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2 Oracle Databaseのアップグレードの準備

Oracle Databaseをアップグレードする前に、新機能を確認し、手順を実行してデータベースをアップグレードに備えます。

ノート:

特に、アップグレード処理をテストし、バックアップ計画を準備することをお薦めします。

Oracle Database AutoUpgradeについて

AutoUpgradeユーティリティは、アップグレード前に問題を識別し、アップグレード前とアップグレード後のアクションを実行し、アップグレードをデプロイし、アップグレード後のアクションを実行して、アップグレードされたOracle Databaseを起動します。

preupgrade.jarのかわりに、最新バージョンのAutoUpgradeユーティリティをMy Oracle Supportドキュメント2485457.1からダウンロードし、autoupgrade.jar -mode analyzeを使用することをお薦めします。AutoUpgradeユーティリティは、事前アップグレードを使用してアップグレードを開始する前と、アップグレードのデプロイメント時およびアップグレード後のチェックと構成の移行時の両方で、アップグレード・プロセスを自動化するように設計されています。新しいOracle Databaseリリースのバイナリをダウンロードした後にAutoUpgradeを使用し、新しいリリースのOracleホームを設定します。AutoUpgradeを使用するときに、各データベース・デプロイメントで必要に応じてカスタマイズされた単一の構成ファイルを使用して、複数のOracle Databaseデプロイメントを同時にアップグレードできます。

2019年1月のリリース更新(DBJAN2019RU)以降では、AutoUpgradeサポートはOracle Database 12cリリース2 (12.2)およびOracle Database 18c (18.5)ターゲット・ホームで使用可能になりました。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)とOracle Database 18c (18.5)の両方のターゲット・ホームで、My Oracle Supportドキュメント2485457.1からAutoUpgradeキットをダウンロードする必要があります。

Oracle Database 19c (19.3)以降のターゲットのOracleホームでは、デフォルトでautoupgrade.jarファイルが存在します。ただし、AutoUpgradeを使用する前に、最新のAutoUpgradeバージョンをダウンロードすることをお薦めします。AutoUpgradeは各リリース・アップデート(RU)ごとに含まれていますが、最新のAutoUpgradeバージョンは、常にMy Oracle Supportドキュメント2485457.1.から入手できます。

ノート:

AutoUpgradeは、Oracle Database Enterprise EditionおよびOracle Database Standard Editionで使用できます。Oracle Database Express Editionには使用できません。

問題の防止: 分析モードおよび修正モード

アップグレードの前に、修正が必要な問題を識別できるように、分析モードではAutoUpgradeユーティリティによってデータベースの読取り専用分析が実行されます。ユーティリティは、通常のデータベース操作中に実行できます。修正モードでは、AutoUpgradeユーティリティによって、手動介入を必要とする修正とアップグレード・デプロイメント・フェーズ中にAutoUpgradeユーティリティで実行できる修正の両方を検出および識別します。

アップグレードの簡略化: デプロイおよびアップグレード・モード

デプロイ・フェーズで、AutoUpgradeユーティリティは構成ファイルに指定したデータベースを変更します。これにより、アップグレード時に独自のカスタム・スクリプトをコールしてデータベースを構成できます。多くの場合、AutoUpgradeユーティリティはアップグレード・プロセス中にデータベースに対して自動修正を実行できるため、手動介入は必要ありません。

アップグレード後のチェックおよび修正のデプロイおよびアップグレード

デプロイまたはアップグレード・モードのいずれかでアップグレードが完了すると、AutoUpgradeはアップグレード後のチェックを実行します。これは、AutoUpgrade構成ファイルに指定する構成手順に従って、アップグレードした各データベースでカスタム・スクリプトを実行できるようにするプロセスを提供し、アップグレード後のプロセスの一部としてアップグレード後の自動修正を実行することもできます。デプロイ・モードでは、AutoUpgradeではアップグレードが成功したことも確認し、sqlnet.oratnsname.oraおよびlistener.oraなどのデータベース・ファイルをソース・ホームからターゲット・ホームにコピーします。これらのアクションが完了すると、アップグレードされたOracle Databaseリリースが新しいOracleホームで起動されます。

AutoUpgrade分析処理モードについて

AutoUpgrade分析(analyze)処理モードでは、データベースをチェックしてアップグレードの準備が完了しているかどうかを確認します。

分析モードでAutoUpgradeを実行すると、AutoUpgradeではデータベースからのデータの読取りのみを実行し、データベースに対する更新は実行しません。通常の営業時間に分析モードを使用してAutoUpgradeを実行できます。ターゲット・リリースのOracle Databaseホームを設定する前に、ソースOracle Databaseホームで分析モードでAutoUpgradeを実行できます。

次の構文を使用して分析モードでAutoUpgradeを起動します。Java-8-homeはJava 8配布の場所またはJava 8ホームに設定されている環境変数です。

Java-8-home/bin/java -jar autoupgrade.jar -config yourconfig.txt -mode analyze

Oracle Databaseリリース12.2 (12.2.0.1)または新しいOracleホームには、デフォルトで有効なJavaバージョンがあります。次の構文を使用して分析モードでAutoUpgradeを起動します。ここで、Oracle_homeはOracleホーム・ディレクトリまたはOracleホームに設定された環境変数で、yourconfig.txtは構成ファイルです。

Oracle_home/jdk/bin/java -jar autoupgrade.jar -config yourconfig.txt -mode analyze
autoupgrade-analyze-flow.epsの説明が続きます
図autoupgrade-analyze-flow.epsの説明

AutoUpgrade分析モードでは2つの出力ファイルが生成され、チェックするデータベースのシステム識別子(SID)の名前が指定されます。

  • SID.html: Webブラウザを使用してこのファイルを表示します。

  • SID_preupgrade.log: テキスト・エディタを使用してこのファイルを表示します。

各レポートはアップグレード・エラーを示します。自動修正スクリプトを実行するか手動修正を実行してこれらを訂正しなければエラーが発生します。エラーが発生した場合、ユーザー・ログ・ファイル、およびstatus.jsonファイルにもレポートされます。

分析モードでは、パスcfgtoollogs/upgrade/auto/statusにステータス・ディレクトリも生成されます。このディレクトリには、分析が成功したか失敗したかを示すファイルが含まれています。このディレクトリには、2つのJSONファイルstatus.jsonおよびprogress.jsonがあります。

  • status.json : アップグレードの最終ステータスを含む高レベルのステータスJSONファイル。
  • progress.json: 構成ファイルのかわりに実行されるすべてのアップグレードの現在の進行状況を含むJSONファイル。エラーが発生した場合、AutoUpgradeを実行しているユーザーのログ・ファイルおよびstatus.jsonファイルにレポートされます。

ターゲット・データベースのOracleホームがサーバーで使用できない場合、構成ファイル内でソースのOracleホーム・パラメータを同じパスに設定し、AutoUpgrade分析処理モードを実行できるようにする必要があります。次に例を示します。

#
# Source Home
#
sales3.source_home=d:\app\oracle\product\12.1.0\dbhome_1
#
# Target Oracle Home
#
sales3.target_home=d:\app\oracle\product\19.1.0\dbhome_1

以前のリリースのAutoUpgradeでは、target_homeおよびtarget_versionを設定する必要がありました。AutoUpgradeの以降のリリースでは、この制限は分析モードと修正モードの両方に対して導入されていました。

同じサーバー上にソースおよびターゲットのデータベース・ホームがあるAutoUpgrade(通常)

Oracle DatabaseのソースおよびターゲットのOracleホームが同じ物理サーバーにインストールされている場合、この例を使用します。

コンテキスト: ソース・ホームとターゲット・ホームが同じサーバー上にあります。

分析を開始するには、次のコマンドを入力します。

java -jar autoupgrade.jar -config config.txt -mode analyze

このコマンドは、レポートを生成し、コマンドが検出したエラー状態を示します。エラー状態を確認してください。

アップグレードのデプロイメントを開始するには、次のコマンドを入力します。

java -jar autoupgrade.jar -config config.txt -mode deploy