Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.1.2)の新機能

Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.1.2)の新機能は次のとおりです。

Exadataスマート・フラッシュキャッシュ

Exadataスマート・フラッシュキャッシュにより、各Exadataセル上で頻繁にアクセスされるデータ用にキャッシュ・メカニズムが提供されます。このキャッシュは、ランダムな反復読取りを処理するのに役立つライトスルー・キャッシュであり、オンライン・トランザクション処理(OLTP)に非常に適しています。これにより、表または索引レベルでデータベース側のSTORAGE句のヒントを使用して、KEEPモードでデータをキャッシュするメカニズムが提供されます。フラッシュ・ディスクのExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域は、起動時にExadataセルに自動的に作成されます。

Oracle Exadata Storage Serverには、従来の回転型のハード・ディスクに加え、高性能なフラッシュ・ディスクが搭載されています。これらの高性能なフラッシュ・ディスクを使用して、Exadataグリッド・ディスクを作成し、頻繁にアクセスされるデータを格納できます。この場合、ユーザーは、正確な領域プランを作成して、性能のよいディスクに最もアクティブな表領域を配置する必要があります。推奨オプションとして、Exadataスマート・フラッシュキャッシュ用にフラッシュ・ディスク領域の一部または全部を提供できます。この場合、回転ディスク上で最も頻繁にアクセスされるデータは、高性能なフラッシュ・ディスクのExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域に自動的にキャッシュされます。データベースがこのようなデータにアクセスする必要がある場合、Oracle Exadata Storage Serverでは、データを遅い回転ディスクから取得するかわりに、Exadataスマート・フラッシュキャッシュからフェッチします。

パーティションや表がデータベースによってスキャンされる場合、オブジェクトにCELL_FLASH_CACHE属性が設定されていれば、Exadata Storage Serverでは、Exadataスマート・フラッシュキャッシュからスキャン対象のデータをフェッチできます。また、Exadata Storage Serverでは、Exadataフラッシュキャッシュからデータを提供する以外に、ハード・ディスクからスキャン対象のオブジェクトをフェッチすることもできます。

Exadata Storage ServerによってExadataスマート・フラッシュキャッシュおよびハード・ディスクからスキャン・データをフェッチする場合、そのパフォーマンスは加算的です。Exadata Storage Serverでは、Exadataスマート・フラッシュキャッシュの最大帯域幅とハード・ディスクの最大帯域幅を使用してオブジェクトをスキャンできるため、双方からの同時スキャン中は最大帯域幅が加算されます。

Oracle DatabaseとExadataスマート・フラッシュキャッシュ・ソフトウェアは、相互に緊密に連携して動作します。データベースでは、Oracle Exadata Storage Serverに読取りまたは書込みリクエストを送信する際に、そのデータが再度アクセスされる可能性があるかどうかと、そのデータをキャッシュする必要があるかどうかに関する追加情報をリクエストに含めます。たとえば、ログ・ファイルやミラー・コピーにデータを書き込む場合、データベースではキャッシュを省略するようヒントを送信します。表の索引を読み取る場合、データベースではそのデータをキャッシュするようヒントを送信します。この連携動作により、最も頻繁にアクセスされるデータのみが格納されるようにExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域の使用が最適化されます。

ユーザーは、他のデータベース・オブジェクトよりも優先的にキャッシュするオブジェクト(表領域や表など)と、まったくキャッシュしないオブジェクトについてより詳細に制御できます。この制御を行うには、データベース・オブジェクトに割当て可能な、STORAGE句の新規属性であるCELL_FLASH_CACHEを使用します。

たとえば、Exadataスマート・フラッシュキャッシュにCALLDETAIL表を確保する場合、次のコマンドを使用します。

ALTER TABLE calldetail STORAGE (CELL_FLASH_CACHE KEEP)

Exadata Storage Serverでは、CALLDETAIL表のデータを優先的にキャッシュし、そのデータを他の表のキャッシュ・データよりも長い間Exadataスマート・フラッシュキャッシュに保持するよう試みます。CALLDETAIL表が複数のOracle Exadata Storage Serverに分散されている場合、それぞれ独自のExadataスマート・フラッシュキャッシュに表の一部がキャッシュされます。キャッシュのサイズが十分であれば、多くの場合、CALLDETAIL表は一定期間にわたり完全にキャッシュされます。

ハイブリッド列圧縮

Exadata Hybrid Columnar Compressionにより、ダイレクト・パス・ロードが行われるデータに高度な圧縮レベルが提供されます。この新しい圧縮機能は、更新頻度の低いデータに推奨されます。ハイブリッド列圧縮は、パーティション、表および表領域のレベルで指定できます。また、希望の圧縮レベルを指定して、ディスク使用量とCPUオーバーヘッドの間のトレードオフ関係を適切に調整することもできます。さらに、現在のアプリケーションにとって適切な圧縮レベルを決定するのに役立つ圧縮アドバイザも付属しています。

この機能によって、データベースでは表をスキャンするI/Oの回数を減らすことができます。たとえば、データを10分の1に圧縮すれば、I/Oも10分の1に減少します。また、ハイブリッド列圧縮により、同じ容量分のディスク領域を節約できます。

同様に、この機能によって、データベースでは列圧縮表のスマート・スキャンをOracle Exadata Storage Serverにオフロードできます。圧縮表でスキャンが行われる場合、Oracle Exadata Storage Serverはスキャンのためにディスクから圧縮ブロックを読み取ります。次に、Oracle Exadata System Softwareが参照列を解凍し、データの条件評価を実行して、フィルタを適用します。その後、ストレージ・サーバーは、修飾データを非圧縮形式で返します。このオフロードがなければ、データ解凍はデータベース・サーバーで発生することになります。Oracle Exadata Storage Serverにデータを解凍させることで、データベース・サーバーのCPUを大幅に節約できます。

関連項目:

ハイブリッド列圧縮の詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

ストレージ索引

ストレージ索引は、I/O操作の回避に役立つ、Oracle Exadata System Softwareで提供される非常に優れた機能です。Oracle Exadata System Softwareでは、Exadataメモリーにストレージ索引を作成して管理します。ストレージ索引により、そのセルに格納されている表の列の最小値と最大値がストレージ・リージョン単位で追跡されます。この機能は透過的に実行されるため、ユーザーによる管理操作は必要ありません。

問合せでWHERE句が指定されると、Oracle Exadata System Softwareでは、ストレージ索引を調査して、指定された列値を含む行がセル内ディスクのリージョンに存在しないかどうかを判断します(この処理は、ストレージ索引に保持されている最小値および最大値と列値を比較することで行われます)。列値が最小値と最大値の範囲外の場合、その問合せのためのスキャンI/Oはそのリージョンで回避されます。多数のI/O操作が少数のインメモリー検索に自動的に置き換えられるため、多くのSQL操作の実行速度が大幅に向上します。操作上のオーバーヘッドを最小限に抑えるため、Oracle Exadata System Softwareによってストレージ索引が透過的かつ自動的に作成されて管理されます。

ストレージ索引は、暗号化された表領域で効果を発揮します。ただし、ストレージ索引では、暗号化された列の最小値と最大値は保持されません。

暗号化データのスマート・スキャン

Oracle Exadata System Softwareでは、復号化処理をオフロードし、暗号化された表領域や暗号化された列に対してスマート・スキャンを実行できます。以前のリリースのOracle Exadata System Softwareでも、暗号化された表領域と暗号化された列は完全にサポートされていましたが、Exadataオフロード処理によるメリットはありませんでした。暗号化された表領域の場合、Oracle Exadata System Softwareでは、ブロックを復号化してその復号化ブロックをOracle Databaseに返すか、または行および列を返すスマート・スキャンを実行できます。Oracle Exadata System Softwareがデータベースのかわりに復号化を実行すると、CPUの使用がExadataセルにオフロードされるため、CPU処理を大幅に節約できます。

インターリーブ・グリッド・ディスク

この機能は、Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0で非推奨となりました。

グリッド・ディスクの領域は、インターリーブ形式で割り当てることができます。このタイプの領域割当てを使用するグリッド・ディスクは、インターリーブ・グリッド・ディスクと呼ばれます。この方法では、内側のトラックのグリッド・ディスクを犠牲にして外側のトラックを占有するグリッド・ディスクに優れたパフォーマンスを発揮させるのではなく、同じセル・ディスク上に存在する各グリッド・ディスクのパフォーマンスを均等化するよう試みます。

セル・ディスクは、外側半分(上部)と内側半分(下部)の2つの等しい部分に分割されます。新規グリッド・ディスクが作成されると、そのグリッド・ディスク領域の半分はセル・ディスクの外側半分に割り当てられ、グリッド・ディスク領域の残りの半分はセル・ディスクの内側半分に割り当てられます。グリッド・ディスクの上部は、外側半分の空き領域または使用済領域に応じて、外側半分で最初に使用できる最も外側のオフセットから開始します。グリッド・ディスクの下部は、内側半分で最初に使用できる最も外側のオフセットから開始します。

たとえば、100GBの領域を持つセル・ディスクCD_01_cell01が完全に空で、そのセル・ディスクに50GBのサイズのグリッド・ディスクdata_CD_01_cell01を作成する場合、セル・ディスクのレイアウトは次のようになります。

- Outer portion of data_CD_01_cell01 - 25GB
- Free space - 25GB
------------ Middle Point ------------------
- Inner portion of data_CD_cell01 - 25GB
- Free space - 25GB

関連項目:

グリッド・ディスクの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

データ・マイニング・スコアリングのオフロード

Oracle Exadata System Softwareでは、データ・マイニング・モデル・スコアリングがオフロードされるようになりました。これにより、Oracle Exadata Storage Server上のデータ・ウェアハウスのデプロイメントが、より優れた高性能なデータ分析プラットフォームになります。PREDICTION_PROBABILITYなどのすべてのデータ・マイニング・スコアリング関数は、Oracle Exadata Storage Serverにオフロードされて処理されます。これにより、データベース・サーバーのCPU使用量を抑制し、Oracle Exadata Database ServerOracle Exadata Storage Server間のI/O負荷を軽減しながら、ウェアハウス分析を高速化できます。

管理性機能の拡張

Oracle Exadata Storage Server Softwareには、現在、次の管理性機能が含まれます。

  • ディスク・グループに対する置換ディスクの自動追加: 物理ディスクの障害後に置換ディスクが追加された場合、ディスク・グループを再作成して元のディスク・グループに各グリッド・ディスクを追加するのに必要なすべてのExadata操作は、現在、自動的に実行されます。

  • セルの自動再起動: セルが障害から回復するか、再起動すると、各グリッド・ディスクは自動的にオンラインに変更されます。

  • ASMディスク・グループでのOCRおよび投票ディスクのサポート: Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、ASMディスク・グループでOracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクがサポートされます(iSCSIパーティションは必要なくなりました)。

  • データベース・サーバーにおける最大4つのデュアルポートInfiniBandホスト・チャネル・アダプタのサポート。この機能により、Oracle Exadata Storage Server Softwareを使用するデータベース・サーバーとして、より大規模なOracle Exadata Database Machine X2-8フル・ラックを使用できます。