A Oracle Data Guard Brokerのアップグレードとダウングレード

これらのトピックを使用して、ブローカ構成でOracleデータベースおよびOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)をアップグレードまたはダウングレードします。

A.1 Oracle Database 11gリリース2 (11.2)からOracle Database 12cへのアップグレード

現在、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)でOracle Data Guardを実行している場合、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストール・ドキュメントを使用して、データベース・ソフトウェアをOracle Database 12cリリース1 (12.1)またはOracle Database 12cリリース2 (12.2)にアップグレードできます。

次のステップでは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)を使用しますが、かわりにOracle Database 12cリリース1 (12.1)を使用することもできます。

  1. 次のDGMGRLコマンドを発行して、ファスト・スタート・フェイルオーバーを無効化します。

    DGMGRL> DISABLE FAST_START FAILOVER;
    
  2. Oracle Data Guard Brokerを停止します。

    1. 次のDGMGRLコマンドを発行して、Oracle Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を無効化します。

      DGMGRL> DISABLE CONFIGURATION;
      
    2. 次のSQL*Plus文を発行してブローカを停止します。

      SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=FALSE;
      
  3. 初期化パラメータDG_BROKER_CONFIG_FILE1およびDG_BROKER_CONFIG_FILE2で示しているように、現行のブローカ構成ファイルのコピーを作成します。

  4. Oracle DatabaseソフトウェアをOracle Database 12cリリース2 (12.2)にアップグレードします。アップグレード・ステップについては、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。

    Oracle Database 12cリリース2 (12.2)上で実行するブローカ構成を管理および監視するには、DGMGRLコマンドライン・インタフェースもアップグレードする必要があります。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)上で実行するDGMGRLを使用して、Oracle Database 10gまたはOracle Database 11g上で実行するOracle Data Guardを管理することはできません。

    ノート:

    Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の既存のDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)で利用できるDGMGRLコマンドライン・インタフェースでサポートされています。

  5. Oracle Database 12cリリース2 (12.2)にアップグレード後、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)にアップグレードされたData Guard構成内のすべてのデータベースで、ブローカを起動します。次に例を示します。

    1. 次のSQL*Plus文を発行してブローカを起動します。

      SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=TRUE;
      
    2. 次のコマンドを発行して、制御ファイルのロールがプライマリであるデータベースのOracle Data Guard構成でブローカによるデータベースのアクティブ管理を有効にします。

      DGMGRL> ENABLE CONFIGURATION;

    ブローカがOracle Database 12cリリース2 (12.2)上で初めて起動したとき、ブローカはOracle Database 11gリリース2 (11.2)ブローカ構成ファイルの存在を検出します。それらは、自動的にアップグレードされ、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)で導入された新しいプロパティも含められます。この自動変換は透過的かつ永続的であり、1回のみ実行されます。

ノート:

アップグレード前に起動されたオブザーバは自動的に停止し、アップグレードの完了後は構成を監視できなくなります。Oracle Database 12cバージョンのOracleオブザーバ・ソフトウェアを使用して、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上で実行するOracle Databaseを監視する必要があります。

A.2 DBMS_ROLLINGパッケージ使用時の考慮事項

Oracle Databaseバージョン12.2から上位のデータベース・バージョンにアップグレードする場合は、ブローカ管理を有効な状態のままにすることができます。ただし、いくつかの考慮事項に留意する必要があります。

考慮事項を次に示します。

  • ブローカ構成ファイルは、リリースに依存しない場所に配置し、アップグレード処理中に常時アクセスできるようにする必要があります。

  • 先行グループ・メンバーのアップグレード後、アップグレード処理を続行する前に、先行グループと後続グループ間のブローカ通信が成功していることを確認します。

    ネットワーク・ファイルをアップグレードされたORACLE_HOMEに移動していない場合、または適切に編集する必要がある場合は、通信が中断されることがあります。そのような場合は、アップグレードされたデータベース(一時ロジカル・スタンバイおよび先行グループの他のスタンバイ・データベース)を停止して、リスナーを停止し、listener.oraおよびtnsnames.oraをコピーするか適切に修正してリスナーを再起動し、データベースを再起動します。

  • DBMS_ROLLINGプロシージャを実行する前に、フィジカル・スタンバイ・データベースがActive Data Guardモードで動作している必要があります。

    フィジカル・スタンバイ・データベースがマウント・モードでのみ動作していて、プライマリ・データベースがマルチテナント・データベースの場合は、DBMS_ROLLINGパッケージのプロシージャを実行する前に、プライマリ・データベースをそのすべてのPDBを含めてオープンし、一時ファイルの構成を確認する必要があります。これにより、アップグレード処理中に、必要な一時ファイルが作成されて使用可能になります。

A.3 Oracle Database 12cからのダウングレード

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)またはOracle Database 12cリリース2 (12.2)へのアップグレードを完了していて、以前のリリースにダウングレードする場合は、データベース・リリースをダウングレードし、ブローカ構成を再作成する必要があります。

次のステップを実行します(次のステップでは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)を使用しますが、かわりにOracle Database 12cリリース1 (12.1)を使用することもできます)。

  1. Oracle Database 12cリリース2 (12.2)上で実行するEnterprise ManagerまたはDGMGRLを使用してOracle Database 12cリリース2 (12.2)ブローカ構成を削除します。たとえば、DGMGRL REMOVE CONFIGURATIONコマンドを使用できます。
  2. Oracle Databaseソフトウェアを以前のOracleリリースにダウングレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseのマニュアルを参照してください。
  3. Oracle Data Guard BrokerをOracle Database 11gリリース2 (11.2)にダウングレードするには、次のようにします。
    • Oracle Database 12cリリース2 (12.2)へのアップグレード後にブローカ構成に変更を加えていないことが明白である場合、アップグレード手順で作成したブローカ構成ファイルをコピーできます(Oracle Database 11gリリース2 (11.2)からOracle Database 12cへのアップグレードを参照)。続いて、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、そのコピーの作成時点で存在したとおりにブローカ構成を再度有効化します。

    • あるいは、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成できます。