停止時間の短いアップグレードの実行
Fusion Middleware 12c (12.2.1.3)リリースからアップグレードする場合、このプロセスを使用することにより、すべてのサーバーを同時にシャットダウンせずにマルチノード・ドメインをアップグレードできます。
この項で説明する手順は、Oracle Fusion Middlewareスタンダード・インストール・トポロジ(SIT)に基づいており、マルチノード環境を使用している必要があります。Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準インストール・トポロジには、2台の管理対象サーバーを含む1つのクラスタと管理サーバーが1台の標準的なWebLogic Serverドメインがあります。ホスト1は管理サーバーのあるホスト上で実行される手順を説明するために使用され、ホスト2は他の管理対象サーバー・ホストで実行される手順を説明するために使用されます。環境内に2つ以上のホストが含まれる場合、追加のノードごとに手順を必ず完了してください。
開始前に完了しておく必要がある必須タスク
停止時間の短いアップグレードを開始する前に、次の点を確認してください:
- デプロイメント内のコンポーネントのアップグレード前チェックリストを確認します。チェックリストは、各コンポーネント固有のアップグレード・ガイドに記載されています。一部の製品では、アップグレードの実行前に追加のステップが必要になる場合があります。
- アップグレードを実行する前に、Oracleホーム(すべてのノード)、ドメイン・ディレクトリ全体(すべてのノード)およびコンポーネント・スキーマの完全なバックアップ作成します。また、ドメイン・ディレクトリに加えて、UIのカスタマイズ内容およびアプリケーション・ディレクトリのバックアップを作成することをお薦めします。「完全なバックアップの作成」を参照してください。
- このリリースに適切なJDKバージョンを使用していることを確認してください。このリリースでは、正しいバージョンはjdk1.8.0_211です
- 共有コンポーネント・ディレクトリをアップグレードする場合は、アップグレード前に共有ディレクトリの内容をバックアップしてください。構成のアップグレードにより、これらのディレクトリが変更されます。
- バックアップに、
setStartupEnv.sh
などの変更されたスクリプトが含まれていることを確認します。アップグレードによりカスタマイズされたファイルが上書きされ、変更内容が失われます。
ホスト1でのアップグレードの実行
管理サーバーをホストし、デプロイメント用のプライマリ・マシンとして機能するマシン上で、次のタスクを実行します。
- ホスト1でのコンポーネント、サーバーおよびプロセスの停止
管理サーバーと管理対象サーバーを含むすべてのシステム・コンポーネント、プロセス、サーバーおよびノード・マネージャ(実行中の場合)を停止する必要があります。 - ソフトウェアのアンインストール
ローリング・アップグレードを実行する場合、アップグレード前に新しいバイナリをインストールするために空のディレクトリが必要です。 - 製品ディストリビューションのインストール
アップグレードを開始する前に、既存のOracleホームからソフトウェアをアンインストールしてから、Oracle Universal Installerを使用して、ターゲット・システム上の同じOracleホームに12c (12.2.1.4.0)製品ディストリビューションをインストールします。アップグレード中に各ホストに製品ディストリビューションをインストールする必要があります。 - ホスト1でのノード・マネージャ、管理サーバー、管理対象サーバーおよびコンポーネントの再起動
アップグレード後、コンポーネント、サーバーおよびプロセスを正しい順序で再起動する必要があります。
親トピック: 停止時間の短いアップグレードの実行
ホスト1でのコンポーネント、サーバーおよびプロセスの停止
システム・コンポーネント、プロセス、サーバー(管理サーバーおよび管理対象サーバーを含む)、およびノード・マネージャ(実行中の場合)をすべて停止する必要があります。
ノート:
この項内の手順では、WLSTコマンドラインまたはスクリプトを使用してコンポーネント、サーバーおよびプロセスを停止する方法を説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。- システム・コンポーネント(ある場合)
- 管理対象サーバー
- 管理サーバー
- ノード・マネージャ
親トピック: ホスト1でのアップグレードの実行
システム・コンポーネントの停止
Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponent
スクリプトを使用します。
DOMAIN_HOME\bin
ディレクトリに移動し、コンポーネントごとに次のスクリプトを実行します。./stopComponent.sh component_name
ソフトウェアのアンインストール
ローリング・アップグレードを実行する場合、アップグレード前に新しいバイナリをインストールするために空のディレクトリが必要です。
ノート:
このタスクは、スタンドアロンOracle HTTP Serverにのみ適用されます。構成済のドメインの部分的な構成解除はサポートされていないため、WebLogic Serverドメインに配置されたOracle HTTP Serverをアンインストールすることはできません。ノート:
upperstackのコンポーネントを先に削除してから、JRFを削除する必要があります。JRFを削除したら、残りのファイルをバックアップし、ディレクトリ内のすべてのファイルを削除します。インストール・ディレクトリは空である必要があります。既存のORACLE_HOME
からソフトウェアを削除するには、この項の手順に従います。このディレクトリに新しいソフトウェアを再インストールします。
アンインストール・モードでOracle Universal Installerを起動するには、次のコメントを実行します。
UNIX: ORACLE_HOME/oui/bin/deinstall.sh
Windows: ORACLE_HOME\oui\bin\deinstall.cmd
サイレント(コマンドライン)モードで製品をアンインストールする場合は、『Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』のサイレント・アンインストールでのOracle Universal Installerの実行に関する項を参照してください。
親トピック: ホスト1でのアップグレードの実行
製品ディストリビューションのインストール
アップグレードを開始する前に、既存のOracleホームからソフトウェアをアンインストールしてから、Oracle Universal Installerを使用して、ターゲット・システム上の同じOracleホームに12c (12.2.1.4.0)製品ディストリビューションをインストールします。アップグレード中に各ホストに製品ディストリビューションをインストールする必要があります。
ノート:
アップグレードにInfrastructureが必要な場合は、その他のFusion Middleware製品をインストールする前に、まずOracle Fusion Middlewareディストリビューションをインストールする必要があります。-
12c (12.2.1.4.0)ディストリビューションをインストールする前に、既存の製品ディストリビューションがアンインストールされていることを確認してください。
- アンインストールした以前のディストリビューションに使用したパスと同じインストール・パス(Oracleホーム)を新しいディストリビューションのインストールに使用します。
親トピック: ホスト1でのアップグレードの実行
ホスト1でのノード・マネージャ、管理サーバー、管理対象サーバーおよびコンポーネントの再起動
アップグレード後、コンポーネント、サーバーおよびプロセスを正しい順序で再起動する必要があります。
ノート:
この項内の手順では、WLSTコマンドラインまたはスクリプトを使用してサーバーおよびプロセスを起動する方法を説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。『Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と再起動に関する項を参照してください。コンポーネントは、次の順序で起動する必要があります。
- ノード・マネージャ
- 管理サーバー
- 管理対象サーバー
- システム・コンポーネント
ノート:
ホスト1で次のコンポーネントのいずれかを正常に起動できない場合は、残りのホストでアップグレードを続行しないでください。まず、ホスト1にあるコンポーネントの問題を解決する必要があります。ノート:
Windowsユーザーのみ: Windowsオペレーティング・システム上でサーバーを再起動する場合、アップグレードしたドメインに解析例外が発生する可能性があります。この解析エラーを修正するには、プロパティ-Doracle.xml.schema/Ignore_Duplicate_components=true
をサーバー起動スクリプトsetDomainEnv.cmdに追加します。
親トピック: ホスト1でのアップグレードの実行
ホスト2でのアップグレードの実行
ホスト1上でのアップグレードが完了したら、環境内の追加ホストごとに次のステップを実行します。標準トポロジ例には2つのホストのみが含まれますが、別のホストを使用することもできます。
- ホスト2でのコンポーネント、サーバーおよびプロセスの停止
ホスト2で実行されているシステム・コンポーネント、管理対象サーバーおよびノード・マネージャを停止する必要があります。 - ソフトウェアのアンインストール
ローリング・アップグレードを実行する場合、アップグレード前に新しいバイナリをインストールするために空のディレクトリが必要です。 - 既存のMiddlewareホームへのソフトウェアのインストール
空のMiddlewareホームにソフトウェアをインストールします。 - 管理対象サーバーおよびプロセスの再起動
ホスト2でのアップグレードが完了したら、管理対象サーバーを再起動します。
親トピック: 停止時間の短いアップグレードの実行
ホスト2でのコンポーネント、サーバーおよびプロセスの停止
ホスト2で実行されているシステム・コンポーネント、管理対象サーバーおよびノード・マネージャを停止する必要があります。
親トピック: ホスト2でのアップグレードの実行
ソフトウェアのアンインストール
ローリング・アップグレードを実行する場合、アップグレード前に新しいバイナリをインストールするために空のディレクトリが必要です。
ノート:
このタスクは、スタンドアロンOracle HTTP Serverにのみ適用されます。構成済のドメインの部分的な構成解除はサポートされていないため、WebLogic Serverドメインに配置されたOracle HTTP Serverをアンインストールすることはできません。ノート:
upperstackのコンポーネントを先に削除してから、JRFを削除する必要があります。JRFを削除したら、残りのファイルをバックアップし、ディレクトリ内のすべてのファイルを削除します。インストール・ディレクトリは空である必要があります。既存のORACLE_HOME
からソフトウェアを削除するには、この項の手順に従います。このディレクトリに新しいソフトウェアを再インストールします。
アンインストール・モードでOracle Universal Installerを起動するには、次のコメントを実行します。
UNIX: ORACLE_HOME/oui/bin/deinstall.sh
Windows: ORACLE_HOME\oui\bin\deinstall.cmd
サイレント(コマンドライン)モードで製品をアンインストールする場合は、『Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』のサイレント・アンインストールでのOracle Universal Installerの実行に関する項を参照してください。
親トピック: ホスト2でのアップグレードの実行
既存のMiddlewareホームへのソフトウェアのインストール
空のMiddlewareホームにソフトウェアをインストールします。
12c (12.2.1.4.0)製品ディストリビューションをインストールする前に、既存のOracleホームからソフトウェアをアンインストールします。ホスト1へのインストールに使用したのと同じプロセスを使用してソフトウェアをインストールします。
親トピック: ホスト2でのアップグレードの実行
アップグレードの検証
すべてのホストでアップグレードが完了したら、標準的なアップグレードの検証タスクを実行して、すべてのコンポーネントが期待どおりに引き続き機能することを確認します。
「アップグレード後に実行するタスク」を参照してください。
ノート:
使用環境、構成およびプリファレンスに関連するタスクのみを実行してください。これらのタスクは、アップグレードが成功したことを検証する作業を支援することを目的としています。構成に基づいて追加のテストを実行することが必要な場合があります。失敗したアップグレードからのリカバリ
アップグレードに失敗した場合は、バックアップから環境をリストアする必要があります。バックアップされた構成およびスクリプト・ファイルが含まれていることを確認します。(すべてのノード上の)Oracleホーム、(すべてのノード上の)ドメイン・ディレクトリ全体およびコンポーネント・スキーマのバックアップをリストアします。また、ドメイン・ディレクトリに加えて、UIのカスタマイズ内容とアプリケーション・ディレクトリもリストアする必要があります。
親トピック: 停止時間の短いアップグレードの実行