19 Oracle Business Intelligence Enterprise Edition

Oracle Data IntegratorでのOracle Business Intelligence Enterprise Editionの使用方法を理解することが重要です。

この章の内容は次のとおりです。

19.1 概要

Oracle Data Integrator (ODI)では、Oracle Business Intelligence Enterprise Edition (Oracle BI)のデータがシームレスに統合されます。

Oracle Data Integratorには、マッピングを使用し、Oracle BI物理レイヤーを介してADFビュー・オブジェクト(ADF-VO)のデータをリバース・エンジニアリングおよび抽出するための方法が用意されています。

19.1.1 概念

Oracle Business Intelligence Enterprise Editionの概念は、Oracle Data Integratorの概念に次のようにマップされます。1つのOracle BIサーバーは、Oracle Data Integratorの1つのデータ・サーバーに対応します。このサーバー内で、カタログ/所有者の1つのペアは、Oracle Data Integratorの1つの物理スキーマにマップされます。

Oracle Data Integratorは、バイパス接続プールを介してこのサーバーに接続し、ADFビュー・オブジェクトをサポートする物理ソースにアクセスします。

Oracle Data Integratorでは、Java Database Connectivity (JDBC)を使用してOracle BIサーバーに接続します。

19.1.2 ナレッジ・モジュール

Oracle Data Integratorには、Oracle BIデータを処理するためのナレッジ・モジュール(KM)が用意されています。これらのリストを表19-1に示します。これらのKMでは、Oracle BI固有の機能が使用されます。

表19-1 Oracle BI KM

ナレッジ・モジュール 説明

RKM Oracle BI (Jython)

Oracle BIの表構造(列および主キー)を取得します。

LKM Oracle BI to Oracle (DBLink)

dblinkを使用して、Oracle BIソースからOracleデータベース領域へデータをロードします。

LKM Oracle BI to SQL

Oracle BIソースから任意のANSI SQL-92準拠データベースへデータをロードします。

IKM Oracle BI to SQL Append

Oracle BIソースからANSI-SQL92ターゲット・データベースへデータを統合します。

19.2 インストールおよび構成

Oracle BIナレッジ・モジュールの使用を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。

19.2.1 システム要件および動作要件

インストールを実行する前に、システム要件および動作要件のドキュメントを読んで、使用する環境がインストールする製品の最低インストール要件を満たすことを確認する必要があります。

サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/data-integrator/documentation/index.html

19.2.2 テクノロジ固有の要件

Oracle Data IntegratorでOracle BIを使用するためのテクノロジ固有の要件はありません。

19.2.3 接続性要件

この項では、Oracle BIサーバーに接続するための要件をリストします。

JDBCドライバ

Oracle Data Integratorでは、Oracle BIネイティブ・ドライバを使用して、Oracle BIサーバーに接続します。このドライバをOracle Data Integratorのdriversディレクトリにインストールする必要があります。

バイパス接続プール

Oracle BIでは、ADFレイヤーをバイパスして基礎となるデータベースから直接データをフェッチするために、SQLバイパス・データベース接続を設定する必要があります。この接続プールの名前は、Oracle Data IntegratorでOracle BIデータ・サーバーを作成するために必要です。

19.3 トポロジの設定

トポロジの設定には次が含まれます。

  1. Oracle BIデータ・サーバーの作成

  2. Oracle BI物理スキーマの作成

19.3.1 Oracle BIデータ・サーバーの作成

各データ・サーバーは1つのOracle BIサーバーに対応します。Oracle Data Integratorは、バイパス接続プールを介してこのサーバーに接続し、ADFビュー・オブジェクトをサポートする物理ソースにアクセスします。これらの物理オブジェクトは、このサーバーで公開されるビュー・オブジェクトの下に配置されます。このサーバーは、複数のカタログとスキーマにアクセス可能なユーザーに接続されます。カタログとスキーマのペアは、データ・サーバーの下に作成される物理スキーマに対応します。

19.3.1.1 データ・サーバーの作成

『Oracle Data Integratorの管理』データ・サーバーの作成に関する項に記載されている標準の手順で、Oracle BIテクノロジ用データ・サーバーを作成します。この項では、Oracle BIデータ・サーバーの定義に関する必須または固有のフィールドのみについて説明します。

  1. 「定義」タブ:
    • 名前: Oracle Data Integratorに表示されるデータ・サーバーの名前

    • サーバー: このフィールドは空のままにします。

    • ユーザー/パスワード: Oracle BIユーザーおよびそのパスワード

  2. 「JDBC」タブ:
    • JDBCドライバ: oracle.bi.jdbc.AnaJdbcDriver

    • JDBC URL: jddbc:oraclebi://<host>:<port>

      <host>は、Oracle BIサーバーがインストールされるサーバーです。デフォルトの<port>番号は9703です。

  3. 「プロパティ」タブで、次のキーと値のペアを使用してJDBCプロパティを追加します。
    • キー: NQ_SESSION.SELECTPHYSICAL

    • 値: Yes

    ノート:

    このオプションは、物理データへのアクセスに必要です。このオプションを使用した場合、Oracle BI接続は読取り専用になります。

  4. 「フレックスフィールド」タブのCONNECTION_POOLフレックスフィールドで、バイパス接続プールの名前を設定します。
    • 名前: CONNECTION_POOL

    • 値: <connection pool name>

    ノート:

    このバイパス接続プールは、Oracle BIサーバー自体でも定義する必要があります。

19.3.2 Oracle BI物理スキーマの作成

『Oracle Data Integratorの管理』物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してOracle BI物理スキーマを作成します。

物理スキーマ内で、データ・スキーマおよび作業スキーマは、それぞれOracle BIのカタログとスキーマの1つのペアに対応します。

『Oracle Data Integratorの管理』論理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してこの物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。

19.4 統合プロジェクトの設定

Oracle BIサーバーを使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。

Oracle BIでの作業を開始するにあたり、使用するプロジェクトに次のナレッジ・モジュールをインポートすることをお薦めします。

  • RKM Oracle BI (Jython)、LKM Oracle BI to Oracle (DBLink)、LKM Oracle BI to SQL、IKM Oracle BI to SQL Append

使用するプロジェクトに、関係する他のテクノロジに必要なナレッジ・モジュール(IKM、CKM)もインポートします。

19.5 Oracle BIモデルの作成およびリバース・エンジニアリング

この項では、次の項目について説明します。

19.5.1 Oracle BIモデルの作成

『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』モデルの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してOracle BIモデルを作成します。

19.5.2 Oracle BIモデルのリバース・エンジニアリング

Oracle BIでは、カスタマイズされたリバース・エンジニアリングがサポートされています。

RKMを使用してOracle BIでカスタマイズされたリバース・エンジニアリングを実行するには、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』モデルのリバース・エンジニアリングに関する項の説明に従って、通常の手順を使用します。この項では、Oracle BIテクノロジ固有のフィールドのみについて説明します。

  1. Oracle BIモデルの「リバース・エンジニアリング」タブでKM: RKM Oracle BI (Jython).<project name>を選択します。

このKMは、リバース・エンジニアリング・プロセスをトレースするためのUSE_LOGロギング・オプションを実装します。

19.6 データ品質の設定

Oracle BIサーバーでは、データ整合性チェックはサポートされていません。別のテクノロジを使用して、Oracle BIからステージング領域に抽出されたデータをチェックできます。

19.7 マッピングの設計

Oracle BIをマッピングのソースとして使用できます。

マッピング用に選択したKMによって、このマッピングの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、Oracle BIサーバーに関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。

19.7.1 Oracle BIとの間でのデータのロード

「ロード・ナレッジ・モジュール」タブでの、Oracle BIと別のタイプのデータ・サーバー間でデータをロードするためのLKMの選択は、マッピングのパフォーマンスに関してきわめて重要です。

19.7.1.1 Oracle BIからのデータのロード

表19-2にリストされているナレッジ・モジュールを使用して、Oracle BIサーバーからターゲットまたはステージング領域のデータベースへデータをロードします。

表19-2 Oracle BIからデータをロードするためのKM

ステージング領域/ターゲット・テクノロジ KM ノート

Oracle

LKM Oracle BI to Oracle (Dblink)

DBLinkを使用して、Oracle BIソースからOracleデータベース・ステージング領域へデータをロードします。

このナレッジ・モジュールを使用するには、ソースFusion Transaction DB(基礎となるデータ表を格納するデータベース)からOracleステージング領域へのDBLinkを、手動で作成する必要があります。このDBLinkの名前は、Oracleステージング領域のデータ・サーバー接続で指定したものと同じにする必要があります。

SQL

LKM Oracle BI to SQL

エージェントを介して、Oracle BIソースから任意のANSI SQL-92準拠ステージング領域データベースへデータをロードします。

SQL

IKM Oracle BI to SQL Append

エージェントを介して、Oracle BIソースから任意のANSI SQL-92準拠ステージング領域データベースへ、データをロードして統合します。

このKMを使用するには、ソースOracle BIサーバーのマッピングのステージング領域を設定する必要があります。

この構成では一時表は作成されず、データはソース表からターゲット表へ直接ロードされて統合されます。

19.7.1.2 Oracle BIへのデータのロード

Oracle BIをステージング領域として使用することはできません。Oracle BIをターゲット指定するLKMはありません。

19.7.2 Oracle BIでのデータの統合

Oracle BIをターゲットまたはステージング領域として使用することはできません。ナレッジ・モジュールを使用してOracle BIにデータを統合することはできません。