9 ディメンションとキューブの作成および使用

この章では、ODIでのディメンション・オブジェクトの作成および使用方法について説明します。ディメンション・オブジェクトは、データを識別およびカテゴリ分けするための論理構造です。Oracle Data Integratorでは、ディメンションとキューブという2つのタイプのディメンション・オブジェクトを設計、作成、編集およびロードできます。

注意:

ディメンションおよびキューブ機能はOracleテクノロジのみをサポートします。

この章の詳細な内容は次のとおりです。

ディメンション・オブジェクトの概要

ディメンション・オブジェクトは、データ・ウェアハウスの論理設計を表すモデルを作成するために使用される論理的構成です。ディメンション・モデルの物理設計および実装は、SQL文によって論理設計をデータベースに変換します。この項では、ディメンション・オブジェクトとキューブ・オブジェクトの概要を、物理実装とともに説明します。

データ・ウェアハウスの詳細は、https://docs.oracle.com/database/121/DWHSG/toc.htmを参照してください。

ディメンションの概要

ディメンションは、データを編成する構造です。たとえば、productsディメンションは製品情報、製品カテゴリとそのサブカテゴリを含む、製品に関するデータを編成します。時間ディメンションは、一連のレベルとこれらのレベルに定義される一連の階層で構成されます。

ディメンションを作成するには、次の内容を定義する必要があります。

  • レベル

  • レベル属性

  • 階層

たとえば、productsディメンションはカテゴリとサブカテゴリのレベルを持つことができます。階層を使用して、製品からサブカテゴリまたはカテゴリにドリルできます。

ディメンションを使用すると、問合せパフォーマンスが向上します。これは、ユーザーが既知の階層をドリルダウンしてデータを分析することがよくあるためです。階層の例には、年、四半期、月、日という時間階層があります。

  1. レベル

    「レベル」は、類似の特性を共有するディメンション値のコレクションを表します。たとえば、州の名前、州の人口および州の首都で構成されるStateレベルを作成できます。

  2. レベル属性

    レベル属性とはレベル値を説明する特性です。たとえば、ITEMレベルにCOLORという名前の属性を含めることができます。item1のCOLORの値はgreen、item2のCOLORの値はblueなどとなります。属性は、エンド・ユーザーがその特性に基づいてデータを選択できる論理グループを表します。

    レベル属性の一部は、自然キーまたはサロゲート識別子です。自然キーは、レコードをソース・システムから一意に識別します。自然キーはコンポジット・キーで構成できます。

    サロゲート識別子は、ディメンションのすべてのレベルにまたがって、各レベルのレコードを一意に識別します。この識別子は、単一の属性で構成する必要があります。サロゲート識別子を使用すると、ファクトを最下位ディメンション・レベルのみでなく、どのディメンション・レベルにもフックできます。次のような場合はサロゲート・キーを使用する必要があります。

    • ディメンションはタイプ2の緩やかに変化するディメンション(SCD)です。この場合は、各自然キー値にロードされた複数のディメンション・レコードがあるため、レコードを追跡するための付加一意キーが必要になります。

    • ディメンションは、最下位以外のレベルの制御行を含み、スター・スキーマを使用して実装されます。そのため、このようなディメンションを参照するキューブは、最下位以外のレベルを参照できます。

    サロゲート・キーを定義していない場合、ディメンション・テーブルにはリーフ・レベルのディメンション・レコードのみが保存され、親レベルの情報はリーフ・レベルの付加列に格納されます。ただし、この場合、上位レベルを参照する一意の方法はありません。

    スターで実装される任意のディメンションで、キューブによってリーフ・レベルのみが参照されるというタイプ1ディメンションに対するサロゲート・キーは必要ありません。

  3. 階層

    データを編成する手段として順序付けされたレベルを使用する構造です。レベル階層では、隣接するレベル間の階層関係が定義されます。階層関係とは、階層内の1つのレベルからより抽象的なレベルに対する機能的な依存関係です。

    階層を使用して、時間ディメンションなどでデータ集計を定義できます。階層を使用して"月"レベルから"四半期"レベル、さらに"年"レベルへとデータを集計できます。

  4. ディメンション・ロール

    ディメンションは、データ・ウェアハウスで複数のディメンション・ロールを実行できます。

    1つのデータ・ウェアハウス内で、1つのキューブが同じディメンションを複数回参照できます。その参照ごとに、ディメンションはキューブの別のディメンション・ロールを実行します。

    たとえば、卸売会社で、各販売レコードに次の3つの時間値を含めることができます。

    • 受注時間を示す1つ目の時間値レコード

    • 製品出荷時間を表す2つ目の時間値レコード

    • 支払受領時間を表す3つ目の時間値レコード

    卸売会社の複数の部門が、同じデータを異なる方法(注文時間、製品出荷時間、製品支払時間別)で集計することに関心を持っています。

    このシナリオをモデル化するために、ウェアハウスのデザイナは次の選択を行います。

    • 3つの時間ディメンションを個別にモデル化および移入して、倉庫キューブが各時間ディメンションを参照できるようにします。

    • 1つの時間ディメンションをモデル化します。時間ディメンションの3つのロールを作成します。1つ目は受注時間です。2つ目は出荷時間です。3つ目は支払時間です。売上キューブが、"受注時間"、"出荷時間"および"支払時間"を参照できるようにします。

    2つ目の選択肢には、時間データの保存が1回で済むという利点があります。

  5. 緩やかに変化するディメンションの概要

    ディメンションのロード中、新しいデータの受信時に既存のデータを維持する必要がある場合があります。たとえば、ウェアハウスの初期のレコードには都市の人口が5000人であることが記録されています。都市の新しい人口が6000人であることを示す新しいデータを受信します。単に古い人口を新しい数でオーバーライドするのではなく、古い人口をウェアハウスのどこかで維持して、同じ時点の2つの人口を比較できます。

    緩やかに変化するディメンション(SCD)は、現行データと履歴データの両方を一定期間にわたってデータ・ウェアハウスで保存および管理するディメンションです。履歴データを維持するための戦略は、緩やかに変化するディメンションと呼ばれます。データ・ウェアハウスでは、一般に認知されている3種類のSCDタイプがあります。これらの戦略には、タイプ1、タイプ2およびタイプ3があります。

    緩やかに変化するディメンションのタイプ

    • タイプI の緩やかに変化するディメンションでは履歴は格納されません。タイプ1の緩やかに変化するディメンション(SCD)では、新しいデータで既存のデータが上書きされます。通常、このタイプはSCDとはみなされず、ほとんどのディメンションがこのタイプに該当します。したがって、履歴データはどこにも格納されず失われます。これはユーザーが作成するディメンションのデフォルトのタイプです。タイプ1のSCDを作成するために追加の情報を指定する必要はありません。固有のビジネス上の理由がないかぎり、タイプ1のSCDで十分と考える必要があります。

    • タイプII の緩やかに変化するディメンションではすべてのバージョンの履歴が格納されます。SCD2トリガーとしてマークされている、すべての属性およびすべての親レベルの関係を示す値の履歴全体が格納されます。人口の例では、タイプ2の緩やかに変化するディメンションの場合、各都市のこれまでのすべての人口数が格納されます。

      タイプ2のSCDを定義するには、次のパラメータを定義します。

      • SCDタイプ2をトリガーするレベル属性の場合は、「トリガー履歴」の設定を選択する必要があります。1つ以上のレベル属性を選択できます。これにより、選択した属性の値が変更されると、履歴の1つのバージョンの格納がトリガーされます。

      • SCDタイプ2を使用するには、すべてのレベルでサロゲート・キー属性を作成する必要があります。サロゲート・キー属性はSCD2トリガー履歴として設定できません。

      • タイプ2トリガー履歴として定義された属性を持つレベルには、「タイプ2設定」の「開始日」で設定された日付/タイムスタンプ・レベルの属性が必要です。

      • タイプ2トリガー履歴として定義された属性を持つレベルには、「タイプ2設定」の「終了日」で設定された日付/タイムスタンプ・レベルの属性が必要です。

      • SCDタイプ2は、「トリガー履歴」に設定されている場合、親レベル参照メンバーでトリガーすることもできます。

      タイプ2またはタイプ3のSCDを作成するには、通常のディメンション属性に加え、次のロールを実行する追加属性が必要です。

      • トリガー履歴: これらは履歴値を格納する必要がある属性です。たとえば、PRODUCTSディメンションでは、Productレベルの属性PACKAGE_TYPEをトリガー属性にできます。属性の値を変更する場合、古い値を格納する必要があります。

      • 開始日: この属性には、レコードの有効期間の開始日を格納します。

      • 終了日: この属性には、レコードの有効期間の終了日を格納します。

      • 前の属性: タイプ3 SCDにかぎり、この属性に、バージョンのある属性の前の値を格納します。

    • タイプIII の緩やかに変化するディメンションでは、選択された属性レベルに対する値の2つのバージョン、つまり現在の値と前の値が格納されます。人口の例では、タイプ3の緩やかに変化するディメンションは各都市の現在の人口と前の人口を維持します。

      タイプ3のSCDを定義するには、次のパラメータを定義します。

      • 前の値を格納する各レベル属性では、別のレベル属性を作成し、「タイプ3前の属性」として割り当てる必要があります。また、日付/タイムスタンプ・レベル属性を作成し、レベル属性に「タイプ3開始日」として割り当てる必要があります。

      • 属性に前の値を含めることができる点について2つの制限があります。これらは次のとおりです。

    1. 前の値属性にさらに前の値を含めることはできません。たとえば、"email"の前の値として"old_email"という属性を指定すると、"old_email"の前の値として使用される別の属性"previous-previous email"は選択できません。

    2. サロゲート・キー属性は前の値を持つことができません。

    1つの属性はいずれか1つのロールのみを担当できます。たとえば、1つの属性が通常の属性と有効日属性の両方にはなりません。

  6. ディメンションの実装

    レベル、属性、階層など、ディメンションの論理構造の定義とともに、ディメンション・データの物理的な格納方法を指定する必要があります。

    従来、ディメンションのデータを格納するには2つの方法がありました。次の方法が使用されます。

    • スター・スキーマ

      スター・スキーマでは、各ディメンションのデータは単一のデータストアに格納されます。
    • スノーフレーク・スキーマ

      スノーフレーク・スキーマ実装では、ODIは複数のデータ・ストアを使用してディメンション・データが格納されます。ディメンションのレベルごとに、別々のデータ・ストアが使用されます。

    ディメンションのデータ記憶域のこの仕様をディメンションの実装と呼びます。

キューブの概要

キューブは、同様のディメンション性を持つ、グループ化された一連のメジャーです。キューブの軸にはディメンション値が組み込まれ、キューブの本体にはメジャーの値が格納されます。

たとえば、売上データをキューブに編成する場合、エッジに時間、製品および顧客ディメンションの値が格納され、本体に売上数量および売上高メジャーが格納されます。

各キューブには、1つ以上のディメンションに関連するデータを格納する必要があります。ディメンションはキューブ間で共有できます。同じディメンションが、同じキューブによって別のディメンション・ロールで再利用できます。各キューブにはファクト表を含める必要があります。

メジャー(ファクト)の理解

メジャーとは、調査および分析可能なデータで、通常は加法的な数値になります。たとえば、売上、コスト、収益などがあります。ファクトとメジャーは同じ意味で、ファクトは主にリレーショナル環境で使用され、メジャーは主に多次元環境で使用されます。

キューブの実装

メジャーやディメンション参照などキューブの論理構造を指定した後、ユーザーはキューブの物理的な格納方法を指定する必要があります。通常、キューブはファクト表と呼ばれる単一の表に格納されます。各メジャーは、通常、1つの列に対応し、各ディメンション参照は、ファクト表の列およびファクト表からディメンション表への外部キー(オプション)に対応します。

エラー・データストア

エラー・データストアは、ディメンションまたはキューブでのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべてのレコードを格納します。

エラー表に表示されるレコードは次のとおりです。

  • ロード操作中に挿入されないレコード

  • ロード操作中に親がデフォルト化されるレコード

孤立管理

Oracle Data Integratorの孤立理管理ポリシーでは、ディメンション・オブジェクト(ディメンションおよびキューブ)内の孤立レコードを管理できます。孤立レコードとは、対応する既存の親レコードがないレコードです。オーファン管理では、有効なディメンション・レコードまたはキューブ・レコードの形成に必要な要件に合致しないソース行処理のプロセスを自動化します。

孤立レコードは、ディメンション・オブジェクトにロードされたレコードに、対応する親レコードがない場合に発生します。

  • 1つまたは複数のレベル参照がNULLまたは存在しない場合に、ディメンション・レコードがオーファンとみなされます。

  • 1つまたは複数のディメンション・レコードで参照が存在しないかまたはNULLのどちらかである場合に、キューブ・レコードはオーファンとみなされます。

Oracle Data Integratorでは、ディメンション・オブジェクトのロードおよびディメンション・オブジェクト・データの削除について異なる孤立管理ポリシーを指定できます。

ODIを使用したディメンション・オブジェクトの作成

ODIでは、ディメンションとキューブ・モデルと呼ばれるモデルの新しいタイプが追加されて、ディメンションおよびキューブ・オブジェクトの作成をサポートしています。ディメンション・オブジェクトは、物理データ・ウェアハウスを作成するためのマッピングに使用できます。

この項の内容は次のとおりです。

「ディメンションとキューブ」アコーディオン

ディメンション・オブジェクトは、「ナビゲータ」タブに別のアコーディオンとして追加されます。ディメンション・モデルは、次に示すようにディメンション・オブジェクトとキューブ・オブジェクトを含むフォルダとして機能します。

図9-1 「ディメンションとキューブ」アコーディオン

図9-1の説明が続きます
「図9-1 「ディメンションとキューブ」アコーディオン」の説明

ODIでのディメンションの使用

この項の内容は次のとおりです。

一般プロパティ

  • ディメンションは基になるデータストア・オブジェクトとは別にモデル化されます。

  • タイプ1、タイプ2およびタイプ3の緩やかに変化するディメンションをサポートします。

  • ディメンション・ロールをサポートします。

  • 複数の階層をサポートします。

ディメンションを定義するには、そのレベルと階層を指定する必要があります。

  1. レベル

    • 1つのレベルで1つ以上の依存属性を決定できます。

    • 1つのレベルの列はすべて、同じ表から取り出す必要があります。

    • レベルは階層間で共有できます。

    • 通常は、単一レベルのディメンションを除いて、階層内でレベルをそろえる必要があります。

    • 1つのレベルでいくつかの属性を一意に指定できます。これらの属性列は、レベル列と同じ表から取り出す必要があります。

    • 階層レベルの列を2つ以上のディメンションに関連付けることはできません。

    • 2つのレベルが同じ列のセットを持つことはできません。各階層レベルの列はNULLにはなりません。

    • 各レベルは一度に1つの階層にのみ表示されます。

  2. 階層

    • 各階層には、2つ以上のレベルを含める必要があります。

    • ディメンションのレベルは階層間で共有できます。ディメンションの階層は、相互にオーバーラップすることも切り離されることもあります。次の図は、ODIでサポートできる階層の種類を示しています。

    図9-2 ODIでサポートされる階層

    図9-2の説明が続きます
    「図9-2 ODIでサポートされる階層」の説明
    • すべての階層が厳密な1対nの関係にあることが必要です。階層内の2つの隣接するレベルの場合、親レベルの1つのレコードが階層内の子レベルの複数のレコードに対応します。さらに、子レベルの1つのレコードは階層内で1つの親レコードにのみ対応します。

    • 階層内のレベルをスキップできます。

    • デフォルト階層の選択をサポートします。

    • 反転階層はサポートされません。

    表9-1 反転階層

    階層1 階層2

    Total US

    Total US

    Region

    District

    District

    Region

    Account

    Account

    階層1ではDistrictがRegionに含まれ、階層2ではRegionがDistrictに含まれます。

ODIでのキューブの使用

この項の内容は次のとおりです。

一般プロパティ
  • 各キューブは、単一のファクト表のみを使用する必要があります。キューブにはメジャーのリストが含まれます。

  • ファクト表にはメジャー列が含まれます。

  • 各キューブはディメンションのセットで定義する必要があります。

  • キューブは同じディメンションを異なる別名で何度も再利用できます

  • キューブは、ディメンションで最下位以外のレベルを参照できますが、そのディメンションにサロゲート・キーが必要です。

  • ファクト表は、複数のメジャーを含むことがあります。

キューブ・メジャー

次の点に注意してください。

  • シンプルなメジャーのみサポートされます。つまり、メジャーはファクト表の単一の列にマップされます。

  • メジャーは明示的に定義する必要があります。

新規ディメンション・モデルの作成

新規ディメンション・モデルを作成するには、次の手順を実行します。

  • 「デザイナ」タブで、「ディメンションとキューブ」ノードの隣にある「ディメンション・モデル」アイコンをクリックし、次の図のように「新規ディメンション・モデル」オプションを選択します。

    図9-3 新規ディメンション・モデルの作成

    図9-3の説明が続きます
    「図9-3 新規ディメンション・モデルの作成」の説明

「定義」タブが表示され、新規に作成したディメンション・モデルの次の詳細を設定できます。

  1. 名前 - 新規に作成したディメンション・モデルの名前を入力します。

  2. コード - 新規に作成したディメンション・モデルのコードを入力します。

  3. 説明 - 新規に作成したディメンション・モデルの説明を入力します。

「Save」アイコンをクリックします。

次に示すように、名前を指定した新しいディメンション・モデルが、2つのノード「ディメンション」および「キューブ」に表示されます。

図9-4 新規ディメンション・モデル・フォルダ

図9-4の説明が続きます
「図9-4 新規ディメンション・モデル・フォルダ」の説明

エディタを使用したディメンション・オブジェクトの作成と編集

新規ディメンション・オブジェクトを作成するには、次の手順を実行します。

  • 「ディメンション」ノードを右クリックし、「新規ディメンション」オプションを選択して新規ディメンション・オブジェクトを作成します。

  • 「キューブ」ノードを右クリックし、「新規キューブ」オプションを選択して新しいキューブ・オブジェクトを作成します。

新規ディメンション・オブジェクトが作成されます。

既存のディメンション・オブジェクトのプロパティを編集するには、次の手順を実行します。

  • 編集する必要なディメンション・オブジェクトまたはキューブ・オブジェクトをダブルクリックします。

    または右クリックして「開く」を選択します。

選択したディメンション・オブジェクトがディメンション・エディタまたはキューブ・エディタで開きます。ディメンション・エディタまたはキューブ・エディタでは、ディメンションまたはキューブの定義と実装のすべての面を完全に制御できます。これにより、作成したディメンション・オブジェクトに関連する様々な操作を最大限の柔軟さで実行できます。

ディメンション・エディタの使用

ディメンション・エディタには、ディメンション・オブジェクトを簡単かつ効率的に管理するために必要な3つのタブがあります。これらは次のとおりです。

「定義」タブ

ディメンション・エディタの「定義」タブでは、新規に作成したまたは既存のディメンションの次のプロパティを定義できます。

  1. 名前- 作成したディメンションの名前を表します。

  2. 説明- 作成したディメンションの短い説明を表します。

  3. 実装タイプ - 作成されるディメンションに必要な実装タイプを示します。

    「実装タイプ」オプションから「星」、「スノーフレーク」のいずれか必要な実装タイプを選択します。

  4. パターン名 - 作成したディメンションに適用する必要のあるパターンのタイプを示します。

    注意:

    ODIには、ディメンション・パターンと呼ばれるデフォルトのビルトイン・パターンがあります。

  5. バインディング・データストア - スター実装の場合、バインディング・データストアは作成したディメンションがバインドされるデータストアです。

  6. バインド・エラー・データストア - ディメンションのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべてのレコードを格納するエラー・データストアを示します。

  7. 「サロゲート・キー・シーケンス」 - サロゲート・キーが使用されている場合に、ディメンションに対してサロゲート・キーを生成するために使用される、プロジェクト・ツリー(ディメンション・マッピングが作成される)からのシーケンスを表します。サロゲート・キーは、ディメンションのすべてのレベルにまたがって、各レベルのレコードを一意に識別します。この識別子は、単一の属性で構成する必要があります。サロゲート識別子を使用すると、ファクトを最下位ディメンション・レベルのみでなく、どのディメンション・レベルにもフックできます。サロゲート識別子は、データ型がNUMBERである必要があります。

    次のような場合はサロゲート・キーを使用する必要があります。

    • ディメンションがタイプ2またはタイプ3 SCDの場合。この場合は、各自然キー値にロードされた複数のディメンション・レコードがあるため、レコードを追跡するための付加一意キーが必要になります。

    • ディメンションは、最下位以外のレベルの制御行を含み、スター・スキーマを使用して実装されます。そのため、このようなディメンションを参照するキューブは、最下位以外のレベルを参照できます。

    サロゲート・キーを定義していない場合、ディメンション・テーブルにはリーフ・レベルのディメンション・レコードのみが保存されます。親レベルの情報はリーフ・レベルの付加列に格納されます。ただし、この場合、上位レベルを参照する一意の方法はありません。

    スターまたはスノーフレークで実装される任意のディメンションで、キューブによってリーフ・レベルのみが参照されるというタイプ1ディメンションに対するサロゲート・キーは必要ありません。複数の階層を持つディメンションは、リーフ・レベルがキューブに参照されるため、サロゲート・キーなしで機能します。

注意:

「ネイティブ順序」タイプのプロジェクトODIシーケンスは、ディメンション・データストアが存在する同じ論理スキーマに作成される必要があります。

「レベル」タブ

ディメンション・エディタの「レベル」タブでは、新規に作成または既存のディメンションのレベルとレベル属性を定義できます。次の項目が含まれます。

  • レベル

  • レベル属性

  • 親レベル参照

  1. レベル

    ディメンションで利用できるレベルのリストは、「レベル」タブの上部にある「レベル」セクションに示されます。

    レベルを作成または削除するには、ヘッダーにある「追加」の「+」または「x」アイコンをクリックします。隣にある「複製」アイコンを使用して、既存のレベルでレベルを作成することもできます。属性は、前のレベルに従って複製されます。レベルを並べ替えるには、「レベル」セクションのヘッダーにある上下矢印のアイコンをクリックします。

    この「レベル」セクションには、次のパラメータが含まれます。

    • 名前- 作成したレベルの名前を表します。

    • 説明- 作成したレベルの短い説明を表します。

    • データストア - ディメンション・データを格納するために使用されるデータストアを表します。

    • エラー・データストア — ディメンションのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべてのレコードの格納に使用されるエラー・データストア。

    • ステージング・データストア - このレベルの受信データを実際のバインディング・データストアにロードする前に、ステージするために使用されるデータストアを表します。

    バインディング・データストアおよび「ステージング・データストア」はすでに存在し、同じデータ・モデルに表示されている必要があります。これらに加えて、バインドされたデータストアもデータベースで作成する必要があります。ディメンションが使用されるマッピングの実行中にステージング表が作成され、切捨てられます。これらのデータストアでは、すべての属性を、すべてのレベルのレベル属性、自然キー・メンバー属性および親レベル参照属性にバインドする必要があります。

  2. レベル属性

    このセクションには、「レベル」セクションで選択したレベルのすべてのレベル属性が表示されます。

    レベル属性を作成または削除するには、「追加」の「+」または「x」アイコンをクリックし、レベルの順序を変更するには、「レベル属性」セクションのヘッダーにある上向き矢印と下向き矢印アイコンをクリックします。

    この「レベル」ノードには、次のパラメータが含まれます。

    • 名前- 作成したレベル属性の名前を表します。

    • サロゲート・キー - 選択した属性の特性、つまりサロゲート・キーとして扱うかどうかを表します。

      サロゲート・キーチェック・ボックスを選択すると、選択した属性をサロゲート・キーとして使用できます。

    • データ型 - 新規に作成したレベル属性のデータ型を表します。

      「データ型」 ドロップダウン・ボックスで、新規に作成したレベル属性の必要なデータ型を選択します。「データ型」 ドロップダウン・ボックスの値は、ODIリポジトリに定義されている"汎用SQL"テクノロジのデータ型になります。

    • タイプ2設定 - 次の値が含まれます。

      • なし - 以下に示す属性のいずれも選択しない場合はこのオプションを選択します。

      • 開始日 - この属性には、レコードの有効期間の開始日を格納します。

      • 終了日 - この属性には、レコードの有効期間の終了日を格納します。

      • トリガー履歴 - これらは履歴値を格納する必要がある属性です。たとえば、PRODUCTSディメンションでは、Productレベルの属性PACKAGE_TYPEをトリガー属性にできます。属性の値を変更する場合、古い値を格納する必要があります。属性をバージョニングする必要がある場合に、属性に対してこのオプションを選択します。

      「タイプ2設定」ドロップダウン・ボックスで、必要な値を選択します。

    • タイプ3前の属性 -現在のレベルのレベル属性のリストを表します。このパラメータが設定されると、新規に作成されたレベル属性に対してSCD3が有効化されます。受信データにこの属性に対する変更が含まれている場合、その値は受信データにオーバーライドされる前にまずSCD3の前の属性に移動されます。

    • タイプ3開始日 -このドロップダウン・ボックスには、現在のレベルのレベル属性がリストされます。新規に作成されたレベル属性に対してSCD3が有効な場合、前の値が設定されたタイムスタンプは、SCD3の開始日として指定されたレベル属性に格納されます。

    • 属性 - 新しく作成したレベル属性のデータを格納するために使用するデータストア属性をバインディング属性ドロップダウン・ボックスから選択できます。バインディング属性の有効な値は、(スター・ディメンション実装の)「ディメンション」表の属性を構成します。

    • デフォルト値 - 作成したレベル属性のデフォルト値を表します。

    • エラー属性 — ディメンションのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべてのレコードがエラー属性としてリストされます。

    • ステージング属性 - このレベル属性のデータを格納するために使用するデータベース属性をドロップダウン・ボックスから選択できます。ステージング属性の有効な値は、現在のレベルのバインディングとして選択されたステージング・データストアの属性を構成します。

      注意:

      同じレベルでは、1つのレベル属性のみがサロゲート・キー、SCD2開始日、SCD2終了日、SCD3の前の属性またはSCD3開始日として機能できます。特定のロールを持つ複数のレベル属性を設定しようとすると、エラー・メッセージが表示されます。

    • 自然キー・メンバー - 「自然キー・メンバー」には、「レベル」ノードで選択されているレベルの自然キーのキー・メンバーが表示されます。通常、自然キーはビジネス・キーまたはアプリケーション・キーと呼ばれ、ソース・システムの特定のレコードを一意に識別できるキー値を格納するために使用されます。

      自然キー・メンバーを作成または削除するには、「追加」の「+」または「x」アイコンをクリックし、レベルの順序を変更するには、「自然キー・メンバー」ノードのヘッダーにある上向き矢印と下向き矢印アイコンをクリックします。このセクションには「レベル属性」列が表示されます。レベル属性は選択されたレベルの自然キーを構成します。この列の有効な値は、この列にリストされている現在のレベルのレベル属性のリストです。

  3. 「親レベル参照」 - このセクションでは、「レベル」で選択したレベルから別の親レベルへの参照のリストが定義されます。これは「レベル」セクションから導出されます。

    親レベル参照を作成または削除するには、親レベル属性セクションのヘッダーにある「追加」の「+」または「x」アイコンをクリックします。

    機能的には、親レベル参照は親レベル・レコードを現在のレコードから取得する方法を定義します。現在のレコードの1つ以上の属性が、親レベルの対応する自然キー属性とマッチングするための外部キーとして使用されます。「親レベル参照」セクションには、次の列が含まれます。

    • 名前- 作成した親レベル参照の名前を表します。

    • 説明- 新規に作成した親レベル参照の短い説明を表します。

    • 親レベル - この参照が指し示す必要な親レベルを「親レベル」ドロップダウン・ボックスから選択します。「親レベル」列の有効な値は、現在選択されているレベルよりも高い「ディメンション」内のレベルです。

      注意:

      複数の親レベル参照で同じ親レベルを選択できます。これは、現在のレコードからその親レベルへの複数のパスがあることを意味します。

    • タイプ2 SCD設定 - このパラメータには、「なし」または「トリガー履歴」の2つの値があります。「タイプ2 SCD設定」で「トリガー履歴」を選択すると、「親レベル参照キー・メンバー」列のいずれかが受信データと異なる場合、ディメンションのロード中に新しい行が作成されます。

「親レベル参照キー・メンバー」は「親レベル参照」セクションで選択されている親レベル参照から導出されます。親レベルにサロゲート・キーが含まれている場合、キー・メンバーはサロゲート・キーとなり、含まれていない場合は自然キーとなります。各行には、親レベルのキー・メンバーが自動的に移入されます。ログには、次の列が含まれます。

  • 親キー属性 - 親レベルの自然キーの一部であるレベル属性。ディメンション・コンポーネントは、ODIで定義されたディメンションにデータをロードするマッピングに使用されます

  • 外部キー属性 - このパラメータは、親レベルの対応する自然キー・メンバーとのマッチングに使用される現在のレベルのデータストア列を表します。「外部キー属性」ドロップダウン・ボックスの有効な値は、現在選択されているレベルのデータストアのすべての列です。

  • 外部キー・エラー属性 - 外部キーに関して、ディメンションのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべての属性が、外部キー・エラー属性としてリストされます。

  • 外部キー・ステージング属性 - このパラメータは、親レベルの対応する自然キー・メンバーとのマッチングに使用される現在のレベルのデータストア列を表します。「外部キー・ステージング属性」ドロップダウン・ボックスの有効な値は、現在選択されているレベルのステージング・データストアのすべての列です。

    注意:

    スター・ディメンションでは、ディメンション・レコードが同じデータベース行に格納され、これには親レベルのすべての情報が含まれるため、親レベル参照のキー・メンバーを指定する必要はありません。

「階層」タブ

「階層」タブには、新規に作成されたディメンションに対して定義された階層のリストが表示されます。「階層」は、ディメンション・データが要約され、BIレポート・ツールでロールアップされる方法を定義します。

階層を作成または削除するには、「追加」の「+」または「x」アイコンをクリックし、レベルの順序を変更するには、「階層」セクションのヘッダーにある上向き矢印と下向き矢印アイコンをクリックします。「階層」セクションの内容は、次のとおりです。

  • 名前- 作成した階層の名前を表します。

  • 説明- 新規に作成した階層の短い説明を表します。

  • デフォルト - ディメンションに複数の階層がある場合、問合せツールではデフォルト階層が表示されます。1つの階層のみをデフォルトとして定義できます。

「階層メンバー」表には、「階層」表で選択されている階層のレベル・メンバーのリストが表示されます。階層メンバーを作成または削除するには、「追加」の「+」 または「x」アイコンをクリックし、レベルの順序を変更するには、「階層」表のヘッダーにある上向き矢印と下向き矢印アイコンをクリックします。階層メンバーは、ディメンションのレベルの自然な順序に基づいてソートされます。この表には次の列が表示されます。

  • レベル -新規に作成した階層の必要なレベルを「レベル」ドロップダウン・ボックスから選択します。ドロップダウン・ボックスにリストされている有効な値は、現在選択されている階層のメンバーではないディメンションのレベルのリストです(これは、前の階層メンバーより低いレベルです)。

    たとえば、Brand、CategoryおよProductという3つのレベルを持つディメンションがある場合、最初の階層メンバーがBrandであれば、2番目の階層メンバーの有効なレベルはCategoryおよびProductです。

  • 親レベル参照 - 選択したレベルからその直前の階層メンバーのレベルまで移動するために使用される親レベル参照です。ドロップダウン・ボックスの列およびその有効な値は、現在のレベルと直前の階層メンバーのレベルの間の親レベル参照です。

スキップ・レベル・メンバー・セクションには、「階層メンバー」表で選択されている階層メンバー内のスキップ・レベル・メンバーのリストが表示されます。これにより、レベル内のデータに複数のパスを持たせて、別々の親レベルにロールアップすることができます(一部のパスは同じ階層の1つ以上の親レベルをスキップする場合があります)。

たとえば、小売企業のStoreという名前のディメンションにCity -> Region -> State -> Countyという順序で階層Store があるとします。この企業には他より重要なストアがいくつかあり、それらは支社の直轄となっています。その結果、StoreはCityおよびRegionという2つのレベルを持つことができます。ここでCityはオプションです。この階層を説明すると、Storeレベルの階層メンバーがあり、その親レベルはCityです。この階層メンバーにはスキップ・レベルもあり、その親レベル参照はRegionレベルを指し示しています。

親レベルで複数のパスをスキップできるため、「+」または「x」のボタンをクリックしてこれらの異なるロールアップ・パスを表すことができます。「スキップ・レベル」セクションには次の列があります。

親レベル参照: 階層内の前のレベルにスキップするために使用する親レベル参照。この値はドロップダウン・ボックスです。その有効な値は、現在選択されている階層メンバーのレベルに対して定義されている親レベル参照で、直前のレベルを指し示していない親レベル参照を含みます。

「孤立」タブ

既存の親レコードを持たないレコードを挿入する場合には必ず、ディメンション・オブジェクトへのデータのロード中に、孤立レコードは作成されます。たとえば、「Geography」ディメンションの「City」レベルにデータをロードします。このレコードの「State」属性の値は、「State」レベルに存在しません。このレコードは、孤立レコードです。または、データを「SALES」キューブにロードしても、「Customers」ディメンションにおける「Customer ID」の値は存在しません。

Oracle Data Integratorを使用すると、孤立レコードをディメンション・オブジェクトにロードする際に使用する整合性ポリシーを指定できます。NULLの親レコードを持つレコードおよび無効な親レコード持つレコードについて別のアクションを指定できます。

ロード用に設定できる孤立管理ポリシー・オプションは次のとおりです。

  • 孤立拒否 - ロードは挿入されません。

    注意:

    「デフォルトの親」ポリシーは最上位以外のすべてのレベルに適用されますが、「孤立拒否」はリーフ・レベル(最下位レベル)にのみ適用されます。「孤立拒否」が有効な場合、リーフ以外のレベルにある孤立レコードは、引き続きディメンション表にロードされます。
  • デフォルトの親 - デフォルトの親レコードを指定できます。このデフォルト・レコードは、既存の親レコードを持たないあらゆるレコードの親レコードとして使用されます。ロードされるデフォルトのレコードは、ディメンション・エディタで設定するデフォルト値と同じである必要があります。デフォルトの親レコードが存在しない場合は、初期ロードの一部として、またはマッピング実行の前にデータストアにロードする必要があります。

  • メンテナンスなし - デフォルトの動作です。孤立レコードの検出、拒否または修正は積極的に行われません。

キューブ・エディタの使用

キューブ・エディタには、キューブ・オブジェクトを簡単かつ効率的に管理するために必要な3つのタブがあります。これらは次のとおりです。

「定義」タブ

キューブ・エディタの「定義」タブでは、新規に作成したまたは既存のキューブ・オブジェクトの次のプロパティを定義できます。

  • 名前 - 作成したキューブ・オブジェクトの名前を表します。

  • 説明- 作成したキューブ・オブジェクトの短い説明を表します。

  • パターン名 - 作成したキューブに適用する必要のあるパターンのタイプを示します。

    注意:

    ODIには、キューブ・パターンと呼ばれるデフォルトのビルトイン・パターンがあります。

    バインディング・データストア- キューブ・データの格納に使用されるデータストアをホイールを使用して選択できます。ODIリポジトリのすべてのモデルにあるすべてのデータストアが表示されます。「キューブ」表のテキスト・ボックスの横にある「検索」アイコンをクリックして、必要なキューブ表を選択します。

  • バインド・エラー・データストア - キューブのロード中に孤立管理によって変則的と判断されたすべてのレコードを格納するエラー・データストアを示します。

「詳細」タブ

キューブ・エディタの「詳細」タブでは、新規に作成したまたは既存のキューブ・オブジェクトの次のプロパティを定義できます。

注意:

ODIは、キューブ情報を格納する単一のデータストアのみサポートします。

  • ディメンション - 「ディメンション」セクションには、キューブによって使用されているディメンションのリストが表示されます。「ディメンション」セクションのヘッダーにある「追加」の「+」または「x」ボタンを使用してディメンションを追加または削除できます。ディメンションのセクションには、次の設定が含まれます。

    • レベル - キューブに対して参照されるディメンションのレベルを示します。「レベル」パラメータの横に表示される「参照」アイコンをクリックすると、ODIリポジトリのすべてのディメンションにあるすべてのレベルが表示されます。レベルを選択すると、レベルの修飾名が(<dimension_name>.<level_name>の形式で)表示されます。

    • ロール - キューブ内で同じディメンションを複数回使用する場合、そのディメンションを一意に識別するために別名を入力します。これは「ロール」列を使用して実行できます。

  • 「キー・バインディング」 -「キー・バインディング」ノードは「ディメンション」ノードによって導出されます。次のものがあります。

    • ディメンション・キー - 「ディメンション」セクションでディメンションを選択すると、「キー・バインディング」データストアが「ディメンション・キー」列に表示されます。ディメンションでサロゲート・キーを使用している場合はそれぞれのサロゲート・キーが表示され、サロゲート・キーを使用していない場合は自然キーが表示されます。

    • 属性 - このパラメータでは、キューブ・バインディングデータストアにあるすべての属性が表示されます。ディメンション・キーまたはメジャーにすでにバインドされている属性がある場合、その属性は表示されません。

    • エラー属性 — キューブのロード中に孤立管理によって変則的と判断された属性がエラー属性としてリストされます。

  • メジャー - 新規メジャーを追加または削除するときに使用します。これには次の列があります。

    • 名前- 作成したメジャーの名前を示します。

    • データ型 - 「データ型」ドロップダウン・リストからレベル属性のデータ型を選択します。この列の有効な値は、ODIリポジトリに定義されている"汎用SQL"テクノロジのすべてのデータ型になります。

    • 属性 - このパラメータは、メジャーのデータを格納するデータストアを示します。このパラメータの有効な値は、「キューブ」表の列です。ディメンション・キーまたはメジャーにすでにバインドされている属性がある場合、その属性はこの列に表示されません。

    • エラー属性 — キューブのロード中に孤立管理によって変則的と判断された属性がエラー属性としてリストされます。

「孤立」タブ

キューブのロード用に設定できる孤立管理ポリシー・オプションは次のとおりです。

  • 孤立拒否 - ロードは挿入されません。

  • デフォルトのディメンション・レコード - デフォルトのディメンション・レコードを指定できます。このデフォルト・レコードは、既存のディメンション・レコードを持たないあらゆるレコードのディメンション・レコードとして使用されます。デフォルトのディメンション・レコードが存在しない場合は、初期ロードの一部として、またはマッピング実行の前に、まずデフォルトのディメンション・レコードをロードする必要があります。

  • メンテナンスなし - デフォルトの動作です。ディメンション・レコードの検出、拒否または修正は積極的に行われません。

マッピングでのディメンション・コンポーネントの使用

この項では、マッピングでディメンション・オブジェクトを使用する方法について詳細に説明します。

マッピングでのディメンション・コンポーネントの使用

ディメンション・コンポーネントは、ディメンションおよび緩やかに変化するディメンションにデータをロードするマッピングに使用されます。

ディメンション・コンポーネントには、ディメンションの各レベルにグループが1つ含まれます。グループにはディメンション・レベルと同じ名前を使用します。各レベルのレベル属性は、レベルを表すグループの下に示されています。

ディメンジョン・レベルのサロゲート・キー属性または親参照キー属性にはデータ・フローをマップできません。

マッピングでディメンションを使用するには、次に示すように「ディメンションとキューブ」モデルからディメンションをドラッグして、マッピング・エディタのキャンバスにドロップします。

図9-5 マッピングでのディメンション・コンポーネントの使用

図9-5の説明が続きます
「図9-5 マッピングでのディメンション・コンポーネントの使用」の説明
ディメンション・コンポーネント・プロパティ・エディタ

ディメンション・コンポーネントには、次のプロパティがあります。

属性

属性は、ベース・ディメンションによって修正および提供されます。これはレベル内のデータ・フィールドを表します。

一般プロパティ

ディメンション・コンポーネントの一般プロパティは次のとおりです。

  • 名前- 作成したディメンション・コンポーネントの名前を示します。

  • 説明- ディメンション・コンポーネントの作成時に指定される短い説明を示します。

  • ディメンション - ディメンションが関連付けられているベース・ディメンションに関する情報を示す読取り専用プロパティです。

  • バウンド・データストア - 値がベース・ディメンションから導出される読取り専用のプロパティで、ベース・ディメンションがバインドされるデータストアの名前です。

  • バウンド・エラー・データストア - 孤立管理の実行によって発生したエラーを格納するエラー・データストアの名前を指定する読取り専用のプロパティ。

  • バウンド順序 - ベース・ディメンションで使用される順序を表します。

  • 記憶域タイプ - 「記憶域タイプ」のデフォルト値は「星」です。

  • コンポーネント・タイプ - 「コンポーネント・タイプ」のデフォルト値は「ディメンション」です。

  • パターン - 「パターン」のデフォルト値はディメンション・パターンで、独自のパターンを作成すると、ここに表示され、必要なパターンを選択できます。

  • ターゲット・ロード順序 - 同じマッピング内の複数のターゲットのロード順序を指定します。Oracle Data Integratorは、「親レベル」の参照に基づいてデフォルトの順序を決定します。

  • 無効なキーのロード・ポリシー - 無効の親レコードを含むレコードのロードに使用する孤立管理ポリシーを表します。

  • Nullキーのロード・ポリシー - NULL親キー参照を含むレコードのロードに使用する孤立管理ポリシーを表します。

コネクタ・ポイント

コネクタ・ポイントは、マッピング内のコンポーネント間の接続を定義します。ディメンション・コンポーネントには入力コネクタ・ポイントしかありません。出力コネクタ・ポイントは無効です。入力コネクタ・ポイントのプロパティは次のとおりです。

表9-2 入力コネクタ・ポイントのプロパティ

プロパティ 説明

名前

コネクタ・ポイントの名前を示します。このフィールドは編集できます。

説明

コネクタ・ポイントの説明を示します。

バウンド・オブジェクト

コネクタ・ポイントがバインドされているオブジェクトの名前を示します。このフィールドは、コンポーネント・タイプがコネクタ・ポイント・バインディングをサポートしていない場合は空白のままです。

接続元

このコンポーネントの接続元の前のコンポーネント名を示します。

履歴プロパティ

ディメンション・コンポーネントの履歴プロパティは次のとおりです。

注意:

これらのプロパティはタイプ2のSCDにのみ適用されます。

  • デフォルトの初期レコード有効時間- 特定のディメンション・レコードの初期ロードに対する有効時間として割り当てられるデフォルト値を表します。

  • デフォルトのオープン・レコード有効時間 - 初期レコードの後のオープン・レコードの有効時間に設定されるデフォルト値を表します。この値は変更しないでください。

  • デフォルトのオープン・レコード終了時間 - ディメンション内のすべてのレベルについて、新規に作成したオープン・レコードの終了時間として使用される日付値を表します。

  • 緩やかな変化タイプ- これは読取り専用プロパティで、この値はSCD設定のタイプに基づいて設定されます。

  • タイプ2ギャップ - これは、バージョン管理されている古いレコードの有効時間とバージョン管理されたばかりの現在のレコードの開始時間の時間間隔を表します。

    トリガー属性の値が更新されると、現行レコードはクローズされ、更新された値で新しいレコードが作成されます。古いレコードのクローズと現行レコードのオープンは同時に行われるため、古いレコードの終了時間とオープン・レコードの開始時間には同じ値を使用するより、間隔を開けると便利です。

  • タイプ2ギャップ・ユニット - 「タイプ2ギャップ」プロパティで示されたギャップ間隔を測定するために使用される時間単位を表します。オプションは、「秒」、「分」、「時間」、「日」および「週」です。デフォルト値は「秒」です。

ターゲット・プロパティ
  • 「ターゲット・プロパティ」タブに表示される「ソースの重複除外の有効化」チェック・ボックスを選択して、ソースから重複レコードが処理されないようにします。

  • エラー・データストアの切捨て - このプロパティはバウンド・エラー・データストアにのみ適用され、DMLエラー表には適用されません。使用するたびに、このプロパティを「エラー・データストアの切捨て」に設定する場合は、このチェック・ボックスを選択します。

マッピングでのキューブ・コンポーネントの使用

キューブ・コンポーネントはキューブ・オブジェクトに基づき、ベース・キューブに応じた一連の属性があります。

キューブ・オブジェクトをマッピング・エディタにドラッグすると、そのキューブに基づいたキューブ・コンポーネントが作成されます。

図9-6 マッピングでのキューブ・コンポーネントの使用

図9-6の説明が続きます
「図9-6 マッピングでのキューブ・コンポーネントの使用」の説明

注意:

キューブ・コンポーネントはターゲットとしてのみ使用され、他のコンポーネントのソースとしては使用できません。

図9-7 キューブ・コンポーネント

図9-7の説明が続きます
「図9-7 キューブ・コンポーネント」の説明
キューブ・コンポーネント・プロパティ・エディタ

キューブ・コンポーネントには、次のプロパティがあります。

属性

キューブ・コンポーネントには、ベース・キューブから導出された一連の入力マップ属性があります。これらは次のとおりです。

  • メジャー属性 - キューブ・コンポーネントのベース・キューブの各メジャーには、対応するマップ属性がキューブ・コンポーネントにあります。マップ属性はキューブ・メジャーにバインドされています。メジャー名はマップ属性名として使用されます。

  • ディメンション自然キー属性 - 参照先レベルの各自然キー属性には、対応するマップ属性がキューブ・コンポーネントにあります。マップ属性は、参照先レベルの自然キー・レベル属性にバインドされています。

    • キューブのディメンション参照にロール修飾子セットがある場合、マップ属性名は<dimension name>_<role name>_<attribute name>の形式になります。

    • キューブのディメンション参照にロール修飾子がない場合、マップ属性名は<dimension name>_<attribute name>の形式になります。

  • アクティブ日 - キューブ・コンポーネントのベース・キューブが少なくとも1つのSCD2ディメンションを参照している場合に作成される特殊なマップ属性です。

キューブ・コンポーネントのマップ属性が参照先ディメンションの自然キー識別子として表されている場合、次のプロパティがあります。

  • ターゲット

    • 実行ヒント

    • 固定実行場所

  • 一般

    • 名前

    • 説明

    • データ型

    • 長さ

    • スケール

    • 属性ロール - これは読取り専用プロパティで、属性を示し、自然キー識別子として表されます。

    • バウンド・オブジェクト - これは読取り専用プロパティです。この属性は自然キー・レベル属性にバインドされます。

キューブ・コンポーネントのマップ属性がキューブ・メジャーと対応している場合、次のプロパティがあります。

  • ターゲット

    • 実行ヒント

    • NULLデータ値

    • ソース集計関数 — これはメジャーに対するソース・ロード集計関数を示します。このプロパティは、キューブ・コンポーネントで「ソース集計の有効化」プロパティと一緒に使用します。ユーザー・インタフェースで、コンボ・ボックスに、汎用テクノロジのすべての集計関数がリストされます。

  • 一般

    • 名前

    • 説明

    • データ型

    • 長さ

    • スケール

    • 属性ロール - これは読取り専用プロパティで、属性を示し、キューブ・メジャーとして表されます。

    • バウンド・オブジェクト - これは読取り専用プロパティです。属性はキューブ・メジャーにバインドされています。

キューブ・コンポーネントの「アクティブ日」属性には、次のプロパティがあります。

  • ターゲット

    • 実行ヒント

    • 固定実行場所

  • 一般

    • 名前

    • 説明

    • データ型 - アクティブ日属性のデフォルトのデータ型「TIMESTAMP」を示します。

    • 長さ

    • スケール

    • 属性ロール - これは読取り専用のプロパティで、「アクティブ日」に設定されます。「アクティブ日」属性にはデフォルトの式があり、「FUNC_SYSDATE」に設定されます。「FUNC_SYSDATE」はグローバル・ユーザー関数です。この関数はディメンション・コンポーネントでも使用されます。

一般プロパティ

キューブ・コンポーネントには次の一般プロパティがあります。

  • 名前- キューブ・コンポーネントの名前を示します。

  • 説明- マッピングの短い説明を示します。

  • キューブ - キューブ・コンポーネントのベース・キューブを提供する読取り専用プロパティです。

  • データストア - 読取り専用プロパティで、この値がベース・キューブから導出されます。このコンポーネントのベース・キューブのバインドされているデータストアです。

  • エラー・データストア - 孤立管理の実行によって発生したエラーを格納するエラー・データストアの名前である読取り専用のプロパティ。

  • コンポーネント名 - これは読取り専用プロパティで、その値はデフォルトで「キューブ」です。

  • パターン - 現在は、パターン(キューブ・パターン)のみ選択できます。

  • ターゲット・ロード順序 - 同じマッピング内の複数のターゲットのロード順序を指定します。Oracle Data Integratorは、「親レベル」の参照に基づいてデフォルトの順序を決定します。

  • 無効なキーのロード・ポリシー - 無効の親レコードを含むレコードのロードに使用する孤立管理ポリシーを表します。

  • Nullキーのロード・ポリシー - NULL親キー参照を含むレコードのロードに使用する孤立管理ポリシーを表します。

ターゲット・プロパティ

キューブ・コンポーネントには次のターゲット・プロパティがあります。

  • 統合タイプ - 「統合タイプ」には3つのタイプがあります。これらは次のとおりです。

    • なし

    • 増分更新

    • 制御追加

      デフォルト値は、「増分更新」です。「統合タイプ」は最終的にデフォルトのIKMの決定に役立ち、IKM選択セットを制限します。

  • ソース集計の有効化 - このプロパティが有効な場合、ファクト表をロードする前に、集計コンポーネントがキューブ・コンポーネントの拡張したマップに追加されます。ソース行セットはディメンション参照属性でグループ化されます。メジャー集計関数は、SOURCE_AGGREGATION_FUNCTION属性プロパティによって判別されます。

  • エラー・データストアの切捨て - このプロパティはバウンド・エラー・データストアにのみ適用され、DMLエラー表には適用されません。使用するたびに、このプロパティを「エラー・データストアの切捨て」に設定する場合は、このチェック・ボックスを選択します。

コネクタ・ポイント

キューブ・コンポーネントをターゲットとしてのみ使用できます。したがって、1つの入力コネクタ・ポイントのみを含み、出力コネクタ・ポイントはありません。

ディメンション・コンポーネントの拡張

この項では、ディメンション・コンポーネントとキューブ・コンポーネントの拡張について簡単に説明します。

ディメンション・コンポーネントの拡張

ディメンション・コンポーネントは拡張可能なコンポーネントで、再利用可能なマッピングと同様に拡張できます。

ディメンション・コンポーネントを拡張するには、ディメンション・コンポーネントを右クリックし、ポップアップ・メニューで「開く」を選択します。

これによって、ディメンション・コンポーネントの拡張されたマッピングに切り替わります。拡張されたマッピングは選択したパターンによって決定されます。

図9-8 ディメンション・コンポーネントの拡張

図9-8の説明が続きます
「図9-8 ディメンション・コンポーネントの拡張」の説明

通常、ディメンション・コンポーネントの拡張されたマッピングは次のようになります。

図9-9 ディメンション・コンポーネントの拡張された一般的なマッピング

図9-9の説明が続きます
「図9-9 ディメンション・コンポーネントの拡張された一般的なマッピング」の説明

キューブ・コンポーネントの拡張

キューブ・コンポーネントは拡張可能なコンポーネントで、再利用可能なマッピングと同様に拡張できます。

キューブ・コンポーネントを拡張するには、キューブ・コンポーネントを右クリックし、ポップアップ・メニューで「開く」を選択します。

これによって、キューブ・コンポーネントの拡張されたマッピングに切り替わります。拡張されたマッピングは選択したパターンによって決定されます。

図9-10 キューブ・コンポーネントの拡張

図9-10の説明が続きます
「図9-10 キューブ・コンポーネントの拡張」の説明

通常、キューブ・コンポーネントの拡張されたマッピングは次のようになります。

図9-11 キューブ・コンポーネントの拡張された一般的なマッピング

図9-11の説明が続きます
「図9-11 キューブ・コンポーネントの拡張された一般的なマッピング」の説明