2 Oracle Exadata System Softwareの構成
この章では、Oracle Exadata System Softwareで小規模なグリッドを構成するための主な手順について説明します。
この手順は、大規模なグリッドでも同じです。グリッドで必要なディスクおよびセルの数は、容量、パフォーマンスおよび冗長性の要件に基づいて決定します。
セルにはハードウェアおよびソフトウェアがすでにインストールされています。この章の手順では、Oracle DatabaseおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)のインスタンスで使用するストレージ・セルの構成方法について説明します。
注意:
Oracle Exadata Storage Serverのハードウェアまたはソフトウェアに対する変更は、サポートされていません。管理およびストレージ・トラフィックを含むすべての接続に、Oracle Exadata Storage Serverの実証済のネットワーク・インタフェースのみを使用する必要があります。それ以外のネットワーク・インタフェースは、使用しないでください。この章のトピックは、次のとおりです:
- Oracle Exadata System Softwareのリリース番号付けの理解
- Oracle Exadata Storage Serverの構成の理解
- 推奨されるネットワーク構成およびIPアドレス
- Oracle Exadata System SoftwareのIPアドレスの割当て
- 使用するロケーションに合せたOracle Exadata System Softwareの構成
- CellCLIを使用したセル、セル・ディスクおよびグリッド・ディスクの構成
- フラッシュ・キャッシュおよびフラッシュ・グリッド・ディスクの作成
- データベース・サーバー・ホストの構成ファイルの設定
- 自動セル・メンテナンスの理解
2.1 Oracle Exadata System Softwareのリリース番号付けの理解
Oracle Exadata System Softwareのリリース番号は、Oracle Databaseのリリース番号に関連しています。
Oracle Exadata System Softwareのリリース番号は、サポートされるOracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseの最高バージョンに一致します。たとえば、Oracle Exadata System Softwareリリース18がサポートしている最高バージョンは、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseリリース18です。Oracle Exadata System Softwareリリース12.2がサポートしている最高バージョンは、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseリリース12.2.0.1です。
リリース18c以降の番号付け
リリース12.2.1.1.8の後のOracle Exadata System Softwareリリースの名前は18.1.0に変更され、Oracle Exadata System Softwareの新しい番号付けスキームが実装されています。12.2.1.1.5などの従来の命名方法のかわりに、年.更新.リビジョンで構成される3つのフィールド形式が使用されています。たとえば、18.1.0です。この新しい採番スキームでは、次を明確に決定できます。
- ソフトウェアの年間リリース指定
- 新しい機能を含むことができる最新のソフトウェア更新
- セキュリティおよびソフトウェア修正を含む最新のソフトウェア・リビジョン
新しい機能または新しいハードウェアがサポートされている場合、新しいソフトウェア更新がその年にリリースされます(例: 19.2)。機能環境が安定した後、セキュリティ関連およびその他のソフトウェア修正で現在のままにできるように、ソフトウェア・リビジョンはほぼ1か月に1回使用できます(例: 19.1.3)。
18cより前のリリースの番号付け
- Oracle Exadata System Softwareのリリース番号の最初の2桁は、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)のように、Oracle Databaseのメジャー・リリース番号を表します。Oracle Exadata System Softwareリリース12.1は、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)のすべてのリリースと互換性があります。
- 3番目の桁は、通常はコンポーネント固有のOracle Databaseのリリース番号を表します。この桁は、通常はOracle Databaseの(現在のリリースの12.1.0.1.0のように)完全なリリース番号の4桁目と一致します。
- 最後の2桁は、Oracle Exadata System Softwareのリリースを表します。
2.2 Oracle Exadata Storage Serverの構成の理解
Oracle Exadata Storage Serverは、すべてのハードウェアおよびソフトウェアがプリインストールされた状態で出荷されますが、自分の環境にあわせてOracle Exadata System Softwareを構成する必要があります。
この項では、構成タスクの概要について説明します。それ以降の項では、実際の手順について説明します。
2.2.3 ストレージ・セルの構成
セルを構成するには、ALTER CELL
コマンドを使用します。
例2-1では、ストレージ・セルの管理者に電子メール・メッセージを送信するように電子メール通知が構成されます。ALTER CELL
コマンドの各行の最後にあるハイフン(-)により、[Enter]を押す前にコマンドを次の行に続けることができます。テキスト・ファイルを使用してコマンドを実行することもできます。
例2-1 新規セルの構成
CellCLI> ALTER CELL -
smtpServer='my_mail.example.com', -
smtpFromAddr='john.doe@example.com', -
smtpPwd=email_address_password, -
smtpToAddr='jane.smith@example.com', -
notificationPolicy='clear', -
notificationMethod='mail,snmp'
2.2.4 ストレージ・セル属性の検証
ストレージ・セル属性を検証するには、LIST CELL DETAIL
コマンドを使用します。
例2-2 ストレージ・セルの詳細表示
この例は、ストレージ・セル属性を表示する方法を示しています。
CellCLI> LIST CELL DETAIL
name: cell01
accessLevelPerm: remoteLoginEnabled
bbuStatus: normal
cellVersion: OSS_18.1.4.0.0_LINUX.X64_180125
cpuCount: 24/24
diagHistoryDays: 7
fanCount: 12/12
fanStatus: normal
flashCacheMode: WriteBack
httpsAccess: ALL
id: 1031FMM062
interconnectCount: 2
interconnect1: bondib0
iormBoost: 0.0
ipaddress1: 192.168.0.20/23
kernelVersion: 4.1.12-94.8.4.el6uek.x86_64
locatorLEDStatus: off
makeModel: Oracle Corporation SUN FIRE X4270 M2 SERVER High Performance
memoryGB: 24
metricHistoryDays: 7
offloadGroupEvents:
powerCount: 2/2
powerStatus: normal
ramCacheMaxSize: 0
ramCacheMode: On
ramCacheSize: 0
releaseImageStatus: success
releaseVersion: 18.1.4.0.0.180125.3
rpmVersion: cell-18.1.4.0.0_LINUX.X64_180125-3.x86_64
releaseTrackingBug: 27347059
rollbackVersion: 18.1.1.0.0.171018
smtpFrom: "John Doe"
smtpFromAddr: john.doe@example.com
smtpServer: my_mail.example.com
smtpToAddr: jane.smith@example.com
snmpSubscriber: host=host1,port=162,community=public,type=asr,asrmPort=16161
status: online
temperatureReading: 24.0
temperatureStatus: normal
upTime: 2 days, 13:16
usbStatus: normal
cellsrvStatus: running
msStatus: running
rsStatus: running
2.2.5 ストレージ・セル・ディスクの作成
セル・ディスクを作成するには、CREATE CELLDISK
コマンドを使用します。
例2-3では、ALL
オプションにより、デフォルト名を使用してすべてのセル・ディスクを作成しています。
セル・ディスクは、CD_lunID_cellname
の書式で名前が設定されて作成されます。lunIDおよびセル名の値は、LUNのid
属性およびセルの name
属性にそれぞれ対応します。単一のセル・ディスクを作成する場合は、他のディスク名を指定できます。
フラッシュ・ディスク付きのOracle Exadata Storage Serverでは、CREATE CELLDISK ALL
コマンドによってフラッシュ・ディスクにもセル・ディスクが作成されます。
CellCLI> CREATE CELLDISK ALL
CellDisk FD_01_cell01 successfully created
CellDisk FD_02_cell01 successfully created
CellDisk FD_03_cell01 successfully created
CellDisk FD_04_cell01 successfully created
CellDisk FD_05_cell01 successfully created
CellDisk FD_06_cell01 successfully created
CellDisk FD_07_cell01 successfully created
CellDisk FD_08_cell01 successfully created
CellDisk FD_09_cell01 successfully created
CellDisk FD_10_cell01 successfully created
CellDisk FD_11_cell01 successfully created
CellDisk FD_12_cell01 successfully created
CellDisk FD_13_cell01 successfully created
CellDisk FD_14_cell01 successfully created
CellDisk FD_15_cell01 successfully created
注意:
CREATE CELLDISK
コマンドでは、フラッシュ・ディスクにセル・ディスクが作成されます(存在しない場合)。フラッシュ・ディスクにセル・ディスクがある場合は、再度作成されません。
例2-3 セル・ディスクの作成
CellCLI> CREATE CELLDISK ALL
CellDisk CD_00_cell01 successfully created
CellDisk CD_01_cell01 successfully created
CellDisk CD_02_cell01 successfully created
...
CellDisk CD_10_cell01 successfully created
CellDisk CD_11_cell01 successfully created
2.2.6 グリッド・ディスクの作成
グリッド・ディスクを作成するには、CREATE GRIDDISK
コマンドを使用します。ディスクのサイズは要件によって異なります。
例2-4 グリッド・ディスクの作成
この例は、グリッド・ディスクを作成する方法を示しています。この例のALL HARDDISK PREFIX
オプションでは、ストレージ・セルの各セル・ディスクにグリッド・ディスクが1つずつ作成されます。Oracle ASMディスク・グループ名には、ディスク・グループに属するグリッド・ディスクを識別するためのPREFIX
が使用されます。接頭辞の値のdata
およびreco
が、作成されるOracle ASMディスク・グループの名前になります。
CellCLI> CREATE GRIDDISK ALL HARDDISK PREFIX=data, size=300G
GridDisk data_CD_00_cell01 successfully created
GridDisk data_CD_01_cell01 successfully created
GridDisk data_CD_02_cell01 successfully created
...
GridDisk data_CD_11_cell01 successfully created
CellCLI> CREATE GRIDDISK ALL HARDDISK PREFIX=reco, size=600G
GridDisk reco_CD_00_cell01 successfully created
GridDisk reco_CD_01_cell01 successfully created
GridDisk reco_CD_02_cell01 successfully created
...
GridDisk reco_CD_11_cell01 successfully created
LIST GRIDDISK
コマンドでは、作成されるグリッド・ディスクが表示されます。
CellCLI> LIST GRIDDISK
data_CD_00_cell01 active
data_CD_01_cell01 active
data_CD_02_cell01 active
...
data_CD_11_cell01 active
reco_CD_00_cell01 active
reco_CD_01_cell01 active
reco_CD_02_cell01 active
...
reco_CD_11_cell01 active
例2-5 スパース・グリッド・ディスクの作成
この例では、スパース・グリッド・ディスクは物理セル・ディスク・サイズから最大で300GBを使用し、Oracle ASMファイル用として20000GBの仮想領域を公開します。
CellCLI> CREATE GRIDDISK ALL HARDDISK PREFIX=sp, size=300G, virtualsize=20000G
GridDisk sp_CD_00_cell01 successfully created
GridDisk sp_CD_01_cell01 successfully created
GridDisk sp_CD_02_cell01 successfully created
...
GridDisk sp_CD_11_cell01 successfully created
2.2.7 フラッシュ・ディスクおよびフラッシュ・キャッシュの作成
デフォルトでは、CREATE CELL
コマンドは、すべてのフラッシュ・ディスク上にフラッシュ・セル・ディスクを作成します。このコマンドは次に、フラッシュ・セル・ディスク上にExadataスマート・フラッシュ・キャッシュを作成します。
CREATE GRIDDISK ALL FLASHDISK PREFIX='FLASH'
コマンドとCREATE FLASHCACHE
コマンドを使用して、フラッシュ・ディスクおよびフラッシュ・キャッシュを作成します。
Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュのサイズ変更や、フラッシュ・グリッド・ディスクの作成を行うには、フラッシュ・キャッシュを一度削除してから、異なるサイズでフラッシュ・キャッシュを作成するか、フラッシュ・グリッド・ディスクを作成する必要があります。
2.2.8 Oracle Auto Service Request (ASR)の構成
Oracle Exadata Database MachineのOracle Auto Service Request (ASR)では、一般的なハードウェア障害を検出して、サービス・リクエストを自動的に作成します。
ASRサポートには、Oracle Exadata Storage ServerやOracle Exadata Database Serverのディスクやフラッシュ・カードなどの選択したコンポーネントが含まれます。
- Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用してOracle Exadata Rackを構成する際にOracle Auto Service Request (ASR)を構成することを選択しなかった場合には、構成手順について、『Oracle Auto Service Request Oracle Exadata Database Machineクイック・インストレーション・ガイド』を参照してください。
2.3 推奨されるネットワーク構成およびIPアドレス
ネットワーク構成およびIPアドレスの推奨設定は次のとおりです。
-
ネットワークがまだ構成されていない場合は、スイッチがシングル・ポイント障害となるのを回避するために、Oracle Exadata Storage Server、データベース・サーバー・ホストおよび複数のスイッチからなるフォルト・トレラントなプライベート・ネットワーク・サブネットを設定します。Exadataセルのネットワークのすべてのインターコネクトが単一のスイッチで接続されていると、そのスイッチがシングル・ポイント障害になる可能性があります。
管理スイッチを使用している場合は、スイッチのVLAN構成でExadataセルのネットワーク・トラフィックを他のすべてのネットワーク・トラフィックから分離します。
-
Oracle Exadata Storage Serverの一般管理インタフェースおよびLights Out (LO)リモート管理インタフェース用のIPアドレスのブロックを割り当てます。通常、これらのインタフェースは、同じサブネット上に存在します(他のホストとサブネットを共有することもできます)。たとえば、Oracle Exadata Storage Serverの一般管理インタフェースおよびLOリモート管理インタフェース用として、192.168.200.0/24サブネット上で192.168.200.31から192.168.200.100のIPアドレスのブロックを割り当てることができます。サブネットを共有する他のホストには、ブロックの範囲外のIPアドレスを割り当てます。一般管理インタフェースおよびLOリモート管理インタフェースは、個別のサブネットに配置できますが、その必要はありません。
.0、.1または.255で終了するアドレスや、選択した特定のネットマスクのブロードキャスト・アドレスとして使用されるアドレスを割り当てないようにします。たとえば、192.168.200.0、192.168.200.1、192.168.200.255などのアドレスは使用しないようにします。
次のサンプルは、オーバーラップしていない4つのアドレス・ブロックです。最初のアドレス・セットは、セルの通常のギガビット・イーサネット・インタフェース/ポートに割り当てる必要があります。2番目のアドレス・セットは、セルのLOリモート管理ポートに割り当てることができます。3番目のセットはデータベース・サーバーのギガビット・イーサネット・ポート、4番目のセットはデータベース・サーバーのLOリモート管理ポートに使用できます。
192.168.200.0/21 (netmask 255.255.248.0) 192.168.208.0/21 (netmask 255.255.248.0) 192.168.216.0/21 (netmask 255.255.248.0) 192.168.224.0/21 (netmask 255.255.248.0)
InfiniBandネットワークは、データベース・サーバー・ホストおよびOracle Exadata Storage Serverで使用されるプライベート・ネットワークにし、プライベート・ローカル・ネットワーク・アドレスを持つことができます。また、これらのアドレスは、オーバーラップしていないブロックに割り当てる必要があります。
次の例は、ローカルInfiniBandアドレスの2つのブロックです。データベース・サーバーのInfiniBandとストレージ・サーバーのInfiniBandは、相互に通信できるように両方とも同じサブネット上にする必要があります。ボンディングを使用すると、InfiniBandアドレスで必要なサブネットが1つで済みます。
192.168.50.0/24 (netmask 255.255.255.0) 192.168.51.0/24 (netmask 255.255.255.0)
これらのサブネット・ブロックは互いに競合することはなく、ホストの現在の割当てとも競合しません。サブネット・ブロックが同じネットマスクを持つように割り当てることお薦めします。これにより、ネットワーク管理が簡素化します。
注意:
Oracle Exadata System Softwareにおいて、InfiniBandネットワークで許可されるホストの最大数は、4096です。そのため、InfiniBandネットワークのネットワーク接頭辞の値は、20以上である必要があります。つまり、ネットマスクは、255.255.240.0から255.255.255.254(両端の値を含む)である必要があります。
特定のホストIPアドレスとそのネットマスクのネットワーク接頭辞の値は、任意のLinuxマシンで次のように
ipcalc
ユーティリティを使用して指定できます。ipcalc <host ip address such as 192.168.50.10> -m <netmask for the host ip address such as 255.255.240.0> -p
ネットワークが追加の拡張に対応できることを確認してください。たとえば、255.255.255.254は有効なネットワーク(接頭辞/31)ですが、使用できるのは1つのホストのみです。
-
ドメイン・ネーム・システム(DNS)が必要な場合は、セルおよびインターコネクトを参照できるようにDNSを設定します。Oracle Exadata Storage ServerではDNSは不要です。ただし、DNSが必要な場合は、Oracle Exadata Storage Serverの適切なIPアドレスおよびホスト名でDNSを設定します。
-
InfiniBandネットワークは、Oracle Clusterwareを使用する場合のネットワークおよびストレージの通信に使用してください。Oracle Clusterware通信のプライベート・ネットワークでInfiniBandが使用されていることを確認するには、次のコマンドを使用します。
oifcfg getif -type cluster_interconnect
-
Reliable Data Socket (RDS)プロトコルは、InfiniBandネットワークでデータベース・サーバーとセルおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)の通信に使用してください。Oracle RACのプライベート・ネットワークがInfiniBandネットワークでRDSプロトコルを実行していることを確認するには、アラート・ログをチェックします。次のメッセージがログにあります。
cluster interconnect IPC version: Oracle RDS/IP (generic)
RDSプロトコルがInfiniBandネットワークで使用されていない場合は、次の手順を実行します。
-
Oracleバイナリを使用しているすべてのプロセスを停止します。
-
ORACLE_HOME/rdbms/lib
ディレクトリに変更します。 -
次のコマンドを実行します。
make -f ins_rdbms.mk ipc_rds ioracle
注意:
Oracle ASMとデータベースで別のOracleホームが使用されている場合は、RDSを両方のOracleホームで有効にしてください。
-
2.4 Oracle Exadata System SoftwareのIPアドレスの割当て
このトピックでは、新しいストレージ・セルをインストールする前のOracle Exadata System Softwareネットワーク・プレゼンテーションについてまとめます。
各ストレージ・セルは、次のネットワーク・ポートで構成されます。
-
デュアルポートのInfiniBandカード
Oracle Exadata Storage Serverは、高可用性を実現するために、2つのInfiniBandスイッチに個別に接続するように設計されています。デュアルポート・カードは、可用性目的でのみ使用されています。InfiniBandカードの各ポートにより、ストレージ・セルで生成される帯域幅での完全なデータ転送が可能になります。ネットワーク接続の1つが失われてもストレージ・セルのパフォーマンスに影響を与えることはありません。
-
通常のネットワーク・アクセス用のギガビット・イーサネット・ポート(プラットフォームに依存)
-
Oracle Exadata Storage Serverには、4つのギガビット・イーサネット・ポートが付属しています。ただし、スイッチには1つのポートのみを接続して、ネットワーク・アクセス用に構成します。
-
-
ベースボード管理コントローラ(BMC)またはOracle Exadata Storage Serverの管理コントローラ(MC)によって公開されるギガビット・イーサネット・ポート。このポートは、Lights Out(LO)リモート管理で使用されます。
-
Oracle Exadata Storage Serverでは、リモート管理用としてIntegrated Lights Out Manager (ILOM)を使用します。
注意:
ILOMへのアクセス用にWebインタフェースを使用する場合は、有効なSecure Socket Layer (SSL)証明書をインストールできます。
-
Exadataセルのネットワークを準備するには、次の手順を実行します。
-
ボンディングされたInfiniBandポートにアドレスを1つ割り当てます。セルを最初に設定すると、
BONDIB0
構成情報を指定するように求められます。この情報は初期起動時のCREATE CELL
コマンド実行中に自動的に使用され、セル・サーバーとデータベース・サーバー間の通信用のデータ・パスが提供されます。注意:
初期構成後に
BONDIB0
アドレスを変更する場合は、次のコマンドを使用します。CREATE CELL interconnect1=BONDIB0
このInfiniBandネットワークをプライベート・ネットワークにすることをお薦めします。
-
IPアドレスをネットワーク・アクセス用のセルに割り当てます。
-
IPアドレスをLOリモート管理用のセルに割り当てます。
Javaを有効にしたWebブラウザを使用して、割り当てられたIPアドレスでリモート管理機能にアクセスできます。
関連項目:
Oracle Integrated Lights Out Manager (ILOM)のドキュメント(http://www.oracle.com/goto/ilom/docs
)
2.5 使用するロケーションに合せたOracle Exadata System Softwareの構成
この項では、ストレージ・セルの構成について説明します。この項の内容は次のとおりです。
2.5.1 Oracle Exadata Storage Serverの静的IPを使用したLOリモート管理の構成
基本的な停電(LO)リモート管理の構成は、最初の起動時に行われます。
LOリモート管理の構成の詳細は、「サーバーの準備」を参照してください。
注意:
ILOMではサイドバンド管理を有効にしないでください。そのようにすると、そのサーバーのSNMPエージェントのレポートおよび監視機能がすべて無効になります。
2.6 CellCLIを使用したセル、セル・ディスクおよびグリッド・ディスクの構成
「サーバーの準備」の説明に従ってタスクを完了したら、新規の各ストレージ・サーバーにセル、セル・ディスクおよびグリッド・ディスクを構成する必要があります。
各手順の実行中に、HELP
コマンドを使用してヘルプを表示できます。オブジェクトの属性を表示するには、DESCRIBE
コマンドを使用します。例2-6は、Exadataセルのオブジェクトのヘルプおよび属性リストを表示する方法を示しています。
Oracle Exadata Storage Serverのセル、セル・ディスクおよびグリッド・ディスクを作成するには、次の手順を実行します。
例2-6 ヘルプ情報の表示
CellCLI> HELP
CellCLI> HELP CREATE CELL
CellCLI> HELP ALTER CELL
CellCLI> DESCRIBE CELL
セルの構成が完了したら、ストレージ・セルで次のオプションの手順を実行できます。
-
ストレージ・セルをExadataセルのレルムに追加します。
-
「Oracle Exadata System Softwareのセキュリティ構成」の説明に従って、Oracle Exadata Storage Serverのグリッド・ディスクのセキュリティを構成します。
-
「I/Oリソースの管理」の説明に従って、デフォルトの計画ではなくセル用のデータベース間計画を構成します。
Oracle Exadata Database Machine以外のデータベース・サーバー・ホストの場合は、リリース・ノートのOracle Exadata Storage Serverでの使用に関する項を参照してください。
2.7 フラッシュ・キャッシュおよびフラッシュ・グリッド・ディスクの作成
Oracle Exadata Storage Serverには、フラッシュ・ディスクが搭載されています。これらのフラッシュ・ディスクを使用して、フラッシュ・グリッド・ディスクを作成し、頻繁にアクセスされるデータを格納できます。
または、フラッシュ・ディスク領域の一部または全部をExadataスマート・フラッシュ・キャッシュに提供できます。この場合、最も頻繁にアクセスされるデータがExadataスマート・フラッシュ・キャッシュにキャッシュされます。
ディスクと同期されないデータ(ダーティ・データ)がグリッド・ディスクのフラッシュ・キャッシュからフラッシュされるようにするには、セル・ディスクをエクスポートする前にALTER CELLDISK ... FLUSH
コマンドを実行する必要があります。
例2-7 CREATE FLASHCACHEコマンドの使用
この例は、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュを作成する方法を示しています。size
属性が設定されているため、フラッシュ・セル・ディスクのすべてのサイズは使用されません。
CellCLI> CREATE FLASHCACHE ALL size=100g
Flash cache cell01_FLASHCACHE successfully created
例2-8 フラッシュ・グリッド・ディスクを作成するためのCREATE GRIDDISKコマンドの使用
この例は、フラッシュ・セル・ディスクの残りの領域を使用してフラッシュ・グリッド・ディスクを作成する方法を示しています。
CellCLI> CREATE GRIDDISK ALL FLASHDISK PREFIX='FLASH'
GridDisk FLASH_FD_00_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_01_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_02_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_03_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_04_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_05_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_06_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_07_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_08_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_09_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_10_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_11_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_12_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_13_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_14_cell01 successfully created
GridDisk FLASH_FD_15_cell01 successfully created
CellCLI> LIST GRIDDISK
FLASH_FD_00_cell01 active
FLASH_FD_01_cell01 active
FLASH_FD_02_cell01 active
FLASH_FD_03_cell01 active
FLASH_FD_04_cell01 active
FLASH_FD_05_cell01 active
FLASH_FD_06_cell01 active
FLASH_FD_07_cell01 active
FLASH_FD_08_cell01 active
FLASH_FD_09_cell01 active
FLASH_FD_10_cell01 active
FLASH_FD_11_cell01 active
FLASH_FD_12_cell01 active
FLASH_FD_13_cell01 active
FLASH_FD_14_cell01 active
FLASH_FD_15_cell01 active
例2-9 セルのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュ構成の表示
LIST FLASHCACHE
コマンドを使用すると、この例に示すように、セルのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュ構成を表示できます。
CellCLI> LIST FLASHCACHE DETAIL
name: cell01_FLASHCACHE
cellDisk: FD_00_cell01, FD_01_cell01,FD_02_cell01,
FD_03_cell01, FD_04_cell01, FD_05_cell01,
FD_06_cell01, FD_07_cell01, FD_08_cell01,
FD_09_cell01, FD_10_cell01, FD_11_cell01,
FD_12_cell01, FD_13_cell01, FD_14_cell01,
FD_15_cell01
creationTime: 2009-10-19T17:18:35-07:00
id: b79b3376-7b89-4de8-8051-6eefc442c2fa
size: 365.25G
status: normal
例2-10 セルからのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュの削除
セルからExadataスマート・フラッシュ・キャッシュを削除するには、DROP FLASHCACHE
コマンドを使用します。
CellCLI> DROP FLASHCACHE
Flash cache cell01_FLASHCACHE successfully dropped
2.8 データベース・サーバー・ホストの構成ファイルの設定
Oracle Exadata Storage Serverの構成が終了したら、セルを使用するようにcellinit.ora
およびcellip.ora
ファイルでデータベース・サーバー・ホストを構成する必要があります。ファイルは、
ディレクトリにあります。
/etc/oracle/cell/network-config
-
cellinit.ora
ファイルには、データベースのIPアドレスが指定されています。 -
cellip.ora
ファイルには、ストレージ・セルのIPアドレスが指定されています。
両方のファイルはデータベース・サーバー・ホストにあります。これらの構成ファイルには、ホスト名ではなくIPアドレスが指定されています。
cellinit.ora
ファイルはホスト固有で、Oracle Exadata Storage Serverで使用されるストレージ・ネットワークに接続するすべてのデータベースのIPアドレスが含まれます。このファイルは、Oracle Exadata Storage Serverに接続するデータベースごとに必要です。IPアドレスは、クラスレス・ドメイン間ルーティング(CIDR)形式で指定する必要があります。最初のIPアドレスはipaddress1
、次のIPアドレスはipaddress2
、というように指定する必要があります。
次のリストに、Oracle Exadata Database Machineでの単一データベース・サーバーのIPアドレス・エントリの例を示します。
-
Oracle Exadata Database Machine X4-2のOracle Exadata Database Server
-
ipaddress1=192.168.10.1/22
-
ipaddress2=192.168.10.2/22
-
-
Oracle Exadata Database Machine X3-2またはOracle Exadata Database Machine X2-2のOracle Exadata Database Server
-
ipaddress1=192.168.50.23/24
-
-
Oracle Exadata Database Machine X3-8またはOracle Exadata Database Machine X2-8のOracle Exadata Database Server
-
ipaddress1=192.168.41.111/21
-
ipaddress2=192.168.41.112/21
-
ipaddress3=192.168.41.113/21
-
ipaddress4=192.168.41.114/21
-
このファイルを作成した後は、これらのIPアドレスは変更しないでください。
注意:
8ソケット・システムのブート時に、各データベース・サーバーではcellaffinity.ora
構成ファイルを生成します。cellaffinity.ora
ファイルが
ディレクトリに存在し、Oracle Databaseによって読込み可能である必要があります。
/etc/oracle/cell/network-config
このファイルには、各サーバーに最も近いネットワーク・インタフェース・カードのIPアドレスとNUMAノード番号とのマッピングが含まれます。Oracle DatabaseはOracle Exadata Storage Serverと通信する際、このファイルを使用して最も近いネットワーク・インタフェース・カードを選択し、パフォーマンスを最適化します。
このファイルは、8ソケット・システム上でのみ生成および使用されます。2ソケット・システムでは、この方法で得られる効果はなく、cellaffinity.ora
ファイルは生成されません。このファイルをテキスト・エディタで直接編集しないでください。
セルで使用するデータベース・サーバー・ホストを構成するには、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。
2.9 自動セル・メンテナンスの理解
管理サーバー(MS)には、日付に基づくファイル削除ポリシーが含まれています。
自動診断リポジトリ(ADR)ディレクトリの領域が不足すると、MSは次のファイルを削除します。
-
7日より古いADRベース・ディレクトリ内のすべてのファイル。
-
7日より古い
LOG_HOME
ディレクトリ内のすべてのファイル。 -
7日より古いすべてのメトリックの履歴ファイル。
保存期間は7日間がデフォルトです。保存期間を変更するには、metricHistoryDays
およびdiagHistoryDays
属性を使用してALTER CELL
コマンドを実行します。diagHistoryDays
属性ではADRファイルを制御し、metricHistoryDays
属性では、その他のファイルを制御します。
十分なディスク領域がある場合、トレース・ファイルは消去されません。この結果、ADRベース・ディレクトリ内のファイルがdiagHistoryDays
で指定された時間制限を超えて保持される可能性があります。
さらに、alert.log
ファイルが10MBを超える場合は名前が変更され、7日より古いファイルのバージョンの合計サイズが50MBを超える場合は削除されます。
MSには、ファイル・システムの使用率が高い場合にトリガーされるファイルの削除ポリシーが含まれます。ファイルの使用率が80パーセントに達すると、
(ルート)ディレクトリおよび/
ディレクトリでのファイルの削除がトリガーされます。ファイル使用率が90パーセントに達すると/var/log/oracle
ファイル・システムでのファイルの削除がトリガーされ、使用率が85パーセントを下回るとアラートはクリアされます。削除が開始される前にアラートが送信されます。アラートには、ディレクトリの名前と、サブディレクトリの領域の使用率が含まれます。削除ポリシーは次のとおりです。
/opt/oracle
-
ファイル・システムの場合は、ADRベース・ディレクトリ、メトリックの履歴ディレクトリ、/var/log/oracle
LOG_HOME
ディレクトリ内のファイルは、ファイル変更タイムスタンプに基づくポリシーを使用して削除されます。metricHistoryDays
属性値で設定された日数より古いファイルが最初に削除されます。- その後、変更タイムスタンプが10分以前の古いファイル、またはファイル・システムの使用率が75パーセントを下回るファイルが削除されます。
- 5MBを超え、連続する短い時間間隔より古い、名前が変更された
alert.log
ファイルおよびms-odl
生成ファイルも削除されます。 - 5MBを超え、1日より古い
ディレクトリ内のクラッシュ・ファイルは削除されます。/var/log/oracle/crashfiles
-
ファイル・システムの場合、削除ポリシーは前述の設定と似ています。ただし、ファイルのしきい値は90パーセントであり、ファイル・システムの使用率が85パーセントを下回るまでファイルは削除されます。/opt/oracle
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ファイル・システムの使用率が一杯になると、同じパージ・ポリシーを使用して
diagHistoryDays
およびmetricHistoryDays
属性で制御されるファイルが消去されます。 -
ファイル・システムの場合は、5MBを超え、1日より古いホーム・ディレクトリ(/
cellmonitor
およびcelladmin
)、
、/tmp
および/var/crash
ディレクトリのファイルは削除されます。/var/spool
1時間ごとに、次の基準を使用してMSが対象のアラートをアラート履歴から削除します。アラートがステートレスになるか、解決済のステートフル・アラートになると、そのアラートは対象とみなされます。
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アラートが500未満の場合、100日より古いアラートが削除されます。
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アラートが500から999の場合、7日より古いアラートが削除されます。
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アラートが1,000を超える場合、対象のすべてのアラートが5分ごとに削除されます。
注意:
名前にSAVE
を含むディレクトリまたはファイルは削除されません。
関連項目