10 Oracle GoldenGateのためのDB2 for z/OSデータベースの準備
内容は次のとおりです。
処理のための表の準備
Oracle GoldenGate環境で使用するために表を準備するには、次のタスクを実行する必要があります。
トリガーおよびカスケード制約の無効化
ターゲット表のトリガー、カスケード削除制約、カスケード更新制約を無効にするか、これらを変更してOracle GoldenGateデータベース・ユーザーによる変更が無視されるようにします。Oracle GoldenGateでは、トリガーまたはカスケード制約の結果として生成されるDMLがレプリケートされます。同じトリガーや制約がターゲット表でアクティブになった場合、レプリケートされたバージョンのために重複となり、データベースでエラーが返されます。ソース表にemp_src
とsalary_src
、ターゲット表にemp_targ
とsalary_targ.
を使用している次の例について考えます
-
emp_src
に対して削除が発行されます。 -
それによって、削除が
salary_src
にカスケードされます。 -
Oracle GoldenGateが、両方の削除をターゲットに送信します。
-
まず親削除が到着し、
emp_targ
に適用されます。 -
親削除によって、削除が
salary_targ
にカスケードされます。 -
salary_src
からカスケードされた削除がsalary_targ
に適用されます。 -
行は、すでにステップ5で削除されているため、見つかりません。
親トピック: 処理のための表の準備
行識別子の割当て
Oracle GoldenGateでは、レプリケートされた更新および削除に対して正しいターゲット行を見つけるために、ソース表とターゲット表にある形式の一意の行識別子が必要です。
Oracle GoldenGateで使用する行識別子の種類を判別する方法
TABLE
またはMAP
文でKEYCOLS
句が使用されないかぎり、Oracle GoldenGateは、使用する行識別子を次の優先順位に従って選択します。
-
主キー
-
タイムスタンプまたはマテリアライズされていない計算結果列を含まない英数字順で最初の一意キー。
-
前述のキー・タイプのいずれも存在しない場合(その他の種類のキーが表に定義されている場合でも)、Oracle GoldenGateは、データベースで一意キーでの使用を許可されているすべての列(キー内での使用がOracle GoldenGateでサポートされていない列やOracle GoldenGate構成から除外されている列は除く)で疑似キーを作成します。
ノート:
表に使用可能な他のキーがない場合や、表にキーがまったくない場合、Oracle GoldenGateは該当するメッセージをレポート・ファイルに記録します。すべての列からキーを作成すると、ソース・システムのOracle GoldenGateのパフォーマンスが低下します。ターゲットでは、このキーはReplicatであまり効率的でないより大きいWHERE
句が使用される原因となります。
親トピック: 行識別子の割当て
KEYCOLS
を使用したカスタム・キーの指定
前述のキー・タイプの行識別子が表に存在しないか、または、それらの識別子を使用しない場合は、常に一意の値が含まれている列が表にあれば、代替キーを定義できます。ExtractのTABLE
パラメータおよびReplicatのMAP
パラメータ内にKEYCOLS
句を含めることで、この代替キーを定義します。指定したキーにより、Oracle GoldenGateで検出される既存の主キーまたは一意キーはオーバーライドされます。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
親トピック: 行識別子の割当て
ROWID
列の処理
ROWID GENERATED ALWAYS
(デフォルト)のデータ型の列を含むターゲット表に挿入しようとすると、次のODBCエラーで失敗します。
ODBC error: SQLSTATE 428C9 native database error -798. {DB2 FOR OS/390}{ODBC DRIVER}{DSN08015} DSNT408I SQLCODE = -798, ERROR: YOU CANNOT INSERT A VALUE INTO A COLUMN THAT IS DEFINED WITH THE OPTION GENERATED ALWAYS. COLUMN NAME ROWIDCOL.
次のいずれかを行って、ROWID
列を含む表がOracle GoldenGateによって処理されるように準備します。
-
ターゲット表の
ROWID
列がGENERATED BY DEFAULT
として定義されていることを確認します。 -
表定義を変更できない場合、次の手順を使用して回避します。
ROWID GENERATE ALWAYS
を回避する手順:
-
ソース表に対するExtract
TABLE
文を作成し、その文で、ROWID
列を除外するCOLSEXCEPT
句を使用します。たとえば:TABLE tab1, COLSEXCEPT (rowidcol);
COLSEXCEPT
句で、ROWID
列が取得されてターゲット表にレプリケートされないようにします。 -
ターゲット表では、Replicatが
ROWID
をキーとして使用しないようにします。これは、次のいずれかの方法で行えます。-
ターゲット表定義で主キーを指定します。
-
キーを作成できない場合、表に対するReplicat
MAP
パラメータを作成し、その文にKEYCOLS
句を使用してROWID
列以外の一意の列を含めます。Replicatは、それらの列をキーとして使用します。たとえば:MAP tab1, TARGET tab1, KEYCOLS (num, ckey);
-
KEYCOLS
の詳細は、「行識別子の割当て」を参照してください。
親トピック: 処理のための表の準備
データベース接続の構成
この項では、SQL ServerデータベースへのExtractおよびReplicatの接続を設定する手順について説明します。
Oracle GoldenGateプロセス用データベース・ユーザー
Oracle GoldenGateには、データベース・ユーザー・アカウントが必要です。次のガイドラインに従ってこのアカウントを作成し、権限を割り当てます。
表10-1にリストしたDB2の権限を、ExtractおよびReplicatを実行するユーザーに割り当てます。これらは、DB2 ODBCで必要な権限以外に必要なものです。記載がないかぎり、すべてのExtract権限は、初期ロードおよびログベースのExtractプロセスに適用されます。次の権限は、Oracle GoldenGateプロセスを実行するユーザーに、SYSCTRL
かDBADM
のいずれかと、SQLADM
権限を付与することによって設定できます。
表10-1 Oracle GoldenGate for DB2 z/OSに必要な権限
ユーザーの権限 | Extract | Replicat |
---|---|---|
(初期ロードExtractには非適用) |
X |
|
次の
|
X |
X |
ソース表に対する |
X |
|
ターゲット表の |
X |
|
|
X |
|
ODBCプラン(デフォルトはDSNACLI)に対する |
X |
|
|
X |
X |
脚注1
表にLOB列が含まれている場合または初期ロードExtract (使用する場合)に対してのみ、ソース表に対するSELECT
が必要です。
脚注2
GGSCIでADD CHECKPOINTTABLE
を使用してデータベースのチェックポイント機能を使用する場合に必要です。
脚注3
SQLEXEC
によって、Oracle GoldenGateプロセスによるストアド・プロシージャおよび問合せの実行が可能になります。
親トピック: データベース接続の構成
初期化パラメータの設定
次のDB2 for z/OS初期化パラメータがOracle GoldenGateに適用されます。Oracle GoldenGateプロセスを起動する前に適切に設定される必要があります。
-
MVSDEFAULTSSID
: DB2サブシステムに設定します。 -
LOCATION
: DB2ブートストラップ・データセットに格納されているDB2の場所の名前に設定します。 -
MVSATTACHTYPE
:RRSAF
(Recoverable Resource Manager Services Attachment Facility)またはCAF
(Call Attachment Facility)に設定します。IBM社は、RRSAF
の使用を推奨しています。 -
MULTICONTEXT:
:RRSAF
を使用する場合、1に設定します。 -
PLANNAME
: DB2プランに設定します。デフォルト・プラン名はDSNACLI
です。
CURRENTAPPENSCH
初期化パラメータ(キーワード)を使用しないでください。
ノート:
CAF
接続タイプを使用する場合、DB2に接続するExtractまたはReplicatプロセスのパラメータ・ファイルにOracle GoldenGate DBOPTIONS
パラメータを含め、NOCATALOGCONNECT
オプションを指定する必要があります。このパラメータによって、Oracle GoldenGateによる通常の試行が無効化され、DB2カタログに対して2つ目のスレッドが取得されなくなります。そうしない場合、ODBC operation failed: Couldn't connect to
data source
for catalog queries.
のようなエラー・メッセージを受信します。
親トピック: データベース接続の構成
初期化ファイルのパスの指定
次の例のように、z/OS UNIXプロファイルにDSNAOINI
環境変数を設定し、ODBC初期化ファイルを指定します。
export DSNAOINI="/etc/odbc810.ini"
親トピック: データベース接続の構成
ODBC接続互換性の確認
DB2 ODBC初期化ファイルを正しく構成したことを確認するには、『DB2 UDB for z/OS ODBC Guide and Reference』のガイドラインに従います。重要な考慮事項の1つは、大カッコの開始と終了([および])のコーディングです。大カッコは、異なるコード化文字セットID (CCSID)で異なってエンコードされる可変文字ですが、ODBC初期化ファイルでは、IBM-1047 CCSIDのものである必要があります。DB2 ODBCは、他のCCSIDのカッコを認識しません。次の点に注意してください。
-
1つ目(開始)のカッコは、16進文字
X'AD'
(0xAD
)を使用する必要があります。 -
2つ目(終了)のカッコは、16進文字
X'BD'
(0xBD
)を使用する必要があります。
正しい大カッコのコードを設定するには、次のいずれかの方法を使用します。
-
OEDITで
hex
コマンドを使用して、各文字の16進コードを適切に変更します。 -
iconv
ユーティリティを使用してODBC初期化ファイルを変換します。たとえば、CCSID IBM-037からIBM-1047に変換するには、次のコマンドを使用します。iconv -f IBM-037 -t IBM-1047 ODBC.ini > ODBC-1047.ini
mv ODBC-1047.ini ODBC.ini
-
ファイルの作成または変更時、CCSID IBM-1047を使用するよう端末エミュレータまたは端末構成を変更します。
親トピック: データベース接続の構成
接続スレッド数の指定
各Oracle GoldenGateプロセスはデータベース接続を行います。使用するプロセスの数および想定する他のDB2接続の数に応じて、DSNTIPE DB2 Thread Managementパネルで次のDB2システム・パラメータを調整する必要があります。
-
MAX USERS
(マクロDSN6SYSP CTHREAD
) -
MAX TSO CONNECT
(マクロDSN6SYSP IDFORE
) -
MAX BATCH CONNECT
(マクロDSN6SYSP IDBACK
)
RRSAFを使用する場合、次のように見込みます。
-
次のものに対するプロセスごとに2つのDB2スレッド
-
Extract
-
Replicat
-
GGSCIコマンド
DBLOGIN
(データベースにログインします) -
DEFGEN
ユーティリティ(列マッピングのデータ定義を生成します)
-
-
IFIコールに対するExtract用に追加で1つのDB2スレッド。
-
各ExtractおよびReplicatプロセスによって発行される
SQLEXEC
パラメータ文ごとに追加で1つのDB2スレッド。SQLEXEC
の詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
CAFを使用する場合、Oracle GoldenGateプロセスごとにスレッドは1つのみです。
親トピック: データベース接続の構成
プロセスの監視
次の項に、z/OSシステムの機能を使用したOracle GoldenGateの監視に関する情報を示します。
更新操作の統計の解釈
DB2データベースで実行されたDML操作の実際の数は、Oracle GoldenGateによってレポートされる、抽出されたDML操作の数と一致しない場合があります。更新文で行が物理的に変更されない場合、DB2はその更新文を記録しません。そのため、Oracle GoldenGateがそれを検出したり、統計に含めることはできません。
親トピック: プロセスの監視
グローバリゼーション関数のサポート
Oracle GoldenGateではグローバリゼーション・サポートを提供しており、このサポートを使用する場合には考慮する必要があります。
ASCIIとEBCDICの両方を含むソースからのレプリケート
DB2ソース・システムから異なる文字セットのターゲットにレプリケートする際、ASCIIデータとEBCDICデータが混在している場合は、DB2の文字データのエンコーディングになんらかの配慮が必要です。各Replicatによる文字セットの変換では、ソース・データが1つの文字セットのものである必要があります。
ソース文字セットは、証跡ヘッダーに指定されます。したがって、Oracle GoldenGate証跡には、ASCIIデータまたはEBCDICデータのいずれかを含むことができますが、両方を含むことはできません。Unicodeの表は特別な構成がなくても処理され、文字セットは1つという要件の対象外です。
両方の文字エンコーディング・タイプが含まれているソースについては、次のオプションがあります。
-
すべての表に対して1つのExtractを使用し、 ASCIIまたはEBCDICのいずれかとして文字データを証跡に書き込ませます。
-
異なるExtract(ASCII文字データを証跡に書き込むExtractとEBCDIC文字データを別の証跡に書き込むExtract)を使用します。2つのデータ・ストリームが個別に処理されるよう、各証跡を独自のデータ・ポンプ・プロセスとReplicatプロセスに関連付けます。
いずれのシナリオでも正しい文字セットを出力するには、TRAILCHARSETASCII
およびTRAILCHARSETEBCDIC
パラメータを使用します。デフォルトはTRAILCHARSETEBCDIC
です。これらのパラメータが使用されない場合、ASCIIおよびEBCDICデータはそのまま証跡に書き込まれます。これらのパラメータを使用する場合、次の点に注意してください。
-
これらのパラメータがシングルバイトDB2サブシステムに対して使用される場合、Extractは、使用されているパラメータに応じて、接続先のサブシステムのASCIIまたはEBCDICのいずれかのシングルバイトCCSIDにすべての文字データを変換します(Unicodeは対象外で、Unicodeのまま処理されます)。
-
マルチバイトDB2サブシステムに対して使用される場合、Extractは、ASCIIまたはEBCDICの表のみ(およびUnicode)を取得します。文字データは、Extractの接続先のDB2 z/OSサブシステムのASCIIまたはEBCDICのいずれか(使用されているパラメータに応じる)の混合CCSIDで書き込まれます。
親トピック: グローバリゼーション関数のサポート
オブジェクト名内のマルチバイト文字の指定
パラメータ・ファイル内のスキーマ、表、列またはストアド・プロシージャの名前にマルチバイト文字が含まれる場合、名前を二重引用符で囲む必要があります。オブジェクト名の指定の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
親トピック: グローバリゼーション関数のサポート