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19 Oracleパッチ適用とOracle ACFS

この項では、グリッド・インフラストラクチャ環境でのOracle ACFSを使用したパッチ適用について説明します。

Oracle ACFSパッチ適用の概要

Oracle ACFSは、Oracle Grid Infrastructureの一部としてインストールされます。ただし、Oracle ACFSは、Linux上の/lib/modules/sbinなどの様々なシステムの場所から実行されます。

Oracle ACFSは、Oracle Grid Infrastructureの配信およびパッチ・メカニズム(OUIおよびOPatch)と統合されます。配信メカニズム(Oracleリリース、Oracleパッチセット、Oracleリリース更新またはOracle個別パッチ)に関係なく、Oracle ACFSコンテンツはパッチで配信されます。

Oracleゼロ・ダウンタイムのグリッド・インフラストラクチャ・パッチ適用を使用せずにOracle Grid Infrastructureを更新すると、Oracle ACFSもシステムの場所で更新され、Oracle Gridソフトウェアのシームレスな操作が保証されます。更新時(リリース、リリース更新、パッチセットまたは個別パッチに関係なく)、Oracle Clusterwareスタックはローカル・ノードで停止され、サービスは他のノードに移行されます。その後、Oracle Gridソフトウェアにパッチが適用され、サービスがローカル・ノードで再起動されます。

Oracleゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureパッチ適用を使用しないパッチ適用

パッチ操作中、まずOracle ACFSソフトウェアはOPatchまたはOUIファイル配置操作によってGridホームで更新され、その後Oracle Clusterwareの停止中に適切なシステムの場所に移動されてメモリーにロードされます。Oracle Clusterwareの再起動には、オペレーティング・システム(OS)カーネルでOracle ACFSを更新できるように、OSカーネル参照を解放するという副作用があります。

ゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureを使用したパッチ適用

ゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureパッチ適用を使用すると、Oracle Gridホーム内のOracle Grid Infrastructureユーザー領域バイナリのみにパッチが適用されます。Oracle Gridホームから実行されるコマンドは、すぐに最新バージョンを使用します。ACFS、AFD、OLFS、OKA OSシステム・ソフトウェア(OSカーネル・モジュールおよびシステム・ツール)など、Oracle Gridホーム外にインストールされるOracle Grid Infrastructureコンポーネントは、Gridホームで更新されますが、システムの場所にはインストールされません。パッチ・バージョンより前のバージョンが引き続き実行されます。パッチが適用されると、OPatchインベントリにOPatchインベントリの新しいパッチ番号が表示されます。ただし、実行中のソフトウェアにはこれらの変更は含まれず、Gridホームで使用可能なソフトウェアのみが含まれます。新しく使用可能になったソフトウェアがメモリーにロードされ、付属するユーザー・ツールがシステムの場所にコピーされるまで、Oracle Grid Infrastructureホームにある使用可能な修正は利用されません。

実行およびインストールされているOracle ACFSシステム・ソフトウェアを確認するには、次のコマンドを使用できます。

  • crsctl query driver activeversion -all

    このコマンドは、クラスタのすべてのノード上のOracle ACFSのアクティブ・バージョンを表示します。アクティブ・バージョンは、システムに現在ロードされて実行されているOracle ACFSドライバのバージョンです。これは、ACFSシステム・ツールのバージョンも暗黙的に示します。18c以降で使用可能なcrsctl queryコマンドは、クラスタのすべてのノードのデータを表示します。

    次の例では、19.4がOracleホームで使用可能ですが、19.2が現在実行中のバージョンです。OPatch lsinventoryにより、19.4がパッチ適用済バージョンとしてレポートされます。Oracle Grid Infrastructure OSドライバは19.2のみを実行しています。

    crsctl query driver activeversion -all
    Node Name : node1
    Driver Name : ACFS
    BuildNumber : 200114
    BuildVersion : 19.0.0.0.0 (19.2.0.0.0)
    
  • crsctl query driver softwareversion -all

    このコマンドは、Oracle Gridホームに現在インストールされているOracle Grid Infrastructureソフトウェアの使用可能なソフトウェア・バージョン(および拡張機能別にOracle ACFSソフトウェアの使用可能なソフトウェア・バージョン)を表示します。18c以降で使用可能なcrsctl queryコマンドは、クラスタのすべてのノードのデータを表示します。

    crsctl query driver softwareversion -all
    Node Name : node1
    Driver Name : ACFS
    BuildNumber : 200628
    BuildVersion : 19.0.0.0.0 (19.4.0.0.0)
    
  • acfsdriverstate version -v

    このコマンドは、ローカル・ノードで実行中のOracle ACFSモジュールに関する全情報を表示します。ACFS-9548およびACFS-9547メッセージには、Oracle Grid Infrastructureホームで使用可能なOracle ACFSソフトウェアのバージョンが表示されます。acfsdriverstateは、ローカル・ノードについてのみをレポートします。バグ番号は、個別パッチの実行時にのみ使用可能です。

    acfsdriverstate version -v
    ACFS-9325: Driver OS kernel version = 4.1.12-112.16.4.el7uek.x86_64.
    ACFS-9326: Driver build number = 200114.
    ACFS-9212: Driver build version = 19.0.0.0.0 (19.2.0.0.0).
    ACFS-9547: Driver available build number = 200628.
    ACFS-9548: Driver available build version = 19.0.0.0.0 (19.2.0.0.0)
    ACFS-9549: Kernel and command versions.
    Kernel:
     Build version: 19.0.0.0.0
     Build full version: 19.2.0.0.0
     Build hash: 9256567290
     Bug numbers: NoTransactionInformation
    Commands:
     Build version: 19.0.0.0.0
     Build full version: 19.2.0.0.0
     Build hash: 9256567290
     Bug numbers: NoTransactionInformation
    

Oracle Grid Infrastructureファイルの更新

Oracle Clusterwareスタックが停止し、Oracle ACFSドライバ・モジュールが更新されるまで、Oracle ACFSの修正はメモリーにロードされません。Oracle ACFSの修正をシステム・メモリーにロードするプロセスにより、Oracle ACFS操作に必要なツールもシステムの場所にインストールされます。

次の手順のいずれかを実行できます。

  1. Oracle ACFSの修正をメモリーおよびシステムの場所にロードするには、ノードごとに次のコマンドを発行する必要があります。

    • crsctl stop crs -f

      ローカル・ノード上のCRSスタックおよびすべてのアプリケーションを停止します

    • root.sh -updateosfiles

      システム上のOracle ACFSおよびその他のOracle Grid Infrastructureカーネル・モジュールを最新バージョンに更新します

    • crsctl start crs -wait

      ノードでCRSを再起動します

  2. あるいは、カーネル・バージョンを変更してノードを再起動すると、新しいドライバが自動的にロードされ、新しいシステム・ツールがシステム・ディレクトリにインストールされます。クラスタ内のすべてのノードがカーネル・バージョンを同時に変更するものとします。

これらのイベントのいずれかが発生すると、crsctl query activeversionおよびcrsctl query softwareversionコマンドによって同じ情報がレポートされます。ロード済で実行中のオペレーティング・システム(OS)ソフトウェアは、Oracle Grid Infrastructureホームで使用可能な最新のものと同じです。Oracle ACFSパッチ適用の検証の説明に従って、他のOracle ACFSバージョンのコマンドを実行できます。

Oracle ACFSパッチ適用の検証

標準のOPatchパッチを使用してOracleリリース更新およびOracleパッチを適用する場合、インベントリにはGrid Infrastructureホームおよびシステムにインストールされている内容が正確に反映されます。次に例を示します。

[grid@racnode1]$ opatch lsinventory
...
..
Oracle Grid Infrastructure 19c                                       19.0.0.0.0
There are 1 products installed in this Oracle Home.

Interim patches (5) :

Patch  30501910: applied on Sat Mar 07 15:42:08 AEDT 2020
Unique Patch ID:  23299902
Patch description:  "Grid Infrastructure Jan 2020 Release Update : 19.4.0.0.200628 (30501910)"
   Created on 28 Dec 2019, 10:44:46 hrs PST8PDT
   Bugs fixed:

lsinventoryの出力例では、OPatch RUおよび適用されるその他のパッチと、バグ番号およびその他の情報をリストしています。これらのパッチはGrid Infrastructureホームに適用されます。通常のパッチ適用操作では、オペレーティング・システム(OS)の場所にも適用され、メモリーにロードされるため、Oracle Grid InfrastructureのOSシステム・ソフトウェアの修正がGrid Infrastructureホームと同期されます。ただし、ゼロ・ダウンタイムのグリッド・インフラストラクチャ・パッチ適用を使用する場合、システムにインストールされているOracle Grid Infrastructureシステム・ソフトウェアの内容(Oracle ACFSなど)は同時に更新されません。

crsctl query driverおよびacfsdriverstateコマンドを使用して、インストールされているOracle Grid Infrastructureシステム・ソフトウェア・レベルがGrid Infrastructureホームのソフトウェア・レベルと同じかどうかを検証できます。Oracle ACFSパッチ適用の概要のゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureパッチ適用に関する説明を参照してください。

ゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureパッチ適用を使用せずに適用されたパッチ適用および更新操作の場合、アクティブ・バージョンとソフトウェア・バージョンは常に同じである必要があります。

更新されたOracle Grid Infrastructure OSシステム・ソフトウェアのインストールが必要な場合は、Oracle Grid Infrastructureファイルの更新の手順を参照してください。

すべてのOracle Grid Infrastructure OSシステム・ソフトウェアが更新された後のバージョンは、Grid Infrastructureホームへのパッチまたは更新について表示されるOpatch lsinventoryの出力と同じ(この場合は19.4.0.0.0)である必要があります。また、使用可能でアクティブなOracle Grid Infrastructure OSシステム・ソフトウェアには、同じバージョン番号が表示されている必要があります。次に例を示します。

Output from the lsinventory command:   
Patch description:  "Grid Infrastructure Jan 2020 Release Update : 19.4.0.0.0.200628 (30501910)"

crsctl query driver activeversion -all
Node Name : node1
Driver Name : ACFS
BuildNumber : 200628
BuildVersion : 19.0.0.0.0 (19.4.0.0.0)

crsctl query driver softwareversion -all
Node Name : node1
Driver Name : ACFS
BuildNumber : 200628
BuildVersion : 19.0.0.0.0 (19.4.0.0.0)

acfsdriverstate versionコマンドを実行すると、コマンドやユーティリティに関する情報など、ローカル・ノード上のOracle ACFSの追加情報を取得できます。次に例を示します。

acfsdriverstate version 
 ACFS-9325: Driver OS kernel version = 4.1.12-112.16.4.el7uek.x86_64.
 ACFS-9326: Driver build number = 200628.
 ACFS-9212: Driver build version = 19.0.0.0.0 (19.4.0.0.0)
 ACFS-9547: Driver available build number = 200628.
 ACFS-9548: Driver available build version = 19.0.0.0.0 (19.4.0.0.0).