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パスワードの大/小文字の区別とアップグレードについて

デフォルトで、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降のリリースでは、排他モード認証プロトコルが使用されます。排他モードは大/小文字を区別しないパスワードを基にした認証をサポートしません。

サーバーが排他モードで実行されている場合、10Gパスワード・バージョンだけを持つアカウントにはアクセスできなくなります。

以前のOracle Databaseリリースでは、SEC_CASE_SENSITIVE_LOGON=FALSEを設定して、大/小文字を区別しないパスワードベースの認証を許可するように認証プロトコルを構成できます。Oracle Database12cリリース2 (12.2)以降では、デフォルトのパスワードベースの認証プロトコル構成で、大/小文字を区別しない10Gパスワード・バージョンの使用が排除されます。デフォルトで、SQLNET.ORAパラメータSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERは排他モードである12に設定されます。データベースが排他モードで設定されている場合、パスワード・ベースの認証プロトコルでは大/小文字を区別するいずれかのパスワード・バージョン(11Gまたは12C)が、認証されるアカウントに存在する必要があります。このモードは、以前のリリースで使用されていた10Gパスワード・バージョンの使用を排除します。Oracle Database 12cリリース2以降のリリースにアップグレードした後は、大/小文字を区別しない10Gパスワード・バージョンだけを持つアカウントにはアクセスできなくなります。この変更が発生するのは、サーバーはデフォルトで排他モードで実行されるためです。Oracle Databaseが排他モードで構成されていると、古い10Gパスワード・バージョンを使用してクライアントを認証できません。サーバーにはそのクライアントの認証に使用するパスワード・バージョンがありません。

セキュリティを高めるためには、大/小文字を区別するパスワード・ベースの認証を有効にしておくことをお薦めします。この設定がデフォルトです。ただし、新しいOracle Databaseリリースへのアップグレード中に、大/小文字を区別する認証を一時的に無効にすることはできます。アップグレード後に、パスワード・バージョンを管理するための実装計画の一環として、大/小文字を区別するパスワード・ベースの認証を有効にするかどうかを決定できます。

デフォルトのパスワードベースの認証プロトコル構成に変更した場合の影響を、アップグレード前に確認することをお薦めします。次のことを確認してください。

  • 10Gの大/小文字を区別しないパスワード認証バージョンだけを持つアカウントがあるかどうかを確認します。

  • 重要なパッチ更新CPUOct2012またはそれ以降のパッチ更新を適用していないOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)データベースがあるかどうか、かつ、大/小文字を区別しない10Gパスワード・バージョンを持たないアカウントがあるかどうかを確認します。

  • FALSEに設定した非推奨のパラメータSEC_CASE_SENSITIVE_LOGONがないことを確認します。このパラメータをFALSEに設定すると、大/小文字を区別するパスワード・バージョン(11Gおよび12Cパスワード・バージョン)を認証に使用できません。

大/小文字を区別しないバージョンを使用するアカウントのオプション

大/小文字を区別しない10Gパスワード・バージョンのみを持つユーザー・アカウントがある場合は、次の代替方式のいずれかを選択する必要があります。

  • アップグレード前に、10Gパスワード・バージョンだけを持つそれぞれのアカウントのパスワード・バージョンを更新します。パスワード・バージョンを更新するには、10Gパスワードを使用するユーザー・パスワードを期限切れにして、そうしたユーザーにアカウントにログインするように要求します。ユーザーがログインを試行すると、サーバーはパスワード・バージョンのリストを自動的に更新しますが、これには大/小文字を区別するパスワード・バージョンが含まれます。

  • SQLNET.ORAパラメータSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERの設定を、排他モード以外の設定に変更します。例: SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVER=11