NFS記憶域デバイスにマウントするDirect NFSクライアントについて
Direct NFSクライアントは、NFSクライアント機能をOracleソフトウェアに直接統合して、OracleとNFSサーバー間のI/Oパスを最適化します。この統合により、パフォーマンスが大幅に向上します。
Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーへのアクセスに、NFSv3、NFSv4、NFSv4.1およびpNFSプロトコルがサポートされています。また、Direct NFSクライアントにより、データベース・ワークロード用のNFSクライアント構成のパフォーマンスの最適化が簡略化され、多くの場合自動化されます。
Oracle Database 12cリリース2以降、Direct NFSを有効にすると、Direct NFSディスパッチャも有効にすることができます。Direct NFSディスパッチャは、データベース・インスタンスからNFSサーバーに作成されたTCP接続の数を統合します。大規模なデータベース・デプロイメントでは、Direct NFSディスパッチャを使用すると、スケーラビリティおよびネットワーク・パフォーマンスが向上します。Parallel NFSデプロイメントでも、多数の接続が必要です。したがって、Parallel NFSデプロイメントでもDirect NFSディスパッチャの使用が推奨されます。
Direct NFSクライアントは、オペレーティング・システム・マウント・エントリまたはoranfstab
ファイルからNFSマウント・ポイントを取得できます。
Direct NFSクライアントの要件
-
Direct NFSクライアントを使用するには、NFSサーバーの書込みサイズ値(wtmax)を32768以上にする必要があります。
-
ファイル・サービスを提供するようにDirect NFSクライアントを構成しても、NFSマウント・ポイントは、オペレーティング・システム・カーネルNFSクライアントとDirect NFSクライアントの両方によってマウントされる必要があります。
Oracle DatabaseがDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーに接続できない場合、Oracle Databaseはオペレーティング・システム・カーネルNFSクライアントを使用してNFSサーバーに接続します。Oracle DatabaseがDirect NFSクライアントを介したNASストレージへの接続に失敗した場合、Direct NFSクライアント接続エラーに関する情報メッセージがOracleアラートおよびトレース・ファイルに記録されます。
-
オペレーティング・システムNFSとDirect NFSクライアントの両方によってマウントされるOracle Databaseファイルの整合性を維持するための標準的なガイドラインに従います。
Direct NFSマウント・ポイントの検索順序
Direct NFSクライアントでは、次の順序でマウント・エントリが検索されます。
-
$ORACLE_HOME/dbs/oranfstab
-
/var/opt/oracle/oranfstab
-
/etc/mnttab
Direct NFSクライアントでは、最初に検出されるエントリがマウント・ポイントとして使用されます。
ノート:
インスタンスごとにアクティブなNFSクライアントを1つのみ実装できます。インスタンスでDirect NFSクライアントを有効にすると、カーネルNFSクライアントなど、別のNFSクライアント実装は使用できなくなります。
関連項目:
-
初期化パラメータ・ファイルの
enable_dnfs_dispatcher
パラメータをDirect NFSディスパッチャを有効にするように設定する方法の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください -
Parallel NFSおよびDirect NFSディスパッチャを有効にした場合のパフォーマンスにおける利点については、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください
-
Direct NFSクライアントまたはカーネルNFSで作成されたOracle Databaseデータ・ファイルの管理に関するガイドラインは、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください