7 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備

エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備には、ローカルおよび共有記憶域の要件、およびエンタープライズ・トポロジのインストール時および構成時における重要なディレクトリとファイルの場所の参照に使用される用語を理解することが含まれます。

この章では、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメント用にファイル・システムを準備する方法について説明します。

エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備の概要

記憶域は、エンタープライズ・デプロイメントがわかりやすくなり、構成および管理が容易になるように設定することが重要です。

この章では、エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備のプロセスの概要を示します。この章の情報に従って記憶域を設定することをお薦めします。この章で定義されている用語は、このガイド内のダイアグラムおよび手順で使用されます。

この章を参照情報として使用すると、インストールおよび構成の手順で使用されているディレクトリ変数について理解できます。

その他のディレクトリ・レイアウトも可能であり、サポートされていますが、このガイドで採用するモデルは、可用性を最大化するために設計されており、コンポーネントの最良の独立性と構成の対称性の両方を実現し、バックアップおよび障害時リカバリを容易にします。ドキュメントの残りの部分では、このディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。

エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項

エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する際の共有記憶域については、特定のガイドラインを実行することをお薦めします。

この章で詳述する推奨事項を実行する前に、『高可用性ガイド』で共有記憶域の使用に関する推奨事項と一般情報を確認してください。

この章の推奨事項は、『高可用性ガイド』に記載されている概念とガイドラインに基づいています。

表7-1に、確認しておく必要がある項の一覧と、それらの概念がエンタープライズ・デプロイメントにどのように適用されるかを示します。

表7-1 『高可用性ガイド』の共有記憶域に関するリソース

『高可用性ガイド』の項 エンタープライズ・デプロイメントにおける意義

共有記憶域に関する前提条件

共有記憶域向けに最適化された、ディスク形式のガイドラインとハードウェア・デバイス要件について説明します。

バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリ用の共有記憶域の使用

複数のホストから使用可能な共有記憶域デバイスにOracleホームを格納する際のオプションについて説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントでは、別個の記憶域ボリューム上の冗長Oracleホームを使用することをお薦めします。

別のボリュームがない場合は、共有ディスク上の別のパーティションを使用して、アプリケーション層のホストに冗長Oracleホームを用意してください。

ドメイン構成ファイル用の共有記憶域の使用

ドメイン内の管理サーバーと管理対象サーバーに別々のドメイン・ホームを作成する概念について説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントでは、管理サーバーのドメイン・ホームの場所をASERVER_HOME変数で表します。

JMSストアおよびJTAログ用の共有記憶域の要件

エンタープライズ・デプロイメント用のトランザクション・ログとJMSストアの場所を設定する手順について説明しています。

ダウンタイムなしのパッチ適用の概要

ゼロ・ダウンタイム機能と、ワークフローの構成および監視手順について説明します。

ノート:

ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用(ZDTパッチ適用)は、停止時間またはセッションの消失を回避しながら、パッチの公開を編成するための自動メカニズムを提供します。ZDTによって、パッチの適用中に可用性および予測性が求められる重要なアプリケーションのリスクと停止時間が軽減されます。

定義したワークフローを使用することで、手動操作をほとんどまたはまったく行わずにドメイン内の任意の数のノードをパッチ適用または更新できます。変更は、一度に1つのノードにロール・アウトされます。これにより、クラスタ内の互換性のあるサーバーにセッション・データをあらかじめ移行でき、JTAやJMSなどのシングルトン・サービスのサービス移行も可能になります。

Oracleホームにパッチを適用する際、現在のOracleホームは、ワークフローに含まれる各ノードにローカルにインストールされる必要があります。必須ではありませんが、各ノードでOracleホームを同じ場所にすることもお薦めします。

エンタープライズ・デプロイメント用の推奨ディレクトリ構造について

この項のダイアグラムは、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントで推奨されるディレクトリ構造を示しています。

ダイアグラムに示す各ディレクトリには、Oracle Fusion Middlewareインストーラによってディスク上にインストールされるバイナリ・ファイル、ドメイン構成プロセスを通じて生成されるドメイン固有のファイルの他に、Oracle WebLogic Serverのpackコマンドとunpackコマンドによって様々なホスト・コンピュータに伝播されるドメイン構成ファイルが格納されます。

ダイアグラムは、次のことを示すために使用されています。

  • 図7-1は、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で共有記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。共有記憶域のディレクトリは、アプリケーション層のホスト・コンピュータからアクセス可能です。

  • 図7-2は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なアプリケーション層のホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。特に、管理対象サーバーはアプリケーション層のホスト・コンピュータ用のローカル記憶域デバイスに格納されます。

  • 図7-3は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なWeb層ホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。ソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム内)は、Web層のホストごとのローカル記憶域デバイスにインストールされます。

    ノート:

    図7-3では、Web層でOracle HTTP Serverを使用することを前提としています。ただし、Oracle Traffic Directorを使用して、HTTPや他のリクエストをアプリケーション層にルーティングすることもできます。

該当する場合、ダイアグラムには、このガイドのインストールおよび構成手順でディレクトリ場所を表すために使用する標準変数も記載されています。

図7-1 エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造

エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造

「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

図7-2 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

図7-3 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数

ファイル・システムのディレクトリおよびこれらのディレクトリの参照に使用するディレクトリ変数を理解することは、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのインストールと構成に不可欠です。

表7-2は、アプリケーション層のファイル・システムのディレクトリと、それらのディレクトリの参照に使用されるディレクトリ変数を示しています。表7-3は、Web層のファイル・システムのディレクトリと、それらのディレクトリの参照に使用される変数を示しています。

共有記憶域を使用している場合にこれらのディレクトリをマウントする方法の詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント用のディレクトリの作成およびマウントについて」を参照してください。

このガイド全体を通して、トポロジのインストールおよび構成に関する手順では、ここに示す変数を使用してディレクトリの場所を参照します。

この項に列挙する各ディレクトリに対してオペレーティング・システム変数を定義することもできます。システム変数をご使用のUNIXシェルで定義しておくと、このドキュメントの記載どおりに変数を使用できるので、変数を実環境における実際の値と対応付ける必要がなくなります。

ノート:

ストレージ・デバイスを構成して推奨ディレクトリ構造を作成したら、実際のディレクトリ・パスをエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください。

表7-2 アプリケーション層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 相対パス アプリケーション層のサンプル値

ORACLE_BASE

Oracle製品がインストールされるベース・ディレクトリ。 N/A /u01/oracle

ORACLE_HOME

製品バイナリ用の読取り専用場所。アプリケーション層のホスト・コンピュータの場合は、共有ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストール時に作成されます。

その後、その他のOracle Fusion Middleware製品を同じOracleホームにインストールできます。

ORACLE_BASE/products/fmw

/u01/oracle/products/fmw

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle Fusion MiddlewareのOracleホーム内のディレクトリ。

ORACLE_HOME/oracle_common /u01/oracle/products/fmw/oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

ORACLE_HOME/wlserver /u01/oracle/products/fmw/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

ORACLE_HOME/prod_dir /u01/oracle/products/fmw/prod_dir

製品は、エンタープライズ・デプロイメントに応じてsoawccidmbiまたはその他の値になります。

EM_DIR

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlソフトウェア・バイナリの格納に使用される製品ディレクトリ。

ORACLE_HOME/em /u01/oracle/products/fmw/em

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

ORACLE_BASE/products/jdk /u01/oracle/products/jdk

SHARED_CONFIG_DIR

ドメイン構成、キーストア、ランタイム・アーティファクトおよびアプリケーション・デプロイメントを含む共有環境構成ファイルの共有親ディレクトリ ORACLE_BASE/config /u01/oracle/config

PRIVATE_CONFIG_DIR

マシン固有のドメイン・ディレクトリを含む、所定のホストに対して一意の、ローカルまたはNFSマウントされたプライベート構成ディレクトリ(MSERVER_HOME)。

ディレクトリ変数:

PRIVATE_CONFIG_DIR

/u02/oracle/config

/u02/oracle/config

ASERVER_HOME

管理サーバーのドメイン・ホーム。共有ディスクにインストールされます。

SHARED_CONFIG_DIR/domains/domain_name /u01/oracle/config/domains/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名で置き換えます。

MSERVER_HOME

管理対象サーバーのドメイン・ホーム。unpackコマンドによってアプリケーション層の各ホストのローカル・ディスクに作成されます。

PRIVATE_CONFIG_DIR/domains/domain_name /u02/oracle/config/domains/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名で置き換えます。

APPLICATION_HOME

アプリケーションのホーム・ディレクトリ。アプリケーション層のすべてのホスト・コンピュータからアクセスできるように、共有ディスクにインストールされます。

SHARED_CONFIG_DIR/applications/domain_name /u01/oracle/config/applications/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名で置き換えます。

ORACLE_RUNTIME

このディレクトリには、JMSログやTLogなどのOracleランタイム・アーティファクトが含まれます。

一般にこのディレクトリは、ドメイン内のすべてのホストからアクセスできる別個の共有ファイル・システムとしてマウントします。

構成ウィザードの実行時または構成後タスクの実行時に、JMSストアまたはTLOGS永続ストアの場所を特定する場合、このディレクトリをドメイン名、クラスタ名およびディレクトリの目的で修飾して使用できます。

たとえば:

ORACLE_RUNTIME/cluster_name/jms

ノート:

これは、JDBCストアを使用する場合のTLOGSおよびJMSストアには必要ありません(このガイドではこれをお薦めします)。ただし、必要に応じて、他のランタイム共有アーティファクトに使用できます。
ORACLE_BASE/runtime /u01/oracle/runtime/

NM_HOME

マシンごとのノード・マネージャ起動スクリプトおよび構成ファイルによって使用されるディレクトリ。

ノート: このディレクトリは、マシン別ノード・マネージャ構成を使用している場合にのみ必要となります。

「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

PRIVATE_CONFIG_DIR/node_manager /u02/oracle/config/node_manager

DEPLOY_PLAN_HOME

デプロイメント・プランのディレクトリ。アプリケーション・デプロイメント・プラン用のデフォルトの場所として使用されます。

ノート: このディレクトリは、カスタム・アプリケーションをアプリケーション層にデプロイする場合にのみ必要となります。

SHARED_CONFIG_DIR/dp /u01/oracle/config/dp

KEYSTORE_HOME

カスタム証明書およびキーストアの共有の場所。

SHARED_CONFIG_DIR/keystores /u01/oracle/config/keystores

表7-3 Web層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 Web層のサンプル値

WEB_ORACLE_HOME

Oracle HTTP Server製品バイナリ用の読取り専用場所。Web層のホスト・コンピュータの場合は、このディレクトリはローカル・ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle HTTP ServerソフトウェアまたはOracle Traffic Directorソフトウェアのインストール時に作成されます。

/u02/oracle/products/fmw

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle HTTP ServerのOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw/oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw/ohs

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

/u02/oracle/products/jdk

WEB_DOMAIN_HOME

Web層の各ホストのローカル・ディスク上にOracle HTTP Serverをインストールする際に作成される、スタンドアロンOracle HTTP Serverドメインのドメイン・ホーム。

/u02/oracle/config/domains/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名で置き換えます。

WEB_CONFIG_DIR

Oracle HTTP Server構成ファイル(httpd.confmoduleconf/*.confなど)の編集を行う各Webホスト上の場所。

このディレクトリは、OHSステージング・ディレクトリとも呼ばれます。ここで行った変更は、OHS実行時ディレクトリに伝播されます。

『Oracle HTTP Serverの管理』ステージングおよびランタイム構成ディレクトリに関する項を参照してください。

/u02/oracle/config/domains
    /domain_name/config/fmwconfig
    /components/OHS/instance/
    /instance_name

WEB_APPLICATION_HOME

Oracle Traffic DirectorをWebサーバーとして使用している場合、これはWeb層ホストのローカル記憶域のドメイン・アプリケーションの場所です。

/u02/oracle/config/applications/domain_name

WEB_KEYSTORE_HOME

Oracle Traffic DirectorをWebサーバーとして使用する場合は、これがカスタム証明書およびキーストアの場所です。

/u02/oracle/config/keystores

エンタープライズ・デプロイメントのディレクトリの作成とマウントについて

エンタープライズ・デプロイメントに最上位のディレクトリを作成またはマウントする際には、特定のベスト・プラクティスを実装することをお薦めします。

  • アプリケーション層については、SOAHOST2にマウントされる別の共有記憶域ボリュームまたは別のパーティションにOracleホーム(ソフトウェア・バイナリの格納先)をインストールします。SOAHOST2上のバイナリへのディレクトリ・パスが、SOAHOST1上のディレクトリ・パスと同一であることを確認してください。

    たとえば:

    /u01/oracle/products/fmw/
    

    「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」を参照してください。

  • このエンタープライズ・デプロイメント・ガイドでは、Oracle Web層ソフトウェアがローカル・ディスクにインストールされると想定しています。

    Web層のインストールは通常、WEBHOSTノードのローカル記憶域で実行されます。共有記憶域を使用している場合、Oracle Web層バイナリを共有ディスクにインストール(およびOracle HTTP Serverインスタンスを作成)できます。ただし、これを行う場合、共有ディスクをアプリケーション層で使用される共有ディスクと区別する必要があり、層間での記憶域デバイスへのアクセスに対する適切なセキュリティ制限を検討する必要があります。

    アプリケーション層サーバー(SOAHOST1およびSOAHOST2)の場合と同様に、両方のコンピュータで同じディレクトリ・パスを使用します。

    たとえば:

    /u02/oracle/products/fmw/
  • Oracle Service Bus (OSB)を独自のドメイン内に(ただし、Oracle SOA Suiteと同じホスト上に)構成する場合、OSBバイナリ用の追加のOracleホーム(ORACLE_HOME)を作成し、そのOracleホームをSOAのOracleホームとは別個にマウントする必要があります。

    たとえば、OSB_ORACLE_HOMEは次のようにマウントされます。

    /u03/oracle/products/fmw/osb
  • 同様に、OSBを独自のドメイン内に(ただし、Oracle SOA Suiteと同じホスト上に)構成する場合、ドメイン・ディレクトリをOracle SOA Suiteドメイン・ディレクトリとは別個にマウントする必要があります。

    たとえば、OSB管理サーバーのドメイン・ディレクトリは次のようにマウントされます。

    /u03/oracle/config/domains/osb_domain_name

    また、OSB管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリは、次のようにマウントされます。

    u04/oracle/config/domains/osb_domain_name
  • Oracle Managed File Transfer (MFT)を独自のドメイン内に(ただし、Oracle SOA Suiteと同じホスト上に)構成する場合、MFTバイナリ用の追加のOracleホーム(ORACLE_HOME)を作成し、そのOracleホームをSOAのOracleホームとは別個にマウントする必要があります。MFTをOracle SOA Suiteと同じドメインにインストールすることはできません。

    たとえば、MFT_ORACLE_HOMEは次のようにマウントされます。

    /u03/oracle/products/fmw/mft
  • 同様に、MFTをOracle SOA Suiteと同じホスト上に構成する場合、ドメイン・ディレクトリをOracle SOA Suiteドメイン・ディレクトリとは別個にマウントする必要があります。

    たとえば、MFT管理サーバーのドメイン・ディレクトリは次のようにマウントされます。

    /u03/oracle/config/domains/mft_domain_name

    また、MFT管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリは、次のようにマウントされます。

    u04/oracle/config/domains/mft_domain_name

エンタープライズ・デプロイメントの共有記憶域ボリュームの概要

一般的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントでの共有ボリュームおよびその目的を理解することが重要です。

共有記憶域を使用してWeb層バイナリと構成をホストするとバックアップが容易になるため、ファイルはフォルト・トレラント性が高いハードウェアに格納されます。ただし、各ノードは他のノードと共有しないプライベート・ディレクトリを使用する必要があります。

次の表は、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントにおける共有ボリュームおよびその目的をまとめたものです。

「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」を参照してください。

表7-4 エンタープライズ・デプロイメントの共有記憶域ボリューム

共有記憶域のボリューム マウント先ホスト マウント・ディレクトリ 説明および目的

NFSボリューム1

SOAHOST1

/u01/oracle/products/

SOAHOST1によって使用される製品バイナリの記憶域。Oracleホーム・ディレクトリおよび製品ディレクトリがインストールされている場所です。最初はSOAHOST1によって使用されますが、トポロジをスケール・アウトするときには、他のホストとも共有できます。

NFSボリューム2

SOAHOST2

/u01/oracle/products/

SOAHOST2によって使用される製品バイナリの記憶域。Oracleホーム・ディレクトリおよび製品ディレクトリがインストールされている場所です。最初はSOAHOST2によって使用されますが、トポロジをスケール・アウトするときには、他のホストとも共有できます。

NFSボリューム3

SOAHOST1 SOAHOST2

/u01/oracle/config/

すべてのホストにマウントされる管理サーバー・ドメイン。最初はSOAHOST1によって使用されますが、任意のホストにフェイルオーバーできます。

NFSボリューム4

SOAHOST1 SOAHOST2

/u01/oracle/runtime/

すべてのホストにマウントされるランタイム・アーティファクト・ディレクトリで、JMSログ、ブログなどの実行時アーティファクトおよび必要なクラスタ依存共有ファイルが含まれます。

NFSボリューム5

SOAHOST1

/u02/oracle/config/

プライベート管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリが共有記憶域にある場合に、SOAHOST1によって使用される管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリのローカル記憶域。

NFSボリューム6

SOAHOST2

/u02/oracle/config/

プライベート管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリが共有記憶域にある場合に、SOAHOST2によって使用される管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリのローカル記憶域。

NFSボリューム7

WEBHOST1

/u02/oracle/

Web層のプライベート・バイナリおよび構成ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、Oracle HTTP ServerまたはOracle Traffic Directorソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム)用、およびWEBHOST1で使用されるドメイン構成ファイル用のローカル記憶域。

NFSボリューム8

WEBHOST2

/u02/oracle/

Web層のプライベート・バイナリおよび構成ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、Oracle HTTP ServerまたはOracle Traffic Directorソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム)およびWEBHOST2で使用されるドメイン構成ファイル用のローカル記憶域。