3 トポロジの構成

この章では、実際の例を使用することにより、トポロジを構成する方法について説明します。

このプロジェクトでは、次に示すSAP BWターゲットからデータを抽出する方法を示します。

  • ODS/DSO:

    SAP BWからのソース・データ・ターゲット0BBP_POはODSであり、ベンダー情報が格納されています。

    ターゲットW_PURCH_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースからロードする必要があります。この表の内容は、発注情報です。

  • インフォ・オブジェクト:

    ソース・データ・ターゲット0CREDITORはSAP BWからのインフォ・オブジェクトであり、サプライヤ/ベンダーのアカウント番号が格納されています。

    ターゲットW_ACCNT_VENDR_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースからロードする必要があります。この表の内容は、サプライヤ/ベンダーのアカウント番号情報です。

  • インフォ・オブジェクト階層:

    ソース・データ・ターゲット0GL_ACCOUNTはSAP BWからのインフォ・オブジェクトであり、総勘定元帳情報が格納されています。

    ターゲットW_GL_ACCOUNT_HIER_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースからロードする必要があります。この表の内容は、サプライヤ/ベンダーのアカウント番号情報です。

  • インフォ・キューブ:

    ソース・データ・ターゲット0FIAP_C20はSAP BWからのインフォ・キューブであり、ベンダー残高が格納されています。

    ターゲットW_VENDR_BAL_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースからロードする必要があります。この表の内容は、ベンダー残高です。

  • インフォ・キューブおよび関連するインフォ・オブジェクト:

    ソース・データ・ターゲット0FIAP_C20はインフォ・キューブ、0CREDITORはインフォ・オブジェクトであり、どちらにもベンダー関連の情報が格納されています。

    ターゲットW_VENDER_CUBE_OBJ_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースから結合条件に従ってロードする必要があります。

  • オープン・ハブ:

    ソース・データ・ターゲットZOHD_SALEはオープン・ハブ宛先名であり、これに関連付けられた表である/BIC/OHZOHD_SALEに売上情報が格納されます。

    ターゲットW_OPENHUB_SALES_DSはOracleデータベース内の表の1つであり、この表にSAP BWのソースからロードする必要があります。この表の内容は、売上情報です。

  • デルタ抽出:

    デルタ抽出を行うには、2つのKMオプションの値を渡す必要があります。その2つとはFIRST_REQ_IDとLAST_REQ_IDであり、前述の任意のデータ・ターゲット(インフォ・オブジェクトを除く)から完全ロード後に渡されます。FIRST_REQ_IDはデルタ抽出の開始点、LAST_REQ_IDはデルタ抽出の終了点です。

この章の内容は次のとおりです。

3.1 SAP ABAP用のファイル・サーバーの構成

次の操作を、Oracle Data Integratorのインストールまたはアップグレードの後に実行します。

  1. トポロジ・マネージャに接続します。
  2. SAP ABAPテクノロジがマスター・リポジトリに存在しない場合は、SAP ABAPテクノロジを「シノニム挿入更新」モードで/impexpフォルダからインポートします。
  3. マスター・リポジトリのアップグレードを実行します。マスター・リポジトリのアップグレード・プロセスの詳細は、Oracle Data Integratorのインストールと構成を参照してください。
  4. トポロジ・マネージャで、JavaBeanShellテクノロジを開き、「言語」タブの一覧にJYTHON言語が表示されていることを確認します。そうでない場合は、追加します。
  5. ファイル・データ・サーバーを作成し、SAPから抽出ファイルがプッシュされて、SQL*Loader用に取り出される先となる既存のFTP/ファイル・サーバーを指すように設定します。FTP転送を使用する場合は、次のパラメータを設定します。共有フォルダ転送を使用する場合は、データ・サーバーの設定は関係ありません。
    • ホスト(データ・サーバー): FTPサーバーのIPホスト名またはIPアドレス。

    • ユーザー: FTPサーバーにログインするためのユーザー名。

    • パスワード: ユーザーのパスワード。

  6. 「LKM SAP BW to SQL」とともに使用する場合は、これらの追加パラメータも構成する必要があります。
    • JDBCドライバ・クラス: com.sunopsis.jdbc.driver.file.FileDriver

    • JDBC URL: jdbc:snps:dbfile?ENCODING=UTF8

      前述のURLはSAP UNICODEシステム用です。非UNICODEシステムの場合のENCODINGパラメータの詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』ファイル・データ・サーバーの作成に関する項を参照してください。このURLで選択するエンコーディングは、SAPアプリケーション・サーバーで使用するコード・ページと一致する必要があります。

  7. このファイル・データ・サーバーの中に、抽出ファイルのプッシュ先となるファイル・サーバー内のフォルダを表す物理スキーマを作成します。FTP転送を使用する場合は、次の詳細を参照してください。共有フォルダ転送を使用する場合、詳細は、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』共有ディレクトリを使用した転送(推奨)に関する項を参照してください。
    • データ・スキーマ: リモートの場所から抽出ファイルのアップロードやダウンロードを行うための、FTPサーバー上のパス。このパスは、SAP BWシステムからFTPサーバーに抽出ファイルをアップロードする際に使用されます。また、抽出ファイルをダウンロードするリモート・エージェントによって使用されます。このパスにはスラッシュを使用する必要があり、スラッシュ文字で終了する必要があります。

    • 作業スキーマ: FTPサーバーのマシン上のローカル・パス。このパスは、このマシンにインストールされているエージェントが、FTPサーバーを経由せずに抽出ファイルにアクセスするために使用されます。このアクセス方法が使用されるのは、LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)/LKM SAP BW to SQLのFTP_TRANSFER_METHODパラメータがNONEに設定されている場合です。作業スキーマは1つのOSファイル名であるため、スラッシュやバックスラッシュはOSに合せて使用してください。

      データ・スキーマと作業スキーマに対して指定されるパス名は、同一でなくてもかまいません。FTPサービスによって/sapfilesというFTPディレクトリにアクセスできるようにすると同時に、ファイルをローカルに、c:\inetpub\ftproot\sapfilesに格納することができます。

    『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』ファイル転送の考慮事項に関する項を参照してください。

  8. 対応する「File Server for SAP ABAP」という論理スキーマが存在しない場合は、作成します。この論理スキーマ名は固定であり、前のステップで作成した物理スキーマにマッピングする必要があります。

3.2 ターゲット・データ・サーバーの構成

この項では、Oracle Data Serverを設定する方法を説明します。非Oracleのターゲット・データ・サーバーをLKM SAP BW to SQLとともに使用するように構成するときは、それぞれの設定を使用してください。

  1. トポロジ・マネージャに接続します。
  2. 「物理アーキテクチャ」ツリー・ビューで、「テクノロジ」ノードを開いて「Oracle」テクノロジを選択します。
  3. 右クリックして「新規データ・サーバー」を選択します。
  4. データ・サーバーの定義を、次に示すように入力します。
  5. 「JDBC」タブを選択し、データ・サーバーへのJDBC接続情報を次のように入力します。

    URLは、実際のOracleインスタンス構成に合せて変更してください。

  6. 「テスト接続」をクリックして、このデータ・サーバーへの接続をテストします。
  7. 「ファイル」メニューから「保存」をクリックします。
  8. 作成したデータ・サーバーを右クリックし、「新規物理スキーマ」を選択します。
  9. 表示された「物理スキーマ」ウィンドウで、スキーマと作業スキーマの両方に対して「ODI_SAP_DEMO」を選択します。

    このデータ・サーバーのためのODIの作業スキーマが定義済の場合は、そのスキーマをODI_SAP_DEMOのかわりに使用できます。

  10. 「コンテキスト」タブに移動します。
  11. 「追加」をクリックし、「論理スキーマ」フィールドの値を「ODI_SAP_DEMO」と入力します。
  12. 「ファイル」メニューから「保存」をクリックします。

3.3 SAPソース・サーバーの構成

次の各トピックで、SAPソース・サーバーを構成する方法を説明します。

3.3.1 データ・サーバーの構成

データ・サーバー名を除いて、SAPデータ・サーバーを定義するときに指定するパラメータはすべて、SAP管理者から指定されたものを使用します。これらのパラメータの詳細は、「SAP接続情報の収集」を参照してください。

  1. 「物理アーキテクチャ」ツリー・ビューで、「テクノロジ」ノードを開いて「SAP ABAP」テクノロジを選択します。

  2. 右クリックして「新規データ・サーバー」を選択します。

  3. データ・サーバーの定義を入力します。このデータ・サーバーのパラメータを次のように設定します。

    • 名前: SAP_BW。ODIに表示されるデータ・サーバーの名前です。

    • ホスト(データ・サーバー): SAP BWシステムのIPアドレスまたはホスト名。

    • ユーザー: SAPユーザー(SAP管理者から指定されたもの)。

    • パスワード: このユーザーのSAPパスワード。このパスワードでは大文字と小文字が区別されます。

  4. このデータ・サーバーのフレックスフィールド値を「フレックスフィールド」タブで設定します。

    • SAP言語: ログイン時に使用される言語のコード。たとえば、英語の場合はEN、ドイツ語の場合はDEです。

    • SAPクライアント番号: SAPでクライアントと呼ばれる、自己完結型の単位に割り当てられた3桁の番号。クライアントは、トレーニング、開発、テスト、本番クライアントなどです。また、大企業の個々の部門を表す場合もあります。

    • SAPシステム番号: SAPインスタンスに割り当てられた2桁の番号。SAPインスタンスは、Web Application Server (WAS)とも呼ばれます。

    • SAPシステムID: 1つのランドスケープ内でのSAPシステムの一意の識別子(3文字)。

    • SAP文字セット: この文字セットが必要になるのは、SAPシステムがUNICODEシステムではない場合のみです。すべての文字セットのリストは、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』のロケール・データに関する項を参照してください。たとえば、クロアチア語のデータの場合はEE8ISO8859P2です。UNICODEシステムの場合はUTF8を使用します。

      ノート:

      このフレックスフィールドは、"LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)"とのみ使用します。LKM SAP BW to SQLを使用する場合は、非UNICODE SAPシステムについて「SAP ABAP用のファイル・サーバーの構成」で説明しているとおり、ファイル・ドライバURLの中のENCODINGパラメータを使用して文字セットを定義してください。

    • SAP BWバージョン: SAP BWバージョンを次のとおりに入力します:

      SAP BW 7.0以上のシステムの場合は、700と入力します

      SAP BI 3.5システムの場合は、350と入力します

    • SAP ERPバージョンおよびSAP ABAPバージョン: SAP BWコネクタでは使用しません。

  5. 「フレックスフィールド」タブで、データ・サーバーの次のフレックスフィールド値を設定します。これらは必須ではないため、要件に応じて使用できます。

    • SAPルーター文字列: ルーター文字列値を入力します。これは、SAPシステムとODIネットワークの間にリモート接続がある場合に必要です。

    • ロード・バランシングのためのSAPグループ・ログオン: ロード・バランシングを使用する場合は、次に示す「フレックスフィールド」にSAPサーバー・ホスト、SAPサーバー・ポートおよびSAPサーバー・グループ情報を入力します:

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPメッセージ・サーバー・ホスト: SAP ERPシステムのIPアドレスまたはホスト名

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPメッセージ・サーバー・ポスト: SAP ERPシステム・ポート番号

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPサーバー・グループ: SAP ERPシステム・グループ名

      ノート:

      ロード・バランシングの使用中に、「定義」タブの「ホスト(データ・サーバー)」からホスト・エントリを削除します。

    • SAP SNCログイン[X509証明書]: SNC X509証明書を使用してログインする必要がある場合は、次の「フレックスフィールド」にパートナ名、クライアント名およびX509証明書の値を入力します:

      • フレックスフィールド: SNC: パートナ名: SAPサーバーSNC PSE名

      • フレックスフィールド: SNC: クライアント名: Client[ODIサーバー] SNC PSE NAME

      • フレックスフィールド: SNC: セキュリティのレベル: 保護レベルの品質。保護レベルに基づいて1から9までの値を入力します。

      • フレックスフィールド: SNC: X509Cert: クライアント・セキュリティ証明書の値を入力します。空白を削除します。

    • SAP SNCログイン[SSO]: SNC SSOは、SAPユーザーでのみ使用されるログインです。このSAPユーザーは、SAPサーバーでSSO用に構成する必要があります。次の「フレックスフィールド」に、パートナ名、クライアント名およびSSOを入力します:

      • フレックスフィールド: SNC: パートナ名: SAPサーバーSNC PSE名

      • フレックスフィールド: SNC: クライアント名: Client[ODIサーバー] SNC PSE NAME

      • フレックスフィールド: SNC: SSO: 1またはtrueまたはyesとして値を入力します。SSOログインには3つの値のいずれかを使用できます。

    暗号化を行わないSNC SSOの場合は、「パスワード」フィールドにSAPユーザーのパスワードを指定します。暗号化を使用したSNC SSOの場合、「パスワード」フィールドからパスワードを削除します。

    ノート:

    • 前提条件として、SAP管理者チームの支援により、前述のすべての値を取得するために、パートナ(SAP)およびクライアント(ODIサーバー)でSNCを構成します。
    • SNC (X509およびSSO)の場合、KMバージョンはv44以上である必要があります。
    • SNC (SSO)の場合のみ、JCoの最小バージョンは3.1.3である必要があります。
  6. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。

    ノート:

    「テスト接続」ボタンでのSAP接続定義のテストは、この接続に対してはサポートされません。

3.3.2 論理スキーマの構成

  1. 「物理スキーマ」ウィンドウの「定義」タブは編集しないでください。

  2. 「コンテキスト」タブを選択して「追加」をクリックし、論理スキーマ名「LOGICAL_SAP_BW」を入力します。

  3. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。