2 Oracle OLAPのインストールと起動
この章では、Oracle OLAPを使用する上で必要な準備手順について説明します。ここでは、Oracle Database 12c Enterprise Editionをインストールしているものと仮定します。OLAPオプションは、Oracle Databaseの基本インストールの一部として自動的にインストールされます。
注意:
ディメンション・オブジェクトの問合せをすぐに開始するには、Globalアナリティック・ワークスペースをインストールします(「サンプル・スキーマのインストール」を参照)。その後は、「ディメンション・オブジェクトの問合せ」の手順に従ってください。
この章の内容は次のとおりです。
2.1 サンプル・スキーマのインストール
2.3 DBAおよびアプリケーション開発者への権限の付与
Oracle Databaseで次元オブジェクトの作成や管理を行う場合、必要な権限を持っていなければなりません。これらの権限は、次元オブジェクトに格納されたデータの問合せに必要な権限とは異なります。セキュリティ・システムについては、「セキュリティ」で説明します。
DBAおよびアプリケーション開発者には、次のロールと権限が必要です。
また、次元オブジェクトが格納される表領域の割当て容量が無制限であることが必要です。表領域はOLAPでの使用のために特別に定義する必要があります(「Oracle OLAPの管理」を参照)。
ソース・テーブルが異なるスキーマ内にある場合、ディメンション・オブジェクトの所有者には、それらのテーブルに対するREAD
またはSELECT
オブジェクト権限が必要です。
例2-1に、GLOBAL
ユーザーを作成するSQL文を示します。
例2-1 GLOBALユーザーを作成するSQL文
CREATE USER "GLOBAL" IDENTIFIED BY password
DEFAULT TABLESPACE glo
TEMPORARY TABLESPACE glotmp
QUOTA UNLIMITED ON glo
PASSWORD EXPIRE;
GRANT OLAP_USER TO GLOBAL;
GRANT CREATE SESSION TO GLOBAL;
GRANT OLAP_XS_ADMIN TO GLOBAL;
2.4 Analytic Workspace Managerのインストールと起動
この項では、Analytic Workspace Managerソフトウェアのインストール方法、およびOracle Databaseへの接続の作成方法について説明します。
2.4.1 Analytic Workspace Managerのインストール
Analytic Workspace Managerは、Oracle Database Clientのインストール・メディアから入手できます。
データベースと同じシステム上にインストールする場合は、カスタム・インストールを選択し、データベースと同じOracleホーム・ディレクトリにインストールします。コンポーネントのリストからOLAP Analytic Workspace Manager and Worksheetを選択します。
リモート・システム上にインストールする場合は、管理者インストールまたはカスタム・インストールを選択します。管理者インストールを選択すると、Analytic Workspace Managerが自動的にクライアントにインストールされます。
関連項目:
ご使用のクライアント・プラットフォームに対応するインストール・ガイド
2.4.2 Analytic Workspace Managerの起動
ご使用のプラットフォームに合わせた適切な手順に従います。
Windowsの場合は、次の方法でAnalytic Workspace Managerを起動します。
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「スタート」メニューから、「Oracle - Oracle_home」→「Integrated Management Tools」→「OLAP Analytic Workspace Manager and Worksheet」の順に選択します。
Linuxの場合は、次の方法でAnalytic Workspace Managerを起動します。
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シェル・コマンドラインで次のコマンドを入力します。
$ORACLE_HOME/olap/awm/awm.sh
図2-1は初期画面です。
Analytic Workspace Managerからインターネットにアクセスできない場合、操作に役立つサイトへのリンクがプロパティ・ビューアにいくつか表示されます。また、Analytic Workspace ManagerがOLAPのホーム・ページを表示できないため、例外も表示されます。インターネットに接続する場合、通常はプロキシ・サーバーを指定する必要があります。
プロキシ・サーバーを指定するには、次の手順を実行します。
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「ツール」メニューから「構成」を選択して「構成」ダイアログ・ボックスを表示します。
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「OLAPホームページの設定」で、プロキシ・サーバーのアドレスを入力します。
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プロキシ・サーバーのポート番号を入力します(デフォルト・ポートの80でない場合)。
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「OK」をクリックし、設定を保存します。次回、Analytic Workspace Managerを起動すると、OLAPのホーム・ページが表示されます。
2.4.3 データベース接続の定義
データベース接続を定義するには次の手順を実行します。
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ナビゲーション・ツリーで最上位の「データベース」フォルダを右クリックし、ショートカット・メニューから「データベース接続の作成」を選択します。
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「データベース接続の作成」ダイアログ・ボックスに必要な情報を入力します。
図2-2は、「データベース接続の作成」ダイアログ・ボックスの「一般」タブに表示された接続情報です。
2.4.4 データベース接続を開く
データベースに接続するには、次のようにします。
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ナビゲーション・ツリーで、データベース接続の隣にあるプラス記号のアイコン(+)をクリックします。
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「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、データベース・ユーザー名とパスワードを入力します。
2.4.5 アナリティック・ワークスペースのアタッチ・モードの表示
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読取り専用
このモードでは、アナリティック・ワークスペースのオブジェクトとデータを表示できますが、オブジェクトの作成や変更はできません。コピーするかテンプレートとして保存することによって、オブジェクトをエクスポートできます。「読取り専用」モードでは、アナリティック・ワークスペースを開くユーザー数に制限はありません。
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読取り/書込み
このモードでは、アナリティック・ワークスペースのオブジェクトとデータを表示でき、オブジェクトを作成および変更できます。また、オブジェクトのエクスポートまたはインポートが可能です。「読取り/書込み」モードでは1人のユーザーしかアナリティック・ワークスペースを開けませんが、「読取り専用」モードであれば、他にも任意の数のユーザーがアナリティック・ワークスペースを開けます。これがデフォルト・モードです。
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読取り/書込み排他
このモードでは、アクセス権は「読取り/書込み」モードのときと同じですが、他のユーザーはアナリティック・ワークスペースを開けません。他のユーザーがアナリティック・ワークスペースを開いている場合、このモードは使用できません。
アタッチ・モードの表示を指定するには、次の手順を実行します。
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「ツール」メニューから「構成」を選択します。
「構成」ダイアログ・ボックスが開きます。
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「アナリティック・ワークスペースのアタッチ・オプションの表示」を選択します。「OK」をクリックします。
2.4.6 プラグインのインストール
プラグインによりAnalytic Workspace Managerの機能が拡張されます。プラグインはJARファイルとして配布します。任意のJava開発プログラムを使用してプラグインを作成できます。開発者は、目的と使用方法に関する情報を提供する必要があります。
1つ以上のプラグインが存在する場合、Analytic Workspace Managerに対してそれらの場所を指定する必要があります。
プラグインの使用手順:
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プラグインを格納するローカル・ディレクトリを作成します。
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そのディレクトリにJARファイルをコピーします。
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Analytic Workspace Managerを開きます。
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「ツール」メニューから「構成」を選択します。
「構成」ダイアログ・ボックスが開きます。
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「プラグインを有効化」を選択してプラグイン・ディレクトリを指定します。「OK」をクリックします。
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Analytic Workspace Managerを閉じてから再度開きます。
プラグインによって提供される機能が、ナビゲータで利用できます。
現在インストールされているプラグインのリストを表示するには、次の手順を実行します。
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「ヘルプ」メニューで、「バージョン情報」をクリックして、「プラグイン」をクリックします。
一部のAnalytic Workspace ManagerプラグインはOracle Technology Network (OTN)からダウンロードできます。
OTNからプラグインをダウンロードするには、次の手順を実行します。
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Webブラウザで、次のOracle OLAP Downloadsページにアクセスします。
http://www.oracle.com/technetwork/database/options/olap/olap-downloads-098860.html
2.5 Oracle OLAP 10gからのメタデータのアップグレード
Oracle OLAP 10gアナリティック・ワークスペースをOLAP 11gまたは12cにアップグレードするには、オブジェクトをXMLテンプレートとして保存し、そのXMLを別のスキーマにインストールします。元のアナリティック・ワークスペースにはそのままアクセス可能で、アップグレード・プロセスによって変更されません。
前提条件:
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OLAP 10gアナリティック・ワークスペースでは、OLAP標準形式のメタデータを使用できます。
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元のリレーショナル・ソース・データは、新しいアナリティック・ワークスペースにロードするために使用できる必要があります。データが別のスキーマにある場合、または表の名前が異なる場合は、アップグレード後にディメンション・オブジェクトを新しいリレーショナル・ソースに再マップする必要があります。
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OLAP 12cアナリティック・ワークスペースは、OLAP 10gアナリティック・ワークスペースと同じスキーマに作成できます。ただし、OLAP 12cアナリティック・ワークスペースを別のスキーマに作成する場合は、新規ユーザーに適切な権限を付与する必要があります(「DBAおよびアプリケーション開発者への権限の付与」を参照)。
OLAP 11gアナリティック・ワークスペースをアップグレードするには、次の手順を実行します。
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Oracle Database 12cリリース1のAnalytic Workspace Managerを起動します。
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必要に応じて、アナリティック・ワークスペースを含むデータベース・インスタンスへの新しいデータベース接続を作成します。「データベース接続の定義」を参照してください。
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データベース接続を開きます。「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、「キューブ・タイプ」に「OLAP 11g/12c」を選択します。「データベース接続を開く」を参照してください。
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アナリティック・ワークスペースの名前が表示されるまでナビゲーション・ツリーを開きます。
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アナリティック・ワークスペースを右クリックして11gアナリティック・ワークスペースに対する12cアップグレード・テンプレートの作成を選択します。XMLテンプレートをファイルに保存します。
同じ名前のサブオブジェクト(レベルや階層など)がある場合は、12cアナリティック・ワークスペースに対する12cアップグレード・テンプレートの作成ダイアログ・ボックスが表示されます。
重複したオブジェクト名は、アップグレード時に自動的に変更されます。この時点では名前を編集することはできませんが、後で変更することができます。
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「閉じる」をクリックし、ダイアログ・ボックスを閉じます。
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ナビゲーション・ツリーで接続を右クリックし、データベースの切断を選択します。
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接続を再度右クリックし、データベースに接続を選択します。
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「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、新しいユーザー名でログインし、「キューブ・タイプ」に「OLAP 11g/12c」を選択します。
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ナビゲーション・ツリーを開き、新しいスキーマの下にある「アナリティック・ワークスペース」を右クリックし、「テンプレートからアナリティック・ワークスペースを作成」を選択します。
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前に作成したアップグレード・テンプレートを開きます。
キューブ、ディメンション、アナリティック・ワークスペースなどのオブジェクトがスキーマにすでに存在するオブジェクトの名前と重複している場合は、「アナリティック・ワークスペースのテンプレート・インポートでの重複名を修正します」ダイアログ・ボックスが表示されます。
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新しい名前を入力して名前の競合をなくし、「OK」をクリックします。
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データをロードする前に、次元オブジェクトを参照して、オブジェクト名、キューブのパーティション、集計方法に変更を加えることができます。
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データを新しいアナリティック・ワークスペースにロードします(「キューブへのデータのロード」を参照)。すべてのオブジェクトをメンテナンス対象に選択します。
関連項目:
PL/SQLでのアップグレード方法については、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』のDBMS_CUBEに関する項目を参照してください。