2 Oracle Big Data Applianceのサイト要件

この章では、Oracle Big Data Applianceのサイト要件について説明します。Oracle Big Data Applianceサイト・チェックリストを完成する場合にこの章を使用してください。

この章の内容は次のとおりです。

2.1 一般的な環境要件

Oracle Big Data Applianceの環境要件は、システムのモデルおよびサイズによって異なります。次の表は、ラック要件の概要を提供します。測定値は目安です。詳細は、この章の他の項を参照してください。

表2-2に、Oracle Big Data Appliance X6-2またはX5-2ラックの一般的な環境要件を示します。

表2-1 Oracle Big Data Appliance X7–2の環境要件

環境コンポーネント スタータ・ラック フルラック

正味重量

415 kg (915 ポンド)

出荷時: 546 kg (1203ポンド)

836 kg (1843ポンド)

出荷時: 979 kg (2158ポンド)

音響レベル

78 db(A)

78 db(A)

電源

最大: 5.3 kW

標準: 3.7 kW

最大: 13.4 kW

標準: 9.4 kW

冷却

最大: 18,087 BTU/時

標準: 12,661 BTU/時

最大: 45,659 BTU/時

標準: 31,961 BTU/時

前面から背面への通気(実際のデータ・センター環境に依存)

最大: 837 CFM

標準: 586 CFM

最大: 2114 CFM

標準: 1480 CFM

IPアドレス

管理用に18:
  • 管理ネットワーク用に12

  • ILOM用に6

クライアント・ネットワーク用に6

インフィニバンド用に6

管理用に42:

  • 管理ネットワーク用に24

  • ILOM用に18

クライアント・ネットワーク用に18

インフィニバンド用に18

ネットワーク・ドロップ

関連項目: 「ネットワーク要件の理解」

1つのネットワーク接続

1つのネットワーク接続

外部接続

ノードごとに1つの組込みRJ45 1ギガビット・イーサネット・ポート

ノードごとに1つの組込みRJ45 1ギガビット・イーサネット・ポート

表2-2 Oracle Big Data Appliance X6-2およびX5-2の環境要件

環境コンポーネント スタータ・ラック フルラック

正味重量

415kg (915ポンド)

836kg (1843ポンド)

音響レベル

8.4Bel

8.5Bel

電源

最大: 5.2kW

標準: 3.6kW

最大: 13.0kW

標準: 9.1kW

冷却

最大: 17,521BTU/時(18,485kJ/時)

標準: 12,265BTU/時(12,940kJ/時)

最大: 44,136BTU/時(46,564kJ/時)

標準: 30,895BTU/時(32,594kJ/時)

前面から背面への通気(実際のデータ・センター環境に依存)

最大: 811CFM

標準: 568CFM

最大: 2043CFM

標準: 1430CFM

IPアドレス

管理用に18:
  • 管理ネットワーク用に12

  • ILOM用に6

クライアント・ネットワーク用に6

インフィニバンド用に6

管理用に42:

  • 管理ネットワーク用に24

  • ILOM用に18

クライアント・ネットワーク用に18

インフィニバンド用に18

ネットワーク・ドロップ

関連項目: 「ネットワーク要件の理解」

1つのネットワーク接続

1つのネットワーク接続

外部接続

1 x 1Gbpsイーサネット・ポート

6 x 10Gbpsイーサネット・ポート

1 x 1Gbpsイーサネット・ポート

16 x 10Gbpsイーサネット・ポート

表2-3は、Oracle Big Data Appliance X5-2高容量ノードとインフィニバンド・インフラストラクチャの一般的な環境要件を示しています。

表2-3 Oracle Big Data Appliance X6-2およびX5-2高容量ノードとインフィニバンド・インフラストラクチャの環境要件

環境コンポーネント 高容量ノードとインフィニバンド・インフラストラクチャ

高さ

3.5インチ(87.6 mm)

17.5インチ(445.0 mm)

奥行き

29.0インチ(737.0 mm)

正味重量

33.1kg (73.0ポンド)

電源

最大: 0.7kW

標準: 0.5kW

(標準の電力使用量はアプリケーションのワークロードによって異なります)

冷却

最大: 2,481BTU/時(2617kJ/時)

標準: 1,736BTU/時(1831kJ/時)

前面から背面への通気(実際のデータ・センター環境に依存)

最大: 115CFM

標準: 80CFM

次の表に、Oracle Big Data Appliance X4-2およびOracle Big Data Appliance X3-2の一般的な環境要件を示します。

表2-4 Oracle Big Data Appliance X4-2およびX3-2の環境要件

環境コンポーネント スタータ・ラック フルラック

正味重量

418kg (922ポンド)

829kg (1828ポンド)

音響レベル

76Bel

8.3Bel

電源

最大: 4.2kW

標準: 3kW

最大: 10kW (10.2kVA)

標準: 7kW (7.15kVA)

冷却

最大: 14,052BTU/時(14,825.6kJ/時)

標準: 9,836BTU/時(10,377.5kJ/時)

最大: 34,142BTU/時(34,838kJ/時)

標準: 23,940BTU/時(24,420kJ/時)

前面から背面への通気(実際のデータ・センター環境に依存)

最大: 676CFM

標準: 473CFM

最大: 1,573CFM

標準: 1,103CFM

IPアドレス

管理用に18:
  • 管理ネットワーク用に12

  • ILOM用に6

クライアント・ネットワーク用に6

インフィニバンド用に6

管理用に42:

  • 管理ネットワーク用に24

  • ILOM用に18

クライアント・ネットワーク用に18

インフィニバンド用に18

ネットワーク・ドロップ

1つのネットワーク接続

1つのネットワーク接続

外部接続

1 x 1Gbpsイーサネット・ポート

6 x 10Gbpsイーサネット・ポート

1 x 1Gbpsイーサネット・ポート

16 x 10Gbpsイーサネット・ポート

次の表に、Oracle Big Data Appliance Sun Fire X4270 M2ベース・ラックの一般的な環境要件を示します。

表2-5 Oracle Big Data Appliance Sun Fire X4270 M2ベース・ラックの環境要件

環境コンポーネント フルラック

正味重量

816.5kg (1800ポンド)

音響レベル

8.3Bel

電源

最大: 12.0kW (12.25kVA)

標準: 8.4kW (8.6kVA)

(標準の電力使用量はアプリケーションのワークロードによって異なります)

冷却

最大: 40,971BTU/時(41,807kJ/時)

標準: 28,680BTU/時(29,265kJ/時)

前面から背面への通気(実際のデータ・センター環境に依存)

最大: 約1,886CFM

標準: 約1,340CFM

IPアドレス

管理用に42:

  • 管理ネットワーク用に24

  • ILOM用に18

クライアント・ネットワーク用に18

インフィニバンド用に18

ネットワーク・ドロップ

最低限2つのネットワーク接続

外部接続

2 x 1Gbpsイーサネット・ポート

16 x 10Gbpsイーサネット・ポート

2.2 スペース要件

Oracle Big Data Appliance X7–2ラックのスペース要件は次のとおりです。

  • 高さ: 42U、1998 mm (78.66インチ)

  • 幅: 600 mm (23.62インチ)

  • 奥行き: 1200 mm (47.24インチ)

キャビネットの最小天井高は、実際のフロアまたは上げ床のいずれか高い方から測って230cm (90インチ)です。メンテナンス・アクセスのため、前面および背面の通路スペースにおいて、ラック高の上部に追加で92cm (36インチ)が必要です。キャビネットの周囲のスペースでは、空調からキャビネット内のシステムの前面への冷風の流れを、あるいはキャビネット背面から排出される温風の流れを妨げないようにしてください。

2.2.1 受入と開梱の要件

Oracle Big Data Applianceが到着する前に、受領場所が梱包設置のために十分な広さであることを確認してください。表2-6に、出荷される品目の寸法と重量をリストします。

表2-6 出荷時の測定値

測定値 フルラック スタータ・ラック

高さ

216cm (85インチ)

216cm (85インチ)

122cm (48インチ)

122cm (48インチ)

奥行き

157.5cm (62インチ)

157.5cm (62インチ)

重量

979kg (2158ポンド)

546kg (1203ポンド)

ユーザーの積荷ドックが標準的な貨物輸送トラックの高さおよび傾斜路の要件を満たしていれば、パレット・ジャッキを使用してラックを荷下ろしできます。そうではない場合、標準的なフォークリフトその他の手段を手配してラックを荷下ろしする必要があります。リフト・ゲート付きのトラックでラックを出荷するように依頼することもできます。

Oracle Big Data Applianceは、設置サイトに到着するまで輸送用コンテナに格納したままにしてください。開梱場所から設置場所まで移動するための経路に十分な空間があり、通りやすいことを確認します。設置サイトまでのアクセス・ルートには、振動の原因となる浮出し模様のフロアがない経路を確保する必要があります。

データ・センターに搬入する前に梱包資材を取り除いて微粒子の発生を抑える場合、準備したスペースを使用してください。輸送用段ボールからOracle Big Data Applianceを開梱するために十分なスペースを確保します。表2-7に、アクセス・ルート要件を示します。

表2-7 Oracle Big Data Applianceのアクセス・ルート要件

アクセス経路項目 輸送用パレットあり 輸送用パレットなし

最低限のドアの高さ

218.4cm (86インチ)

204cm (80.5インチ)

最低限のドアの幅

127cm (50インチ)

64cm (25.5インチ)

最低限のエレベータの奥行き

162.6cm (64インチ)

124cm (49インチ)

最大傾斜度

6度

6度

最低限のエレベータ、パレット・ジャッキおよびフロア荷重の許容重量

1134kg (2500lb)

1134kg (2500lb)

2.2.2 メンテナンス・アクセス要件

メンテナンス領域は、Oracle Big Data Applianceのために十分な広さがあり、必要なアクセス・スペースが存在する必要があります。たとえば、側面パネルを取り外すために必要なスペースは、67.6cm (26.6インチ)です。表2-8に、メンテナンス・アクセス要件を示します。

電気的アクセス用にオープン・タイルが必要です。

表2-8 Oracle Big Data Applianceのメンテナンス・アクセス要件

場所 メンテナンス・アクセス要件

背面メンテナンス

91.4cm (36インチ)

前面メンテナンス

91.4cm (36インチ)

最上部メンテナンス

91.4cm (36インチ)

2.3 フロア要件

Oracle Big Data Applianceは、上げ床に設置することをお薦めします。サイト・フロアと上げ床で、合計重量を支持できる必要があります。

表2-9に、フロア荷重要件を示します。

表2-9 Oracle Big Data Applianceのフロア荷重要件

説明 要件

設置ラック設備の最大許容重量

952.5kg (2100ポンド)

設置配電ユニットの最大許容重量

52kg (115lb)

最大動荷重(PDUを含む設置設備の最大許容重量)

1050kg (2315lb)

2.4 電力要件

Oracle Big Data Applianceは、広範囲の電圧および周波数で効率的に動作できます。ただし、信頼できる電源が必要です。動作範囲を超えると、破損の可能性があります。次のような電気的障害があると、Oracle Big Data Applianceが破損する可能性があります。

  • 電力制限による変動

  • 入力電圧レベルまたは入力電力周波数の大幅で急激な変化

  • 激しい雷雨

  • 配電システムの障害(配線に欠陥があるなど)

このような障害からOracle Big Data Applianceを保護するため、専用の配電システム、電力調整装置、および激しい雷雨から保護するための避雷器または電源ケーブルが必要です。

各ラックには、事前インストールされた2つの配電ユニット(PDU)があります。PDUは、様々な電源に接続できます。Oracle Big Data Applianceおよびデータ・センターにとって適切なPDUのタイプを指定する必要があります。

2.4.1 Oracle Big Data ApplianceのPDU

2.4.1.1 北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの単相PDU

表2-10に、北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの低電圧単相PDUの要件を示します。ラックごとに2つのPDUがあります。

表2-10 低電圧15kVA単相PDU

オプション PDUの要件

入力点数

3 x 30A単相

電圧

200-240VAC

周波数

50/60Hz

電流

入力点当たり最大24A

電力定格

15kVA

出力電流

72A (3 x 24A)

コンセント

42 x C13、6 x C19

コンセント・グループ

6

グループ保護脚注1

20A

データ・センター・レセプタクル

15kVA (3つの30A/250V 2極/3線式NEMA L6-30Pプラグ付き)

脚注1

UL489 2極サーキット・ブレーカ

Oracle Big Data Applianceを低電圧単相電源に接続するためには、次のものが必要です。

  • 2つのPDU用の6つの電源コード(30A、200-240VAC)

  • 6つのNEMA L6-30データ・センター・レセプタクルにPDUを接続するための6つのレセプタクル

図2-1に、北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの低電圧単相PDU電源コネクタを示します。

図2-1 低電圧単相電源コネクタ

図2-1の説明が続きます
「図2-1 低電圧単相電源コネクタ」の説明
2.4.1.2 北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの3相PDU

表2-11に、北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの低電圧3相PDUの要件を示します。ラックごとに2つのPDUがあります。

表2-11 低電圧15kVA 3相PDU

オプション PDUの要件

入力点数

1 x 60A 3相4線

電圧

190-220VAC

周波数

50/60Hz

電流

相当たり最大40A

電力定格

14.4kVA

出力電流

69A (3 x 23A)

コンセント

42 x C13、6 x C19

コンセント・グループ

6

グループ保護脚注2

20A

データ・センター・レセプタクル

15kVA IEC 60309 60A 4ピン250VAC 3相IP67

脚注2

UL489 2極サーキット・ブレーカ

Oracle Big Data Applianceを低電圧3相電源に接続するためには、次のものが必要です。

  • 2つのPDU用の2つの電源コード(60A、190-220VAC 3相)

  • 2つのIEC 60309 60A 4ピン250VAC 3相IP67データ・センター・レセプタクルにPDUを接続するための2つのレセプタクル

図2-2に、北アメリカ、南アメリカ、日本および台湾向けの低電圧3相PDU電源コネクタを示します。

図2-2 低電圧3相電源コネクタ

図2-2の説明が続きます
「図2-2 低電圧3相電源コネクタ」の説明
2.4.1.3 ヨーロッパ、中東、アフリカおよびアジア太平洋向けの単相PDU

表2-12に、ヨーロッパ、中東、アフリカおよびアジア太平洋(日本と台湾を除く)向けの高電圧15kVA単相PDUの要件を示します。ラックごとに2つのPDUがあります。

表2-12 高電圧22kVA単相PDU

オプション PDUの要件

電圧

220-240VAC

周波数

50/60Hz

電流

入力点当たり最大25A

電力定格

15kVA

出力電流

72A (3 x 32A)

コンセント

42 x C13、6 x C19

コンセント・グループ

6

グループ保護脚注3

20A

データ・センター・レセプタクル

15kVA (3つの青い32A/240V防沫形2極/3線式IEC 60309プラグ付き)

脚注3

UL489 1極サーキット・ブレーカ

Oracle Big Data Applianceを高電圧単相電源に接続するためには、次のものが必要です。

  • 2つのPDU用の6つの電源コード(25A、220/380-240/415VAC単相電圧)

  • 2つのIEC 60309 32A 3ピン250VAC IP44データ・センター・レセプタクルにPDUを接続するための6つのレセプタクル(22kVA、単相が必要)

図2-3に、EMEAおよびAPAC (日本と台湾を除く)向けの高電圧単相PDU電源コネクタを示します。

図2-3 高電圧単相電源コネクタ

図2-3の説明が続きます
「図2-3 高電圧単相電源コネクタ」の説明
2.4.1.4 ヨーロッパ、中東、アフリカおよびアジア太平洋向けの3相PDU

表2-13に、ヨーロッパ、中東、アフリカおよびアジア太平洋(日本と台湾を除く)向けの高電圧3相PDUの要件を示します。ラックごとに2つのPDUがあります。PDUごとの仕様は次のとおりです。

表2-13 高電圧15kVA 3相PDU

オプション PDUの要件

入力点数

1 x 25A 3相5線

電圧

220/380-240/415VAC 3相

周波数

50/60Hz

電流

相当たり最大25A

電力定格

14.4kVA

出力電流

62.7A (3 x 20.9A)

コンセント

42 x C13、6 x C19

コンセント・グループ

6

グループ保護脚注4

20A

データ・センター・レセプタクル

15kVA 3相5ピンIEC 60309 32A 5ピン230/400V 3相IP44

脚注4

UL489 1極サーキット・ブレーカ

Oracle Big Data Applianceを高電圧3相電源に接続するためには、次のものが必要です。

  • 2つのPDU用の2つの電源コード(25A、220/380-240/415VAC 3相)

  • 2つのIEC 60309 32A 5ピン230/400VAC 3相IP44データ・センター・レセプタクルにPDUを接続するための2つのレセプタクル

図2-4に、EMEAおよびAPAC (日本と台湾を除く)向けの高電圧3相PDU電源コネクタを示します。

図2-4 高電圧3相電源コネクタ

図2-4の説明が続きます
「図2-4 高電圧3相電源コネクタ」の説明

2.4.2 施設の電源要件

電気的な作業および設置では、適用される現場、地方または国の電気工事規定に従う必要があります。施設の管理者または資格を持つ電気技術者に連絡して、建物に供給されている電源のタイプを確認します。

大規模な障害を避けるため、PDUに十分な電力が供給されるように入力電源を設計してください。PDUに電力を供給するすべての電力回路に対して専用のACブレーカ・パネルを使用します。配電要件の計画を行う場合は、使用可能なAC供給分岐回路間の電力負荷を調整してください。アメリカ合衆国とカナダでは、システム全体のAC入力電流の負荷が分岐回路のAC定格電流の80%を超えないようにします。

PDUの電源コードの長さは4m (13.12フィート)で、コードの1から1.5m (3.3から4.9フィート)はラック・キャビネット内に配線されます。設置サイトのAC電源レセプタクルは、ラックの2m (6.6フィート)以内に存在する必要があります。

2.4.3 サーキット・ブレーカ要件

大規模な障害を避けるため、電源システムの設計では、サーバーに十分な電力が供給されるようにする必要があります。サーバーに電力を供給するすべての電力回路に対して専用のACブレーカ・パネルを使用します。電気的な作業および設置では、適用される現場、地方および国の電気工事規定に従う必要があります。サーバーでは、電気回路を接地する必要があります。

サーキット・ブレーカに加え、無停電電源装置(UPS)などの安定した電源を用意し、コンポーネント障害の可能性を低下させます。コンピュータ装置が停電を繰り返したり、不安定な状態が続くと、高い割合でコンポーネント障害が発生します。

注意:

サーキット・ブレーカは所有者が用意します。各電源コードに1つのサーキット・ブレーカが必要です。

2.4.4 接地ガイドライン

Oracle Big Data Applianceのキャビネットには、接地タイプの電源コードが同梱されています。コードは常に接地された電源出力に接続してください。場所によって異なる接地方法が使用されるため、接地タイプを確認し、適切な接地方法について国際電気標準会議(IEC)などのドキュメントを参照してください。施設の管理者または資格を持つ電気技術者が建物の接地方法を確認して接地作業を実行する必要があります。

2.5 温度および湿度要件

Oracle Big Data Applianceを通過する空気の流れは、前面から背面に移動します。冷却および換気の詳細は、表2-5を参照してください。

注意:

調査によれば、温度が摂氏20度(華氏70度)を超えて摂氏10度(華氏15度)上昇すると、長期的に電子機器の信頼性は50%低下します。

内部温度が過度に上昇すると、Oracle Big Data Applianceの全部または一部が停止する可能性があります。

表2-14に、稼働システムおよび非稼働システムの温度、湿度および高度の要件を示します。

表2-14 温度、湿度および高度の要件

条件 稼働要件 非稼働要件 最適条件

温度

摂氏5度から32度(華氏41度から89.6度)

摂氏-40から70度(華氏-40から158度)

データ・センターのラック冷却に最適な温度は摂氏21から23度(華氏70から74度)です。

相対湿度

10から90%の相対湿度(非結露)

最高93%の相対湿度

データ・センターのラック冷却に最適なのは、45から50% (非結露)です。

高度

最大3,048 m (10000フィート)

最大12,000m (39,400フィート)

気温は、海抜高度900mを超えると300mごとに摂氏1度ずつ低下します。

コンポーネント障害による停止の可能性を最小限に抑えるため、最適な温度および湿度の範囲に環境を設定してください。Oracle Big Data Applianceを稼働範囲の限界値(またはその付近)で長時間動作させたり、非稼働範囲の限界値(またはその付近)で放置される環境に設置すると、ハードウェア・コンポーネント障害が大幅に増加する可能性があります。

サーバーの信頼性とオペレータの快適性のためには、摂氏21から23度(華氏70から74度)の気温範囲が最適です。ほとんどのコンピュータ設備は、広い温度範囲で動作可能ですが、安全な湿度レベルの維持が容易な摂氏22度(華氏72度)付近が推奨されます。この温度範囲で稼働させれば、空調システムに障害が発生した場合でも安全性が確保されます。

安全なデータ処理操作のためには、45から50%の環境相対湿度範囲が適切です。ほとんどのコンピュータ設備は、広い範囲(20から80%)で動作可能ですが、次の理由により45から50%の範囲が推奨されます。

  • 高い湿度レベルに関連する腐食問題からコンピュータ・システムを保護できます。

  • 空調装置の制御に障害が発生しても、最大限の稼働時間を確保できます。

  • 相対湿度が低すぎる場合に発生する可能性がある静電放電による断続的な妨害を原因とする障害や一時的動作不良を避けることができます。

注意:

静電放電(ESD)は、35%を下回る程度の低い相対湿度の環境では容易に発生し、すぐには解消されません。ESDは、湿度が30%を下回ると重大な問題になります。データ・センターの湿度を維持することは、通常、効率性の高い防湿材が存在し、換気の割合も低いため、困難ではありません。

2.6 通気および冷却要件

適切な通気を可能にするため、必ずラックの前面と背面に十分なスペースを確保してください。ラックを通過する空気の流れを妨害する可能性のある設備や物体でラックの前面または背面を塞がないようにしてください。ラックマウント型のサーバーおよび設備では、通常、ラックの前面を通じて冷風を吸入し、ラックの背面を通じて温風を排出します。前面から背面に向かう冷却方式のため、左側と右側の通気要件はありません。

ラックの一部にコンポーネントが存在しない場合、空のセクションをフィラー・パネルで覆ってください。コンポーネント間に隙間があると、ラック内の通気および冷却に悪影響を及ぼす可能性があります。

相対湿度は、結露なしで空気中に存在可能な総水蒸気量の割合であり、気温に反比例します。湿度は、気温が上がれば下がり、気温が下がれば上がります。たとえば、温度が摂氏24度(華氏75度)で相対湿度が45%の空気は、温度が摂氏18度(華氏64度)で相対湿度が65%になります。温度が下がると相対湿度が65%を超え、水滴が形成されます。

空調設備では、通常、コンピュータ・ルーム全体にわたって温度や湿度を精密に監視または制御できません。一般的に、温度や湿度の分布状態は部屋全体で均一ではないため、部屋内のメイン・ユニットと他のユニットの複数の排気口に対応する個々のポイントを監視する必要があります。床下換気を使用する場合は、特に湿度に注意を払ってください。

Oracle Big Data Applianceは、自然対流が生じる環境で設置された状態で動作するように設計されています。環境仕様を満たす次の要件に従ってください。

  • ラックの通気が十分であることを確認します。

  • ラックが前面から背面に向かって冷却されることを確認します。吸気口はサーバーの前面に、排気口は背面にあります。

  • 通気用にラックの前面に91.4cm (36インチ)、ラックの背面に91.4cm (36インチ)の最小限の隙間を確保します。

冷風を取り込むため、ラックの前面にはタイル気流当たり400立方フィート/分(CFM)の割合の多孔タイルを使用してください。タイルからラックに流れ込む冷風を妨害しないかぎりは、タイルをラックの前面に任意の順序で配置できます。冷風の流れが不十分であると、排気が再循環するためにサーバーの吸気口の温度が上昇する可能性があります。Oracle Big Data Applianceには、4つのフロア・タイルを使用することをお薦めします。

図2-5に、標準的なデータ・センターのOracle Big Data Applianceに対するフロア・タイルの一般的な設置方法を示します。

図2-5 データ・センターでの多孔フロア・タイルの一般的な構成

図2-5の説明が続きます
「図2-5 データ・センターでの多孔フロア・タイルの一般的な構成」の説明

2.7 ネットワーク接続要件

設置の前に、ネットワーク・ケーブルを既存のネットワーク・インフラストラクチャから設置サイトに引き込んでおく必要があります。Oracle Big Data Applianceを既存のネットワーク・インフラストラクチャに接続する要件は、次のとおりです。

  • 管理ネットワーク接続の要件

    • ラックの管理スイッチに対して1つの1Gbpsイーサネット接続

    • ラックのKVMスイッチに対して1つの1Gbpsイーサネット接続(Sun Fire X4270 M2ベース・ラックのみ)

  • クライアント・アクセス・ネットワーク接続の要件

    • ラックの2つのSun Network QDR Infiniband Gateway Switch間で分割された2 (最小)から16 (最大)の10Gbpsイーサネット接続。正確な接続数は、帯域幅要件に応じて異なります。

2.8 サイトの準備が完了していることの確認

Oracle Big Data Applianceがサイトに搬入される前に、次のタスクを実行してサイトの準備が完了していることを確認してください。

  • サイト要件を確認します。

  • 構成ファイルを生成します。

  • ネットワークを構成します。

  • 要件に基づいてサイトを準備します。

タスク1   サイト要件の確認

この章およびOracle Big Data Applianceサイト・チェックリストのサイト要件を確認して、Oracle Big Data Applianceの要件を理解し、搬入の準備が完了していることを確認します。

タスク2   構成ファイルの生成

Oracle Big Data Appliance構成生成ユーティリティを実行します。ネットワーク構成設定、ソフトウェア・インストールのオプションおよび資格証明を、このユーティリティで指定されるフィールドに入力します。完了したら、構成ファイルを生成します。

タスク3   ネットワークの構成

既存のネットワークを構成します。これには、ドメイン・ネーム・システム(DNS)へのネットワークの登録、IPアドレスの割当て、およびデータ・センターのスイッチとファイアウォールの構成が含まれます。bda-preinstall-checkip.shスクリプトを実行してエラーを修正します。

タスク4   要件に基づいたサイトの準備

Oracle Big Data Applianceが到着する前に、この章の前の部分で説明した要件(ネットワーク・ケーブルや電源の設置など)に基づいてサイトを準備します。

  1. 安全ガイドラインを確認します。

  2. サイトの問題や特性を確認します。たとえば、ドアの高さと幅がOracle Big Data Applianceにとって十分であることを確認します。

  3. 設置サイトのフロアに、Oracle Big Data Applianceと他の設置設備の総合重量に耐えることのできる強度があることを確認します。

  4. 必要なすべての電気設備を設置し、Oracle Big Data Applianceに十分な電力が供給されていることを確認します。

  5. 設置サイトの空調設備が適切であることを確認します。

  6. 空調システムを48時間稼働し、部屋の温度を適切なレベルに設定します。

  7. Oracle Big Data Applianceのネットワーク・ケーブルを設置します。

  8. 設置に備えて場所を十分に清掃し、電気掃除機をかけます。