3 トポロジの構成

この章では、実際の例を使用することにより、トポロジを構成する方法について説明します。

このプロジェクトでは、次のソース・データとターゲット・データを統合します。

ソース表のT005TおよびT005UはSAPからの表で、地理情報が含まれています。

ターゲットのW_GEO_DSはOracleデータベース内のディメンション表で、SAPソースからロードする必要があります。この表には、大陸名国名地域都道府県市区町村郵便番号などの地理情報が含まれています。

この章の内容は次のとおりです。

3.1 SAP ABAP用のファイル・サーバーの構成

次の操作を、Oracle Data Integratorのインストールまたはアップグレードの後に実行します。

  1. トポロジ・マネージャに接続します。

  2. SAP ABAPテクノロジがマスター・リポジトリに存在しない場合は、SAP ABAPテクノロジを「シノニム挿入更新」モードで/impexpフォルダからインポートします。

  3. マスター・リポジトリのアップグレードを実行します。マスター・リポジトリのアップグレード・プロセスの詳細は、Oracle Data Integratorのインストールと構成ガイドを参照してください。

  4. トポロジ・マネージャで、JavaBeanShellテクノロジを開き、「言語」タブの一覧にJYTHON言語が表示されていることを確認します。そうでない場合は、追加します。

  5. ファイル・データ・サーバーを作成し、SAPから抽出ファイルがプッシュされて、SQL*Loader用に取り出される先となる既存のFTP/ファイル・サーバーを指すように設定します。FTP転送を使用する場合は、次のパラメータを設定します。共有フォルダ転送を使用する場合は、このデータ・サーバーの設定は関係ありません。

    • ホスト(データ・サーバー): FTPサーバーのIPホスト名またはIPアドレス。

    • ユーザー: FTPサーバーにログインするためのユーザー名。

    • パスワード: ユーザーのパスワード。

  6. 「LKM SAP ERP to SQL」で使用する場合、これらの追加のパラメータを構成する必要があります。

    • JDBCドライバ・クラス: com.sunopsis.jdbc.driver.file.FileDriver

    • JDBC URL: jdbc:snps:dbfile?ENCODING=UTF8

      前述のURLはSAP UNICODEシステム用です。非UNICODEシステムの場合のENCODINGパラメータの詳細は、Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド開発者ガイドファイル・データ・サーバーの作成に関する項を参照してください。このURLで選択するエンコーディングは、SAPアプリケーション・サーバーで使用するコード・ページと一致する必要があることに注意してください。

  7. このファイル・データ・サーバーの中に、抽出ファイルのプッシュ先となるファイル・サーバー内のフォルダを表す物理スキーマを作成します。FTP転送を使用する場合は、次の詳細を参照してください。共有フォルダ転送を使用する場合、詳細は、『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』共有ディレクトリを使用した転送(推奨)に関する項を参照してください。

    • データ・スキーマ: リモートの場所から抽出ファイルのアップロードやダウンロードを行うための、FTPサーバー上のパス。このパスは、SAP ERPシステムからFTPサーバーに抽出ファイルをアップロードする際に使用されます。また、抽出ファイルをダウンロードするリモート・エージェントによって使用されます。このパスにはスラッシュを使用する必要があり、スラッシュ文字で終了する必要があります。

    • 作業スキーマ: FTPサーバーのマシン上のローカル・パス。このパスは、このマシンにインストールされているエージェントが、FTPサーバーを経由せずに抽出ファイルにアクセスするために使用されます。このアクセス方法は、LKM SAP ERP to Oracle (SQLLDR)/ LKM SAP ERP to SQLのFTP_TRANSFER_METHODパラメータがNONEに設定された場合に使用されます。作業スキーマは1つのOSファイル名であるため、スラッシュやバックスラッシュはOSに合せて使用してください。

      パス名はスラッシュ/バックスラッシュで終わる必要があります。データ・スキーマと作業スキーマに対して指定されるパス名は、同一でなくてもかまいません。FTPサービスによって/sapfilesというFTPディレクトリにアクセスできるようにすると同時に、ファイルをローカルに、c:\inetpub\ftproot\sapfilesに格納することができます。

    『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』ファイル転送の考慮事項に関する項を参照してください。

  8. 対応する「File Server for SAP ABAP」という論理スキーマが存在しない場合は、作成します。この論理スキーマ名は固定であり、前のステップで作成した物理スキーマにマッピングする必要があります。

3.2 ターゲット・データ・サーバーの構成

この項では、Oracle Data Serverを設定する方法を説明します。Oracle以外のターゲット・データ・サーバーをLKM SAP ERP to SQLとともに使用するように構成する場合は、個別の設定を使用してください。

  1. トポロジ・マネージャに接続します。

  2. 「物理アーキテクチャ」ツリー・ビューで、「テクノロジ」ノードを開いて「Oracle」テクノロジを選択します。

  3. 右クリックして「新規データ・サーバー」を選択します。

  4. データ・サーバーの定義を、次に示すように入力します。

  5. 「JDBC」タブを選択し、データ・サーバーへのJDBC接続情報を次のように入力します。

    URLは、実際のOracleインスタンス構成に合せて変更してください。

  6. 「テスト接続」をクリックして、このデータ・サーバーへの接続をテストします。

  7. 「ファイル」メニューから「保存」をクリックします。

  8. 作成したデータ・サーバーを右クリックし、「新規物理スキーマ」を選択します。

  9. 表示された「物理スキーマ」ウィンドウで、スキーマと作業スキーマの両方に対して「ODI_SAP_DEMO」を選択します。

    このデータ・サーバーのためのODIの作業スキーマが定義済の場合は、そのスキーマをODI_SAP_DEMOのかわりに使用できます。

  10. 「コンテキスト」タブに移動します。

  11. 「追加」をクリックし、「論理スキーマ」フィールドの値を「ODI_SAP_DEMO」と入力します。

  12. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。

3.3 SAPソース・サーバーの構成

次の各項目で、SAPソース・サーバーを構成する方法を説明します。

3.3.1 データ・サーバーの構成

データ・サーバー名を除いて、SAPデータ・サーバーを定義するときに指定するパラメータはすべて、SAP管理者から指定されたものを使用します。これらのパラメータの詳細は、「SAP接続情報の収集」を参照してください。

  1. 「物理アーキテクチャ」ツリー・ビューで、「テクノロジ」ノードを開いて「SAP ABAP」テクノロジを選択します。

  2. 右クリックして「新規データ・サーバー」を選択します。

  3. データ・サーバーの定義を入力します。このデータ・サーバーのパラメータを次のように設定します。

    • 名前: SAP_ERP。ODIに表示されるデータ・サーバーの名前です。

    • ホスト(データ・サーバー): SAP ERPシステムのIPアドレスまたはホスト名。

    • ユーザー: SAPユーザー(SAP管理者から指定されたもの)。

    • パスワード: このユーザーのSAPパスワード。このパスワードでは大文字と小文字が区別されます。

  4. このデータ・サーバーのフレックスフィールド値を「パスワード」タブで設定します:

    • SAP言語: ログイン時に使用される言語のコード。たとえば、英語の場合はEN、ドイツ語の場合はDEです。

    • SAPクライアント番号: SAPでクライアントと呼ばれる、自己完結型の単位に割り当てられた3桁の番号。クライアントは、トレーニング、開発、テスト、本番クライアントなどです。また、大企業の個々の部門を表す場合もあります。

    • SAPシステム番号: SAPインスタンスに割り当てられた2桁の番号。SAPインスタンスは、Web Application Server (WAS)とも呼ばれます。

    • SAPシステムID: 1つのランドスケープ内でのSAPシステムの一意の識別子(3文字)。

    • SAP文字セット: この文字セットが必要になるのは、SAPシステムがUNICODEシステムではない場合のみです。すべての文字セットのリストは、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』のロケール・データに関する項を参照してください。たとえば、クロアチア語のデータの場合はEE8ISO8859P2です。UNICODEシステムの場合はUTF8を使用します。

      ノート:

      このフレックスフィールドは、"LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)"とのみ使用します。"LKM SAP BW to SQL"を使用する場合は、非UNICODE SAPシステムの文字セットを、ファイル・ドライバURLの中のENCODINGパラメータを使用して定義してください(「SAP ABAP用のファイル・サーバーの構成」を参照)。

    • SAP ABAPバージョン: SAP ABAPバージョンを次のように入力します。

      • SAP 4.6Cには46Cと入力します。

      • SAP 4.7には620と入力します

      • SAP ECC 5.0には640と入力します。

      • SAP ECC 6.0には700と入力します。

    • SAP BWバージョン& SAP ERPバージョン: SAP ERPコネクタでは使用しません。

  5. このデータ・サーバーの次のフレックスフィールド値を「パスワード」タブで設定します。これらは必須ではないため、要件に応じて使用できます。

    • SAPルーター文字列: ルーター文字列値を入力します。これは、SAPシステムとODIネットワークの間にリモート接続がある場合に必要です。

    • ロード・バランシングのためのSAPグループ・ログオン: ロード・バランシングを使用する場合は、次に示す「フレックスフィールド」にSAPサーバー・ホスト、SAPサーバー・ポートおよびSAPサーバー・グループ情報を入力します:

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPメッセージ・サーバー・ホスト: SAP ERPシステムのIPアドレスまたはホスト名

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPメッセージ・サーバー・ポート: SAP ERPシステム・ポート番号

      • フレックスフィールド: グループ・ログオン: SAPサーバー・グループ: SAP ERPシステム・グループ名

      ノート:

      ロード・バランシングの使用中に、「定義」タブの「ホスト(データ・サーバー)」からホスト・エントリを削除します。

    • SAP SNCログイン[X509証明書]: SNC X509証明書を使用してログインする必要がある場合は、次の「フレックスフィールド」にパートナ名、クライアント名およびX509証明書の値を入力します:

      • フレックスフィールド: SNC: パートナ名: SAPサーバーSNC PSE名

      • フレックスフィールド: SNC: クライアント名: Client[ODIサーバー] SNC PSE NAME

      • フレックスフィールド: SNC: セキュリティのレベル: 保護レベルの品質。保護レベルに基づいて1から9までの値を入力します。

      • フレックスフィールド: SNC: X509Cert: クライアント・セキュリティ証明書の値を入力します。空白を削除します。

    • SAP SNCログイン[SSO]: SNC SSOは、SAPユーザーでのみ使用されるログインです。このSAPユーザーは、SAPサーバーでSSO用に構成する必要があります。次の「フレックスフィールド」に、パートナ名、クライアント名およびSSOを入力します:

      • フレックスフィールド: SNC: パートナ名: SAPサーバーSNC PSE名

      • フレックスフィールド: SNC: クライアント名: Client[ODIサーバー] SNC PSE NAME

      • フレックスフィールド: SNC: SSO: 1またはtrueまたはyesとして値を入力します。SSOログインには3つの値のいずれかを使用できます。

    暗号化を行わないSNC SSOの場合は、「パスワード」フィールドにSAPユーザーのパスワードを指定します。暗号化を使用したSNC SSOの場合、「パスワード」フィールドからパスワードを削除します。

    ノート:

    • 前提条件として、SAP管理者チームの支援により、前述のすべての値を取得するために、パートナ(SAP)およびクライアント(ODIサーバー)でSNCを構成します。
    • SNC (X509およびSSO)の場合、KMバージョンはv44以上である必要があります。
    • SNC (SSO)の場合のみ、JCoの最小バージョンは3.1.3である必要があります。
  6. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。

    ノート:

    「テスト接続」ボタンでのSAP接続定義のテストは、この接続に対してはサポートされません。

3.3.2 論理スキーマの構成

  1. 「物理スキーマ」ウィンドウの「定義」タブは編集しないでください。

  2. 「コンテキスト」タブを選択して「追加」をクリックし、論理スキーマ名LOGICAL_SAP_ERPを入力します。

  3. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。