A ODIのアクセシビリティ機能

Oracle Data Integratorのアクセシビリティ機能は、障害者や高齢者による製品内の移動や使用を容易にするためのものです。アクセシビリティ機能では、標準ベースの支援技術ハードウェアおよびソフトウェア(Freedom Scientific JAWSなど)の使用がサポートされます。

この付録では、ODIのアクセシビリティ機能の構成方法と使用方法について説明します。特定のキーボード・ショートカットと、キーボードを使用してマッピングを作成するステップについて理解するうえで役立ちます。

この付録の内容は次のとおりです。

A.1 Java Access Bridgeの使用

Java Access Bridge (JAB)は、Microsoft Windows DLLでJava Accessibility APIを公開するテクノロジであり、Java Accessibility APIを実装するJavaアプリケーションおよびアプレットをMicrosoft Windowsシステム上のユーザー補助テクノロジから見えるようにできます。Java Accessibility APIはJava Accessibilityユーティリティの一部で、Java Accessibility APIを実装するGUIツールキットへのアクセスをユーザー補助テクノロジが提供するのを支援するユーティリティ・クラスのセットです。

Microsoft Windowsシステムで使用できる既存のユーザー補助テクノロジがJavaアプリケーションへのアクセスを提供するには、Java Accessibilityユーティリティとやり取りするための何らかの方法が必要です。Java Access Bridgeがこのやり取りをサポートします。

Microsoft Windows上で実行されているユーザー補助テクノロジ・アプリケーション(画面リーダーなど)はJava Access Bridge DLLとやり取りし、Java Access Bridge DLLはJava Access Bridge Javaライブラリ経由でJava Virtual Machineとやり取りします。これらのJavaライブラリはJava Accessibilityユーティリティとやり取りします。Java AccessibilityユーティリティはJavaアプリケーションで発生していることについての情報を収集し、それらはJava Access Bridge経由で画面リーダーに転送されます。

JABの詳細は、Java Access Bridgeのドキュメントを参照してください。

このトピックは次の項で構成されています。

A.1.1 Java Access Bridgeのインストール(Windowsのみ)

WindowsコンピュータにODIをインストールする場合、次のステップを実行することで、Java Access Bridgeをインストールして第508条のアクセシビリティを使用できます。
  1. 次のURLからJava Access Bridgeをダウンロードします。http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/tech/index-jsp-136191.html
  2. Java Access Bridgeをインストールします。
  3. access-bridge.jarファイルおよびjaccess-1_4.jarファイルをインストール場所からjre/lib/extディレクトリにコピーします。
  4. WindowsAccessBridge.dllファイル、JavaAccessBridge.dllファイルおよびJAWTAccessBridge.dllファイルをインストール場所からjre/binディレクトリにコピーします。
  5. accessibility.propertiesファイルをjre/libディレクトリにコピーします。
これで、Java Access Bridgeが正常にインストールされました。

ノート:

Java Access Bridgeの詳細は、Java Access Bridgeのドキュメントを参照してください。

A.1.2 Java Access Bridgeの構成

  1. その場所からJava Access Bridgeを起動(有効化)します(% JDK_HOME% \bin\jabswitch –enable)。ODI Studioを起動するために使用するものと同じJDKからJABを有効化します。ここで、JDK_HOMEはODIで使用されるjava.homeを意味しており、これを確認するには、ODIを起動して、「ヘルプ」→「情報」→「プロパティ」タブにナビゲートして、java.homeを検索します。これはデフォルトの場所(\Program Files\java\jdk..\jre)を指しているため、必ず\Program Files\java\jdk..\jre\bin dirの下のjabswitchを有効化してください。
  2. JAWS (Job Access With Speech)ソフトウェアを起動するには、デスクトップ・アイコンをダブルクリックするか、スタート・メニューからJAWSのエントリを選択します。
  3. ODI Studioを起動します。

ノート:

ソフトウェアが画面上のテキストを読み取るようにする特殊なキーボード・コマンドは、JAWSのオンライン・ヘルプを参照してください。JAWSアプリケーションでこの詳細を確認するには、「Help」→「Keyboard」のコマンドを選択するようにナビゲートします。

A.1.3 一般的なキーボード・コマンド

次に、Java Access Bridgeで使用される一般的なキーボード・コマンドの一部を示します。

キーの組合せ 用途

[Insert]+[Space]、[S]

スピーチのオン/オフの切替え

ノート:

このキーストロークを使用するときは、[Insert]を押しながら[Space]を押して離し、[S]を押してスピーチをミュートします。

[↓]

次の行の読取り

[Insert]+[↑]

現在の行の読取り

[Insert]+[B]

現在のウィンドウの読取り

[Insert]+[Shift]+[↓]

選択したテキストの読取り

A.1.4 トラブルシューティング

  • JAWSがダイアログまたはウィンドウのタイトルのみを読み取る場合、およびダイアログまたはウィンドウ内のテキストは一切読み取らない場合は、Java Access Bridgeが起動されていないか、適切に動作していないことを意味します。

  • ODI Studioを起動する前にJAWSを起動する必要があります。ODI Studioにアクセスするときは、JAWSが稼働している必要があります。そうしないと、ODI Studio内のテキストは、JAWSで一切読み取られません。

  • 有効化したJDKでStudioが起動されていることを念入りに確認します。

  • JAWSが適切に動作していない場合は、Javaのすべての以前のバージョンとその関連するすべてのファイルに加えて、レジストリ・エントリをシステムから削除し、クリーンな状態で(すべてデフォルト値で) JDKをインストールしてください。

  • ボタンのツール・チップ・テキストをJAWSで読み取るには、[Settings]→[verbosity preferences]からツール・チップ・テキストを読み取るオプションを有効化する必要があります。このオプションはデフォルトでは無効にされています。[Settings]メニューで詳細オプションを検索して、JAWSでツール・チップが読み取られるように有効化します。

  • JAWSでは、カーソルを配置する方法でのみ、アクセスするユーザー・インタフェース(UI)コンポーネントを読み取ることができ、そうしないとコンポーネントを認識できないため、読み取ることができません。

A.2 ODI Studioのキーボード・ナビゲーション

この項は、キーボードを使用して(マウスを使用せずに) ODI Studio UIをナビゲートできる、キーボード・アクションのコレクションです。これらは次のとおりです。

  • [Shift]+[F10] - マウスの右ボタンのクリックと同様に機能します。フォーカスされているかカーソルが配置されているコンポーネントのコンテキスト・メニューが開きます。ツリーの項目にナビゲートして、[Shift]を押しながら[F10]を押すと、コンテキスト・メニューが開きます。

  • [Alt]+[F6] - ダイアログを切り替えます。[Alt]を押しながら[F6]を押すとフォーカスが切り替わります。同時に開いているウィンドウが2つのみの場合は、それら2つでフォーカスが切り替わり続けます(たとえば、「スマート・エクスポート」ダイアログとメイン・ウィンドウ)。

  • 「ウィンドウ」メニュー→「ドキュメント」 - 同じタイプの複数のオブジェクトのリストを表示します。(たとえば、2つのマッピングMAP1とMAP2を開きます。このリストには両方のマッピングが表されます)

  • [Ctrl]+[Shift]+[Tab] - すべての開いているフレームのダイアログとそれらのフレームのタブを表示します(MAP1→「概要」→「論理」→「物理」)

  • [Shift]+矢印キー - マッピング論理ダイアグラムまたは物理ダイアグラム内でオブジェクトを移動します

  • [Alt]+[PgDn]/[PgUp] - マップ内の前後のタブに切り替えます(MAP1→「概要」→「論理」→「物理」)

  • [Ctrl]+[PgDn]/[PgUp] - メイン・タブ「概要」の前後のサブタブに切り替えます(「概要」→「定義」→「実行」→「シナリオ」など)

  • [Tab]キー - 必要なエディタに切り替えます(これは標準のFCPサポートです)

  • 矢印キー - エディタ自体のノードとリンクを移動します。

  • Windowsコンテキスト・メニュー・キー - コンテキスト・メニューを開きます([Shift]を押しながら[F10]を押した場合も同じアクションが実行されます)

A.3 キーボードのキーを使用したマッピングの作成

マッピングを作成するには(ODIにログインし、設計ナビゲータでプロジェクト・ツリーが開いていることが前提です):

  1. 矢印キーを使用して、マッピング・ノードにナビゲートします。
  2. 右矢印キーを使用して、ツリー・ノードを展開します
  3. [Shift]を押しながら[F10]を押して、マッピングのメニューを開き、「新規マッピング」を選択します
  4. [Tab]キーを使用して「新規」ダイアログをナビゲートして、[Ctrl]を押しながら[Tab]を押して、説明テキスト・フィールドから離れます。[Space]を使用してパラメータ「空のデータセットを作成します」を無効化します。
  5. 「コンポーネント」ウィンドウにナビゲートして、データセットをマッピングに追加します。これを行うために[Enter]キーを押すと、データセットを論理ダイアグラムに追加できます。
  6. 「コンポーネント」フレームで、[Tab]を使用してコンポーネントに移動します。

    ノート:

    「コンポーネント」フレームの最初のフォーカスから、[Tab]を4回押すと、データセット・コンポーネントに移動します。
  7. 論理ダイアグラムでデータセットが追加されてデータセット・コンポーネントがフォーカスされたら、[Shift]を押しながら矢印キーを押して、キャンバス内でコンポーネントを移動します。
  8. 「サムネイル」フレームを閉じます。[Shift]を押しながら[F10]を押してもメニューを呼び出すことはできないため、「サムネイル」を閉じることができません。続行するにはマウスを使用します。回避策として、次のようにします。
    1. 「ウィンドウ」→「サムネイル」を呼び出します。「サムネイル」がフォーカスされます。
    2. 「ウィンドウ」→サムネイルを閉じるを呼び出します。「サムネイル」が閉じます。
  9. メインの「ウィンドウ」メニューから、構造ペインを開きます(または[Ctrl]と[Shift]を押しながら[S]を押します)
  10. 設計ナビゲータから、モデル・ツリーを開き、データストアを検索してマッピングに追加し、[Shift]を押しながら[F10]を押してそのコピーを実行します。
  11. [Shift]と[Ctrl]を押しながら[Tab]を押して、開いているフレームのリストを取得し、そのリストから新しいマップを選択します(これで、構造ペインでそのマップがフォーカスされます)。
  12. [Shift]と[Ctrl]を押しながら[Tab]を押して構造ペインに移動し、DATASETにフォーカスを移動して、[Shift]を押しながら[F10]を押して、貼付けアクションをアクティブ化するためにコンテキスト・メニューを呼び出します。または回避策として、メイン・メニューから「編集」→「貼付け」を呼び出します。
  13. 構造ペインを移動すると、論理ダイアグラムでオブジェクトがフォーカスされます。論理ウィンドウに移動し、[Shift]を押しながら矢印キーを押して、ダイアグラムでオブジェクトを移動します(データセットのサイズ変更に役立ちます)。
  14. 設計ナビゲータから別のデータストアをコピーします。モデル・ツリーを開き、データストアを検索してマッピングに追加し、[Shift]を押しながら[F10]を押してコピーを実行します。
  15. [Shift]と[Ctrl]を押しながら[Tab]を押して構造ペインに移動し、マップ名にフォーカスを移動して、[Shift]を押しながら[F10]を押して、貼付けのためにコンテキスト・メニューを呼び出します(または、メイン・メニューから「編集」→「貼付け」を呼び出します)。新しいオブジェクトの親を選択するためのウィンドウがポップアップします。
  16. カーソルが選択ボックスに配置されているときに、上下の矢印キーを使用して、この領域のオプション「ドロップ・ターゲット」を選択します。[Enter]キーを使用して、ウィンドウを選択して閉じます。
  17. ステップ5と同様に、「コンポーネント」ウィンドウに移動して、マッピング・データセットにフィルタを追加します。
  18. 論理ウィンドウに移動します。[Tab]を押してから矢印キーを押して、データセット外のコンポーネントをフォーカスします。[Shift]を押しながら矢印キーを押して、コンポーネントの位置を調整します。
  19. 論理ウィンドウでデータセット内のソース・データストアをフォーカスします。[Ctrl]と[Shift]を押しながら[I]を押して、プロパティ・インスペクタを開きます。[Tab]を使用して、「接続ポイント」セクションに移動します。
  20. 右矢印キーを使用して、「接続ポイント」セクションを展開します。入力および出力のコネクタ・ポイントを追加して、フィルタするソース・データストアに接続します。
  21. 論理ダイアグラムに移動します。フォーカスをフィルタ・コンポーネントに移動します。[Shift]と[Ctrl]を押しながら[Tab]を押して、そのプロパティ・インスペクタに移動します。
  22. フィルタする特定のデータストア属性に接続するために、フィルタ条件を入力します。
    [Tab]を使用して、「フィルタ条件」テキスト・フィールドに移動します。DatasetName.SourceTblName.IDという式を入力します。
    1. [Tab]を使用して、フィルタ条件拡張エディタ・アイコンに移動し、[Enter]キーを押します。ポップアップ・ウィンドウで、接続されたデータストアが「属性」フレームに表示されます。
    2. [Tab]を使用して、「属性」に移動し、データストア・ノードを展開します。IDを選択して、[Enter]キーを押します。式DatasetName.SourceTblName.ID が右側のテキスト・フィールドに表示されます。
  23. 前述のステップ19から22を繰り返して、フィルタをターゲット・データストアに接続します。
  24. [Ctrl]を押しながら[S]を押して、このマッピングを保存します。
これで、キーボードのキーを使用して一般的なマッピングを作成しました。