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5 Oracle Net Servicesの構成

この章では、Oracle Net Servicesを構成する方法について説明します。内容は次のとおりです。

5.1 Oracle Net Services構成ファイルの保存場所

Oracle Net Services構成ファイルは、多くの場合、$ORACLE_HOME/network/adminディレクトリにあります。ファイルのタイプに応じて、Oracle Netは異なる検索順序でファイルを検出します。

sqlnet.oraおよびldap.oraの各ファイルの検索順序は、次のとおりです。

  1. 環境変数TNS_ADMINで指定したディレクトリ(この環境変数が設定されている場合)

  2. $ORACLE_HOME/network/adminディレクトリ

cman.oralistener.oraおよびtnsnames.oraの各ファイルの検索順序は、次のとおりです。

  1. 環境変数TNS_ADMINで指定したディレクトリ(この環境変数が設定されている場合)
  2. 次のいずれかのディレクトリ
    • Oracle Solarisの場合:

      /var/opt/oracle
      
    • その他のプラットフォームの場合:

      /etc
      
  3. $ORACLE_HOME/network/adminディレクトリ

一部のシステム・レベルの構成ファイルでは、対応するユーザー・レベルの構成ファイル(ユーザーのホーム・ディレクトリに格納されている)を作成できます。ユーザー・レベルのファイルの設定によって、システム・レベルのファイルの設定が上書きされます。次の表に、システム・レベルの構成ファイルとそれに対応するユーザー・レベルの構成ファイルを示します。

システム・レベルの構成ファイル ユーザー・レベルの構成ファイル

sqlnet.ora

$HOME/.sqlnet.ora

tnsnames.ora

$HOME/.tnsnames.ora

例5-1 サンプル構成ファイル

$ORACLE_HOME/network/admin/samplesディレクトリには、cman.oralistener.orasqlnet.oratnsnames.oraの各構成ファイルのサンプルが含まれています。

ノート:

  • cman.oraファイルがインストールされるのは、クライアントのカスタム・インストール時にカスタム・オプションの一部としてConnection Managerを選択した場合のみです。
  • 読取り専用Oracleホームでは、構成ファイルは$ORACLE_BASE_HOME/network/adminディレクトリにあります。

5.2 アダプタ・ユーティリティの使用

adaptersユーティリティには、システムでOracle Databaseがサポートしているトランスポート・プロトコル、ネーミング・メソッドおよびOracle Advanced Securityのオプションが表示されます。

関連項目:

adaptersユーティリティの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

5.3 Oracleプロトコル・サポートの使用

Oracle Protocol Supportは、Oracle Netのコンポーネントの1つです。次が含まれています。

IPC、TCP/IPおよびSecure Sockets Layer付きTCP/IPの各プロトコル・サポートには、それぞれアドレス指定が必要です。このアドレスは、Oracle Net Services構成ファイルおよびDISPATCHER初期化パラメータで使用されます。次の各項では、各プロトコル・サポートのアドレス指定について説明します。

5.3.1 IPCプロトコル・サポート

IPCプロトコル・サポートは、クライアント・プログラムとOracle Databaseが同じシステムにインストールされている場合にのみ使用できます。このプロトコル・サポートには、リスナーが必要です。これは、すべてのクライアント・ツールおよびoracle実行可能ファイルにインストールおよびリンクされます。

IPCプロトコル・サポートには、次の書式のアドレス指定が必要です。

(ADDRESS = (PROTOCOL=IPC)(KEY=key))

次の表に、このアドレス指定で使用されるパラメータを示します。

パラメータ 説明

PROTOCOL

使用するプロトコルを表します。この値はIPCです。大/小文字は区別されません。

KEY

同じシステムでIPC KEYとして使用されている他の名前とは異なる、一意の名前を表します。

次に、IPCプロトコル・アドレスのサンプルを示します。

(ADDRESS= (PROTOCOL=IPC)(KEY=EXTPROC))

5.3.2 TCP/IPプロトコル・サポート

TCP/IPは、ネットワークを介したクライアント/サーバー通信に使用される標準的な通信プロトコルです。TCP/IPプロトコル・サポートを使用すると、クライアント・プログラムとOracle Databaseが同じシステムまたは別のシステムのどちらにインストールされていても、それらの間で通信を行うことができます。システムにTCP/IPプロトコルをインストールした場合、TCP/IPプロトコル・サポートがすべてのクライアント・ツールおよびoracle実行可能ファイルにインストールおよびリンクされます。

TCP/IPプロトコル・サポートには、次の書式のアドレス指定が必要です。

(ADDRESS = (PROTOCOL=TCP)(HOST=hostname)(PORT=port))

次の表に、このアドレス指定で使用されるパラメータを示します。

パラメータ 説明

PROTOCOL

使用するプロトコル・サポートを表します。この値はTCPです。大/小文字は区別されません。

HOST

ホスト名またはホストのIPアドレスを表します。

PORT

TCP/IPポートを表します。このポートには、番号または/etc/servicesファイルでこのポートにマップされた別名を指定します。推奨値は1521です。

次に、TCP/IPプロトコル・アドレスのサンプルを示します。

(ADDRESS= (PROTOCOL=TCP)(HOST=MADRID)(PORT=1521))

5.3.3 Secure Sockets Layer付きTCP/IPプロトコル・サポート

Secure Sockets Layer付きTCP/IPプロトコル・サポートを使用すると、クライアントのOracleアプリケーションは、TCP/IPおよびSecure Sockets Layerを介したリモートのOracle Databaseインスタンスと通信できます。

Secure Sockets Layer付きTCP/IPプロトコル・サポートには、次の書式のアドレス指定が必要です。

(ADDRESS = (PROTOCOL=TCPS)(HOST=hostname)(PORT=port))

次の表に、このアドレス指定で使用されるパラメータを示します。

パラメータ 説明

PROTOCOL

使用するプロトコルを表します。この値はTCPSです。大/小文字は区別されません。

HOST

ホスト名またはホストのIPアドレスを表します。

PORT

Secure Sockets Layer付きTCP/IPポートを表します。このポートには、番号または/etc/servicesファイルでこのポートにマップされた別名を指定します。推奨値は2484です。

次に、Secure Sockets Layer付きTCP/IPプロトコル・アドレスのサンプルを示します。

(ADDRESS= (PROTOCOL=TCPS)(HOST=MADRID)(PORT=2484))

5.4 TCP/IPまたはSecure Sockets Layer付きTCP/IP用のリスナーの設定

リスナー用のポートは、ネットワーク上の各Oracle Net Servicesノードの/etc/servicesファイルで予約することをお薦めします。デフォルトのポートは1521です。エントリにはリスナー名とポート番号がリストされます。たとえば:

oraclelistener    1521/tcp

この例のoraclelistenerは、listener.oraファイルに定義されているリスナーの名前です。複数のリスナーを起動する場合は、複数のポートを予約してください。

Secure Sockets Layerを使用する場合は、Secure Sockets Layer付きTCP/IP用のポートを/etc/servicesファイルに定義する必要があります。推奨値は2484です。たとえば:

oraclelistenerssl     2484/tcps

この例のoraclelistenersslは、listener.oraファイルに定義されているリスナーの名前です。複数のリスナーを起動する場合は、複数のポートを予約してください。