを設定するには、Advancedをクリックします。 Token Ring Parametersダイアログ・ボックスに、リンク・ステーションのその他のパラメータが表示されます。 これらのパラメータは、初期XID連絡先と再転送の回数および上限を変更します。 通常、デフォルト値を変更する必要はありません。
- OKをクリックします。
ローカルLUの作成
リモート・ノード定義を作成したら、ローカル・ホストのローカルLU名を次のように作成します。
- Servicesメニューから、APPC and New Local LUを選択します。 local LUダイアログ・ボックスで、ローカルLUの名前と別名を入力します。 この名前は、UNIXホストのリモート・ゲートウェイ・サーバー・ホスト上でのVTAM定義に対応している必要があります。
- OKをクリックします。
モード・プロファイルとCPI-Cプロファイルの作成
- Servicesメニューから、APPC and Modesを選択します。 Modesダイアログ・ボックスで、Newをクリックして新しいモードを追加します。
- Modeダイアログ・ボックスで、モード名やその他のセッション・パラメータを入力します。 ゲートウェイ・モードの推奨名は
CICSPGA
です。 適切なモード・パラメータは、リモート・ホストのシステム管理者に問い合せてください。 - OKをクリックします。
- モードを定義したら、ゲートウェイが接続名として使用するCPI-Cサイド情報プロファイルを作成します。 メニューから、APPC and CPI-Cを選択します。
- CPI-C destination namesダイアログ・ボックスで、Newをクリックして新しいプロファイルを追加します。
- CPI-C destinationダイアログ・ボックスで、プロファイル名、ローカルLU名、パートナTP、パートナLUとモードおよびセキュリティ・オプションを入力します。 パートナTP名は、ホスト・トランザクション・プログラムの名前、またはTIPでオーバーライドされるダミー値です。
- Local LUの場合、特定のLUを指定することも、デフォルトLUを選択することもできます。 パートナLUには、完全なLU名または前に作成された別名を入力します。
- モード名には
ORAPLU62
と入力します。 これらのセッションが使用するセキュリティのタイプを選択します。 これは、セッションの認証方法に影響を与えます。 - OKをクリックします。
接続のテスト
ゲートウェイ構成タスクに進む前に、接続が機能しているかどうか確認します。 それにはSNAP-IX Nodeを開始し、次に個別のリンク・ステーションを起動します。
「図8-1」は、リモート・ホスト上のSNAP-IX定義とVTAM定義との関係を示します。
図8-1 SNAP-IX定義とホストVTAM定義の関係
「図8-1 SNAP-IX定義とホストVTAM定義の関係の説明」