31 Oracle Enterprise Resource Planning Cloud

Oracle Data IntegratorでのOracle Enterprise Resource Planning (ERP) Cloudの使用方法を理解することが重要です。

この章の内容は次のとおりです。

31.1 概要

Oracle Enterprise Resource Planning (ERP) Cloudは、規模、業種および地域を問わない、すべてのビジネスで重要な財務、プロジェクト管理、調達、リスク管理および他の中核的な日常アクティビティのためのクラウド・アプリケーションのスイートです。

Oracle Data Integrator (ODI)では、Oracle Enterprise Resource Planning (ERP) Cloudがシームレスに統合されます。Oracle Data Integratorの機能(リバース・エンジニアリングおよびマッピングなど)は、ERP Cloudを使用した場合に最良の動作が得られるように設計されています。

31.1.1 概念

Oracle ERP Cloudテクノロジの概念は、Oracle Data Integratorの概念に次のようにマップされます。1つのOracle ERP CloudインスタンスはOracle Data Integratorの1つのデータ・サーバーに対応します。このインスタンス内で、1つのスキーマはOracle Data Integratorの1つの物理スキーマにマップされます。

31.1.2 ナレッジ・モジュール

Oracle Data Integratorには、Oracle ERP Cloudデータを処理するための次のナレッジ・モジュール(KM)が用意されています。

表31-1 Oracle ERP Cloudナレッジ・モジュール

ナレッジ・モジュール 説明

LKM Oracle ERP Cloud to SQL

既存のBI Publisherレポートからデータを抽出してステージング表に挿入します。

LKM Oracle ERP Cloud to File Direct

既存のBI Publisherレポートからデータを抽出してファイルに挿入します。

31.2 前提条件

Oracle ERP Cloudテクノロジを操作するための前提条件を次に示します。

Oracle ERP Cloudを操作する前に、次の前提条件が満たされていることを確認してください。

31.3 インストールおよび構成

Oracle ERP Cloudテクノロジでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。

31.3.1 システム要件および動作要件

インストールを実行する前に、システム要件および動作保証のドキュメントを読み、インストールする製品の最小インストール要件を環境が満たしていることを確認します。

サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technology Network (OTN)からアクセスできます。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/data-integrator/documentation/index.html

31.3.2 テクノロジ固有の要件

Oracle Data IntegratorでOracle ERP Cloudを使用するためのテクノロジ固有の要件はありません。

31.3.3 接続性要件

Oracle Data IntegratorでOracle ERP Cloudを使用するための固有の接続性要件はありません。

31.4 トポロジの設定

トポロジの設定には次が含まれます。

31.4.1 Oracle ERP Cloudデータ・サーバーの作成

『Oracle Data Integratorの管理』データ・サーバーの作成に関する項に記載されている標準の手順で、Oracle ERP Cloudテクノロジ用データ・サーバーを作成します。この項では、Oracle ERP Cloudデータ・サーバーの定義に関する必須または固有のフィールドのみについて説明します。
  1. 「定義」タブ:
    1. 名前: データ・サーバー定義の名前を入力します
    2. WSDL URL: Oracle ERP Cloudインスタンスで使用するBI Publisher Webサービスを入力します。
      「WSDL URL」フィールドに次のBI Publisher Webサービスのいずれかを指定できます。
      • ReportService: レポートの実行、レポートに関する情報の取得、レポートの定義および変更、レポート・テンプレートのアップロードなど、BI PublisherのReportオブジェクトとやり取りするメソッドが提供されます。ReportServiceの詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher開発者ガイド』「ReportService」を参照してください。

      • ScheduleService: レポート・ジョブのスケジュール作成、レポート出力の取得、レポート履歴の管理など、スケジューラのタスクを実行するメソッドが提供されます。ScheduleServiceの詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher開発者ガイド』「ScheduleService」を参照してください。

      WSDL URLの例:
      • https://efsdcr12pt05.fs.efops.oraclecorp.com/xmlpserver/services/PublicReportWSSService?wsdl

      • https://efsdcr12pt05.fs.efops.oraclecorp.com/xmlpserver/services/ScheduleReportWSSService?wsdl

  2. 「接続」の下に、Oracle ERP Cloudインスタンスに接続するためのユーザー名およびパスワードを入力します。

31.4.2 Oracle ERP Cloud物理スキーマの作成

『Oracle Data Integratorの管理』物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してOracle ERP Cloudデータ・サーバーの物理スキーマを作成します。この項では、Oracle ERP Cloud物理スキーマの定義に関する必須または固有のフィールドのみについて説明します。
  1. 「定義」タブ:
    1. ディレクトリ(スキーマ): 抽出後にBI Publisherレポートが配置されるディレクトリ。この場所は、リバース・エンジニアリングでも必要です。ODIエージェントは、マッピングを実行するためにこの場所にアクセスする必要がありますが、ODI Studioは、リバース・エンジニアリングを実行するためにこの場所が必要です。この場所をODIエージェントとODI Studioで共有できない場合、2つの別個の物理スキーマを設定して、リバース・エンジニアリング・コンテキストとランタイム・コンテキストを用意する必要があります。
    2. ディレクトリ(作業スキーマ): ログ・ファイルと一時ファイルが配置されるディレクトリ(SOAPリクエストからのレスポンスなど)。ODIエージェントは、この場所にアクセスする必要があります。
  2. このスキーマをこのデータ・サーバーのデフォルト・スキーマにする場合は、「デフォルト」ボックスを選択します(最初の物理スキーマが常にデフォルト・スキーマとなります)。
『Oracle Data Integratorの管理』 論理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してこの物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。

31.5 Oracle ERP Cloudデータストアの作成およびリバース・エンジニアリング

この項では、次の項目について説明します。

31.5.1 Oracle ERP Cloudモデルの作成

『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』モデルの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してOracle ERP Cloudモデルを作成します。

31.5.2 Oracle ERP Cloudデータストアの作成

『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』データストアの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してOracle ERP Cloudテクノロジ用のデータストアを作成します。この項では、Oracle ERP Cloudデータストアの定義に関する必須または固有のフィールドのみについて説明します。
  1. 「定義」タブ:
    1. リソース名: リバース・エンジニアリングに使用されるBI Publisherレポート・ファイル(出力形式は.csv)の名前。この名前は、抽出ファイル(UCMからダウンロード)の名前としても使用されます。
  2. 「記憶域」タブで、「記憶域形式」として「区切り」を選択します。
  3. 「プロパティ」タブ:
    1. 「キー」フィールドにBIPReportLocationと入力します。
    2. キーに対応する「値」フィールドに、BI Publisherレポート・ファイルの場所を入力します。

    ノート:

    BIPReportLocationの値は、空にできません。これは、BIサーバー上のBI Publisherレポートの場所を示し、対応するレポートが開かれると、BIサーバー上で検出されます。

31.5.2.1 BI Publisherレポートのパラメータの定義

BI Publisherレポートには、レポートで取得されるデータを制限するための様々なパラメータがあります。「プロパティ」タブで、キーと値のペアの形式で必要なすべてのパラメータを定義できます。名前は、BI Publisherレポートで定義したパラメータ名と一致している必要があります。値には、実際の値("PRIMARY"など)またはODI変数("#PROJ_ERP.PARAMS1"など)を使用できます。

31.5.3 Oracle ERP Cloudデータストアのリバース・エンジニアリング

Oracle ERP Cloudでは、デリミタ付きファイルのリバース・エンジニアリングがサポートされます。デリミタ付きファイルのリバース・エンジニアリングを実行するには:

  1. データストア・エディタの「属性」タブに移動します。
  2. エディタ・ツールバーで「リバース・エンジニアリング」をクリックします。
  3. リバース・エンジニアリングされた属性のデータ型および長さを検証します。Oracle Data Integratorでは、ファイルの最初のレコードからフィールドのデータ型および長さが推測されますが、このプロセスでデフォルト値(たとえば、文字列フィールドの長さが50)や不正なデータ型が設定されることがあります。空のフィールドの場合、データ型は長さ50の文字列に設定されます。

    ファイルにヘッダーが含まれず、それが最初のヘッダーなしレコードである場合、事前に生成された名前(C1、C2など)を使用して属性が作成されます。

  4. 「ファイル」メイン・メニューから「保存」を選択します。

31.6 マッピングの設計

Oracle ERP Cloudをマッピングのソースとして使用できます。

マッピング用に選択したKMによって、このマッピングの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、Oracle ERP Cloudサーバーに関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。

31.6.1 Oracle ERP Cloudからのデータのロード

Oracle ERP Cloudはマッピングのソースとして使用できます。マッピングの「ロード・ナレッジ・モジュール」タブでの、Oracle ERP Cloudと別のタイプのデータ・サーバー間でデータをロードするためのLKMの選択は、マッピングのパフォーマンスに関してきわめて重要です。

次の表にリストされているナレッジ・モジュールを使用して、Oracle ERP Cloudサーバーからターゲットまたはステージング領域のデータベースへデータをロードします。

表31-2 Oracle ERP CloudからデータをロードするためのKM

ステージング領域/ターゲット・テクノロジ KM ノート

SQL

LKM Oracle ERP Cloud to SQL

既存のBI Publisherレポートからデータを抽出してステージング表に挿入します(データはIKMを使用してそこから任意のターゲットにロードできます)。LKMは、BI Publisherジョブが終了してデータがステージング表にロードされるまで戻りません。このLKMでは、出力がCSV形式のBI Publisherレポートのみがサポートされます。

DELETE_TEMPORARY_OBJECTS LKMオプションは、Yesに設定する必要があります。このオプションは、マッピングの最後に一時オブジェクト(ステージング表やSOAPリクエストからのすべてのレスポンス・ファイルなど)を削除するために設定します。

ファイル

LKM Oracle ERP Cloud to File Direct

既存のBI Publisherレポートからデータを抽出してファイルに挿入します。LKMは、BI Publisherジョブが終了してデータがファイルにロードされるまで戻りません。このLKMでは、出力がCSV形式のBI Publisherレポートのみがサポートされます。

DELETE_TEMPORARY_OBJECTS LKMオプションは、Yesに設定する必要があります。このオプションは、マッピングの最後に一時オブジェクト(ステージング表やSOAPリクエストからのすべてのレスポンス・ファイルなど)を削除するために設定します。

リモート・エージェントの構成

データ抽出はリモート・エージェントで実行できます。リモート・エージェントでデータ抽出を実行するには:

  1. 『Oracle Data Integratorの管理』物理エージェントの作成に関する項に記載されている標準の手順で、物理エージェントと論理エージェントを作成します。

  2. 次のように、ODI_HOME/user_projects/domains/base_domain/config/fmwconfig/components/ODI/<Agent_Name>/bin/instance.cmd(.sh)構成ファイルを編集します。

    • プロキシなし: 次のコードをコメント化します。

      #if [ ! -z $IS_AGENT_SCRIPT ] ; then 
      # ODI_SSL_PROPERTIES="-Djavax.net.ssl.trustStore=${WL_HOME}/server/lib/DemoTru 
      st.jks -Djavax.net.ssl.keyStore=${DOMAIN_HOME}/security/DemoIdentity.jks" 
      #else 
      #ODI_SSL_PROPERTIES="-Djavax.net.ssl.trustStore=${WL_HOME}/server/lib/DemoTrust 
      .jks -Djavax.net.ssl.trustStorePassword=DemoTrustKeyStorePassPhrase" 
      #fi
    • プロキシあり: 次のようにODI_INSTANCE_JAVA_OPTIONSを設定します。

      ODI_INSTANCE_JAVA_OPTIONS="$ODI_ADDITIONAL_JAVA_OPTIONS $ODI_SSL_PROPERTIES
      -Doracle.odi.standalone.agent.useauthenticator=false 
      -Dhttp.proxyHost=www-proxy.us.oracle.com -Dhttp.proxyPort=80 
      -Dhttps.proxyHost=www-proxy.us.oracle.com -Dhttps.proxyPort=80 
      -Dhttp.nonProxyHosts=localhost|127.0.0.0/8|localhost.localdomain|127.0.0.1|::1 
      |adc01jjl.us.oracle.com|adc01jjl.us.oracle.com|10.229.118.112"

31.7 トラブルシューティング

この項では、Oracle Data IntegratorでのOracle ERP Cloudテクノロジの使用時に発生する可能性がある問題のトラブルシューティングに関する情報を提供します。

次に、最も一般的な問題とその解決方法について示します。

  • Fusion Apps BIコンソールからスタンドアロンでBI Publisherレポートを実行し、それが適切に実行されることを確認します。

  • SoapUIなどのSOAPクライアントを使用してBI Publisherレポートを実行し、それを外部クライアントから正常にコールできることを確認します。

  • Fusionコンソールでログ・ファイルを確認し、正常な完了を確認するか、エラーを検出します。

  • BI Publisherレポートのパスが正しく指定されていることを確認します(これが最も一般的なエラーであるため)。

  • 高度なエラーは、Fusionシステム管理者がBIサーバーのエラー・ログを調査してトラッキングする必要があります。