2.8 状態チェック・データの収集および使用

Oracle Application Express 4.2のOracle Health Check Collections Managerは、状態チェック収集データの企業全体ビューを提供します。

2.8.1 ログイン時のユーザーの選択的取得

ユーザー詳細を取得し、それらのユーザーにOracle Health Check Collections Managerロールを割り当てるようにOracle Health Check Collections Managerを構成します。

ログイン時にユーザーを自動的に取得することで、ユーザー管理が自動化されます。ユーザーを手動で作成する必要はありません。

デフォルトで、Oracle Health Check Collections Managerは次のことを実行します。
  • LDAP認証を使用してログインしているユーザーの詳細を取得します。

  • DBAロールなど、Oracle Health Check Collections Managerロールをそれらに割り当てます。

ノート:

Oracle Health Check Collections Managerロールは、Oracle Health Check Collections Manager固有のロールで、システム権限と同等ではありません。たとえば、DBAロールはSYSDBAシステム権限を付与されていません。

ただし、自動取得を無効にし、後でいつでも再度有効にすることができます。無効にした場合、手動でユーザーを作成し、それらのユーザーにロールを割り当てる必要があります。

ユーザー詳細の自動取得を有効または無効にするには:

  1. 管理をクリックし、ユーザー、ユーザー・ロールの管理、およびユーザーへのシステムの割当てを選択します。

    図2-8 ユーザー、ユーザー・ロールの管理、およびユーザーへのシステムの割当て

    図2-8の説明が続きます
    「図2-8 ユーザー、ユーザー・ロールの管理、およびユーザーへのシステムの割当て」の説明
  2. ユーザー詳細の自動取得を無効にするには、ユーザー詳細を取得しない(ログイン時)をクリックします。

    図2-9 ユーザー詳細を取得しない(ログイン時)

    図2-9の説明が続きます
    「図2-9 ユーザー詳細を取得しない(ログイン時)」の説明
  3. ユーザー詳細の自動取得を再度有効にするには、ユーザー詳細の取得(ログイン時)をクリックします。

    図2-10 ユーザー詳細の取得(ログイン時)

    図2-10の説明が続きます
    「図2-10 ユーザー詳細の取得(ログイン時)」の説明

2.8.2 事業単位へのシステムの一括マッピング

Oracle Health Check Collections Managerでは、多数のシステムを事業単位に迅速にマッピングできるようにXML一括アップロード・オプションが提供されます。

事業単位にシステムを一括でマッピングするには:

  1. 管理をクリックし、事業単位へのシステムの割当てを選択します。

    図2-11 事業単位へのシステムの割当て

    図2-11の説明が続きます
    「図2-11 事業単位へのシステムの割当て」の説明
  2. 一括マッピングをクリックします。

    図2-12 一括マッピング

    図2-12の説明が続きます
    「図2-12 一括マッピング」の説明
  3. マッピングXMLをアップロードします。
    1. XMLファイル(現在のマッピング)の生成をクリックします。
    2. 事業単位への現在のシステムのマッピングが含まれる、結果のXMLファイルをダウンロードします。

      図2-13 マッピングXMLのアップロード

      図2-13の説明が続きます
      「図2-13 マッピングXMLのアップロード」の説明
    3. 必要なマッピングが表示されるようにXMLを修正します。
    4. マッピング(XMLファイル)のアップロードを使用して新しいマッピングXMLをアップロードします。

2.8.3 古い収集の消去の調整または無効化

Oracle Health Check Collections Manager収集データの消去スケジュールを変更するか無効にします。

デフォルトでは、Oracle Health Check Collections Managerは3か月より古い収集を消去します。

収集の消去頻度を調整したり無効にするには:

  1. 管理をクリックし、電子メール・サーバーおよびジョブ詳細の管理を選択します。

    図2-14 電子メール・サーバーおよびジョブ詳細の管理

    図2-14の説明が続きます
    「図2-14 電子メール・サーバーおよびジョブ詳細の管理」の説明
  2. 適切なオプションを選択します。
    • 消去の頻度に別の値を設定することで、消去の頻度を変更します。次に、クリックして次の頻度で消去をクリックします。

    • 消去を無効にするには、クリックして消去を無効化をクリックします。

    • 消去を再度有効にするには、クリックして消去を有効化をクリックします。

2.8.4 収集の自動アップロード

チェック結果をOracle Health Check Collections Managerデータベースに自動的にアップロードするようにOracle ORAchkおよびOracle EXAchkを構成します。

データベースに接続するための接続文字列およびパスワードを指定します。Oracle Health Check Collections Managerは、暗号化されたウォレットに接続詳細を格納します。

チェック結果を自動的にアップロードするようにOracle ORAchkおよびOracle EXAchkを構成するには:

  1. –setdbuploadオプションを使用して、接続詳細を指定します。デフォルト・オプションの場合は、–setdbupload allを使用します。
    orachk -setdbupload all
    exachk -setdbupload all

    Oracle Health Check Collections Managerにより、接続文字列およびパスワードの値を入力するよう要求されます。Oracle Health Check Collections Managerでは、これらの値は暗号化されたウォレット・ファイルに格納されます。

  2. –getdbuploadオプションを使用して、ウォレットに設定されている値を確認します。
    orachk –getdbupload
    exachk –getdbupload

    Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkは、RAT_UPLOAD_USER環境変数とRAT_ZIP_UPLOAD_TABLE環境変数に設定されているデフォルト値を自動的に使用します。

  3. –checkdbuploadオプションを使用して、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkがデータベースに正常に接続しているかどうかを確認します。
    orachk –checkdbupload
    exachk –checkdbupload
  4. Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkのチェック結果のデータベース・アップロードを設定します。
    orachk -setdbupload all
    exachk -setdbupload all

    ノート:

    前述の例に示したように、接続文字列の完全修飾アドレスを使用します。tnsnames.oraファイルの別名は使用しないでください。

    完全修飾アドレスを使用すると、ツールを実行しているすべてのサーバーでtnsnames.oraファイル名解決に依存する必要がなくなります。

  5. Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkのデータベース・チェック結果のアップロードを確認します。
    orachk -getdbupload
    exachk -getdbupload

例2-1 Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkのチェック結果のアップロードの確認

$ ./orachk -checkdbupload

Configuration is good to upload result to database.

状態チェック収集の最後に、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkは、必要な接続詳細が(ウォレットまたは環境変数内に)設定されているかどうかを確認します。接続詳細が正しく設定されている場合、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkは収集結果をアップロードします。

多数のOracle ORAchkおよびOracle EXAchkインスタンスを構成するには:

  1. -setdbupload allオプションを指定してウォレットを1回作成し、要求されたら値を入力します。

  2. 結果としてのウォレット・ディレクトリを各Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkインスタンス・ディレクトリにコピーします。

ウォレット・ディレクトリの場所を指すように、環境変数RAT_WALLET_LOCを設定することもできます。

その他の構成可能なアップロード値は次のとおりです。
  • RAT_UPLOAD_USER: どの権限のユーザーが接続するかを制御します(デフォルトはORACHKCM)。

  • RAT_UPLOAD_TABLE: 圧縮されていない収集結果を格納する表名を制御します(デフォルトでは使用されません)。

  • RAT_PATCH_UPLOAD_TABLE: 圧縮されていないパッチ結果を格納する表名を制御します(デフォルトでは使用されません)。

  • RAT_UPLOAD_ORACLE_HOME: 接続の確立およびアップロード時に使用されるORACLE_HOMEを制御します。

    デフォルトでは、ORACLE_HOME環境変数は、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkが検出したOracle Grid InfrastructureのGridホームに設定されます。

RCA13_DOCS: RCA13_DOCSはOracle Health Check Collections Managerが検索する表であるため、Oracle Health Check Collections Managerを使用するように構成できません。

RAT_UPLOAD_TABLEおよびRAT_PATCH_UPLOAD_TABLE: 圧縮された収集詳細はRCA13_DOCSに格納されるため、デフォルトでは使用されません。

収集結果の表示に独自のカスタム・アプリケーションを使用している場合は、RAT_UPLOAD_TABLE環境変数とRAT_PATCH_UPLOAD_TABLE環境変数を構成します。

これらの値をウォレットに設定することもできます。

次に例を示します。
$ ./orachk -setdbupload all
$ ./exachk -setdbupload all

これにより、RAT_UPLOAD_CONNECT_STRINGおよびRAT_UPLOAD_PASSWORDの入力および設定を求められるため、次を使用します。

$ ./orachk -setdbupload RAT_PATCH_UPLOAD_TABLE,RAT_PATCH_UPLOAD_TABLE
$ ./exachk -setdbupload RAT_PATCH_UPLOAD_TABLE,RAT_PATCH_UPLOAD_TABLE

ノート:

または、環境変数を使用して、すべての値をウォレットに設定します。環境変数RAT_UPLOAD_CONNECT_STRINGを使用して値を設定する場合は、値を二重引用符で囲みます。

次に例を示します。
export RAT_UPLOAD_CONNECT_STRING="(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=myserver44.example.com)(PORT=1521))(CONNECT_DATA=(SERVER=DEDICATED)(SERVICE_NAME=orachkcm.example.com)))"

2.8.5 失敗したアップロードの表示および再試行

失敗したアップロードを表示し、それらのアップロードを再試行するようにOracle ORAchkおよびOracle EXAchkを構成します。

これらのツールは、前のデータベース・アップロードが成功したかどうかを記録するために、値をcollection_dir/outfiles/check_env.outファイルに格納します。

次の例は、データベース・アップロードが設定されたが、最後のアップロードが失敗したことを示しています。
DATABASE_UPLOAD_SETUP=1
DATABASE_UPLOAD_STATUS=0

失敗したアップロードを表示および再試行するには:

  1. 失敗した収集を表示するには、-checkfaileduploadsオプションを使用します。
    ./orachk -checkfaileduploads
    ./exachk -checkfaileduploads
    次に例を示します。
    $ ./orachk -checkfaileduploads
    
    List of failed upload collections
    /home/oracle/orachk_myserver_042016_232011.zip
    /home/oracle/orachk_myserver_042016_231732.zip
    /home/oracle/orachk_myserver_042016_230811.zip
    /home/oracle/orachk_myserver_042016_222227.zip
    /home/oracle/orachk_myserver_042016_222043.zip
    
  2. 収集のアップロードを再試行するには、-uploadfailedオプションを使用します。
    次のように、allを指定してすべての収集をアップロードするか、収集のカンマ区切りリストを指定します。
    ./orachk -uploadfailed all|list of failed collections
    ./exachk -uploadfailed all|list of failed collections
    次に例を示します。
    ./orachk -uploadfailed "/home/oracle/orachk_myserver_042016_232011.zip, /home/oracle/orachk_myserver_042016_231732.zip"

    ノート:

    SQL一意制約のため、前にアップロードされた収集をアップロードすることはできません。

2.8.6 ユーザー定義のチェックの作成

ユーザー環境固有のユーザー独自のチェックを定義、テストおよび保持します。

オラクルでは、ユーザー定義のチェックの作成および実行用フレームワークをサポートしていますが、チェックのロジックはサポートしていません。ユーザー定義のチェックのテスト、検証、作成、保守およびサポートはユーザー自身の責任で行ってください。実行時に、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkスクリプトはユーザー定義のチェックを実行し、HTMLレポートの「User Defined Checks」セクションに結果を表示します。

ユーザー定義のチェックは、Oracle Health Check Collections Managerスキーマに格納され、ORAchkスクリプトと同じ場所に配置されているXMLファイルに出力されます。システム上で実行されている場合、ORAchk 12.1.0.2.5以降では、XMLファイルを検出しようとします。検出されると、Oracle ORAchkは、そこに含まれているチェックを実行し、その結果を標準のHTMLレポートに含めます。

ユーザー定義のチェックを作成するには:

  1. ユーザー定義のチェック・タブをクリックし、新規チェックの追加を選択します。

    図2-16 ユーザー定義のチェック・タブ

    図2-16の説明が続きます
    「図2-16 ユーザー定義のチェック・タブ」の説明
  2. 監査チェック・タイプとしてOSチェックまたはSQLチェックを選択します。

    オペレーティング・システム・チェックでは、システム・コマンドを使用して、チェック・ステータスを判別します。SQLチェックでは、SQL文を実行して、チェック・ステータスを判別します。

    図2-17 ユーザー定義のチェック・タブ - 監査チェック・タイプ

    図2-17の説明が続きます
    「図2-17 ユーザー定義のチェック・タブ - 監査チェック・タイプ」の説明

    監査チェック・タイプを選択すると、Oracle Health Check Collections Managerは適用可能なフィールドを更新します。

    作成中いつでも、フィールドのタイトルをクリックして、そのフィールド固有のヘルプ・ドキュメントを表示できます。

    オペレーティング・システムとSQLのコマンドがサポートされています。ユーザー定義のチェックをrootとして実行することはサポートされていません

    図2-18 ユーザー定義のチェック・タブ - 監査チェック・タイプ - OSチェック

    図2-18の説明が続きます
    「図2-18 ユーザー定義のチェック・タブ - 監査チェック・タイプ - OSチェック」の説明

    チェックが作成されると、そのチェックは使用可能な監査チェック・セクションにリストされます。

    このページのフィルタを使用して、チェックをフィルタします。

    図2-19 ユーザー定義のチェック・タブ - 使用可能な監査チェック

    図2-19の説明が続きます
    「図2-19 ユーザー定義のチェック・タブ - 使用可能な監査チェック」の説明
  3. XMLの生成をクリックします。

    右側で、生成されたuser_defined_checks.xmlファイルをダウンロードするリンクを見つけます。

    生成されたXMLファイルには、作成済かつ保留中でないチェックがすべて含まれます。チェックを保留にすることは、論理削除と同等です。チェックに問題がある場合、またはロジックが完全でない場合、そのチェックを保留にします。保留にしたチェックは、XMLファイルに含まれません。チェックの本番準備ができたら、保留を解除して、次回のXMLファイル生成時にそのチェックが含まれるようにします。

  4. user_defined_checks.xmlファイルをダウンロードし、Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkツールと同じディレクトリに保存します。

    Oracle ORAchkおよびOracle EXAchkは、次回実行時にユーザー定義のチェックを実行します。

    図2-20 ユーザー定義のチェック・タブ - ユーザー定義のチェックのダウンロード

    図2-20の説明が続きます
    「図2-20 ユーザー定義のチェック・タブ - ユーザー定義のチェックのダウンロード」の説明
  5. または、ユーザー定義のチェックのみを実行する場合は、プロファイルuser_defined_checksを使用します。
    このオプションが使用されると、実行されるチェックはユーザー定義のチェックのみとなり、ユーザー定義のチェック・セクションは、レポートで結果が表示される唯一のセクションとなります。
    ./orachk –profile user_defined_checks
    ./exachk –profile user_defined_checks
  6. 実行時にユーザー定義のチェックを除外するには、–excludeprofileオプションを使用します。
    ./orachk –excludeprofile user_defined_checks
    ./exachk –excludeprofile user_defined_checks

2.8.7 特権ユーザーを必要とするチェックの検出

ヘルス・チェック・カタログの特権ユーザー・フィルタを使用して、rootなどの特権ユーザーが実行する必要がある状態チェックを検出します。

ヘルス・チェック・カタログを表示する前に、Javascriptを有効にします。

特権ユーザーによって状態チェックをフィルタするには:

  1. My Oracle Supportノート1268927.2に移動します。
  2. ヘルス・チェック・カタログ・タブをクリックします。
  3. ORAchk状態チェック・カタログを開くをクリックして、ORAchk_Health_Check_Catalog.htmlファイルを開くかダウンロードします。
  4. 特権ユーザー・ドロップダウン・リストをクリックし、適宜チェック・ボックスを選択するかクリアします。

    図2-21 Oracle ORAchk - 特権ユーザー

    図2-21の説明が続きます
    「図2-21 Oracle ORAchk - 特権ユーザー」の説明

2.8.8 インシデント・チケットの作成または編集

個々のチェックまたは収集全体に対するインシデント・チケットを作成および編集します。

Oracle Health Check Collections Managerでは、様々な色のアイコンで各チケットのステータスを表現します。チケットの処理を実行するには、アイコンをクリックします。

2.8.8.1 インシデント・チケットの作成

インシデント・チケットを作成するには:

  1. 赤色のデルタ(Δ)記号をクリックします。
  2. チケット詳細を追加します。
  3. をクリックします。
  4. 製品および製品バージョンを選択します。
  5. をクリックします。
  6. チケットの緊急度を選択します。
  7. チケットの重大度を選択します。
  8. チケットのステータスを選択します。
  9. チケットのカテゴリを選択します。
  10. インシデントのサマリーおよび説明を入力します。
  11. チケットの作成をクリックします。

2.8.8.2 インシデント・チケットの編集

インシデント・チケットを編集するには:

  1. インシデント・タブをクリックします。
  2. チケットを開くをクリックします。
  3. チケットをクリックします。
  4. チケットの編集をクリックします。
  5. 必要な詳細を変更し、変更を適用をクリックします。

ノート:

収集タブまたは参照タブの緑色のデルタ記号をクリックして、インシデント・チケットを編集します。

2.8.9 「Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)」の表示

Linuxシステム上で、状態チェック・レポートの「Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)」セクションにVMPScanレポートのサマリーを表示します。

完全なVMPScanレポートは、collection/reportsおよびcollection/outfiles/vmpscanディレクトリでも使用できます。

図2-22 Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)

図2-22の説明が続きます
「図2-22 Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)」の説明

ノート:

VMPScanレポートは、Oracle ORAchkがLinuxシステム上で実行されている場合にのみ含まれます。