1 Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインの概要

この章では、WebLogic Serverで使用するためオラクル社が提供するプラグインについて説明します。

Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインとは

Webサーバー・プラグインを使用すると、Oracle HTTP Server、Apache HTTPサーバーまたはMicrosoft Internet Information Server (IIS)からOracle WebLogic Serverへリクエストをプロキシできます。こうしてプラグインによりHTTPサーバーとWebLogic Server上にデプロイされたアプリケーションとの通信が可能になります。

プラグインによって、HTTPサーバー・インストールが拡張され、動的な機能を必要とするリクエストをOracle WebLogic Serverで処理できるようになります。つまり、一般には、HTMLページなどの静的ページがHTTPサーバーによって提供される一方で、HTTPサーブレットやJava Server Page (JSP)などの動的ページがOracle WebLogic Serverによって提供されるようにするプラグインを使用することになります。

Oracle WebLogic Serverは、別のプロセス(場合によっては別のホスト上)で動作している場合があります。エンド・ユーザーには(つまり、ブラウザでは)、HTTPリクエストがOracle WebLogic Serverへ委任されても、これがHTTPサーバーから送信されているように見えます。

また、WebLogicクライアント・サーバー・プロトコルのHTTPトンネリング機能は、このプラグインを介して動作しており、すべてのOracle WebLogic Serverサービスへのアクセスを提供します。

接続プーリングとキープ・アライブ

プラグインでは、プラグインからOracle WebLogic Serverへの接続のプールを使用してパフォーマンスを向上させます。このプラグインでは、同一プラグインからの後続リクエストに同じ接続を再利用することで、プラグインとOracle WebLogic Serverとの間でHTTP 1.1キープ・アライブ接続が実施されます。接続は、20秒(またはユーザー定義の時間)が経過してもアクティブにならない場合は閉じられます。「KeepAliveEnabled」を参照してください。

ノート:

Webサーバーはクライアント接続を管理します。

リクエストのプロキシ

プラグインは、指定した構成に基づいてOracle WebLogic Serverへリクエストをプロキシします。

  • リクエストのURL (またはURLの一部)に基づいて、リクエストをプロキシできます。これをパスによるプロキシと呼びます。

  • リクエストされたファイルのMIMEタイプに基づいてリクエストをプロキシすることもでき、これをファイル拡張子によるプロキシと呼びます。

両方の方法を有効にすることもできます。両方の方法を有効にし、リクエストが両方の条件に一致した場合は、そのリクエストはパスによってプロキシされます。

また、これらの各リクエスト・タイプに、プラグインのその他の動作を定義するその他のパラメータも指定できます。

Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインの入手方法

次のWebサーバー用のOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインが入手可能です:

表1-1 バージョン12c (12.2.1.4.0)プラグインの入手方法

Webサーバー プラグインの入手方法 参照

Oracle HTTP Server 12c

プラグインはOracle HTTP Serverのインストールに含まれています。

このプラグインの構成の詳細は、「Oracle HTTP Server用プラグインの構成」を参照してください。

Apache HTTPサーバー2.4.x

Microsoft Internet Information Server (IIS) 8.5および10

プラグインは、My Oracle Support (http://support.oracle.com)およびSoftware Delivery Cloud (http://edelivery.oracle.com)のWebサイトから、必要なバイナリ・ファイルおよびヘルパー・ファイルを含むzipファイルとしてダウンロードできます。

たとえば、mod_wl_24.soプラグイン・ディストリビューションには次のディレクトリが含まれています。

  • lib/mod_wl_24.so (Apache HTTP Serverプラグイン)
  • lib/*.so (ネイティブ・ライブラリ)
  • bin/orapkiまたはbin\orapki.bat (orapkiツール)
  • jlib/*.jar (orapki用Javaヘルパー・ライブラリ)

Apache HTTP ServerおよびMicrosoft IIS Web Serverのインストールと構成の詳細は、次の章を参照してください。

1.0プラグインからのアップグレード

バージョン1.0プラグインは非推奨になり、Apacheでサポートされなくなった古いバージョンのApache HTTP Serverでのみサポートされていました。したがって、バージョン1.0プラグインはOracle WebLogic Server 12.2.1.4.0ではサポートされていません。バージョン12.2.1.4.0プラグインに置き換えることをお薦めします。

この項の内容は次のとおりです。

アップグレード手順

11gプラグインからOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグイン12c (12.2.1.4.0)にアップグレードする場合は、表1-2に示す、ご使用のWebサーバー向けの章で説明されているインストール手順に従ってください。

表1-2 プラグイン別のアップグレード手順

12c (12.2.1.4.0)プラグインにアップグレードする対象サーバー: 次を参照してください。

Oracle HTTP Server

Oracle HTTP Server用プラグインの構成

Apache HTTPサーバー

Apache HTTP Server用プラグインの構成

Microsoft IIS Webサーバー

Microsoft IIS Web Server用プラグインの構成

Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインのバージョン1.0から12.2.1.4.0へのアップグレードの考慮事項

バージョン12c (12.2.1.4.0)プラグインはバージョン1.0プラグインのスーパーセットであり、既存の機能をサポートしています。ただし、アップグレードの際には、次の考慮事項に留意してください。

  • サポート対象プラットフォームのリストが変更されています。次の場所にある「Oracle Fusion Middlewareでサポートされるシステム構成」を参照してください。

    http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.html

  • バージョン1.0プラグインは、40ビット暗号化と128ビット暗号化の両方の標準をサポートしていたため、サポートされる標準をプラグインのファイル名で識別する必要がありました。たとえば、mod_wl_22.soは40ビットの暗号化を表し、mod_wl128_22.soは128ビットの暗号化を表します。ただし、バージョン12.2.1.4.0プラグインは128ビット暗号化のみをサポートし、プラグイン名は簡略化されるようになりました。12.2.1.4.0プラグインを使用する場合に必要なファイル名は、mod_wl_24.soのみです。

    ノート:

    128ビット暗号化を使用していた場合は、1.0プラグインからアップグレードすると、新しい命名規則を反映するよう構成ファイルを変更する必要があります。たとえば、mod_wl128_22.somod_wl_24.soに変更する必要があります。

バージョン12.2.1.4.0プラグインの機能

この項では、バージョン12c (12.2.1.4.0)プラグインの追加機能について説明します。

Oracle WebLogic Serverプロキシの監視

現在のリリースでは、Oracle HTTP Serverのパフォーマンスを監視するためのサポートが追加されています。パフォーマンス・メトリックは、リクエストがバックエンドWebLogicサーバーにプロキシされるOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインに固有です。「Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインのパフォーマンス・メトリックの理解」を参照してください。

マルチテナンシおよびパーティションのサポート

Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインをパーティション認識にすることができます。これは、Oracle WebLogic Server MT (マルチテナンシ)のサポートで役割を果します。「パーティションの操作」を参照してください。

ノート:

WebLogic Server Multitenantドメイン・パーティション、リソース・グループ、リソース・グループ・テンプレート、仮想ターゲットおよびリソース消費管理は、WebLogic Server 12.2.1.4.0で非推奨になり、次のリリースで削除されます。

Microsoft Internet Information Serverでプラグインを使用するための説明

WindowsクライアントOSおよびWindowsサーバーOS上のMicrosoft Internet Information Serverに対してOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインを使用する手順が追加されています。「Microsoft Internet Information Serverプラグインのインストールと構成」を参照してください。

MD5アルゴリズムを使用して署名された証明書の非推奨になったサポート

MD5を使用して署名された証明書のサポートは非推奨です。「MD5アルゴリズムを使用して署名された証明書の置換」を参照してください。

Oracle iPlanet Web ServerでサポートされないOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグイン

12.2.1.4.0以降では、Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインがOracle iPlanet Web Serverでサポートされません。

サポートおよびパッチ適用

プラグインに関して問題が発生した場合は、ご使用のプラグインのバージョンを必ずお知らせください。この情報は、Apacheのログや、プラグインのデバッグ・ログ(構成してある場合)で確認できます。バージョン情報は、次のスニペットのようになります。

WebLogic Server Plug-in version 12.2.1.4.0 <WLSPLUGINS_XXXX_XXXX_XXXXX.XXXX>

ノート:

Linux用のApache Webサーバーでは、次のコマンドを実行してプラグインのバージョンを確認することもできます。

$ strings ${PLUGIN_HOME}/lib/mod_wl_24.so | grep -i wlsplugins

プラグインのパッチには、通常、置き換えられる1つ以上の共有オブジェクトが含まれています。パッチ内の共有オブジェクトに置き換える前に、必ず元のファイルをバックアップしてください。ログ内のバージョン文字列を確認して、パッチが正常に適用されていることを検証してください。