VSSを使用したデータベースのバックアップおよびリカバリの基本概念
VSSは、アプリケーションによるシャドウ・コピーの作成を可能にするWindowsサーバー・プラットフォーム上のインフラストラクチャです。
シャドウ・コピーは、明確に定義された時点においてボリュームまたはコンポーネントに保持されているデータの一貫性のあるスナップショットです。シャドウ・コピー・セットは、同時に取得されたすべてのシャドウ・コピーの集合です。VSSでは、永続的なグローバル一意識別子(GUID)によって各シャドウ・コピーおよびシャドウ・コピー・セットを識別します。
VSSにより、VSSアプリケーションを実行するための次のインフラストラクチャが提供されます。
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シャドウ・コピーの作成および使用時におけるリクエスタ、プロバイダおよびライターのアクティビティの調整
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デフォルトのシステム・プロバイダの提供
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プロバイダの実行に必要な低レベルのドライバ機能の実装
VSSリクエスタは、VSSサービスにシャドウ・コピーの作成をリクエストするアプリケーションです。通常、VSSリクエスタはバックアップ・アプリケーションです。リクエスタは、ライターと通信してシステム・データを収集し、ライターにデータのバックアップ準備を行うよう通知します。
VSSプロバイダはストレージ・ボリュームを管理し、必要に応じてシャドウ・コピーを作成します。プロバイダは、リクエスタの要求に応じて、シャドウ・コピーが必要になっていることをアプリケーションに通知するCOMイベントを生成し、必要がなくなるまで、そのコピーの作成と維持を行います。プロバイダは、シャドウ・コピーのライフ・サイクルの間に、バックアップのためにタイプの異なる2種類のコピーを効率的にサポートします。1つは動的に更新されるディスクで、もう1つは内容的に変わらない固定的なコピーです。
VSSライターは、データをディスクに書き込み、VSSプロバイダおよびリクエスタと連携動作するアプリケーションまたはサービスです。バックアップ中は、ライターにより、データがシャドウ・コピー用として適切な状態にあることが保証されます。
Oracle VSSライターは、Oracle Databaseインスタンスと他のVSSコンポーネントを調整するWindowsサービスです。SYSDBA権限を持つユーザー・アカウントにより起動されるライター・サービスは、データベース・インスタンスとは独立して実行されます。ライター・サービスが管理者以外のユーザーとして実行される場合、ユーザーはバックアップ・オペレータ・グループにも含まれている必要があります。サード・パーティのリクエスタを使用して、VSSインフラストラクチャ内でバックアップおよびリカバリを実行する必要があります。
後続の項で説明するとおり、Oracle VSSライターでは、ボリューム・ベースとコンポーネント・ベースのシャドウ・コピーがサポートされます。これらのシャドウ・コピーは、バックアップおよびリカバリ計画で使用するか、元のデータベースのコピーを作成するために使用できます。複製データベースは、テスト用に、またはスタンバイ・データベースとして使用できます。
- コンポーネント・ベースのシャドウ・コピー
Oracle VSSライターでは、データベース・ファイルのセットであるコンポーネント・ベースのシャドウ・コピーがサポートされます。 - ボリューム・ベースのシャドウ・コピー
Oracle VSSライターでは、ドライブまたはボリューム全体のスナップショットであるボリューム・ベースのシャドウ・コピーがサポートされます。 - Oracle VSSライターのオプション
Oracle VSSライターでは、ログ、コピー、全体、差分および増分バックアップがサポートされています。