アップグレードのための新しいOracleホームの準備

新しい場所で新しいOracleホームを準備するには、構成ファイルを移動する必要があるかどうか、またはその他の作業を実行する必要があるかどうかを確認します。

アップグレードするデータベースをバックアップした後、読取り専用Oracleホームを使用していない場合は、新しい場所に新しいOracleホームを準備し、新しいOracle Databaseリリース用のソフトウェアを新しい場所にインストールします。
  1. (手動アップグレードのみ)アップグレード対象のデータベースのOracleホームから新しいリリースのOracle Database Oracleホーム(ターゲット)に構成ファイルをコピーします。AutoUpgradeユーティリティ、DBUAまたは読取り専用Oracleホームを使用している場合は、構成ファイルが自動的にコピーされるため、このステップを無視できます。

    構成ファイルを新しいOracleホームにコピーするには、次の手順を使用します。

    1. パラメータ・ファイルが古い環境のOracleホームに存在する場合は、新しいOracleホームへコピーします。デフォルトでは、パラメータ・ファイルを検索する場所は、LinuxまたはUnixプラットフォームの場合はORACLE_HOME/dbsディレクトリで、Windowsオペレーティング・システムの場合はORACLE_HOME\databaseディレクトリです。アップグレードが終了したら、パラメータ・ファイルは、古い環境のOracleホームを除き、どこにあってもかまいません。

      ノート:

      必要に応じて、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)からテキスト初期化パラメータ・ファイル(PFILE)を作成して、初期化パラメータを編集できるようにしてください。
    2. Oracle ASMインスタンス内にパラメータ・ファイルがある場合は、次のコマンドを使用してパラメータ・ファイルをバックアップします。

      CREATE pfile FROM spfile;
      

      次のコマンドを使用してパラメータ・ファイルを作成することもできます。ここで、/path/to/pfile/は新しいOracleホームへのパス、pfile_nameはパラメータ・ファイルの名前です。

      create pfile[='/path/to/pfile/pfile_name.ora/

      SPFILEがOracle ASMにある環境のデータベースをダウングレードする必要がある場合は、ダウングレードする前にパラメータ・ファイルをリストアする必要があります。

    3. パラメータ・ファイルがIFILE (インクルード・ファイル)エントリまたはSPFILE (サーバー・パラメータ・ファイル)エントリのいずれかを含むテキストベースの初期化パラメータ・ファイルであり、IFILEまたはSPFILEエントリ内に指定されたファイルが以前のリリースの環境のOracleホームに存在する場合、IFILEまたはSPFILEエントリで指定されているファイルを新しいOracleホームへコピーします。IFILEエントリまたはSPFILEエントリ内に指定されたファイルには、追加の初期化パラメータがあります。

    4. 古い環境のOracleホームに格納されたパスワード・ファイルがある場合は、そのパスワード・ファイルを新しいOracleホームに移動またはコピーします。

      パスワード・ファイルの名前と位置は、オペレーティング・システムによって異なります。パスワード・ファイルは次の場所にあります。ここで、SIDはOracleインスタンスのIDです。

      • LinuxまたはUnixプラットフォーム: デフォルトのパスワード・ファイルはorapw SIDです。ディレクトリORACLE_HOME/dbsにあります。

      • Microsoft Windowsオペレーティング・システム: デフォルトのパスワード・ファイルはpwdSID.oraです。ディレクトリORACLE_HOME\databaseにあります。

  2. 次のステップを実行して、新しいOracle Databaseリリースのパラメータ・ファイルを調整します。

    1. サポートが終了した初期化パラメータを削除して、非推奨になった初期化パラメータを調整します。新しいリリースには、サポートが終了したパラメータや非推奨となったパラメータがあります。新しいOracle Databaseインスタンスの起動に使用されるパラメータ・ファイルから、サポートが終了したパラメータをすべて削除します。サポートが終了したパラメータが原因で、新しいOracle Databaseリリースでエラーが発生する可能性があります。また、新しいリリースで構文が変更になったパラメータも変更します。

      analyzeモードで-preupgradeパラメータを指定してAutoUpgradeを実行すると、生成されたupgrade.xmlファイルで検出された非推奨のパラメータおよびサポートが終了したパラメータが表示されます。

      初期化パラメータの値は、upgrade.xmlに示されている最小値以上に調整します。

      パラメータ・ファイルのすべてのパス名が完全に指定されていることを確認してください。パラメータ・ファイルには相対パス名を使用しないでください。

    2. パラメータ・ファイルにIFILEエントリが含まれている場合は、パラメータ・ファイル内のIFILEエントリを変更します。IFILEエントリは、ステップ1で指定した新しい場所のテキスト初期化パラメータ・ファイルを指している必要があります。また、ステップ1でパラメータ・ファイルを編集したときと同じ方法で、IFILEエントリに指定されているファイルを編集します。

    3. クラスタ・データベースをアップグレードする場合は、必要に応じて、SPFILEまたはinitORACLE_SID.oraファイルを変更できます。

    これらのパラメータ・ファイルを調整した後で、変更したすべてのファイルを必ず保存してください。

  3. (手動アップグレードのみ) AutoUpgradeまたはリプレイ・アップグレードを使用せずにクラスタ・データベースをアップグレードする場合は、データベース・インスタンスをクラスタから手動で切り離す必要があります。CLUSTER_DATABASE初期化パラメータをfalseに設定します。アップグレード後に、この初期化パラメータの設定をtrueに戻す必要があります。DBUAを使用している場合は、アシスタントによってこの作業が自動的に行われます。