11 アプリケーションのデプロイ

マルチテナント環境にアプリケーションやモジュールをデプロイする方法は、非マルチテナント環境にデプロイする方法と同様です。デプロイメントをパーティション固有にするには、それらをパーティション・スコープに制限して、パーティション固有のデプロイメント・プランを指定することでその構成をオーバーライドできます。

注意:

リソース・グループ、リソース・グループ・テンプレート、アプリケーション・オーバーライドなどのOracle WebLogic Server Multitenant (MT)の多くの新機能は、WebLogic Serverの12.2.1以降のバージョンでも使用できます。この章では、適宜これらの機能について、WebLogic Serverドキュメントを参照します。

WebLogic Server Multitenantドメイン・パーティション、リソース・グループ、リソース・グループ・テンプレート、仮想ターゲットおよびリソース消費管理は、WebLogic Server 12.2.1.4.0で非推奨になっており、次のリリースで削除されることに注意してください。

この章の内容は次のとおりです。

デプロイメント・スコープについて

3つのデプロイメント・スコープによって、アプリケーションとライブラリがドメイン・レベルで使用可能になりますが、パーティションに対する制限を行うのは1つのみです。

  • グローバル。これは、非パーティション環境のドメイン・レベルと同等です。

  • リソース・グループ・テンプレートこれは常にドメイン・レベルです。リソース・グループ・テンプレートにデプロイするアプリケーションまたはライブラリがドメイン・レベルまたはパーティションで使用できるかどうかは、リソース・グループ・テンプレートを参照するリソース・グループのスコープに応じて異なります。

  • パーティション内のリソース・グループ。これは、パーティションに制限される唯一のスコープです。

  • ドメイン・レベルでのリソース・グループ。

デプロイメント・スコープの詳細は、「スコープについて」を参照してください。

アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイ

アプリケーションとライブラリの共通のセットをリソース・グループ・テンプレートにデプロイして、ドメインまたはドメイン・パーティション全体のアプリケーション構成を簡略化できます。リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートを参照したときに、テンプレートで定義されたリソースの独自のランタイム・コピーを取得します。その後、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたすべてのアプリケーションとライブラリがリソース・グループにデプロイされます。

リソース・グループ・テンプレートにより、アプリケーションの同じコレクションを複数のドメイン・パーティションにデプロイすることが簡単になります。アプリケーション構成をカスタマイズするために、リソース・グループの特定のアプリケーションに対して別のデプロイメント・プランを指定して、デフォルトのリソース・グループ・テンプレート構成をオーバーライドできます。

サポートされるデプロイメント操作と使用可能なデプロイメント・クライアントに関する情報を含む、アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』リソース・グループ・テンプレートを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください。

アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイ: 主なステップ

WebLogic Serverシステム管理者のみが、アプリケーションおよびライブラリをリソース・グループ・テンプレートにデプロイできます。主要なステップは次のとおりです。

  1. アプリケーションまたはライブラリをデプロイするリソース・グループ・テンプレートを指定します。
  2. アプリケーションまたはライブラリの名前とディレクトリ・パスを指定します。
  3. デプロイメント・プランを使用している場合は、デプロイメント・プランのパスを指定します。
  4. (オプション)追加のデプロイメント・オプションを指定します。アプリケーションでは参照元のリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されるため、targetsオプションを指定しないでください。

    アプリケーションがリソース・グループ・テンプレートにデプロイされると、追加のデプロイメント操作を実行できます。

  5. アプリケーションを再デプロイまたは更新します。

    アプリケーションを更新すると、元のアーカイブ・ファイルまたは展開されたディレクトリの再デプロイや、元のアーカイブ・ファイルのかわりの新しいアーカイブ・ファイルのデプロイをWebLogic Serverで行うように指定できます。また、アプリケーションに関連付けられているデプロイメント・プランを変更することも可能です。

  6. アプリケーションを配布します。

    配布操作により、参照元のリソース・グループに関連付けられたターゲット(または、リソース・グループ・レベルにターゲットが存在しない場合はパーティション・レベルのデフォルト・ターゲット)にデプロイメント・ファイルがコピーされて、準備された状態のアプリケーションが配置されます。その後は、アプリケーションを管理モードで起動して、アプリケーションを外部クライアント接続に対して開いたり、接続されたクライアントを中断することなく、最終テストを実行できます。

  7. アプリケーションをアンデプロイします。

    アンデプロイ操作により、リソース・グループ・テンプレートおよび参照元のリソース・グループに関連付けられたターゲットからアプリケーションが削除されます。

これらの操作は、リソース・グループ・テンプレートを参照しているリソース・グループから実行する必要があるため、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションは起動または停止できません。

注意:

リソース・グループ・テンプレートに対してデプロイメント操作を実行すると、テンプレートを参照しているすべてのリソース・グループでただちに操作が実行されます。たとえば、リソース・グループ・テンプレートからアプリケーションをアンデプロイすると、そのリソース・グループ・テンプレートを参照しているすべてのリソース・グループからアプリケーションがアンデプロイされます。

Fusion Middleware Controlを使用してリソース・グループ・テンプレートにアプリケーションをデプロイするには、オンライン・ヘルプのリソース・グループ・テンプレートのデプロイメントの構成に関する項を参照してください。

アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイ: 例

次の例では、WLSTを使用して、リソース・グループ・テンプレートを使用したデプロイメント操作を実行する方法を示します。

アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイ: WLSTの例

次の例では、sampleappアプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGTにデプロイします。

edit()
startEdit()
deploy(appName='sampleapp', path='path_to_application', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへの再デプロイ: WLSTの例

次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xmlを使用して、sampleappアプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGTに再デプロイします。

edit()
startEdit()
redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートからのアンデプロイ: WLSTの例

次の例では、sampleappアプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGTからアンデプロイします。

edit()
startEdit()
undeploy (appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
リソース・グループ・テンプレートのアプリケーションの更新: WLSTの例

次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xmlを使用して、リソース・グループ・テンプレートmyRGTsampleappアプリケーションを更新します。

edit()
startEdit()
updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへの配布: WLSTの例

次の例では、sampleappアプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGTに配布します。

edit()
startEdit()
distributeApplication (appPath='path_to_sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()

アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイ: 関連タスクおよびリンク

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ

ドメインまたはパーティション・レベルでリソース・グループにアプリケーションとライブラリをデプロイして、それらのアプリケーションに対して、起動や停止などのデプロイメント操作を実行できます。リソース・グループは、Java EEアプリケーションとそれらのリソースを個別の管理単位にグループ化するため便利であり、さらにドメイン・レベルで定義することも、ドメイン・パーティションに固有のものとすることもできます。リソース・グループは、リソースを直接含むか、リソースを含むリソース・グループ・テンプレートを参照できます。

リソース・グループのリソースとアプリケーションは、それらのリソースを起動したりそれらに接続するために必要なすべての情報を管理者が指定するという点で、完全修飾されます。リソース・グループにデプロイされたすべてのアプリケーションによって、そのリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されます。

パーティション・リソース・グループにより、各パーティションにリソースとアプリケーションの異なるセットを含めることができます。パーティション・リソース・グループ内のアプリケーションとライブラリに対して、次のデプロイメント操作を実行できます。

  • デプロイ

  • アンデプロイ

  • 再デプロイ

  • 更新

  • 配布

  • 起動

  • 停止

操作が成功すると、指定したパーティション・リソース・グループに関連付けられたターゲットに、アプリケーションまたはライブラリがデプロイされます(または再デプロイや起動などが行われます)。パーティション・リソース・グループに対するターゲットが存在しない場合は、パーティションのデフォルト・ターゲットにアプリケーションまたはライブラリがデプロイされます。

パーティション・リソース・グループを使用したアプリケーションのデプロイメントでは、次の考慮事項に注意してください。

  • デプロイメント操作を実行するときに、partitionオプションを使用してパーティション名を指定します。指定したパーティションが存在する必要があり、そうでない場合は操作が失敗します。

  • アプリケーション名は、各パーティション内で一意である必要があります。

  • deployおよびdistributeの操作では、resourceGroupオプションを使用してパーティション・リソース・グループ名を指定する必要があります。ただし、パーティションにリソース・グループが1つのみ存在する場合は、resourceGroupはオプションです。

    その他のデプロイメント操作では、resourceGroupオプションを指定しないでください。WebLogic Serverでは、パーティション名と一意のアプリケーション名からリソース・グループが導出されます。指定したパーティション・リソース・グループが存在しない場合、または必要なときにresourceGroupオプションを指定しない場合は、デプロイメント操作が失敗します。

  • リソース・グループ・レベルのアプリケーションに対してデプロイメント操作を実行するときにtargetsオプションを指定すると、デプロイメント操作が失敗します。アプリケーションではリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されるため、リソース・グループの個々のアプリケーションはターゲット指定できません。

  • リソースはパーティションのリソース・グループ全体で一意である必要があるため、パーティションには特定のライブラリを1回のみデプロイできます。同じパーティション・リソース・グループのアプリケーションまたはパーティションの他のリソース・グループは、ターゲットが一致する場合にライブラリを参照できます。パーティションにデプロイされたアプリケーションは、他のパーティション内のライブラリも、ドメイン内の他のライブラリも参照できません。

  • リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートからアプリケーション構成を継承できます。リソース・グループがリソース・グループ・テンプレートを参照する場合、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションまたはライブラリは、ただちに参照元のリソース・グループにデプロイされます。必要に応じて、デフォルトのリソース・グループ・テンプレートのアプリケーション構成をオーバーライドして、リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズできます。「アプリケーション構成のオーバーライド」を参照してください。

  • パーティション管理者は、WLSTを使用して独自のパーティションのアプリケーションに対してのみデプロイメント操作を実行でき、グローバル・アプリケーションや他のパーティションのアプリケーションに対しては実行できません。partitionオプションは、パーティション管理者にはオプションです。パーティション管理者がpartitionオプションを使用してパーティションを指定する場合、そのパーティションが彼らの関連するパーティションに一致しないと、操作が失敗します。パーティション管理者としてのWLSTを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、「セキュリティの構成」を参照してください。

ドメイン・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』ドメイン・リソース・グループを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください。

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ: 主なステップ

パーティションのリソース・グループにアプリケーションおよびライブラリをデプロイする主なステップは、次のとおりです。

  1. アプリケーションまたはライブラリをデプロイするパーティション・リソース・グループを指定します。
  2. アプリケーションまたはライブラリの名前とディレクトリ・パスを指定します。
  3. デプロイメント・プランを使用している場合は、デプロイメント・プランのパスを指定します。
  4. (オプション)追加のデプロイメント・オプションを指定します。アプリケーションではリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されるため、targetsオプションを指定しないでください。リソース・グループに対するターゲットが存在しない場合は、アプリケーションでパーティションのデフォルト・ターゲットが使用されます。

    アプリケーションがリソース・グループにデプロイされると、追加のデプロイメント操作を実行できます。

  5. アプリケーションを起動または停止します。

    アプリケーションまたはモジュールを起動すると、WebLogic Serverクライアントでそれが使用できるようになります。アプリケーションまたはモジュールを停止すると、それを再起動するまではWebLogic Serverクライアントで使用できなくなります。

  6. アプリケーションを再デプロイまたは更新します。

    アプリケーションを更新すると、元のアーカイブ・ファイルまたは展開されたディレクトリの再デプロイや、元のアーカイブ・ファイルのかわりの新しいアーカイブ・ファイルのデプロイをWebLogic Serverで行うように指定できます。また、アプリケーションに関連付けられているデプロイメント・プランを変更することも可能です。

  7. アプリケーションを配布します。

    配布操作により、リソース・グループに関連付けられたターゲット(または、リソース・グループ・レベルにターゲットが存在しない場合はパーティション・レベルのデフォルト・ターゲット)にデプロイメント・ファイルがコピーされて、準備された状態のアプリケーションが配置されます。その後は、アプリケーションを管理モードで起動して、アプリケーションを外部クライアント接続に対して開いたり、接続されたクライアントを中断することなく、最終テストを実行できます。

  8. アプリケーションをアンデプロイします。

    アンデプロイ操作により、リソース・グループおよびリソース・グループに関連付けられたターゲットからアプリケーションが削除されます。

Fusion Middleware Controlを使用してパーティション・リソース・グループにアプリケーションをデプロイするには、オンライン・ヘルプのドメイン・パーティションのアプリケーション・デプロイメントの制御に関する項を参照してください。

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ: 例

次の例では、WLSTを使用して、パーティション・リソース・グループに対するデプロイメント操作を実行する方法を示します。

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ: WLSTの例

次の例では、sampleappアプリケーションをパーティションmyPartitionのリソース・グループmyRGにデプロイします。

edit()
startEdit()
deploy(appName='sampleapp', partition='myPartition', resourceGroup='myRG', path='path_to_application')
activate()
パーティション・リソース・グループへのアプリケーションの再デプロイ: WLSTの例

次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xmlを使用して、sampleappアプリケーションをパーティションmyPartitionに再デプロイします。

WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

edit()
startEdit()
redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', partition='myPartition')
activate()
パーティション・リソース・グループからのアプリケーションのアンデプロイ: WLSTの例

次の例では、パーティションmyPartitionからsampleappアプリケーションをアンデプロイします。

WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

edit()
startEdit()
undeploy (appName='sampleapp', partition='myPartition')
activate()
パーティション・リソース・グループのアプリケーションの更新: WLSTの例

次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xmlを使用して、パーティションmyPartitionsampleappアプリケーションを更新します。

WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

edit()
startEdit()
updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', partition='myPartition')
activate()
パーティション・リソース・グループへのアプリケーションの配布: WLSTの例

次の例では、sampleappアプリケーションをパーティションmyPartitionのリソース・グループmyRGに配布します。

edit()
startEdit()
distributeApplication (appPath='path_to_sampleapp', resourceGroup='myRG', partition='myPartition')
activate()
パーティション・リソース・グループのアプリケーションの起動: WLSTの例

次の例では、パーティションmyPartitionsampleappアプリケーションを起動します。

WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

edit()
startEdit()
startApplication (appName='sampleapp', partition='myPartition')
activate()
パーティション・リソース・グループのアプリケーションの停止: WLSTの例

次の例では、パーティションmyPartitionsampleappアプリケーションを停止します。

WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

edit()
startEdit()
stopApplication (appName='sampleapp', partition='myPartition')
activate()

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ: RESTの例

Representational State Transfer (REST) APIを使用してアプリケーションをデプロイするデプロイヤ・ロールのパーティション・ユーザーの例は、『RESTful管理サービスによるOracle WebLogic Serverの管理』パーティション・スコープのアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

パーティション・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイ: 関連タスクおよびリンク

パーティション管理者としてのアプリケーションのデプロイ

パーティション管理者は、独自のパーティションのアプリケーションに対してのみデプロイメント操作を実行でき、グローバル・アプリケーションや他のパーティションのアプリケーションに対しては実行できません。同様に、自分自身のパーティション内のアプリケーションでのみデプロイメントAPIを呼び出すことができます。アプリケーションまたはターゲットのリストを返すデプロイメントAPIを呼び出すと、自分自身のパーティション内のアプリケーションおよびターゲットのみが返されます。

WebLogic Serverシステム管理者は、パーティション管理者のかわりにアプリケーションをパーティションにデプロイできます。JMX APIを使用してアプリケーションをパーティションにデプロイする場合、(ドメイン・レベルのDeploymentManagerMBeanインスタンスを使用するかわりに)、関連するパーティションの下のDeploymentManagerMBeanインスタンスを取得する必要があります。次の例は、システム管理者およびパーティション管理者がJMXデプロイメントAPIを使用してパーティションでデプロイメント操作を実行する方法を示しています。

  • システム管理者がグローバル・ドメイン(たとえばt3://localhost:7001)に接続する場合:

    • JMXルックアップは、DomainPartitionRuntime=partition_nameを含めて、パーティションのDeploymentManagerMBeanを取得する必要があります。

    • WLSTを使用して、パーティションのDomainPartitionRuntimeMBeanに移動して、partition_nameDeploymentManagerMBeanを取得する必要があります。次に例を示します。

      connect('system_admin', 'gumby1234', 't3://localhost:7001')
      domainRuntime()
      cd('DomainPartitionRuntimes/partitionA')
      cd('DeploymentManager/partitionA')
      props=java.util.Properties()
      props.setProperty("resourceGroup", "partitionAResourceGroup")
      path="/scratch/user/foo.war"
      cmo.deploy("foo", path, None, None, props)
      
  • パーティション管理者がドメイン・パーティション(たとえばt3://localhost:7001/partitionA)に接続する場合:

    • JMXルックアップは、PartitionDomainRuntime=partitionAを含めて、partitionADeploymentManagerMBeanを取得する必要はありません。JMXコンテナによって追加されます。

    • WLSTを使用して、domainRuntime()コマンドを実行すると、cmoがパーティションのDomainPartitionRuntimeMBeanに設定されます。

      connect('partitionA_admin', 'password', 't3://localhost:7001/partitionA')
      domainRuntime()
      cd('DeploymentManager/partitionA')
      props=java.util.Properties()
      props.setProperty("resourceGroup", "partitionAResourceGroup")
      path="/scratch/user/foo.war"
      cmo.deploy("foo", path, None, None, props)
      

他のデプロイメント・クライアントを使用する場合、partitionオプションは、パーティション管理者にはオプションです。weblogic.Deployerを使用すると、次のようになります。

java weblogic.Deployer -deploy -adminurl <partition_url> -username <partition_admin_user> -password <partition_admin_password> -name <application_name> path_to_application

次に例を示します。

java weblogic.Deployer -deploy -username partition1_admin -password password -adminurl t3://localhost:7001/partition1 -name foo /scratch/user/foo.war 

アプリケーション構成のオーバーライド

リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートを参照したときに、リソース・グループ・テンプレートで定義されたリソースまたはアプリケーションの独自のランタイム・コピーを取得します。リソース・グループはリソース・グループ・テンプレートで定義されたアプリケーション構成を継承するため、各アプリケーションを手動でデプロイおよび構成する必要はありません。リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションとライブラリは、ただちに参照元のリソース・グループにデプロイされます(または実行したデプロイメント操作に応じて、アンデプロイや再デプロイなどが行われます)。

リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする必要がある場合は、別のデプロイメント・プランを指定して、デフォルトのアプリケーション構成をオーバーライドできます。そのデプロイメント・プランで、リソース・グループ・テンプレートのデプロイメント・パラメータを、特定のアプリケーションに使用する値でオーバーライドします。元のデプロイメント・プラン・ファイル内の個々のエントリのみではなく、デプロイメント・プラン・ファイル全体がオーバーライドされます。その後、アプリケーションまたはモジュールが、リソース・グループ・テンプレートで設定された値ではなく、そのアプリケーション構成用の新しいデプロイメント・プランを使用して更新または再デプロイされます。

注意:

リソース・グループ・テンプレートからアプリケーションをアンデプロイすると、参照元のリソース・グループで定義されたアプリケーション構成のオーバーライドが削除されます。

リソース・グループ・テンプレートにアプリケーションを再デプロイすると、参照元のリソース・グループで定義されたアプリケーション構成のオーバーライドがそのアプリケーションの以前のデプロイメントから削除されます。このシナリオでは、リソース・グループのアプリケーション構成を再びオーバーライドして、オーバーライド値を維持する必要があります。

オーバーライド・デプロイメント・プランを使用するためにアプリケーションを更新するか、再デプロイするかは、オーバーライドするプロパティのタイプに応じて異なります。動的プロパティのオーバーライド時のみにupdateコマンドを使用します。updateコマンドでアプリケーションが中断されることはありません。動的プロパティと非動的プロパティのオーバーライド時にredeployコマンドを使用します。redeployコマンドではアプリケーションが中断されます。

ドメインまたはパーティション・レベルのリソース・グループのアプリケーション構成をオーバーライドできます。ドメイン・リソース・グループのアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』アプリケーション構成のオーバーライドに関する項を参照してください。

アプリケーション構成のオーバーライド: 主なステップ

継承されたリソース・グループ・テンプレートで定義されたデフォルトのアプリケーション構成をオーバーライドして、リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする主なステップは、次のとおりです。

  1. カスタマイズするアプリケーションに使用する別のデプロイメント・プランを作成します。
  2. 新しいデプロイメント・プランで、そのアプリケーションのオーバーライドする属性の値を定義します。
  3. アプリケーションを再デプロイまたは更新するときに、新しいオーバーライド・デプロイメント・プランを指定します。

これにより、アプリケーションで、その構成に対してデフォルトのテンプレート構成ではなく、オーバーライド・デプロイメント・プランが使用されるようになります。

複数のリソース・グループが同じリソース・グループ・テンプレートを参照している場合は、すべての必要なリソース・グループのアプリケーション構成を確実にオーバーライドします。

アプリケーション構成のオーバーライド: WLSTの例

次に、例を示します。

  1. デプロイメント・プラン・ファイルplan.xmlを使用して、アプリケーションsampleappをリソース・グループ・テンプレートmyRGTにデプロイします。

    edit()
    startEdit()
    deploy(appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT', path='path_to_application', planPath='path_to_plan.xml')
    activate()
    
  2. パーティションmyPartition内の参照元のパーティション・リソース・グループに対して、オーバーライド・デプロイメント・プランoverride_plan.xmlを使用するようにアプリケーションsampleappを更新または再デプロイします。

    WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。

    アプリケーションの動的属性のオーバーライド時にupdateコマンドを使用します。アプリケーションの動的属性または非動的属性のオーバーライド時にredeployコマンドを使用します。

    edit()
    startEdit()
    updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_override_plan.xml', partition='myPartition')
    activate()
    
    edit()
    startEdit()
    redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_override_plan.xml', partition='myPartition')
    activate()

アプリケーション構成のオーバーライド: 関連タスクおよびリンク

アプリケーション・オーバーライドの削除

リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする必要がなくなった場合、オーバーライド属性を含むデプロイメント・プランを削除して、アプリケーション・オーバーライドを削除できます。

その後、アプリケーション構成はそのデフォルトの構成に戻ります。

アプリケーション・オーバーライドの削除: 主なステップ

リソース・グループからアプリケーション・オーバーライドを削除する主なステップは、次のとおりです。

  1. オーバーライドを含むアプリケーションを選択します。
  2. 動的属性に対する既存のオーバーライドを削除するには、アプリケーションを更新してremovePlanOverrideオプションを指定します。
  3. 動的属性および非動的属性に対する既存のオーバーライドを削除するには、アプリケーションを再デプロイしてremovePlanOverrideオプションを指定します。

Fusion Middleware Controlを使用してアプリケーション・オーバーライドを削除するには、オンライン・ヘルプのアプリケーション構成のオーバーライドの削除に関する項を参照してください。

アプリケーション・オーバーライドの削除: WLSTの例

次の例では、removePlanOverrideオプションを使用して、アプリケーションsampleappを再デプロイして既存のオーバーライド・デプロイメント・プランを削除します。

edit()
startEdit()
redeploy(appName='sampleapp', removePlanOverride, partition='myPartition')
activate()

アプリケーション・オーバーライドの削除: 関連タスクおよびリンク

パーティション固有のデプロイメント・プランの使用方法

パーティション固有のデプロイメント・プランを使用して、リソース・グループ・テンプレートまたはパーティション内のリソース・グループにデプロイされたアプリケーションをカスタマイズできます。パーティション固有のデプロイメント・プランは、同じアプリケーションのセットを共有し、パーティションごとにいくつかのカスタマイズを必要とする、異なるパーティションを含む環境で特に役立ちます。

パーティション固有のデプロイメント・プランは、パーティション・レベルではなく、パーティション内のリソース・グループ・レベルで指定します。WebLogic Serverによってパーティション固有のデプロイメント・プランが指定されたアプリケーションに適用される場合、プランで指定された変更は、そのパーティション内のアプリケーションのデプロイメントのみに影響します。

注意:

リソース・グループ・テンプレートでアプリケーション・デプロイメント・プランを指定し、同じアプリケーションに対してパーティション固有のデプロイメント・プランを指定した場合、パーティション固有のデプロイメント・プランによってリソース・グループ・テンプレートのプランがオーバーライドされて、パーティション固有のデプロイメント・プランが使用されます。

パーティション固有のアプリケーション・デプロイメント・プランを使用するには、redeployまたはupdateApplicationのWLSTコマンドを使用します。

パーティション固有のデプロイメント・プランの使用方法: 主なステップ

パーティション固有のデプロイメント・プランを使用する主なステップは、次のとおりです。

  1. 使用するパーティション固有のアプリケーション・デプロイメント・プランを作成します。
  2. redeployまたはupdateApplicationのWLSTコマンドを使用し、パーティション固有のデプロイメント・プランを使用してアプリケーションを再デプロイまたは更新します。

    パーティション固有のデプロイメント・プランからアプリケーションまたはモジュールに対して行われる変更が非動的または動的である場合は、redeployコマンドを使用します。パーティション固有のデプロイメント・プランからアプリケーションまたはモジュールに対して行われる変更が動的である場合にのみ、updateApplicationコマンドを使用します。

  3. 対応するWLSTオプションを指定して、パーティション固有のデプロイメント・プランを使用するアプリケーションのデプロイメントを含むスコープを指定します。
    スコープ WLSTオプション

    リソース・グループ・テンプレート

    resourceGroupTemplate

    ドメイン・リソース・グループ

    なし

    ドメイン・リソース・グループの場合はリソース・グループ名を指定する必要はありません。アプリケーション名はドメイン内で一意であるため、WebLogic Serverによってアプリケーション名からリソース・グループが導出されます。

    パーティション・リソース・グループ

    partition

    パーティション・リソース・グループの場合はリソース・グループ名を指定する必要はありません。アプリケーション名はパーティション内で一意であるため、WebLogic Serverによってアプリケーション名およびパーティション名からリソース・グループが導出されます。

  4. WLSTオプションplanPathおよびappNameを使用して、パーティション固有のデプロイメント・プランの場所と、変更するアプリケーションのデプロイメントの名前を指定します。
  5. 変更をアクティブ化します。

    これで、指定したアプリケーションでその構成にパーティション固有のデプロイメント・プランが使用されるようになりました。

パーティション固有のデプロイメント・プランの使用方法: WLSTの例

次に、例を示します。

  1. アプリケーションsampleappをリソース・グループ・テンプレートmyRGTにデプロイします。パーティションmyPartitionはリソース・グループ・テンプレートmyRGTを参照します。

    edit()
    startEdit()
    deploy(appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT', path='path_to_application')
    activate()
    
  2. パーティションmyPartitionでパーティション固有のデプロイメント・プランpartition_plan.xmlを使用するようにアプリケーションsampleappを更新または再デプロイします。

    アプリケーションの動的属性を変更する場合にのみ、updateコマンドを使用します。アプリケーションの動的属性または非動的属性を変更する場合、redeployコマンドを使用します。

    edit()
    startEdit()
    updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_partition_plan.xml', partition='myPartition')
    activate()
    
    edit()
    startEdit()
    redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_partition_plan.xml', partition='myPartition')
    activate()

パーティション固有のデプロイメント・プランの使用方法: 関連リンクおよびタスク

マルチテナント環境での並行デプロイの有効化

並行デプロイにより、複数のアプリケーションのデプロイメント、複数のモジュールを含む単一のアプリケーションのデプロイメントまたは複数のパーティションにまたがる1つ以上のアプリケーションのデプロイメントを含むユースケースで、パフォーマンスが向上します。

複数のパーティションにアプリケーションがデプロイされると、WebLogic Serverではアプリケーションの各インスタンスが独立したアプリケーションとして表示されます。並行デプロイが有効化されていない場合、アプリケーションの各インスタンスは各パーティションに順にデプロイされます。

パフォーマンスを向上させるために、並行デプロイを有効化して、アプリケーションのインスタンスを相互に並行してデプロイできます。

  • パーティション間のアプリケーションの並行デプロイを有効化するには、PartitionMBeanParallelDeployApplications属性を構成します。

    この属性が有効化されると、デプロイ順序が同じアプリケーションが相互に並行してデプロイされます。パーティション・レベルの設定により、パーティションのアプリケーションのドメイン・レベルの設定がオーバーライドされます。

    リソースとアプリケーションの全体のデプロイ順序は変更されないため、標準のデプロイ順序でアプリケーションよりも優先されるデプロイメント・タイプ(JDBCシステム・リソースやJava EEライブラリなど)が、アプリケーションがデプロイされる前に完全にデプロイされることが保証されます。

  • パーティションにデプロイされたアプリケーション内のモジュールの並行デプロイを有効化するには、PartitionMBeanParallelDeployApplicationModules属性を構成します。

  • アプリケーションごとにモジュールの並行デプロイを有効化するには、AppDeploymentMBeanParallelDeployModules属性を構成します。この属性を設定すると、個々のアプリケーションのドメインとパーティションの値がオーバーライドされます。

WebLogic Server 12.2.1以上で作成されたドメインでは、ParallelDeployApplications属性とParallelDeployApplicationModules属性がデフォルトで有効になっています。12.2.1より前のWebLogic Serverで作成されたドメインでは、これらの属性はデフォルトで無効になっています。

注意:

相互依存のないアプリケーションのみを並行してデプロイする必要があります。アプリケーションが他のアプリケーションに依存する場合、このアプリケーションには、依存する対象のアプリケーションの依存関係の順序よりも高い依存関係の順序が必要です。そうでない場合、並行デプロイで、その依存する対象のアプリケーションがアクティブ化される前に依存アプリケーションでデプロイが試行されると、依存のエラーが発生する可能性があります。同様に、相互依存のないモジュールを含むアプリケーションに対してのみ、モジュールの並行デプロイを有効化します。

並行デプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』アプリケーションおよびモジュールの並行デプロイの有効化に関する項を参照してください。