5 計画停止時間用Oracle Database高可用性ソリューション

計画停止時間は、計画外停止時間と同様、業務に悪影響を及ぼします。これは、特に、複数のタイムゾーンのユーザーをサポートする必要がある、または顧客に24時間年中無休でインターネット・アクセスを提供する必要があるグローバル企業に当てはまります。

計画停止時間中にデータベースの可用性を高める方法について学習するには、次のトピックを参照してください。

計画メンテナンス用Oracle高可用性ソリューション

Oracleでは、すべての計画メンテナンスに対して高可用性ソリューションを提供しています。

次の表に、各種のOracle高可用性ソリューション、および様々なメンテナンス・アクティビティで予想される停止時間を示します。

表5-1 計画メンテナンス用Oracle高可用性ソリューション

メンテナンス・イベント 高可用性ソリューションとターゲットの停止時間

動的およびオンライン・リソース・プロビジョニングまたは

オンライン再編成および再定義

アプリケーションとデータベースの停止時間なし

『Oracle Database管理者ガイド』『Oracle Databaseリファレンス』(動的なパラメータを評価するため)、およびオンライン・データ再編成と再定義を参照してください

オペレーティング・システムのソフトウェアまたはハードウェアの更新とパッチ

データベースの停止時間なし(Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeローリングを使用)

データベースの停止時間は数秒から数分(Standby-First Patchの適用の後にData Guardスイッチオーバーを使用)

Oracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの個別パッチまたは診断パッチ

停止時間なし(データベース・オンライン・パッチ適用または停止時間なしのOracle Grid Infrastructureパッチ適用を使用)

データベースの停止時間なし(Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeローリングを使用)

アプリケーションの停止時間なし(MAAソリューションの継続的サービスのためのアプリケーション・チェックリストを使用)

データベースの停止時間は数秒から数分(Standby-First Patchの適用の後にData Guardスイッチオーバーを使用)

クリティカル・パッチ・アップデート(CPU)プログラムのOracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの四半期ごとの更新、またはOracle Grid Infrastructureリリースのアップグレード

データベースの停止時間なし(Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeローリングを使用)

アプリケーションの停止時間なし(MAAソリューションの継続的サービスのためのアプリケーション・チェックリストを使用)

停止時間は数秒から数分(Standby-First Patchの適用の後にData Guardスイッチオーバーを使用)

データベースOJVMを使用するアプリケーションのデータベースを四半期ごとにローリング更新する際には、特別な考慮事項が必要になります。詳細は、My Oracle Supportの"Oracle JavaVMコンポーネント・データベースPSU/RU" (OJVM PSU/RU)パッチのRACローリング・インストール・プロセス(ドキュメントID 2217053.1)を参照してください。

Oracle Databaseリリースのアップグレード(Oracle Database 11gから12.2、12.2から19cなど)

停止時間は数秒から数分(Data Guard一時ロジカルまたはDBMS_ROLLINGソリューションを使用)

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)

12.2以上のデータベース・リリースの場合はOracle Active Data GuardおよびDBMS_ROLLINGを使用した自動データベース・アップグレード、または古いリリースの場合はData Guardを使用したデータベースのローリング・アップグレードを参照してください。

Exadataデータベース・サーバーのソフトウェア更新

データベースの停止時間なし(Oracle RACローリングを使用)

アプリケーションの停止時間なし(MAAソリューションの継続的サービスのためのアプリケーション・チェックリストを使用)

停止時間は数秒から数分(Standby-First Patchの適用の後にData Guardスイッチオーバーを使用)

Exadataソフトウェアの更新を参照してください

Exadataストレージ・サーバーまたはExadataスイッチのソフトウェア更新

停止時間なし(Exadata patchmgrを使用)

Exadataソフトウェアの更新を参照してください

データベース・サーバーまたはOracle RACクラスタの変更(ノードの追加、ノードの削除、データベース・サーバーのCPUまたはメモリー・サイズの調整)

CPUの調整などの一部のハードウェアの変更は、データベース・サーバーを再起動することなくオンラインで行うことができます。ハードウェア固有のドキュメントを参照してください。

変更がオンラインでない場合

データベースの停止時間なし(Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeローリングを使用)

アプリケーションの停止時間なし(MAAソリューションの継続的サービスのためのアプリケーション・チェックリストを使用)

停止時間は数秒から数分(Standby-First Patchの適用の後にData Guardスイッチオーバーを使用)

アプリケーション・アップグレード

停止時間なし(エディション・ベースの再定義を使用)

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)

エディション・ベースの再定義およびOracle GoldenGateのドキュメントを参照してください

フリート全体のソフトウェア・メンテナンス・イベント

  • Oracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの個別パッチまたは診断パッチ
  • クリティカル・パッチ・アップデート(CPU)プログラムのOracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの四半期ごとの更新、またはOracle Grid Infrastructureリリースのアップグレード
  • Exadataデータベース・サーバーのソフトウェア更新
  • Exadataストレージ・サーバーまたはExadataスイッチのソフトウェア更新

次の高可用性ソリューションを活用して、フリート全体のソフトウェア・メンテナンス・イベントのターゲットの停止時間を実現する、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用します。

データベースの停止時間なし(Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeローリングを使用)

アプリケーションの停止時間なし(次の場合にMAAソリューションの継続的サービスのためのアプリケーション・チェックリストを使用)

  • Oracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの個別パッチまたは診断パッチ
  • クリティカル・パッチ・アップデート(CPU)プログラムのOracle DatabaseまたはGrid Infrastructureの四半期ごとの更新、またはOracle Grid Infrastructureリリースのアップグレード
  • Exadataデータベース・サーバーのソフトウェア更新

停止時間なし(Exadataストレージ・サーバーまたはExadataスイッチのソフトウェア更新の場合にExadata patchmgrを使用)

移行用高可用性ソリューション

Oracle MAAでは、データベース移行による停止時間を短縮するために複数のソリューションを推奨しています。

次の表は、移行のための高可用性ソリューションの概要を示しています。

表5-2 移行用高可用性ソリューション

メンテナンス・イベント 高可用性ソリューションとターゲットの停止時間

オンプレミスのOracle Exadata Database Machineまたは任意のOracle Databaseクラウド・サービス(Oracle Exadata Database Service on Cloud@Customerを含む)への移行

サポートされているサービスおよびプラットフォームの詳細なリストは、ゼロ・ダウンタイム移行を参照してください

次のものを提供するゼロ・ダウンタイム移行ツールを使用します。

  • RMANバックアップおよびリストアによる物理移行と、Oracle Data Guardを使用したオプションの低ダウンタイム・オプション。これは最も単純なターンキー移行ソリューションで、ソースとターゲットのシステム・プラットフォームが同じ(LinuxからLinuxなど)、およびデータベース・バージョンが同じ(Oracle Database 19cから19c)場合に最適です。

  • Oracle Data Pumpによる論理移行と、Oracle GoldenGateを使用したオプションの低ダウンタイム・オプションこれは、ソースとターゲットのシステム・プラットフォームが異なる(AIXからLinuxなど)、またはデータベースのメジャー・バージョンが異なる(Oracle Database 12cから19c)場合にデータベースを移行する唯一のオプションです。

Oracle Autonomous Databaseに移行するには、次のものを提供するOracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービス(またはゼロ・ダウンタイム移行ツール)を使用します

  • Data Pumpによるオフライン移行
  • Data PumpとOracle GoldenGateによるオンライン移行

異なるサーバーまたはプラットフォームへのデータベースの移行

停止時間は数秒から数分(特定のプラットフォームの組合せのOracle Data Guardを使用)

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)

Data Guardでは、同じプラットフォームのプライマリとスタンバイの組合せが常にサポートされます。異機種プラットフォームについては、同一Data Guard構成の異機種間プライマリおよびフィジカル・スタンバイに関するData Guardのサポート(Doc ID 413484.1)を参照してください

互換性のない文字セットへのデータベースの移行

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)

文字セット移行を参照してください

別のコンテナ・データベースへのプラガブル・データベースの移行

停止時間は数秒から数分(プラガブル・データベースの再配置(PDB再配置)を使用)

PDBの再配置を参照してください

新しい記憶域への移行

停止時間なし(Oracle Automatic Storage Managementを使用(ストレージに互換性がある場合))

特定のプラットフォームの組合せのOracle Data Guardを使用

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)

単一インスタンス・システムからOracle RACクラスタへのデータベースの移行

停止時間なし(Oracle RACを使用(可能な場合))。Oracle ClusterwareがインストールされたノードへのOracle RACの追加を参照してください

停止時間は数秒から数分(特定のプラットフォームの組合せのOracle Data Guardを使用)

停止時間なし(Oracle GoldenGateを使用)