1 Oracle WebLogic ServerとHelidonの統合について
ノート:
このドキュメントでは、WebLogic ServerとHelidonがいずれもKubernetes環境にデプロイされている場合のこれらの製品の統合について説明します。ただし、この統合はサポートされている任意のプラットフォームに実装できます。Kubernetes上のOracle WebLogic Serverを使用すると、包括的なJavaサービスで最新のコンテナ・アプリケーションを効率的にビルドできます。Helidonは、Javaマイクロサービスを開発するための軽量、高速、リアクティブでクラウド・ネイティブなオープン・ソースのフレームワークです。
マイクロサービスを使用してアプリケーションを最新化しようとするOracle WebLogic Serverベースのアプリケーションの所有者は、Oracle WebLogic ServerとHelidonの統合を使用して、Oracle WebLogic ServerベースのアプリケーションとHelidonベースのマイクロサービスの間の通信および調整を実装できます。このような通信と調整により、エンタープライズ・アプリケーションとマイクロサービスが共存し、所有者の要件を満たす最新のアーキテクチャを実現するために連携できます。通信には複数の形式(単方向または双方向)を使用でき、調整はOracle WebLogic ServerアプリケーションとHelidonマイクロサービスの間のセキュリティの簡略化を目的としています。
ノート:
このドキュメントでは、Oracle WebLogic ServerとHelidonがいずれもKubernetes環境にデプロイされている場合のこれらの製品の統合について説明します。ただし、この統合はサポートされている任意のプラットフォームに実装できます。このドキュメントでは、Oracle WebLogic ServerとHelidon 3.xおよび2.xリリースの統合について説明します。2つのHelidonリリースの違いを理解するには、『Helidon MP 2.x Upgrade Guide』および『Helidon MP 3.x Upgrade Guide』を参照してください。
Oracle WebLogic ServerとHelidonの統合により、次のことが可能になります:
- HelidonとWebLogic Serverの間の双方向RESTコールを開始します。REST統合によって、WebLogic ServerアプリケーションとHelidonマイクロサービスがRESTful Webサービスの呼出しを介して通信できるようになります。
- WebLogic Serverキュー、トピック、分散キューなどとの間のJMSメッセージを生成および消費します。JMSの統合により、HelidonマイクロサービスはWebLogic JMSサーバーからのメッセージをパブリッシュおよび消費できます。
- HelidonクライアントとWebLogic Server Webサービスの間の通信を開始します。この統合により、Helidonマイクロサービスは、HelidonからWebLogic ServerへのSOAP (Simple Object Access Protocol) Webサービス・コールを介してWebLogic Serverアプリケーションと対話できます。
- WebLogic ServerとHelidonの統合により、Oracle Identity Cloud Service (IDCS)を使用したシングル・サインオン(SSO)認証を実装することで、WebLogicクラスタでホストされるアプリケーションとHelidonマイクロサービス・アプリケーションの間の通信が可能になります。
この章の内容は次のとおりです。
- WebLogic ServerとHelidonの統合のためのKubernetesクラスタの準備
REST、Java Message Service、Webサービスおよびシングル・サインオンに関するWebLogic ServerとHelidonの統合のためにKubernetesクラスタを準備するには、KubernetesクラスタでのWebLogic ServerドメインとHelidonインスタンスのプロビジョニング、Operatorのデプロイ、およびロード・バランサまたはIstioサービス・メッシュのデプロイを行う必要があります。 - Jakartaパッケージ名を使用したWebLogic Server Javaクライアントのダウンロード
Oracle Technology Network (OTN)またはOracle Software Delivery Cloud (OSDC)から、Jakartaパッケージを含むWebLogic Server 14.1.1.0 Javaクライアントをダウンロードできます。
WebLogic ServerとHelidonの統合のためのKubernetesクラスタの準備
REST、Java Message Service、Webサービスおよびシングル・サインオンに関するWebLogic ServerとHelidonの統合のためにKubernetesクラスタを準備するには、KubernetesクラスタでのWebLogic ServerドメインとHelidonインスタンスのプロビジョニング、Operatorのデプロイ、およびロード・バランサまたはIstioサービス・メッシュのデプロイを行う必要があります。
WebLogic ServerとHelidonの間のこれらの統合(REST、Java Message Service、Webサービスおよびシングル・サインオン)のためにKubernetesクラスタを準備するには、KubernetesクラスタでのWebLogic ServerドメインとHelidonインスタンスのプロビジョニング、Operatorのデプロイ、およびロード・バランサまたはIstioサービス・メッシュのデプロイを行う必要があります。
イングレス・ロード・バランサのインストール
WebLogic ServerとHelidonの間で効果的なトラフィック管理を行うには、イングレス・コントローラまたはIstioサービス・メッシュをKubernetesクラスタにデプロイする必要があります。任意のロード・バランサ(またはイングレス・コントローラ)をKubernetesクラスタにデプロイして、WebLogic ServerとHelidonインスタンスの間のトラフィックのバランスをとることができます。
TraefikまたはNginxイングレス・コントローラの作成の詳細は、WebLogic Kubernetes OperatorのドキュメントでIngress Controllersを参照してください。
Istioは、サービス間通信を処理するために個別のインフラストラクチャ・レイヤーを提供するサービス・メッシュです。Istioをインストールする手順については、Install Istioを参照してください。
WebLogic Kubernetes Operatorのインストール
この統合では、WebLogic Serverにインストールされたアプリケーションは、Operatorによって管理されるKubernetesクラスタにデプロイされます。WebLogic Serverドメインをプロビジョニングする前に、Operatorをインストールする必要があります。Operatorは、プロビジョニング、スケーリング、セキュリティ、ライフサイクル管理など、WebLogic Serverドメインのすべてのライフサイクル操作を管理するのに役立ちます。これには、アプリケーションの更新をWebLogic Serverバイナリにローリング方式で適用する処理も含まれます。
Operatorの設定の詳細は、Install the Operatorを参照してください。
WebLogic Serverドメインのプロビジョニング
Operatorでは、次に示すWebLogic Serverドメイン・ホーム・ソース・タイプがサポートされています:
- イメージ内のモデル: プライマリ・イメージには、JDKおよびWebLogic Serverバイナリが含まれます。別個の補助イメージには、WebLogic Deployment Tooling (WDT)のモデル・ファイル、WDT変数ファイル、およびアプリケーション・アーカイブ・ファイルが含まれています。WebLogic Kubernetes Operatorのドキュメントで、Auxiliary Imagesを参照してください。
- 永続ボリューム(PV)内のドメイン・ホーム: プライマリ・イメージには、JDKおよびWebLogic Serverバイナリが含まれます。ドメイン・ホームおよびアプリケーション・バイナリは、共有PVにあります。Domain Home on a PVを参照してください。
これらのドメイン・ホーム・ソース・タイプには多くの違いがありますが、その1つは、Operatorがローリング方式で更新を適用して、アプリケーションの可用性を確保するために、これらをどのように使用してWebLogic Serverイメージを作成および更新するかという点です。これらのドメイン・ホームのソース・タイプの違いの詳細は、Choose a Domain Home Source Typeを参照してください。
このドキュメントでは、「イメージ内のモデル」パターンを使用したWebLogic Serverドメインのプロビジョニングについて説明します。「イメージ内のモデル」パターンを使用してドメインをプロビジョニングし、必要なデータ・ソースを作成する方法のステップバイステップ・ガイドは、Model in Imageを参照してください。
- ドメインを初めて起動する場合は、ドメイン・カスタム・リソースを作成して、ドメインをプロビジョニングする必要があります。
- ドメインがすでにプロビジョニングされている場合は、ドメイン・カスタム・リソースを編集して、Operatorにドメインの起動を指示する必要があります。
ドメインでのWebLogic Serverインスタンスの起動および停止の詳細は、Domain Life Cycleを参照してください。
WebLogic Serverドメインの実行および管理の全般を理解するには、Manage Domainsを参照してください。
Helidonのデプロイ
前提条件とHelidonの使用開始の詳細は:
- Helidon 3.xのGet Startedを参照してください。
- Helidon 2.xのGet Startedを参照してください。
Jakartaパッケージ名を使用したWebLogic Server Javaクライアントのダウンロード
OTNからWebLogic Server Jakartaシン・クライアントをダウンロードするには:
OSDCからクライアントをダウンロードするには:
- Oracle Software Delivery Cloudにサインインします。
- 検索語「Oracle WebLogic Server 14c」を入力し、「Search」をクリックします。
- 検索結果から「Oracle WebLogic Server 14c 14.1.1.0.0 (Oracle WebLogic Server Enterprise Edition, Oracle WebLogic Server Standard Edition)」を選択します。これがダウンロード・キューに追加されます。
- 「View Items」をクリックし、「Continue」を選択して、ダウンロード・キュー内のアイテムのリストを表示します。デフォルトでは、すべてのアイテムがダウンロード対象として選択されます。
- リストから「Oracle WebLogic Server 14.1.1.0」のみを選択し(その他の選択を解除)、「Platforms」で「GENERIC (ALL Platforms)」を選択して、「Continue」をクリックします。
- Oracleライセンス契約を確認し、これに同意して、「Continue」をクリックします。
- WebLogic 14.1.1 Jakartaクライアントを両方ともダウンロードする場合は、ダウンロード・キューから「Oracle WebLogic Server 14.1.1.0.0 for GENERIC (All Platforms)」を選択し、「Download」をクリックします。
- ダウンロード・プロセスが完了したら、ページからサインアウトします。
- Jarファイルを抽出する前に、WebLogic Server 14.1.1 Web Services Jakartaクライアントの名前を
com.oracle.webservices.wls.jaxws-wlswss-client.jakarta.jar
に、WebLogic Server 14.1.1 Thin T3クライアントの名前をwlthint3client.jakarta.jar
に変更します。