このリリースでのこのガイドの変更点

この項の内容は次のとおりです。

Oracle Databaseリリース19cにおける変更点

Oracle Databaseリリース19cの『Oracle Spatial and Graph RDFナレッジ・グラフ開発者ガイド』での変更点は、次のとおりです。

スキーマプライベート・セマンティク・ネットワークに追加されたサポート

セマンティク・ネットワークを通常のユーザーのスキーマ内に作成できるようになりました。このようなネットワークは、関連付けられたデータベース・オブジェクトがネットワーク所有者のスキーマに作成されるため、スキーマプライベート・セマンティク・ネットワークと呼ばれ、そのオブジェクトに対する排他的な権限を持ちます。(DBAユーザーにはそのような権限もあり、ネットワーク所有者またはDBAは他のユーザーの権限を付与および取り消すことができます)。

以前のリリースでは、唯一のシナリオは、MDSYSユーザーが所有する単一のセマンティク・ネットワークであり、データベース全体に対して使用可能でした。このシナリオは引き続きサポートされていますが、かわりにスキーマプライベート・セマンティク・ネットワークを使用することをお薦めします。

詳細は、セマンティック・ネットワークを参照してください。

機能名変更: RDFナレッジ・グラフ

以前RDFセマンティク・グラフと呼ばれていた機能名は、RDFナレッジ・グラフと呼ばれるようになりました。

用語のセマンティク・ネットワークおよびセマンティク・データは、このガイド全体で広く使用されています。

19.3におけるDatabase Vaultおよびローリング・アップグレードの追加サポート

Oracle Databaseリリース19.3では、次の機能でRDFナレッジ・グラフがサポートされます。

  • Oracle Database Vault
  • ローリング・アップグレード

MDSYSのデフォルト権限の削減

リリース12.2以降では、MDSYSにINHERIT ANY PRIVILEGES権限がなくなったため、MDSYS所有の実行者権限プロシージャをSYSとして実行できなくなりました。セマンティク・ネットワークの作成などの管理プロシージャは、DBAロールを持つ非SYSユーザー(SYSTEMなど)によって実行する必要があります。このようなプロシージャをSYSとして実行すると、「ORA-01031: 権限が不足しています」エラーが発生します。

「RDFの権限に関する考慮事項」を参照してください。

MDSYSの表領域権限の削減

リリース19では、MDSYSユーザーにUNLIMITED TABLESPACE権限がなくなったため、MDSYS所有セマンティク・ネットワークで使用する表領域の割当て制限をMDSYSに明示的に付与する必要があります。

「RDFの権限に関する考慮事項」を参照してください。

Eclipse RDF4J用に追加されたRDFセマンティク・グラフ・サポート

Oracle RDF Graph Adapter for Eclipse RDF4Jを使用し、強力なEclipse RDF4Jフレームワークを利用してRDFグラフ・データを操作できるようになりました。Eclipse RDF4J用のアダプタは、Eclipse RDF4J SAIL API、Eclipse RDF4J ServerおよびEclipse RDF4J Workbenchとの統合を提供します。

Oracle RDF Graph Adapter for Eclipse RDF4Jの主な機能には、RDFデータのデータベースへの(バルクおよび増分)ロード、RDFグラフの問合せ、およびデータベースによって管理されるRDFデータの更新を行うJava APIが含まれます。

詳細は、RDF Semantic Graph Support for Eclipse RDF4Jを参照してください。

Subject-Property-Matrix表のサポート

Oracle Database 19cリリース更新(RU) 19.15以降では、My Oracle Supportで入手可能なパッチ33806152の使用により、Subject-Property-Matrix (SPM)補助表がサポートされるようになりました。

SPM補助表を使用すると、SPARQL問合せの実行を高速化できます。特定のモデルについて、サブジェクトごとに同じ行の多数の述語の値を保持する1つ以上の単一値プロパティ(SVP)表を作成できます。SVP表を使用すると、「スター・パターン」SPARQL問合せの評価に必要な結合の数が削減されます。

また、特定のプロパティのすべてのトリプルを保持する、1つ以上の複数値プロパティ(MVP)表を作成できます。MVP表を使用すると、問合せオプティマイザ統計を改善し、問合せ計画を改善できます。

前のオブジェクト値と次の主語値で結合されたトリプルのシーケンスを保持する1つ以上のプロパティ・チェーン(PCN)表を作成することもできます。PCN表では、パスを形成するトリプル・パターンの順序を評価するために必要な結合が排除されるため、パフォーマンスが向上します。

SVP、MVPおよびPCN表は、基礎となるモデルでDML操作が発生すると自動的に更新されます。

詳細は、SPM補助表を使用した問合せ実行の高速化を参照してください。

Oracle Databaseリリース18.1での変更点

Oracle Databaseリリース18.1の『Oracle Spatial and Graph RDFセマンティック・グラフ開発者ガイド』での変更点は、次のとおりです。

Oracle Database In-Memoryの追加サポート

Oracle Database In-Memory機能を利用するために、RDFデータをメモリーに簡単にロードできます。SEM_APIS.ENABLE_INMEMORYプロシージャを使用して、セマンティク・ネットワークをメモリーにロードできるようになりました。さらに、仮想モデル・レベルでインメモリー仮想列を使用して、MDSYS.RDF_LINK$表のインメモリー表現にRDF語句の字句の値を追加することで、SPARQL問合せを評価するために必要な結合の数を減らすことができます。

詳細は、「RDFによるOracle Database In-Memoryのサポート」を参照してください。

コンポジット・パーティション化を使用するセマンティク・ネットワークの追加サポート

リスト-ハッシュ・コンポジット・パーティション化を使用して、セマンティク・ネットワークを作成できるようになりました。この方法では、セマンティク・ネットワークはまずモデルIDによってリスト・パーティション化され、次にRDF述語IDのハッシュを使用して各パーティションがサブパーティション化されます。コンポジット・パーティション化は、並列化を促進し、クエリ・オプティマイザの統計を改善することで、SPARQL問合せのパフォーマンスを向上します。

詳細は、セマンティック・ネットワークを参照してください。

バルク・ロード操作でのCLOBサポートの拡張

長いリテラル(サイズが4000バイトより大きいRDFオブジェクト値)を持つRDFクワッドが含まれるステージング表を、SEM_APIS.BULK_LOAD_FROM_STAGING_TABLEに効率的にロードできるようになりました。

外部表からのロード時に長いリテラルをより適切に処理できるように、SEM_APIS.LOAD_INTO_STAGING_TABLEに新しいオプションも追加されています。VC_ONLYオプションは、オブジェクト値が4000バイト以下のRDFクワッドのみをステージング表にロードし、CLOB_ONLYオプションは、オブジェクト値が4000バイトより大きいRDFクワッドのみをロードします。これらのオプションによって、VARCHARデータのみが1回のバルク・ロード操作でロードされ、CLOBデータのみが2回目のバルク・ロード操作でロードされる、非常に効率的な2フェーズのバルク・ロードが可能になります。

TurtleおよびTrig RDF形式のネイティブ・サポート

TurtleおよびTrig RDF形式を、サードパーティ・ツールなしでOracle Databaseに直接ロードできるようになりました。SEM_APIS.UPDATE_MODELを介して実行されるSPARQL LOAD操作では、これまでサポートされていたN-TripleおよびN-Quad形式に加え、TurtleおよびTrig形式でシリアライズされたRDFデータを解析および挿入できるようになりました。

RDFビューを、TurtleまたはN-Triple形式で指定されるR2RMLマッピングから直接作成できるようになりました。新しいR2RML_STRINGおよびR2RML_STRING_FMT引数がSEM_APIS.CREATE_RDFVIEW_MODELに追加され、R2RMLマッピング文字列を使用してRDFビュー・モデルを作成できるようになりました。

SQL Developerに追加されたRDFのサポート

Oracle SQL Developerを使用してRDF関連オブジェクトを作成することやRDF機能およびOWL機能を使用することができます。

詳細は、「Oracle SQL DeveloperでのRDFのサポート」を参照してください。