18 ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行
Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)を使用して既存のアプリケーションおよびリソースを非マルチテナントWebLogic Serverドメインからマルチテナント・ドメイン・パーティションに移行する方法について理解します。
注意:
WebLogic Server Multitenantドメイン・パーティション、リソース・グループ、リソース・グループ・テンプレート、仮想ターゲットおよびリソース消費管理は、WebLogic Server 12.2.1.4.0で非推奨になり、次のリリースで削除されます。この章の内容は次のとおりです。
ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 概要
Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)で、既存のWebLogic Server 10.3.6、12.1.2または12.1.3ドメインをWebLogic Server 12.2.1.xドメイン・パーティションに移行できます。D-PCTは、エクスポート・ツールとインポート・ツールの2つのツールで構成されています。エクスポート・ツールはソース・ドメインをホストするWebLogic Serverインストールで使用され、インポート・ツールはターゲットWebLogic Server 12.2.1.xインストールで使用されます。
D-PCTを使用して、パーティション、リソース・グループおよびリソース・グループ・テンプレートを作成および構成できます。デフォルトでは、D-PCTですべてのアプリケーション、ライブラリおよびリソースが新規パーティションに移動されます。オプションで、個々のアプリケーション、ライブラリおよびリソースを選択するメカニズムも提供されます。
注意:
ドメインのクラスタおよびサーバーの構成はパーティションに適用されません。したがって、新規12.2.1.xパーティションにマップされません。
Domain to Partition Conversion Toolの新機能
Domain to Partition Conversion Toolの12.2.1.1.0では、新機能が導入されています。大きな変更内容を次に示します。
-
D-PCTで、リソースおよびアプリケーションのターゲットとして複数の仮想ターゲットを指定することがサポートされるようになりました。
以前のリリースでは、D-PCTを使用して、ソース・ドメイン内のすべてのリソースのターゲットとして、1つのみの仮想ターゲットを指定できました。12.2.1.1.0以降、このツールでは、複数の仮想ターゲットを使用し、各仮想ターゲットを単一のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタに関連付けることで、リソースおよびアプリケーションのターゲットとして、複数のWebLogic Serverおよびクラスタを指定できるようになりました。ソース・ドメイン内で、その特定のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタをターゲットとするすべてのアプリケーション・デプロイメントおよびリソースは、ターゲット・ドメイン内のリソース・グループに対応します。
このことを実現するために、12.2.1.1.0では、D-PCTによって生成されるJSONファイルの構造が変更されています。したがって、D-PCTの初期リリースから生成されたアーカイブを12.2.1.1.0ドメインにインポートすることはできません。インポート操作中にエラーが報告されます。既存のドメイン・アーカイブについては、D-PCT 12.2.1.1.0ツールを使用して新しいドメイン・アーカイブを再生成して、アーカイブを12.2.1.1.0ドメインにインポートできるようにする必要があります。
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クラスタおよび移行可能ターゲットをターゲットとするJMSリソースに対するD-PCTのサポートが拡張されました。「JMSリソースを含むドメインのインポートの考慮事項と制限事項」を参照してください。
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D-PCT 12.2.1.1.0によって生成されるJSONファイルでは、JDBCシステム・リソース、SAFエージェント、メール・セッションおよびJDBCストアを公開することで、ユーザーがより柔軟に操作できるようになっています。これらのリソースは、それぞれ、JSONオブジェクト
jdbc-system-resource
、saf-agent
、mail-session
およびjdbc-store
として使用できます。
ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 前提条件
D-PCTを構成する前に、特定の前提条件を満たす必要があります。
-
ターゲット・ドメインはWebLogic Server 12.2.1.xインストールで構成されている必要があります。
-
JDK 8をダウンロードし、ソース・ドメインのホスト・マシンにインストールする必要があります。これは、WebLogic Server 10.3.6でエクスポート・ツールを実行するために必要です。
-
ターゲットWebLogic Server 12.2.1.xドメインが稼働している必要があります。
-
ドメインからパーティションに直接変換し、JavaScript Object Notation (JSON)ファイルに基づいた仮想ターゲットの作成がインポート・ツールで正しく行えるようにするには、ターゲット・ドメインとソース・ドメインのクラスタ名とサーバー名が同一であることが重要です。
デフォルトでは、インポート・ツールはJSONファイルで指定されている名前およびターゲットを使用して仮想ターゲットを作成します。ただし、インポート操作の前に仮想ターゲットを手動で構成することをお薦めします。インポート・ツールを使用する前に仮想ターゲットを事前構成する場合、必ずJSONファイルの
partition
属性を変更し、このパーティションで使用するターゲット・ドメインに作成した既存の仮想ターゲットの名前を指定する必要があります。 -
インポート・ツールを使用して新規パーティションを作成する前に、新規ドメインのサーバー、クラスタ、仮想ターゲットおよびセキュリティ・レルムをソース・ドメインと同じ構成にしていることを確認する必要があります。パーティションのインポートの詳細は、「パーティションのエクスポートおよびインポート」を参照してください。
ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 主なステップ
WebLogic Serverドメインをドメイン・パーティションに移行する主なステップには、WebLogic Serverドメイン・アプリケーションの準備およびエクスポート、(必要な場合) JSONファイルを使用したアプリケーションのデフォルト値のオーバーライド、および新しく作成したドメイン・パーティションへのアプリケーションのインポートが含まれます。
WebLogic Serverドメイン・アプリケーション環境のエクスポート
WebLogic Serverドメイン・アプリケーションをエクスポートするには、ソースWebLogic Serverドメイン管理サーバーが存在するホスト・マシンでエクスポート・スクリプトを実行する必要があります。
-
UNIXでこのスクリプトに渡される引数の構文は、次のとおりです。
exportDomainForPartition.sh ORACLE_HOME DOMAIN_HOME [keyFile] [TOOL_JAR] [app_name] [INCLUDE_APP_BITS={true|false}] [WL_HOME]
または
export-domain.sh -oh {ORACLE_HOME} -domainDir {DOMAIN_HOME} [-keyFile {KEYFILE}] [-toolJarFile {TOOL_JAR}] [-appNames {APP_NAMES}] [-includeAppBits {INCLUDE_APP_BITS}] [-wlh {WL_HOME}]
-
Windowsでこのスクリプトに渡される引数の構文は、次のとおりです。
exportDomainForPartition.cmd ORACLE_HOME DOMAIN_HOME [keyFile] [TOOL_JAR] [app_name] [INCLUDE_APP_BITS={true|false}] [WL_HOME]
または
export-domain.cmd -oh {ORACLE_HOME} -domainDir {WL_DOMAIN_HOME} [-keyFile {KEYFILE}] [-toolJarFile {TOOL_JAR}] [-appNames {APP_NAMES}] [-includeAppBits {INCLUDE_APP_BITS}] [-wlhL_HOME}]
Windowsでスクリプトを実行する前に、次のタスクを実行します。
-
コマンド・シェルを開き、エクスポート・ツール・ディストリビューションを解凍したディレクトリに移動します。
-
JAVA_HOME
環境変数をJDK 8インストールのパスに設定します。次に例を示します。C:\> set JAVA_HOME=C:\jdk1.8.0
-
注意:
エクスポート操作時、ソース・ドメインで構成を変更しないことをお薦めします。
このスクリプトは、次の表に説明されている引数を受け入れます。
引数 | 説明 |
---|---|
ORACLE_HOME |
WebLogic ServerがインストールされているOracleホーム・ディレクトリの名前。 この引数は、 |
DOMAIN_HOME |
ソースWebLogic Serverドメインのフルパス。 この引数は、 |
keyFile |
オプション。パーティション・アーカイブ・ファイル内の属性を暗号化するための暗号化キーとして使用する文字列を含むファイルへのフルパス。管理サーバーには、このパスに対するアクセス権が必要です。デフォルト値は |
TOOL_JAR |
|
app_name |
オプション。エクスポートするアプリケーション名のリスト。アプリケーションのリストは、Windowsでは[myapp1 |
INCLUDE_APP_BITS |
オプション。アプリケーション・バイナリ・ファイルがアーカイブ・ファイルに含まれているかどうかを示すフラグ。この値のデフォルトは |
WL_HOME |
オプション。WebLogic Serverがインストールされたディレクトリのフルパス。この値は、WebLogic Server 10.3.6がデフォルトの場所( |
注意:
exportDomainForPartition.cmd
およびexportDomainForPartition.sh
スクリプトにオプション引数を指定する場合は、次のオプション引数を渡す前に、必ず、指定しないすべてのオプション引数にNone
を指定します。前のオプション引数にNone
を指定しないで、有効な値を持つオプション引数を渡した場合、指定した値が前の引数に誤って割り当てられる可能性があります。ただし、有効な値を持つ最後のオプション引数の後に出現するオプション引数にはNone
を指定する必要はありません。
WebLogic Serverドメイン・アプリケーションのエクスポート: 例
注意:
Windowsコマンド・シェルでドメインのエクスポート・スクリプトを実行する場合、パス区切りをエスケープする必要があります。
例18-1 UNIXでのドメインのエクスポート・スクリプトの実行
次の例では、UNIXでパス/Oracle_Home/user_projects/domains/base_domain
からドメインをエクスポートします。引数/usr/myUserKeyFile
は暗号化キー・ファイルのパスで、download/com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar
はエクスポート・ツールJARファイルのパスです。
exportDomainForPartition.sh /Oracle_Home /Oracle_Home/user_projects/domains/base_domain /usr/myUserKeyFile /download/com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar
または
export-domain.sh -oh /Oracle_Home -domainDir /Oracle_Home/user_projects/domains/base_domain -keyFile /usr/myUserKeyFile
例18-2 Windowsでのドメインのエクスポート・スクリプトの実行
次の例では、WindowsでパスOracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domain
からドメインをエクスポートします。引数myKeyfile
は暗号化キー・ファイルで、oracle.weblogic.management.tools.migration.jar
はエクスポート・ツールJARファイルです。
exportDomainForPartition.cmd C:\\Oracle_Home C:\\Oracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domain myKeyfile C:\\com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar
または
export-domain.cmd -oh C:\\Oracle_Home -domainDir C:\\Oracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domain -keyFile myKeyfile
JSONファイルを使用したインポート時のデフォルトのオーバーライド
WebLogic Serverドメイン・アプリケーションのエクスポート操作時、JSONテキスト・ファイルが生成され、アーカイブ・ファイルおよび編集および変更が可能な別ファイルとして格納されます。このファイルでは、インポート操作時に作成されるパーティションのデフォルト値が指定されます。ただし、JSONファイルを編集してこれらのデフォルト値をオーバーライドできます。たとえば、JSONファイルでデフォルト仮想ターゲット名を指定します。別の名前の仮想ターゲットを作成する場合、JSONファイルを編集してvirtual-target
セクションの値を変更します。
次の例は、エクスポート・ツールによって生成されるサンプルJSONファイルで、JSONファイル・オブジェクトと属性の両方およびそのオーバーライド方法を示しています。
{ "virtual-target": [{ "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget", "target": "AdminServer", "uri-prefix": "/${PARTITION_NAME}" }], "resource-group": [{ "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-RG", "target": [{ "virtual-target": { "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget" } }], "app-deployment": [{ "name": "sampleStandaloneApplication1", "exclude-from-import": "false", "sub-module-targets": [ { "name": "sampleAppSubdeployment1", "targets": "__EXISTING_VALUE__" } ] }, { "name": "sampleJMSApplication1", "exclude-from-import": "false", "jms-modules": [ { "name": "sampleAppJmsModule1", "sub-module-targets": [ { "name": "sampleAppJmsModuleSubdeployment1", "targets": "__EXISTING_VALUE__" } ] }, { "name": "sampleAppJmsModule2", "sub-module-targets": [ { "name": "sampleAppJmsModuleSubdeployment2", "targets": "__EXISTING_VALUE__" } ] } ] }], "library": [{ "name": "sampleCustomLibrary1", "exclude-from-import": "false" }, { "name": "sampleSharedLibrary1", "exclude-from-import": "false", "source-path": "${WL_HOME}\/common\/deployable-libraries\/sampleSharedLibrary1.war", "require-exact-version": "false" }], "file-store": [{ "name": "sampleFileStore1", "exclude-from-import": "false" }, { "name": "sampleFileStore2", "exclude-from-import": "false" }], "jdbc-store": [{ "name": "sampleJDBCStore1", "exclude-from-import": "false", "prefix-name": "__EXISTING_VALUE__" }, { "name": "saf_jdbc_store_3", "exclude-from-import": "false", "prefix-name": "__EXISTING_VALUE__" }], "messaging-bridge": [{ "name": "SampleJMSMsgBridge", "exclude-from-import": "false", "jms-bridge-destination": [{ "name": "SrcBridgeDestn", "connection-url": "__EXISTING_VALUE__", "user-name": "__EXISTING_VALUE__", "user-password": "__EXISTING_VALUE__" }, { "name": "TgtBridgeDestn", "connection-url": "__EXISTING_VALUE__", "user-name": "__EXISTING_VALUE__", "user-password": "__EXISTING_VALUE__" }] }], "jms-server": [{ "name": "sampleJMSServer1", "exclude-from-import": "false" }, { "name": "sampleJMSServer2", "exclude-from-import": "false" }], "jdbc-system-resource": [{ "name": "SampleDataSourceXA", "exclude-from-import": "false" }], "jms-system-resource": [{ "name": "sampleJMSModule1", "exclude-from-import": "false", "sub-deployment": [{ "name": "sampleSubDeployment1", "exclude-from-import": "false" }] }, { "name": "sampleJMSModule2", "exclude-from-import": "false", "sub-deployment": [{ "name": "sampleSubDeployment2", "exclude-from-import": "false" }], "saf-remote-context": [{ "name": "sample_saf_remote_ctx", "loginURL": "__EXISTING_VALUE__", "username": "__EXISTING_VALUE__", "password": "__EXISTING_VALUE__" }] }], "resource-group-template": { "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-RGTemplate" } }], "partition": { "default-target": [{ "virtual-target": { "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget" } }], "jdbc-system-resource-override": [{ "name": "SampleDataSourceXA", "url": "__EXISTING_VALUE__", "user": "__EXISTING_VALUE__", "password-encrypted": "__EXISTING_VALUE__" }], "jms-system-resource-override": [{ "name": "sampleJMSModule1", "foreign-server-override": [{ "name": "ForeignServer1", "foreign-destination-override": [{ "name": "ForeignDestination1", "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__" }, { "name": "ForeignDestination2", "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__" }], "foreign-connection-factory-override": [{ "name": "ForeignConnectionFactory1", "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__", "username": "__EXISTING_VALUE__" }] }] }], "realm": "__EXISTING_VALUE__", "available-target": [{ "virtual-target": { "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget" } }] }, "implementation-version": "12.2.1.2" }
次の表では、JSONファイルで編集および変更できるオブジェクトと属性について説明します。
JSONファイルの編集可能なオブジェクトと属性 | 注意 |
---|---|
ルート・レベル・オブジェクト |
デフォルトでは、インポート・ツールはサンプル・ファイルに示しているように仮想ターゲットを作成します。インポート操作の前に仮想ターゲットを手動で構成することをお薦めします。仮想ターゲットの構成の詳細は、「仮想ターゲットの構成」を参照してください。 インポート操作中に仮想ターゲットの自動作成が行われないようにするには、このオブジェクトと関連する値を必ず削除します。 |
オブジェクト |
このオブジェクトでは、パーティションの作成に必要な要素と値を指定します。 このパーティションの仮想ターゲットを手動ですでに作成している場合、 |
オブジェクト |
デフォルト・リソース・グループ・テンプレート名をオーバーライドするには、 |
オブジェクト |
|
属性 |
この属性で特定のオブジェクトまたはリソースをパーティションへのインポートから除外するかどうかが決まります。パーティションでのJMSおよびJDBCリソース・ターゲット指定の制限事項については、「ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 制限事項と考慮事項」を参照してください。 この値を |
共有ライブラリの属性 |
この属性は、ターゲットで使用可能な各種の実装バージョンで共有ライブラリを使用するか、それともソース・ドメインからインポートされた共有ライブラリを使用するかを決定します。 ソース・ドメインで使用可能なライブラリ・ファイルをターゲットにデプロイする場合は、この値を デフォルト値は |
ドメイン・パーティションへのアプリケーション・アーカイブ・ファイルのインポート
ドメイン・アプリケーション・アーカイブ・ファイルをインポートする前に、ターゲットWebLogic Server 12.2.1.xドメインが稼働していることを確認します。
WebLogic Server 12.2.1.xドメインに新規パーティションを作成し、アプリケーション・アーカイブ・ファイルを新たに作成したドメイン・パーティションにインポートするには、オンライン・モードでWLSTコマンドを使用して次のステップを実行します。
例18-3 ドメイン・パーティションへのアプリケーション・アーカイブ・ファイルのインポート: WLSTの例
次のWLSTコマンドでは、outDir/<domain>.zip
アーカイブ・ファイルをtestPartition
という名前の新規パーティションにインポートします。リソース・グループ・テンプレートも作成され、/usr/myUserKeyFile
が暗号化キーとして使用されます。
wls:/wsDomain/> importPartition( '/outDir/<domain>.zip', 'testPartition', true, '/usr/myUserKeyFile' )
レポートを使用したエクスポートおよびインポート操作のモニタリング
D-PCTにより生成されるレポートを使用して、エクスポートおよびインポート操作をモニターおよび分析できます。エクスポートおよびインポート・レポートには、D-PCTを使用してソース・ドメインからターゲット・ドメイン・パーティションにリソースを移行するときに役立つ情報が含まれています。
エクスポート・レポートは、D-PCTインストール・ディレクトリの下にあるドメイン・アーカイブが作成されるディレクトリに、domain name-ExportLogReport.html
という形式で保存されます。これには、ドメインの場所、ソースWebLogic Serverバージョンなどの情報と、ツールによるエクスポートがサポートされているまたはサポートされていないすべてのリソースのリストが含まれます。エクスポート・レポートを使用して、正常にエクスポートされたサーバーおよびリソースのリストまたはエクスポートに失敗したサーバーおよびリソースのリストを表示できます。ターゲット指定されず、エクスポートされなかったリソースのリスト、またはターゲット(複数のサーバーまたはクラスタ)が指定されたものの、エクスポートされなかったリソースのリストも表示できます。
インポート・レポートは、ドメイン・ディレクトリに、PartitionName_MigrationImportReport.html
という形式で保存されます。このレポートには、インポート操作中に作成される仮想ターゲットに関する情報とリソース・グループおよびそのターゲット指定情報が含まれます。このレポートを使用して、ドメイン・パーティションに正常にインポートされたリソースのリストを表示できます。また、ユーザーにより除外されたリソース、またはマルチテナント環境に対応していないためにツールによって無視されたリソースのリストも表示されます。
ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 制限事項と考慮事項
特定のシナリオは、Domain to Partition Conversion Toolではサポートされません。
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ライブラリおよびリソースの新規リリースへのドメイン・アップグレードは、インポート時サポートされません。管理者およびユーザーは、アーカイブ・ファイルのエクスポートの前にソース・ドメインからの必要なドメイン・アップグレードを行う必要があります。
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アプリケーションのランタイム状態もアプリケーションに固有のランタイム構成もアーカイブ・ファイルにエクスポートされません。たとえば、キュー内のJMSメッセージや組込みLDAPレルム内のユーザーはエクスポートされません。
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12.2.1より前のバージョンのWebLogic Serverでコンパイルされたリモート・クライアントは、パーティションにデプロイされているJNDIリソースをルックアップできません。WebLogic Server リリース12.2.1以降で再コンパイルする必要があります。
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JDBCでは、WebLogic Server Multitenantでのロギング・ラスト・リソース(LLR)機能の使用はサポートされません。このオプションを使用したデータ・ソースは代替設定を使用するよう変換する必要がありますが、この代替設定では十分ではない場合もあります。
JMSリソースを含むドメインのインポートの考慮事項と制限事項
この項では、1つ以上のJMSリソースを含むドメインをエクスポートする前に考慮する必要のある制限事項およびその他の動作を示します。
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JMSシステム・モジュール内のサブデプロイメントが、1つ以上のクラスタや移行可能ターゲット、またはWebLogic Serverインスタンスをターゲットとし、かつ、共通分散宛先によって参照されている場合は、クラスタまたは移行可能ターゲット、またはWebLogic Serverをターゲットとする、該当するJMSサーバーに、サブデプロイメントのターゲット指定を変更する必要があります。
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ソース・ドメイン内のデフォルト・ターゲット指定を使用する共通分散宛先およびSAFインポート済宛先は、インポートが成功した後、ターゲット指定されない状態になります。共通分散宛先、SAFインポート済宛先または外部サーバーのターゲットがデフォルトで指定されている場合は、それらを変更して、リソースのターゲットを適切なJMSサーバーまたはSAFエージェントにすることによって、サブデプロイメントのターゲット指定が使用されるようにする必要があります。
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単一のJMSサーバーが、スタンドアロン宛先および共通分散宛先などの競合するJMSリソースをホストしていないことを確認してください。エクスポート操作中に、競合するリソースのいずれかをホストしているJMSサーバーがD-PCTによって検出されると、該当するJMSシステム・モジュールがエクスポートから除外されます。これは、これらのリソースそれぞれが、異なる分散ポリシーを持つ永続ストアを参照するJMSサーバーを必要とするためです。「JMSサーバーの構成」を参照してください。
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重み付けされた分散宛先は非推奨であり、マルチテナント環境のJMSではサポートされません。このため、重み付けされた分散宛先はD-PCTによって無視されます。すべての重み付けされた分散宛先リソースを同等の共通分散宛先リソースに変換することをお薦めします。異なるタイプの分散宛先リソースの構成の詳細は、『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』の分散宛先リソースの構成に関する項を参照してください。
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ドメイン・レベルでは、JMSリソースのターゲットとして複数のWebLogic Serverまたはクラスタを指定できます。ただし、パーティション環境で、リソース・グループのターゲットとして複数の仮想ターゲットが指定されている場合、JMSリソースはサポートされません。このため、D-PCTでは、ソース・ドメイン内の複数のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタ、または移行可能ターゲットをターゲットとするアプリケーション・デプロイメントおよびその他すべてのリソースが無視されます。
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JMSでは、パーティション環境の共通分散トピックに対する
Replicated
転送ポリシーがサポートされません。このため、そのような場合は、D-PCTによって転送ポリシーがPartitioned
に変換されます。共通分散トピック・メッセージ転送ポリシーの詳細は、『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』のパーティション化された分散トピックの構成に関する項を参照してください。 -
複数のJMSサーバーがある場合は、各サーバーのターゲットが、同じクラスタの移行可能ターゲットまたはWebLogic Serverメンバーになり、インポート操作によって、すべてのJMSサーバーが、分散ポリシーが
Distributed
であるストアを使用して構成された単一のJMSサーバーに統合されます。その他のJMSサーバーは、インポート操作中に無視されます。 -
パーティション環境のJMSで、サブデプロイメントがターゲットとして使用できるJMSサーバーまたはSAFエージェントは1つのみです。ソース・ドメインに、複数のJMSサーバーまたはSAFエージェントをターゲットとするサブデプロイメントがある場合は、それらがアルファベット順にソートされ、最初のJMSサーバーまたはSAFエージェントがサブデプロイメントのターゲットとして選択されます。デフォルトでターゲットが指定されている接続ファクトリはそのまま移行され、JMSシステム・モジュールが作成されているリソース・グループのターゲットで参照されます。
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パーティション環境では、分散ポリシーが
Singleton
に設定されている永続ストアを参照するJMSサーバーのみがスタンドアロン宛先をホストできます。分散ポリシーの概念は最近WebLogic Server 12.2.1に導入されたため、D-PCTによってサポートされるソース・ドメインでは分散ポリシーがサポートされません。JMSによるこの制限を回避するために、D-PCTでは、スタンドアロン宛先をホストするJMSサーバーが参照する永続ストアの分散ポリシーを自動的に設定します。 -
ドメイン・レベル構成のJMSでは、複数のメッセージング・ブリッジがソースまたはターゲット宛先として同じブリッジ宛先を使用できます。ただし、JMSによって導入された新しい検証では、メッセージング・ブリッジおよびブリッジ宛先がパーティション環境で構成されている場合、ブリッジ宛先は1つのみのメッセージング・ブリッジによってソースまたはターゲット宛先として使用される必要があります。このことを考慮して、D-PCTではパーティションへの移行中に次のアプローチが適用されます。
-
ソース・ドメインからのブリッジ宛先は、メッセージ・ブリッジがそのブリッジ宛先を参照している場合にのみ、ターゲット・パーティションに作成されます。
-
D-PCTが、メッセージング・ブリッジによってソースまたはターゲット宛先としてすでに使用されているブリッジ宛先を検出すると、そのブリッジ宛先の名前が元のブリッジ宛先の名前
_
そのブリッジ宛先を参照するメッセージング・ブリッジの名前に内部的に変更されます。
-
注意:
D-PCTでは、1つ以上のアプリケーション・デプロイメントまたはリソースがこのツールによってサポートされていない場合、ユーザーはこれらをインポートから除外できます。これらのリソースをインポートから除外するには、JSONファイルでexclude-from-import
属性をtrue
に設定します。除外したリソースは、後で、必要に応じてパーティション内に手動で作成できます。