3 既知の問題

この章では、現在のOracle Linux 8リリースの既知の問題を示します。このリストには、x86プラットフォームとaarch64プラットフォームの両方に影響する可能性のある問題が含まれています。リストでは、aarch64プラットフォームにのみ固有の追加の問題には、aarch64のみ:というラベルが付いています。

次のガイドには、特定のOracle Linuxコンポーネントに関連する既知の問題に関する追加情報が記載されています。

インストールとアップグレードの問題

このリリースのOracle Linux 8で発生した既知のインストールおよびアップグレードの問題を次に示します。

PXEインストール中にEthernet over USBネットワーク・インタフェースがインストーラで自動的に有効化される

Oracle Linux 8のPreboot eXecution Environment (PXE)インストールの間に、インストーラで自動的にbootproto=dhcpパラメータとONBOOT=yesパラメータが指定されてEthernet over USBネットワーク・インタフェースが有効化されます。これらのデフォルト設定では、NetworkManagerサービスの起動に失敗します。

この問題の発生を防ぐためや、すでに問題が発生している場合に問題を解決するためには、次のいずれかの回避策を使用します。

  • インストールの前に、kickstartファイル内で、次のようにEthernet over USBネットワーク・インタフェース用のONBOOTパラメータを無効にします。

    network --bootproto=dhcp --device=enp0s20f0u8u3c2 --onboot=off --ipv6=auto
  • インストール中に、ネットワークおよびホスト名画面で、Ethernet over USBネットワーク・インタフェースについて、再起動のたびに自動接続されるように優先して自動接続するチェック・ボックスを選択しないでください。

  • すでにこの問題が発生している場合は、インストール後に、Ethernet over USBネットワーク・インタフェースのネットワーク構成設定をONBOOT=noに変更します。次に、システムを再起動します。

(バグID 31888490)

代替言語を選択した場合、対話型テキストベースのインストール・ウィザードを完了できない

テキストベースのインストーラを使用してOSをインストールするときに代替言語を選択した場合は、インストールを続行できません。インストールは、ソフトウェアの選択およびインストール先で[!]フラグでブロックされます。これら2つのオプションの設定内容は関係ありません。

ただし、デフォルトの英語の選択またはグラフィカル・インストール・プログラムを使用してインストールを実行している場合は、この問題は発生しません。

(バグID 30535416、29648703)

ブート時に代替インストール・リポジトリが設定されている場合、インストール・ソースを変更するとエラーが発生する

inst.repoオプションを設定してインストーラがブートされた場合、インストーラ内でCDまたはDVDデバイスを使用するようにインストール・ソースを変更すると、ブート時に設定された元のソースに戻さないかぎり、インストールを続行できないというエラーが発生します。

ハード・ディスクを指定するようにinst.repoオプションを設定してから、インストーラ内のインストール・ソースを変更しようとすると、エラーが表示されますが、インストールを続行できます。

これらの問題を回避するには、提供されているインストール・ソースを使用しない場合、ブート時にinst.repoオプションを設定しないでください。または、インストーラ内のインストール・ソースを変更せずに、ブート時に定義されたinst.repoソースを使用します。

(バグID 30316179)

許容できないKdump値が入力されると、グラフィカル・インストール・プログラムが失敗してエラーが発生する

アップストリームのマイナーなユーザビリティ・エラーは、Kdumpの構成中にグラフィカル・インストール・プログラムに影響を与えます。

Kdumpのメモリー予約を手動で構成するときに許容できない値を指定した場合は、「完了」をクリックして「インストール・サマリー」画面に戻ることができます。インストーラでは、警告またはエラー・メッセージは生成されません。かわりに、インストーラによって、値が最後に認識された許容値またはデフォルト値の512 MBに自動的にリセットされます。これにより、インストールは成功します。ただし、この修正された設定は画面に表示されないため、指定した値が無視されたことに気付かない場合があります。

この問題は、テキストベースのインストーラでは発生しません。許容できない値を入力するとエラーが適切に返され、続行できません。

(バグID 31133351、31182708)

グラフィカル・インストール・プログラムにKdumpに手動で設定されている予約メモリーが表示されない

マイナーなユーザビリティ・エラーは、Kdumpの構成中にグラフィカル・インストール・プログラムに影響を与えます。Kdump用に予約されているデフォルトのメモリー・サイズを手動で変更した場合、画面がリフレッシュされても新しい設定は表示されません。かわりに、システム・メモリーの合計と使用可能なシステム・メモリーの値のみが表示されます。したがって、予約するメモリー(Mb)パラメータの制限は、将来のKdump構成では不明になります。

ノート:

Kdumpメモリー予約のデフォルト設定であるautoは、カーネルがブート時に使用するサイズを決定するため、適切な設定になっています

(バグID 31133287および31182699)

アップグレード中にmicrocode_ctlのスクリプトレット関連エラーが表示される可能性がある

Oracle Linux 8リリースの次のバージョンへのアップグレード中に、スクリプト関連のエラー・メッセージが表示されることがあります。dnf updateコマンドを実行すると、次のような出力が表示されることがあります。

  Running scriptlet: tuned-2.13.0-6.0.2.el8.noarch                            
             1089/1089
  Running scriptlet: microcode_ctl-4:20191115-4.el8.x86_64                    
             1089/1089
realpath: weak-updates/kmod-kvdo/vdo/kvdo.ko: No such file or directory
realpath: weak-updates/kmod-kvdo/uds/uds.ko: No such file or directory
dracut: installkernel failed in module kernel-modules-extra
warning: %posttrans(microcode_ctl-4:20191115-4.el8.x86_64) scriptlet failed,
exit status 1

Error in POSTTRANS scriptlet in rpm package microcode_ctl
  Running scriptlet: libgcc-8.3.1-4.5.0.7.el8.x86_64                          
             1089/1089
  Running scriptlet: glibc-common-2.28-101.0.1.el8.x86_64                    
             1089/1089
  Running scriptlet: info-6.5-6.el8.x86_64                                    
             1089/1089

このエラー・メッセージは、Server with GUI環境を使用してOracle Linux 8をインストールし、RHCKを使用してサーバーを再起動した場合に表示されます。このインストール方法では、カーネルに依存するkmod-kvdoパッケージまたはモジュールをインストールします。これは、以前のOracle Linux 8リリースとは異なるバージョンです。

ただし、アップグレード・プロセス中にkmod-kvdoパッケージが正常にインストールされるため、このメッセージは無視しても問題ありません。

ノート:

このエラーは、Minimal Installベース環境をインストールする場合、またはUEK R6またはUEK R7を使用してサーバーをブートする場合には発生しません。

(バグID 31292199)

BaseOSチャネル内のlibpcapパッケージのバージョンではRDMAがサポートされていない

BaseOSチャネルにあるlibpcapパッケージでは、RDMA sniffer情報のダンプはサポートされていません。Oracle Linux 8.3をインストールしたかそれにアップグレードした後に、RDMA機能が必要な場合は、dnf downgradeコマンドを実行してlibpcapバージョンをダウングレードし、ol8_UEKR6_RDMAリポジトリに公開されているlibpcapパッケージを使用できるようにする必要があります。次に例を示します。

sudo dnf downgrade libpcap

(バグID 32049290)

python3-rhn-virtualization-hostパッケージがインストールされている場合、rhnreg_ks登録コマンドが失敗することがある

Oracle Linux 8.1以降、python3-rhn-virtualization-hostsパッケージがシステムにインストールされている場合、rhnreg_ksコマンドを使用してシステムをUnbreakable Linux Network (ULN)に登録すると、失敗することがあります。この問題は、libvirtdサービスが実行されていない場合に発生しています。

この問題を回避するには、rhnreg_ksコマンドを発行する前に、システムにlibvirtdパッケージがインストールされており、サービスが有効化されて実行されていることを確認します。

(バグID 30366521)

beignetパッケージが存在すると、アップグレード中に依存関係の問題が発生する可能性がある

システムを現在のOracle Linux 8リリースにアップグレードする場合、アップグレードするシステムにbeignetパッケージが存在していると、依存関係の問題が発生することがあります。

この問題は、Oracle Linux 8.2以前のリリースを実行しているシステムを現在のOracle Linuxバージョンにアップグレードする場合に特に発生します。これらの以前のリリースでは、beginetパッケージに以前のバージョンのclang-libsパッケージが必要です。

ただし、beignetパッケージは現在、Oracle Linux 8.4以降のOracle Linux 8リリースでは使用できません。したがって、これらの場合には問題はありません。

この問題を回避するには、現在のOracle Linux 8リリースにアップグレードする前に、システムからbeignetパッケージを削除します。

(バグID 31213935)

インストール後の初回ブート時にULN登録ウィザードが表示されない

Oracle Linux 8の新規インストールでは、ULNに登録してOracle Kspliceを使用するオプションを提供するULN登録ウィザードは初回ブート時に表示されません。

代替手段として、インストールの完了後にULNに登録します。手順は、https://linux.oracle.com/を参照してください。

(バグID 29933974)

Oracle VM VirtualBoxゲストにインストールするためのグラフィック・コントローラの要件

グラフィカル・インストール・プログラムが使用され、デフォルトのServer with GUI環境が選択されているOracle VM VirtualBoxゲストにOracle Linux 8を正常にインストールするには、ゲストがVMSVGAグラフィック・コントローラを使用するように設定し、少なくとも64MBのメモリーでゲストを構成する必要があります。そうしないと、グラフィカル表示が正しく開始できません。

Oracle VM VirtualBox 6.0以降、VMSVGAグラフィック・コントローラは、Linuxオペレーティング・システムを実行しているゲストのデフォルトのコントローラです。この問題は、以前のOracle VM VirtualBoxリリースで作成された既存のゲストにOracle Linux 8をインストールすると発生する可能性が高くなります。Oracle Linux 8ゲストを構成するには、Oracle VM VirtualBox 6.0以上を使用することをお薦めします。

(バグID 30004543)

dnf update glusterfs-*コマンドを実行すると、以前にインストールしたパッケージのアップグレードに失敗する

glusterfs-*.i686パッケージがOracle Linux 8システムに存在し、次の更新バージョンにアップグレードする場合、後でdnf update glusterfs*コマンドを実行すると、GlusterFSパッケージのアップグレードに失敗します。

回避策として、最初にシステムからglusterfs-*.i686パッケージを削除し、次にdnf update glusterfs*コマンドを実行します。

(バグID 30279840)

libss-develパッケージがインストールされているとlibssパッケージの更新に失敗することがある

システムにlibss-develパッケージがインストールされている場合は、libssパッケージの更新に失敗することがあります。

UEK R6が有効な場合はこの問題が続きます。ただし、カーネルを更新してUEK R7を有効にすると、問題は発生しなくなります。

この問題を回避するには、まずシステムからlibss-develパッケージを削除します。次に、Oracle Linux 8 Distro Builder開発者リポジトリ(ol8_distro_builder)から、このパッケージの対応するバージョンをインストールします。たとえば、次のコマンドを実行できます。

sudo dnf --enablerepo=ol8_distro_builder install libss-devel

ノート:

ol8_distro_builderリポジトリはサポートされていない開発者リポジトリです。これを、グローバルに有効にするのではなく、この特定のインストール・アクションに対してのみ有効にしてください。

(バグID 32005190)

WebコンソールでVM作成中にディスク・キャッシュ特性を構成するためのオプションを使用できない

Webコンソールでディスク・キャッシュ特性を構成するための一部のオプションは、現在、新しいVMの作成時またはインストール開始前には使用できません。VMにすでに追加されているディスクの場合、またはすでに稼働しているシステムに新しいディスクを追加する場合は、Webコンソールでこれらの構成オプションを使用できます。

別の解決策として、インストール開始前にvirt-manager CLIまたは同様のCLIを使用して、新規追加したディスクやVMにすでに存在するディスクについてディスク・キャッシュ特性を構成します。

より複雑な仮想化要件がある場合は、Oracle Linux Virtualization Managerを使用することをお薦めします。詳細は、https://docs.oracle.com/en/virtualization/oracle-linux-virtualization-manager/を参照してください。

(バグID 30301271)

Dell EMC PowerEdge Serverでブート中にACPIエラーのメッセージが表示される

IntelベースのDell EMC PowerEdgeサーバーのシステム・ブート時に、BIOSでDell Active Power Controller (DAPC)設定が有効になっていると、次のようなエラー・メッセージが表示されることがあります。

kernel: ACPI Error: No handler for Region [SYSI] (0000000061df8ef3) [IPMI] (20190816/evregion-132)
kernel: ACPI Error: Region IPMI (ID=7) has no handler (20190816/exfldio-265)
kernel: ACPI Error: Aborting method \_SB.PMI0._GHL due to previous error (AE_NOT_EXIST) (20190816/psparse-531)
kernel: ACPI Error: Aborting method \_SB.PMI0._PMC due to previous error (AE_NOT_EXIST) (20190816/psparse-531)
kernel: ACPI Error: AE_NOT_EXIST, Evaluating _PMC (20190816/power_meter-743)

この問題を回避するには、次のようにapci_power_meterカーネル・モジュールを無効にします。

echo "blacklist acpi_power_meter" >> /etc/modprobe.d/hwmon.conf

apci_power_meterカーネル・モジュールを無効にした後、システムを再起動することで変更内容を有効にします。

DAPC機能を必要としない環境では、別の回避策として、DAPC BIOS設定を無効にできます。

(バグID 32105233)

Oracle Linux 8で古いOracle Sunハードウェア上のSASコントローラが認識されない

Oracle Linux 8インストーラでは、古いOracle Sunサーバー・モデルに搭載されている一部のSerial Attached SCSI (SAS)コントローラが認識されません。これらのサーバー・モデルにOracle Linux 8をインストールしようとすると、インストーラはローカル・ディスクを認識せず、インストールが失敗します。これらのサーバー・モデルの例としては、Oracle Sun Fire X4170 M2 Server、Oracle Sun Fire X4170 M3 Server、Oracle Sun OVCA X3-2 ServerおよびOracle Sun X4-2 Serverなどがあります(これらのみではありません)。

次のSASコントローラは、RHCKのmpt2sasドライバから削除されます。

  • SAS2004、PCI ID 0x1000:0x0070

  • SAS2008、PCI ID 0x1000:0x0072

  • SAS2108_1、PCI ID 0x1000:0x0074

  • SAS2108_2、PCI ID 0x1000:0x0076

  • SAS2108_3、PCI ID 0x1000:0x0077

  • SAS2116_1、PCI ID 0x1000:0x0064

  • SAS2116_2、PCI ID 0x1000:0x0065

  • SSS6200、PCI ID 0x1000:0x007E

次のSASコントローラは、RHCKのmegaraid_sasドライバから削除されます。

  • Dell PERC5、PCI ID 0x1028:0x15

  • SAS1078R、PCI ID 0x1000:0x60

  • SAS1078DE、PCI ID 0x1000:0x7C

  • SAS1064R、PCI ID 0x1000:0x411

  • VERDE_ZCR、PCI ID 0x1000:0x413

  • SAS1078GEN2、PCI ID 0x1000:0x78

  • SAS0079GEN2、PCI ID 0x1000:0x79

  • SAS0073SKINNY、PCI ID 0x1000:0x73

  • SAS0071SKINNY、PCI ID 0x1000:0x71

この問題の回避策は、Unbreakable Enterprise Kernelリリース6 (UEK R6)のブートISOを使用してから、Oracle Linux 8でUEK R6を実行することです。これらのコントローラは、Unbreakable Enterprise Kernelリリースでサポートされているためです。

(バグID 29120478)

ファイル・システムの問題

Oracle Linux 8のこのリリースで発生した既知のファイル・システムの問題を次に示します。

Btrfsファイル・システムがRHCKでサポートされていない

Oracle Linux 8ではBtrfsファイル・システムはRHCKから削除されています。つまり、このカーネルの使用時にこのファイル・システムを作成またはマウントすることはできません。また、提供されているBtrfsユーザー領域パッケージはRHCKでサポートされていません。

Btrfsファイル・システムのサポートは、UEK R7およびUEK R6で有効になっています。Oracle Linux 8.3以降、インストール中にBtrfsルート・ファイル・システムを作成するオプションがあり、同じようにデバイスのフォーマット時にファイル・システム・タイプとしてBtrfsを選択するオプションもあります。

これらの変更の詳細は、次のドキュメントを参照してください。

OCFS2ファイル・システムがRHCKでサポートされていない

Oracle Linux 8ではOCFS2ファイル・システムはRHCKから削除されています。つまり、このカーネルの使用時にこのファイル・システムを作成またはマウントすることはできません。また、提供されているOCFS2ユーザー領域パッケージはRHCKでサポートされていません。

OCFS2ファイル・システムのサポートは、UEK R7およびUEK R6で有効になっていることに注意してください。UEK R6のOCFS2に加えられた最新情報およびその他の拡張機能については、Unbreakable Enterprise Kernel: リリース・ノートfor Unbreakable Enterprise Kernelリリース6更新3 (5.4.17-2136)を参照してください。Unbreakable Enterprise Kernel: リリース・ノートfor Unbreakable Enterprise Kernelリリース7 (5.15.0-0.30)も参照してください。

ext4: 頻繁なシステム停止または繰り返されるシステム停止によって、ファイル・システムが破損する可能性がある

ext4ファイル・システムを使用しているシステムが繰り返しまたは頻繁に停止する場合、ファイル・システムが破損する可能性があります。この問題は、再現が難しいため、まれな問題であると考えられています。問題はアップストリーム・コードに存在し、提案されたパッチは現在レビュー中です。

(バグID 27547113)

カーネルの問題

Oracle Linux 8のこのリリースで発生した既知のカーネルの問題を次に示します。

KVMゲスト・スナップショットのデフォルト・カーネルを交換できない場合がある

あるカーネルを使用するKVMゲスト・スナップショットを作成し、別のカーネルに切り替えるためにそのスナップショットを元に戻すと、次の例に示すように、様々なvirshコマンドが失敗する可能性があります。切り替えはRHCKからUEKに、またはその逆の場合があります。

sudo virsh start myGuest --console
error: Failed to start domain myGuest
error: operation failed: guest CPU doesn't match specification: missing
features: md-clear

次のコマンドを実行すると、同様のエラーが発生します。

sudo virsh snapshot-revert myGuest mySnapshot1 --force
error: operation failed: guest CPU doesn't match specification: missing
features: ibpb,amd-ssbd

ただし、同じベンダーのカーネル・バージョン同士を交換する場合、この問題は発生しません。

この問題を回避するには、ゲスト・スナップショットが最初に作成されたときと同じカーネルを使用するようにします。

(バグID 30561489)

AMD 64ビット・プラットフォームでKVMゲストが「amd64_edac_mod: 不明な記号」エラーを表示して起動する

64ビットのAMDホストでのKVMゲストのブート中に、次のエラーが繰り返し表示されることがあります。

[   12.474069] amd64_edac_mod: Unknown symbol amd_register_ecc_decoder (err [ 120)
[   12.474083] amd64_edac_mod: Unknown symbol amd_report_gart_errors (err 0)
[   12.852250] amd64_edac_mod: Unknown symbol amd_unregister_ecc_decoder (err 0)
[   12.852297] amd64_edac_mod: Unknown symbol amd_register_ecc_decoder (err 0)
.
.
.

これらのエラーは、ロードに失敗し、モジュール・リストから削除中であるモジュールに対してカーネルのモジュール・コードが誤って-EEXISTを返すため発生します。amd64_edac_modモジュールはVMにロードされません。これらのエラーは機能に影響しないため、無視できます。

この問題は、RHCKを実行しているOracle Linux 8ホストでのみ発生し、UEK R6ホストでは検出されません。

(バグID 29853602)

modinfoコマンドの出力でRetpolineのサポートが表示されない

Oracle Linux 8コードのバグにより、CONFIG_RETPOLINEフラグがYに設定されていても、modinfo -F retpolineコマンドの出力にRetroplineサポートが表示されません。次に例を示します。

sudo modinfo -F retpoline
/usr/lib/modules/4.18.0-80.el8.x86_64/kernel/sound/usb/usx2y/snd-usb-us122l.ko
.xz

Retpolineサポートを追加および表示するには、CONFIG_RETPOLINE=Yフラグが必要です。パラメータが有効になっている場合、カーネルはRetpoline対応のコンパイラを使用して構築されます。

CONFIG_RETPOLINEフラグが有効になっていることを確認するには、カーネルのconfig-kernel構成ファイルでパラメータを検索します。次に例を示します。

cat /boot/config-5.4.17-2011.7.4.el8uek.x86_64 | grep RETPOLINE.
CONFIG_RETPOLINE=y

(バグID 29894295)

一部のAMDハードウェアでKdumpが失敗する可能性がある

Kdumpは、現在のOracle Linuxリリースを実行している一部のAMDハードウェアで失敗することがあります。影響を受けるハードウェアには、AMD EPYC CPUサーバーが含まれます。

この問題を回避するには、/etc/sysconfig/kdump構成ファイルを変更し、KDUMP_COMMANDLINE_APPEND変数からiommu=offコマンドライン・オプションを削除します。kdumpサービスを再起動して、変更内容を有効にします。

(バグID 31274238、34034614、34211826)

LVM dm-writecacheキャッシュ・メソッドの制限事項

新しいLVMのdm-writecacheキャッシュ・メソッドには、dm-cacheメソッドに存在しない次のような制限があります。

  • 論理ボリュームがアクティブの場合、dm-writecacheをアタッチまたはデタッチできません。

  • 論理ボリュームがdm-writecacheを使用している場合、論理ボリュームのスナップショットを取得できません。

  • dm-writecacheを非アクティブな論理ボリュームにアタッチする場合、既存のファイル・システムのブロック・サイズと一致するdm-writecacheブロック・サイズを使用する必要があります。

  • dm-writecacheがボリュームにアタッチされている場合、論理ボリュームのサイズを変更できません。

  • dm-writecacheで使用されるデバイスでは、pvmoveコマンドを使用できません。

  • シン・プールまたは仮想データ・オプティマイザ(VDO)を使用している場合、dm-writecacheで論理ボリュームを使用できません。

dm-writecacheキャッシュ・メソッドの詳細は、Oracle Linux 8: リリース・ノートfor Oracle Linux 8.2のファイル・システムおよびストレージの機能に関する項を参照してください。lvmcache(7)マニュアル・ページも参照してください。

aarch64のみ: キャッシュ・デバイスの登録の試行中にUEK R6でbcacheエラーが発生する

削除後にキャッシュ・セットを登録しようとすると、次のエラーで失敗します。

echo "CACHE_DEV" > /sys/fs/bcache/register
        echo: write error: Invalid argument

dmesg出力に次のエラーメッセージが表示されます。

bcache: register_bcache() error /dev/CACHE_DEV: Not a bcache superblock

この問題は、bcacheが現在サポートしていない64KBのページ・サイズ(CONFIG_ARM64_64K_PAGES=y)に関連しています。

キャッシュ・デバイスのスーパーブロックは、このプロセス中に破損するため、デバイスを再登録することはできません。

この問題を回避するには、bcache-toolsパッケージを再インストールしてから、新しいbcache構成を作成します。

別の方法として、Oracle Linux 8 (aarch64)システムではbcache構成を使用しないようにします。

(バグID 30210051)

tracepath6で宛先IPv6アドレスが正しく解析されない

tracepath6コマンドの実行で宛先IPv6アドレスを正しく解析できません。その結果、このツールで、正しくないホストへのルートがトレースされます。

この問題を回避するには、tracepath6コマンドと同様の機能があるツールを使用します。

(バグID 29540588)

nohupを実行すると、sshコマンドが実行されない

Oracle Linux 8システムで、次の例に示すようなnohupコマンドを実行すると、sshコマンドの問題が発生することがあります。

/usr/bin/nohup ./myscript > nohup.out &

sshコマンドを使用して同じシステムにリモート接続しようとすると、コマンドが停止します。

この問題を回避するには、nohupコマンドの構文を次のように変更します。

/usr/bin/nohup ./myscript > nohup.out 2>&1 &

(バグID 30287091)

firewalldサービスを再起動するとSSH接続がタイムアウトする

firewalldサービスを再起動すると、サービスが開始された端末でSSH接続タイムアウトが発生します。他のSSH端末では接続したままです。

(バグID 29478124)

エラー: 「mcelogサービスはこのプロセッサをサポートしていません」

mcelogサービスがプロセッサをサポートしていないことを示すエラーが、AMDプロセッサを使用するシステム(一部のOracle Serverハードウェアなど)上のシステム・ログに表示されます。メッセージは次のように表示されます。

mcelog: ERROR: AMD Processor family
23: mcelog does not support this processor.  Please use the edac_mce_amd
module instead.

mcelogデーモンは、ハードウェア・エラー・メッセージを記録して処理するためにx86_64プラットフォームで使用されるサービスです。AMDシステムでは、edac_mce_amdカーネル・モジュールによってマシン例外ロギングが処理されます。したがって、AMDシステムでは、mcelogデーモンは必要ありません。このエラーは警告にダウングレードする必要があります。

(バグID 29501190)

電源ボタンがデフォルトでACPI Suspendモードに設定される

Oracle Linux 8のグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)コンソール・モードでは、デフォルトで、ハードウェアの電源ボタンがACPIのスリープボタンに相当します。このボタンを使用すると、システムが省電力のスリープ・モードに入ります。これは、GNOMEデスクトップ環境に固有の動作です。

以前のOracle Linuxリリースでは、ハードウェアの電源ボタンでシステムのシャットダウンが開始されました。Oracle Linux 8の動作をそれと同じにするには、次の手順を実行します。

  1. 次の内容を含む/etc/dconf/db/local.d/01-shutdown-button-actionという名前のファイルを作成します。

    [org/gnome/settings-daemon/plugins/power]
    power-button-action='interactive'
  2. 次の内容を含む/etc/dconf/db/local.d/locks/01-powerという名前のファイルを作成します。

    /org/gnome/settings-daemon/plugins/power/power-button-action
  3. 次のコマンドを実行します。

    sudo dconf update
  4. デスクトップ環境からログアウトし、再度ログインすることで新しい設定を有効にします。

(バグID 25597898)

Podmanの問題

Oracle Linux 8のPodmanコンテナ管理ツールの既知の問題の詳細は、『Oracle Linux Podmanユーザー・ガイド』の「既知の問題」の章を参照してください。

NSSでFIPSモードでのTLS 1.3がサポートされていない

Oracle Linux 8では、TLS 1.3がデフォルトで有効になっています。NSSで構築されたアプリケーションは、FIPSモードでTLS 1.3を必要とする接続をサポートしません。このような接続を機能させるには、FIPSモードを無効にするか、TLS 1.2を使用します。

Emulex 32GB FCアダプタの使用時にSANのブートに失敗する場合がある

Emulex 32GB FCアダプタ使用時のマルチパスがアタッチされたLUNからのブートに失敗することがあります。なお、シングルパスがアタッチされたLUNからのブートの場合は、この問題による影響はありません。この問題を回避するには、rd.multipath=1 rd.driver.pre=lpfcブート・パラメータを追加します。

ローカル・ブート・ディスクやSANブート・ディスクなどの複数のブート・ディスクがあるシステムの場合、rd.driver.pre=lpfcオプションで、SAN接続ストレージが最初に検出されるとはかぎりません。ローカル・ディスクからなど、SAN以外のデバイスからのブートを防ぐには、module_blacklist=disk_driverブート・オプションがさらに必要になります。たとえば、rd.driver.blacklist=megaraid_sas module_blacklist=megaraid_sasのようにします。

(バグID 31898488)