7.4 Oracle Database QoS Managementの実装例

ここでは、Oracle Database QoS Managementの実装例について説明します。Oracle Database QoS Managementがパフォーマンスを管理するプロセスについて説明します。

7.4.1 デモ・システムの説明

実装例では、Linux上で実行されている4ノード・クラスタを使用します。

ノードの名前はtest_rac1からtest_rac4までです。通常の操作では、各ノードは次の処理を行います。

ノード 用途 サービス

test_rac1

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureとbackofficeデータベースの最初のデータベース・インスタンスを実行します。

HRおよびERP

test_rac2

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureとbackofficeデータベースの2つ目のデータベース・インスタンスを実行します。

HRおよびERP

test_rac3

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureとonlineデータベースの最初のデータベース・インスタンスを実行します。

SalesおよびSales_Cart

test_rac4

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureとonlineデータベースの2つ目のデータベース・インスタンスを実行します。

SalesおよびSales_Cart

クラスタは、次の制約のある2つのサーバー・プールに論理的に分割されます。

名前 最小サイズ 最大サイズ 現在のサイズ 重要度

backoffice

1

-1

2

1

online

1

-1

2

2

Free

0

-1

0

0

ここで示すサーバー・プール制約は、少なくとも1台のサーバーが各サーバー・プール(およびそれらのサーバー・プールで実行されるデータベース)に割り当てられ、残りのサーバーはサービス・レベルを管理するためにオンデマンドで共有できることを保証します。onlineサーバー・プールは、「重要度」の値が最高であるため、最もクリティカルなワークロードをホストします。サーバー障害が発生した場合、onlineサーバー・プールの最小サイズの維持が、他のサーバー・プールの最小サイズの維持よりも優先されます。

7.4.2 システム・ワークロードの説明

データベースの多くの異なるタイプのワークロードがあります。

このリリースのOracle Database QoS Managementは、OLTPワークロードの管理に重点を置いています。このタイプは、オープン・ワークロード(システム・パフォーマンスが低下した場合でも要求が一定のワークロード)が発生する可能性が最も高く、ワークロードの急増による停止に対して脆弱です。このデモでは、同じクラスタでホストされている内部ワークロードと外部ワークロードの組合せがあり、リソースを共有できることを想定しています。

このデモ・システムには、図7-1に示すように4種類のワークロードがあります。

  • ERPサービスを使用してbackofficeサーバー・プールのデータベース・インスタンスに接続するJ2EEに基づくERPアプリケーション

  • HRサービスを使用してbackofficeサーバー・プールのデータベース・インスタンスに接続するOracle C Interface(OCI)に基づく内部HRアプリケーション

  • Salesサービスを使用してonlineサーバー・プールのデータベース・インスタンスに接続するJ2EEに基づく外部Salesアプリケーション

  • Salesサービスを使用してonlineサーバー・プールの特定のデータベース・ユーザーを介してデータベース・インスタンスに接続するJ2EEに基づく外部販売チェックアウト・アプリケーション(Sales Cart)

図7-1 サンプル・ワークロードの図

図7-1の説明が続きます
「図7-1 サンプル・ワークロードの図」の説明

2つのサーバー・プールを使用することで、ワークロードとそれらの依存データベースは論理的に分離されますが、それらの間でリソースを簡単に共有できます。

7.4.3 初期のOracle Database QoS Management構成

Oracle Database QoS Managementを使用する前に、構成する必要があります。

最初、このシステムにはOracle Database QoS Managementが構成されていません。Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、クラスタに対してOracle Database QoS Managementを有効にするために完了する2つの構成ワークフローがあります。最初のワークフローでは各データベースをOracle Database QoS Management用に構成し、2つ目のワークフローではクラスタに対してOracle Database QoS Managementを構成および有効化します。

デフォルトのポリシー・セットを作成した後で、自動的に検出されるデータベース・サービスを使用して、Oracle Database QoS Managementを微調整してそれぞれのサービス・レベル合意または目標にワークロードを合せることができます。