29 クラウドへのOracle Databaseのバックアップ
パブリック・クラウドなどのオフサイトの格納場所を使用することは、Oracle Databaseのバックアップ計画の重要な部分です。クラウド・バックアップはインターネットから常にアクセス可能で、必要なときにすぐリカバリに使用できます。
29.1 RMANを使用したクラウドへのオンプレミスのOracle Databaseのバックアップについて
RMANは、Oracle Cloud、Microsoft Azure Blob StorageおよびAmazon Web Servicesに直接バックアップできます。使用するクラウド・ストレージ・プロバイダへのサブスクリプションを取得してから、RMANを構成してクラウドの格納先に直接バックアップします。
Oracle Database Cloud Backupモジュールは、RMANがクラウド・サービスを使用して直接バックアップおよびリストアできるようにする、オラクル提供のメディア管理ソフトウェアです。Oracle Database 19cリリース更新バージョン27 (19.27)以降では、Oracle Databaseをインストールした後に、Oracleホーム・ディレクトリにあるバックアップ・モジュール・インストーラ・ファイルが使用可能になります。
ターゲット・データベース・サーバーに、使用するクラウド・バックアップの保存先に対応するOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールします。たとえば、Oracle DatabaseをAzure Blob Storageにバックアップするには、ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定する必要があります。
RMANは、SBT (テープ)チャネルを使用してクラウド・ストレージにバックアップを作成します。SBTチャネルを構成する場合は、クラウド・バックアップ・モジュールに対応するSBTライブラリも指定する必要があります。
Oracle Database 19cリリース更新バージョン28 (19.28)以降では、各SBTライブラリに事前定義済の別名が付いています。たとえば、oracle.azureは、Azure Blob StorageのSBTライブラリです。ネイティブSBTライブラリの別名を指定する(推奨)か、Oracleホーム・ディレクトリにあるライブラリ・ファイルへの絶対パスを指定できます。
ノート:
Oracle Database 19cリリース更新バージョン26 (19.26)以前のバージョンの場合は、オペレーティング・システム固有のクラウド・バックアップ・モジュールをMy Oracle Supportパッチ番号37855779からダウンロードしてください。
バックアップ・モジュール・インストーラを実行して、RMANがクラウド・ストレージにアクセスするために必要な認証を設定します。インストーラの実行中にライブラリをダウンロードするのではなく、パッチに含まれているSBTライブラリを使用する必要があります。
バックアップ・モジュールをインストールしてSBTチャネルを構成したら、選択したクラウド・バックアップの保存先に対して、RMANユーティリティを使用してバックアップおよびリストアを実行できます。
- 使用するクラウド・ストレージ・サービスのサブスクリプションを取得します。選択したクラウド・サービスに関連付けられたアクティブなアカウントおよび資格証明が必要です。
RMANは、次の一般的なクラウド・サービスを使用したバックアップおよびリストアをサポートしています:
- Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storage
- Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storage Service
- Microsoft Azure Blob Storage
- Amazon Simple Storage Service (S3)
- ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールします。
バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイルは、データベース・インストールの一部としてOracleホーム・ディレクトリで使用可能になります。
- RMAN SBT (テープ)チャネルを構成し、選択したクラウド・サービスでのバックアップおよびリストア操作用のSBTライブラリを指定します。
- RMANを使用して、クラウドに直接バックアップおよびリストアします。
29.2 Oracle Database Cloud BackupモジュールおよびRMAN SBTライブラリ
クラウドにバックアップを作成するには、Oracle Database Cloud Backup Moduleをインストールまたは設定し、関連するSBTライブラリを使用してRMAN SBTチャネルを構成する必要があります。
表29-1 Oracle Database Cloud Backup ModuleとRMAN SBTライブラリのマトリックス
| バックアップの保存先 | インストール/設定 | インストーラ・ファイル/設定ツールの使用 | SBT_LIBRARY |
|---|---|---|---|
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Oracle Cloud Infrastructureオブジェクト・ストレージ |
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Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Service |
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Microsoft Azure Blob Storage |
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Amazon Simple Storage Service (S3) (AWS) |
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29.3 クラウド・バックアップ用にRMANを構成するための一般的なワークフロー
クラウドのバックアップおよびリストア用にRMANを設定するには、このワークフローを参照してください。
表29-2 クラウドのバックアップおよびリストア用にRMANを設定するためのタスク・ワークフロー
| ステップ | 説明 | 詳細情報 |
|---|---|---|
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クラウド・サービス・アカウントの取得 |
選択したクラウド・サービス・プロバイダ(Oracle Cloud (OCI)、Microsoft Azure Blob StorageまたはAmazon S3 (AWS))のアカウントを作成します。 選択したクラウド・サービスでRMAN操作を認証するには、クラウド・サービス・アカウントの詳細が必要です。 |
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前提条件の確認 |
サポートされているOracle Databaseのバージョンおよび各クラウド・バックアップ・モジュールに固有の要件を確認します。 |
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必要なOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールまたは設定します。 |
ターゲット・データベースのOracleホーム・ディレクトリから、Oracle Database Cloud Backup Moduleインストーラ・ファイルにアクセスします。 |
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RMAN環境を構成して、クラウドのバックアップおよびリストアの永続的な設定を作成します。 |
RMANの |
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RMANの暗号化の構成 |
RMANの暗号化を構成します。RMANデータベース・バックアップをクラウドに送信する前に暗号化することをお薦めします。 |
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RMAN圧縮の構成(オプション) |
RMANデータベース・バックアップをクラウドに送信する前に、サイズが小さくなるように圧縮を構成します。 |
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RMANを使用したクラウドのバックアップおよびリカバリ操作の実行 |
RMANをターゲットOracle Databaseに接続します。RMANコマンドを使用して、クラウドにバックアップを作成し、クラウドのバックアップをリストアします。 |
29.4 クラウド・バックアップの管理インタフェース
クラウドのバックアップ操作を管理するには、次のいずれかのオプションを使用できます。
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RMANインタフェース
RMANコマンドライン・インタフェースを使用して、使い慣れたコマンドを実行し、オンデマンドでバックアップを行います。cronユーティリティを使用して、自動化されたバックアップ・ジョブを作成することもできます。
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Oracle Enterprise Manager Cloud Control
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、バックアップ・モジュールを構成し、バックアップおよびリカバリの操作を実行します。
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サード・パーティ・ツール
CloudBerry Labのクラウド・バックアップ・ソリューションなどのサードパーティ・ツールを使用します。
https://www.cloudberrylab.com/backup.aspxを参照してください。