2 アップグレード前の要件

Oracle Access Manager 12c (12.2.1.4.0)のアップグレードを開始する前に、バックアップ、現在の環境のレプリカの作成、システムが動作保証の要件を満たしていることの確認など、アップグレード前のタスクを実行する必要があります。

Oracle Fusion Middlewareアップグレード前のチェックリスト

アップグレードの成功と限定的な停止時間を実現するために、アップグレードの開始前に、このチェックリストのタスクを実行してください。

アップグレードは、サーバーがダウンしている間に実行されます。このチェックリストでは、重要で、多くの場合時間のかかるアップグレード前タスクのうち、停止時間を限度内にとどめるためにアップグレード前に実行できるタスクを特定します。アップグレード・プロセスを開始する前の準備を十分に行うほど、オフラインの時間を減らすことができます。

ノート:

実行するアップグレード前の手順は、既存のシステムの構成、アップグレードするコンポーネントおよびアップグレードと構成プロセスの結果として作成される環境によって異なります。各自の構成またはユースケースに当てはまるタスクのみを完了してください。

Oracle Identity ManagerOracle Access Managerが異なるドメインにあることを確認します。同じドメインにある場合は、複数のドメインに分ける必要があります。詳細は、「Oracle Identity Managementアプリケーションの複数のドメインへの分離」を参照してください。

表2-1 Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.4.0)にアップグレードする前に実行するタスク

タスク 説明

必須

既存の環境の完全なバックアップを作成します。

アップグレード対象のスキーマが含まれているシステムに不可欠なファイルとデータベースをすべてバックアップします。アップグレードに失敗した場合は、アップグレード前の環境をリストアして、アップグレードを再開する必要があります。

「完全なバックアップの作成」を参照してください。

既存のドメインに含まれる起動スクリプトを変更した場合は、アップグレードの間そのファイルを一時的なディレクトリの場所(既存のドメインの外部)にコピーし、アップグレード後に再デプロイする必要があります。「カスタマイズされたドメインおよび環境設定の保持」を参照してください。

必須

キーストア・ファイルが有効であることを確認します。

「キーストア・ファイルの検証」を参照してください。

オプション

アップグレード・プロセスを起動する前に、ローカルおよびリモートのすべてのノード・マネージャを停止します。

「ノード・マネージャの停止」を参照してください。

完全なバックアップの作成

アップグレードを開始する前に、Oracleホーム、ドメイン・ホーム、およびOracle Fusion Middlewareスキーマをホストするすべてのデータベースを含め、システムに重要なすべてのファイルをバックアップします。

バックアップには、アップグレードが失敗した場合にコンテンツをアップグレード前の状態にリストアできるようにSYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表が含まれている必要があります。

関連項目:

カスタマイズされたドメイン設定および環境設定のメンテナンス

アップグレード前の環境で、ドメインで生成されたスクリプト、サーバー起動スクリプトまたは構成ファイルを変更した場合、これらの変更内容がインストールおよび再構成の操作中に上書きされることに注意する必要があります。カスタマイズしたファイルのバックアップを共有ライブラリの場所に作成しておくことをお薦めします。アップグレード・プロセス中に失敗または問題が発生した場合は、必要に応じてこれらのファイルをリストアできます。

どのドメインのインストールにも、動的に生成されたドメインおよびサーバーの起動スクリプト(setDomainEnvなど)が含まれています。これらのファイルは、インストールとアップグレードのプロセスで新しいバージョンに置き換えられます。

たとえば、ドメインのすべてのサーバーに適用されるサーバー起動パラメータをカスタマイズする場合は、setUserOverrides.cmd (Windows)またはsetUserOverrides.sh (UNIX)という名前のファイルを作成することにより、WebLogic Serverクラスパスにカスタム・ライブラリを追加する、サーバー実行用の追加のコマンドライン・オプションを指定する、または追加の環境変数を指定するなどの構成が可能です。 packおよびunpackコマンドを使用する際、このファイルに追加されたカスタム設定はドメインのアップグレード操作中に保存されてリモート・サーバーに継承されます。

次の例は、setUserOverridesファイルでの起動のカスタマイズを示しています。
# add custom libraries to the WebLogic Server system claspath
  if [ "${POST_CLASSPATH}" != "" ] ; then
    POST_CLASSPATH="${POST_CLASSPATH}${CLASSPATHSEP}${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  else
    POST_CLASSPATH="${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  fi
 
# specify additional java command-line options for servers
JAVA_OPTIONS="${JAVA_OPTIONS}  -Dcustom.property.key=custom.value"

サーバーの起動中にsetUserOverridesファイルが存在する場合、このファイルが起動シーケンスに含まれ、このファイルにオーバーライドがあれば、有効になります。setUserOverridesファイルは、DOMAIN_HOME/binディレクトリに格納する必要があります。

ノート:

アップグレード前に、setUserOverridesスクリプトを作成できない場合は、Oracle WebLogic Serverのアップグレード起動スクリプトへのカスタマイズの再適用の説明に従って、設定を再適用する必要があります。

キーストア・ファイルの検証

アップグレードを実行する前に、次のキーストア・ファイルが有効であり、破損した状態でないことを確認してください:
  • oamkeystore.jks
    次のコマンドを使用してファイルを検証します:
    keytool -list -keystore $DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/.oamkeystore -storepass
    xxx -storetype jceks
  • Default-keystore.jks
    次のコマンドを使用してファイルを検証します:
    keytool -list -keystore $DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/default-keystore.jks
    -storepass xxx -storetype jceks

ノート:

これらのキーストア・ファイルに問題がある場合は、アップグレードを開始しないでください。

ノード・マネージャの停止

アップグレード・プロセスを起動する前に、ローカルおよびリモートのすべてのノード・マネージャを停止したことを確認します。

アップグレードの完了後にWebLogic管理サーバーを起動するまで、ノード・マネージャは停止したままにする必要があります。WebLogic管理サーバーが起動して実行されている場合は、ノード・マネージャを起動し、続いて管理対象サーバーを起動します。